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ICC KYOTO 2022のセッション「徹底討論!ガチ勢による”新卒採用”を成功に導く戦略とは?」、全6回の②は、マネーフォワードの新卒採用について、竹田 正信さんが紹介します。新卒採用に「エキスパートコース」を開き、グローバル新卒も進めているというマネフォ、ビジネス枠で採用してもエンジニアにという転向もありだそうです。興味深いオンボーディングの仕組みもぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
ICC KYOTO 2022
Session 9E
徹底討論!ガチ勢による”新卒採用”を成功に導く戦略とは?
Supported by リブ・コンサルティング
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▶「徹底討論!ガチ勢による”新卒採用”を成功に導く戦略とは?」の配信済み記事一覧
新卒採用に「エキスパートコース」を設ける意図

竹田 採用にあたって母集団をどう形成しているか、どう力を使っているかなどは、リブ・コンサルティングのほうが強いと思うのでお任せするとして(笑)、我々の会社の特徴的なところは、エキスパートコースを設定している点です。

▶新卒採用情報(マネーフォワード)
我々の会社にはグレード制度がありまして、通常1から始まって、私や執行役員が、グレード6や7あたりです。
例えばエンジニアだと分かりやすいですが、国際学会や主要コンテストでの実績を既に持っていたり、インターン期間のアウトプットのレベルが高かったりする場合、グレード1から始める必要がないこともあります。
そういった場合、最初からリーダーの一歩手前であり、一人前レベルとしているグレード3で入社できるのが、エキスパートコースです。
このエキスパートコースは、新卒採用におけるコースの1つです。
当然ですが、初年度の年収も、通常の新卒社員の1.3~1.5倍ですので、中途社員や中堅メンバーと同じか、それ以上の年収になるケースもあります。
選考フローはスライドの通りですが、エンジニアは、最初の書類選考はCTOが担当します。
このように、人材を惹きつけています。
ただ、エキスパートコースで多くの人材が入社しているかというと、結果としてはそうはなっていません。
エキスパートコース枠で選考を受けてもらい、選考の上、ご本人ともすり合わせをした上で、通常の新卒社員として入社するケースの方が結果的には多いからです。
ただ、このコースがあることで、腕に覚えがある人や、新卒採用=一律スタートという方式に違和感を持っている人、つまり自信や能力のある人に、応募してもらえる、彼らを惹きつけられるという効果があります。結果的に優秀な人材の母集団形成に寄与していると言えると思います。
また、なぜ能力のある社員に積極的に機会を与えるかというと、会社のミッション、ビジョンを一緒に実現する仲間になるので、その人の力を発揮できる環境を最初から用意するスタンス、カルチャーを持つ会社であることを伝えたいからです。
選考過程においても、なぜ我々がこの会社を立ち上げたのか、何を実現していきたい会社なのか、なぜそれをするのかを、社員一人一人と擦り合わせていけるかどうかが重要です。
ですから、新卒採用の面接においても、その方のモチベーションの源泉が何かを聞きます。
ぼやけていたり、大きなものでなくても全然構わないので、、なんらか使命だったり、信念みたいなものを持って、その実現に向けて努力してきた形跡があるかと、それがマネーフォワードで実現したいミッションと重なっているかをチェックしています。
これが、母集団の状態から採用に至るまで、候補者との接点において大事にしているポイントです。
会社はコミットしたいと思える状況や場を、提供し続けなければいけない
いわゆるカルチャーマッチについては、面接をする過程で判断し、マッチした状態で入社してもらうということを、最も重視しています。
その上で、彼らに積極的に機会を与えるという、入社後の仕組みを意識して作っています。
スライドの写真は、新卒入社2年目で、名古屋の拠点を任せている社員です。

彼が取り上げられた記事を紹介しますが、「通常、新卒社員だと任せてもらえないような仕事を任せてもらえて、何とかしたいという気持ちで成長してこられた」と語っています。
▶マネーフォワード開発拠点長、新卒2年目で抜てき(日本経済新聞)
彼には、色々な会社からオファーが来ているかもしれません。
これは新卒社員に限りませんが、優秀な人材は、自分のキャリアを自分で選択し続けているのだと思います。
会社はその人に選択される理由、コミットしたいと思える状況や場を、提供し続けなければならないと思っています。
思いを具現化するということを細かく積み重ねている、それをガチで行っているのがポイントなのかなと思います。以上です。
加藤 ありがとうございます。
キャリア選択や抜擢に関して、会社としての明確なメッセージが伝わりました。

グローバル新卒採用で、社内の英語公用語化を準備
加藤 ちなみに、エキスパートコースの設置は、いつ頃から制度化し、発信しているのでしょうか。
竹田 直近、グローバル採用に積極的になったタイミング(2020年頃から)ですね。
特にエンジニアには、学生時代に起業したり、プロダクトを作ったりしている方が非常に多いです。
ですから、一定以上の腕を持っている方は存在します。
そういう方々の採用を巡って競合するのは、一般の企業ではなくGAFAMなどに変わってきていますので、報酬も含めて考え方を変えなければいけないと思いました。
併せて、グローバル新卒採用を実施したことで、非常に優秀な人を採用できることが分かりました。
つまり、英語という壁を突破すると、とんでもなく高いレベルの人材を獲得できると分かったのです。
実は、当社のエンジニア組織では、むこう2年以内に公用語を英語にしようと準備を始めています。
これはこれで、英語と足元のグロースのどちらを優先するか、という議論も起こるのですが(笑)。

加藤 英語かグロースか(笑)。
竹田 ですから、英語教育を専門で行う人事担当者を設け、業務時間中に英語の勉強をすることを今年の春から実施しています。
例えば、これまでTOEICを受けたことがなかった人が、既に800点を超えています。
私は英語が話せないので、日々、緊張感を持っています(笑)。
これも、新卒採用でグローバル採用の取り組みを行ったことから発展した結果だと思います。
権田 エンジニアの中途採用は、報酬がどんどん上がっているので、難しいですよね。
エンジニアの新卒採用で、中途採用における課題を解決しているのでしょうか?
竹田 そうですね、中途採用で獲得できる人材と、新卒採用で獲得できる優秀な学生。
新卒採用では、もともとエンジニア志望ではなくても、優秀であれば、エンジニアをしてみないかと打診する、つまり、ビジネス枠で内定を出した学生をエンジニア枠に転向させる、ということも行っています。
そして、そういう人材は、非常に成長するのです。
似た会社でエンジニアをしていた中途社員の場合、3、4カ月でキャッチアップするかもしれませんが、新卒社員だと、流石にそのスピードでのキャッチアップは難しいです。
ですから、多少、時間はかかりますが、2~3年というタームで見ると、確実に中核になります。
実際に今、3年前に採用した新卒社員が中核になっていますので、中途採用で採用できない部分を、新卒採用で大きく補強しているのは間違いないですね。
中途採用でもカルチャーに差を出さない工夫

権田 先ほどカルチャーに触れていましたが、中途採用については年間何人くらい採用していますか?
今年の採用数は、すごいですよね。
竹田 そうですね、今期は特に積極的に採用をしていこうという方針だったので、全社で、月平均50~60人くらい採用しています。
加藤 毎月60人!
竹田 はい、多い時はさらに……。
権田 そういうスケール感と新卒の人数のバランスを考えると、新卒がカルチャーを体現したり、マネフォのカルチャーを創っていくところと、キャリアのスケール感は全然違うじゃないですか。
それでも新卒社員のカルチャーへの貢献は大きいものですか?
竹田 そうですね、当社が、絶対に変えないようにしようと気を使っているのが、カルチャーです。
▶マネーフォワードのMission / Vision / Value / Culture
ミッション、ビジョン、バリュー、カルチャーをどう体現していくのか。
例えば、毎週、朝に全社会をしており、その中で、代表の辻(庸介)や私など、役員が持ち回りで話す場があります。
そこでは必ず、ミッション、ビジョン、バリュー、カルチャーに関連する話をするようにしています。
また、MVP制度があります。
そういう優秀な人を表彰するMVP制度では、組織が大きくなると、部門別にMVPが設けられて増えていったりしますよね。
うちの場合、MVPとは別にカルチャーを体現している人に授与する、カルチャーヒーローという賞を設けています。
我々のカルチャーは、5項目(Teamwork/Speed/Pride/Respect/Fun)あります。
つまり、どれだけ部署や組織が大きくなっても5人しか選ばれないので、ある意味とてもプレミアムな賞がカルチャーヒーロー賞になっているのです。
このように、積極的にカルチャーを醸成しようとしているので、中途と新卒で差が出るとか、分かれてしまうとかは、あまりない状態であるという前提に立っています。
マネーフォワードに新卒で入社するメリット
竹田 面白い事例を紹介します。
新卒社員は、50人ほどで入社して、同期はそれぞれビジネスサイド、プロダクトサイドなどなどさまざまな部署に配属になりますよね。
一方でビジネスの部署に入社した中途社員は、友達もビジネスの部署の人になりがちなわけで、結果ビジネスサイドのことしか知らない状況になります。
そうすると、例えば開発が遅い、顧客の要望がなかなか叶えられないみたいな問題が起きた際、ビジネスしか知らない人は「開発側がおかしい」と考えがちです。
しかし新卒社員の場合、開発チームに同期がいるので、意外と内情や状況を知っていたり、議論ができていたりするのです。
例えば部長が「エンジニアチームはなにしてるんだろう。困るよね」と言ったときに新卒のほうが「いや、今、エンジニアチームではこういうことが起きていて、こういう取り組みをしていると聞いているので、ビジネス側はこういうサポートをしたらもっと良くなるのではないでしょうか」と答えたりする現象が起きるのです。
部長よりも新卒社員のほうが視野が広いじゃないかと(笑)。
(一同笑)

権田 新卒コミュニティを通じて関係資産が構築されていて、一つの組織のようなものが形成されているということでしょうか?
竹田 そうなんですよ。
一律でよーいドンする弊害もある一方で、同期がいることによるネットワークや切磋琢磨できる環境が、プラスアルファで頑張るためにはものすごく大きいと思います。
加藤 会社として、横のつながり意識をより強化するための施策は行っていますか?
竹田 そうですね、入社年度ごとに集まる、新卒社員を対象にした研修については、入社1年目だけではなく、機会をたくさん設けています。
新卒社員に対しては、役員それぞれが手作りで研修をするのです。
ですから、役員との接点もたくさん持てますし、もしかすると新卒入社するほうが良いかもしれません。
だから僕も、最近入社した中途社員よりも新卒社員のほうが、関係性がある人が多いかもしれませんね。
そういった、縦のつながりを持てるための横のつながりを、たくさん作る工夫をしていますね。
20カ国を超えるグローバル人材を採用
権田 グローバル採用に関して、イメージがわいていないのですが、どんな形、どんなフローで行っているのでしょうか?
面接はもちろん、英語ですよね?
竹田 そうですね。
権田 何回くらい面接するのか…、また、採用において競合相手は日本企業ではなく海外企業になるわけですよね。
竹田 そうですね、そういうこともあります。
インドネシアなど、東南アジアからの社員が多いです。
現在、社内にいる外国籍社員の出身国の数は、20を超えると思います。
各国で行われている採用イベントに顔を出して、接点を持つようにしています。
最近はZoomで行われることもあるので、現地に行かなくても大丈夫でした。
グローバル採用担当チームが組織内にあり、そのチームが採用部署と連携し、非日本語話者向けに通訳をしたり、英語の話せるエンジニアが面接に入ったりしています。
最近、イスラム教徒の方が入社したのですが、彼らはお祈りをするので、お祈りの部屋を社内に設置しました。
権田 できたのですか?
竹田 はい。もともと役員優先会議室が、お祈りの部屋になりました。
加藤 なるほど、ありがとうございます。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸