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ICC KYOTO 2022のセッション「徹底討論!ガチ勢による”新卒採用”を成功に導く戦略とは?」、全6回の④は、引き続きリブ・コンサルティングの新卒採用について、今度は社内の仕組みについて解説。優秀な学生を獲得するために「リクルーター」が徹底的に併走しているそうですが、最初は経営者が主体的に取り組んでいったそうです。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
ICC KYOTO 2022
Session 9E
徹底討論!ガチ勢による”新卒採用”を成功に導く戦略とは?
Supported by リブ・コンサルティング
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優秀な学生の採用に至るまでのガチな過程

権田 ガチリクルーターというのは、実務選考に進む100人から、30~40人の内定者を出すコンバージョンという役割を担っています。
社内では、「リクルーター」をしている人は一番かっこいい存在で、アワードも、「リクルーター」向けアワードが一番盛り上がります。
社内においても、「リクルーター」のブランディングを行っているということです。
「リクルーター」はかなりのガチです(笑)。

1人の「リクルーター」が4人の学生を担当するのですが、学生面談からシナリオ戦略ミーティングという流れがあり、4カ月ほどの期間内に7~10回ほど、学生に会います。
それ以外にも、2日に1回はLINEなどでやりとりをしながら、学生に伴走しています。
それくらい密度の高いコミュニケーションを行っています。
そして、以前は2週間に1回、全「リクルーター」と僕や関(厳さん、代表取締役)などの責任者が入る、リクルーター会議を行っており、そこで全学生のシナリオを全員でレビューしていました。
今は、このレビューは3グループに分かれて行っています。
これは「ライフウェイクシート」で、三次面接の際に使うものです。

▶組織が崩れやすいリモート環境での武器「ライフウェイク」という武器とは?(CRO HACK)
幼少期から今まで起こったことや状況を書いたシートで、コミュニケーションのベースコンテンツの一つになりますので、「リクルーター」と学生の最初の面談でも使われます。

ある学生について、生い立ちから現在までをこれくらい細かい粒度で書くわけです。
このシートをもとに、他のリクルーターやレビュアーたちが、「この学生はこういう人ではないか、最終的にこういうところに行くのではないか」「なぜコンサル、なぜLiBかという理由はここにあるのではないか」などディスカッションします。
クロージングのタイミングはいつ頃になりそうか、競合他社はどこになりそうかなど、営業会議のような、むしろ営業会議よりも激しい議論をガチで行っています。

そして、こんな感じで何月何日に誰が会って何をしたかを全て記録しているので、これを見ながら、ネクストアクションをみんなで考えています。

学生が直接話すのは「リクルーター」1人ですが、実はその後ろにいる20人くらいで共有をしているという形です。
Slackの中でも当然共有はしています。

採用期間中の全学生それぞれのチャンネルを作り、それぞれの学生の進捗をレビュアーみんなが見ています。
たとえばこの学生の場合、9/18にスタートし、11/20に内定を出したのですが、12月-1月に総合商社が競合に出てきた、といったやり取りになっています。

最終的には2/13に内定を承諾してくれているのですが、この間ずっとSlackで情報共有をし、2週間に1回はリクルーター会議でディスカッションしています。
このような取り組みをガチで行うことで、トップオブトップの学生を採用できるようになりました。
コミュニティを活用してリファラル採用
権田 中途採用についても、年間60人ほどを採用しています。
新卒採用と中途採用の一番の違いは、新卒採用の場合はコミュニティが明確にあるので、力を入れれば入れるほど、学生たちの後輩世代へのクチコミがより広がっていくという点です。
僕自身最初はそのような構造を理解できていなかったのですが、効果が大きいことを実感しています。
例えば、内定者Aさんがいたとすると、Aさんの出身大学のサークルや部など、「優秀な人がいるらしい場所」が分かります。

そこで、そのAさんのネットワークを活用しながらコミュニティに近づき、クチコミのコントロール、ブランディングを行うのです。そうすると、年々、どんどん楽になっていきます。
先輩が入社して喜んでいる姿を見た後輩が、「どうしても入社したい」と思うようになるわけですね。
ちなみに、タイについては、おそらくトップオブトップの人材が採用されていると思うのですが、全てリファラル採用です。

毎年、国際奨学生として選ばれて、日本に来るタイの学生が15人ほどいます。
そのコミュニティから一番多くの学生を採用しているのはうちではないかなと思うくらい、毎年、そのコミュニティの学生が入社してくれています。
例えば物理や数学など、何かしらのオリンピックで優勝しているような優秀な人材が毎年入社していますね。
完全にリファラル採用なので、リファラルの流れがコミュニティベースでできているということです。
国内でも採用枠全体の1割がリファラルでの採用となっています。
以上、うちの3つのガチについてお話しさせて頂きました。
「リクルーター=かっこいい」というカルチャーの誕生
世一 権田さんの話を聞いて分かったのは、うちはガチではなかったなということです(笑)。
(会場笑)
加藤 いやいや、そんなことないです(笑)。この後、お話しいただきます。
世一 すごく気になったのは、「リクルーターは、かっこいい」というブランドを社内で作っているという点です。
もともと人事担当1、2名が行っていた新卒採用について、「人事がやることだよね」から「みんなでやるぞ」に雰囲気を変えるのは、結構難しいと思うのです。
そういうカルチャーがもともとあったのか、それともカルチャーを変えようとしたのか、どちらでしょう?
後者の場合、どういう風に行ったのでしょうか?
すごく知りたいと思いました。
権田 やはり、いきなり変わることはなかったです。
最初は若干、「やらされ感」があったと思います。
評価制度を考えても、クライアントの仕事をするほうが粗利を稼げ、それが評価や給与につながっていきます。
そこで、関や僕が非常に多くの時間を使って取り組むという状況を作りました。
つまり、最初の火を起こす、波を生むということを、僕ら自身で行ったのです。
そうすると、活躍するリクルーターが生まれます。
一番インパクトが大きいのは、実は入社式という場です。
入社式では、全新卒社員が、全社員の前でプレゼンをします。
彼らが、なぜリブ・コンサルティングに入ったかという話をする際、大体の場合、「リクルーターの〇〇さんに惚れたのが入社の決め手です」というようにリクルーターの名前に言及するのです。
そうなると、「リクルーター」をしている社員は、学生が自分をベンチマークにして入社したと感じるようになり、さらに、入社式の場で自分の名前を呼ばれたいと思うようになり、徐々にカルチャーができていったという感じですね。
世一 クチコミが後輩につながっていくという話もありましたが、年々、資産が貯まっていくという感じなのでしょうか?
先ほど、クライアントに向き合うほうが、粗利が稼げて評価が上がるという話もありました。
採用にどれだけコミットし、結果を出せたかについては、どんな形で評価されるのでしょうか?

権田 実施したことは2つあります。
まず、ちょうど変えようとしていたタイミングだったこともあり、評価制度を変えました。
役割給というものを新たに導入し、「リクルーター」という役割に対しても給与を支払うことにしたのです。
世一 ということは、結果への報酬ではなく「リクルーター」になる時点で上乗せされるということですね。
権田 そうです。
もう一つは、年2回ある社内アワードにおいて、「リクルーターアワード」を設けました。
社内において、アワードをもらえることは、すごくかっこいいと認識される状況になっています。
「リクルーターアワード」をもらうことは、最初に目指しやすいのです。
一方、コンサルタントになることや、セールスとしてのアワードを目指すにはもう少し時間がかかりますが、「リクルーターアワード」をもらうと、入社後早めに社内で目立つことができるので、若手の登竜門の一つになっています。
世一 大人だから大丈夫かもしれませんが、「新卒採用に力を入れます」という方向性を打ち出すと、中途社員から、「何か感じ悪くないですか?」という雰囲気は出ないのでしょうか(笑)?
(会場笑)
権田 出なかったですね。
今は、「リクルーター」は新卒社員が中心ですが、先ほど話したように(前Part参照)、最初は新卒がうまくいっていなかったのでリクルーター候補が足りず、役員だったり、キャリアで活躍している社員に「リクルーター」になってもらったのです。
活躍する彼らは社内ではオピニオンリーダーであり、最初の1、2年は、彼らがガチで新卒採用に関わってくれていたので、その時期に、新卒採用を受け入れる流れができたと思います。
世一 全部取り入れようと思いました。ありがとうございます。
新卒採用を通じて組織の状態が改善
竹田 ちなみに「リクルーター」になる方は、毎年何人いらっしゃるのでしょうか?
権田 20人ほどです。
竹田 我々もリクルーターを設けていますが、リクルーターには、魅力があふれる、優秀な人材を配置したいですよね。
彼らは業績も良いトッププレイヤーなので、忙しいですよね?
権田 忙しいです。

竹田 人事と現場との距離が少し遠くなってしまっているという状況もあるのですが、現場を巻き込むのに腐心しています。
どうしても「忙しいですよね? お願いしてもよろしいですか?」みたいなコミュニケーションになってしまっており、アワードを作るなど、みんなで取り組もうという雰囲気を人事が作ろうとすること自体、とても難易度が高い状況です。
ですから、例えば事業部の責任者を巻き込んで、彼らを主体者にするなど、着火の方法を考えないといけないのです。
リブ・コンサルティングさんは成功して、大きくなっているようですが、そういう問題で難しさはなかったのでしょうか?
権田 組織の規模がキーだと思います。
もし今始めたら苦しんだかもしれませんが、100人ほどの組織だった時、つまり目が届きやすい時期にアクセルを踏んでいるので、火がつきやすかったのだと思います。
その後は、慣性の法則ではないですが、プロセスがうまく回りだして…という状況ですね。
竹田 なるほど。
権田 また、今だから言えますが、当時は組織の状態があまり良くなかったのです。
離職率が28%にまでなった時期もありました。
竹田 高いですね。
権田 何かしなければいけないという状況下で、それへの対策として新卒採用強化を行ったところ、新卒採用を通じて組織活動に関わる人が増え、未来をみんなが語るようになったのです。
ですから、タイミングとして、進めやすかったのだと思います。
竹田 なるほど。
会社の文化をアップデートする取り組みと併せて、新卒採用の強化を行ったということですね。
なるべく早めに始めるべきだというのも、今の話からのラーニングですね。
権田 まさにそうですね。
優秀な学生が動き出すタイミングは、大学3年生の春頃です。
そこから考えて、入社するまでに2年、マネージャーになるまでにさらに3年ほどかかります。
ということは、5年先の意思決定をするということですよね。
例えば商品開発だと2、3年先の意思決定になると思いますが、新卒採用の場合、もっと長い投資スパンだということです。
自社の5年後をイメージして新卒採用を行うわけなので、未来から逆算してガチで行っています。
竹田 なるほど。
インターンシップ強化で学生を惹きつける
加藤 ベンチャーが採用に取り組むと考えると、認知やブランドのないコンサルティング会社として、マッキンゼー、BCG(ボストン コンサルティング グループ)、アクセンチュアなどと戦うことになりますが、どう学生を惹きつけて勝ったのでしょうか?
ベンチャーの戦い方とは、どのようなものでしょうか。
権田 そもそもコンサルマーケットはブランドビジネスなので、ブランドの強いところに優秀な学生は流れます。
まず、学生と会えなければ意味がないですよね。
ですから、コンテンツとしてのインターンシップを強化しました(前Part参照)。
マッキンゼーやBCGを志望する学生も、我々のインターンシップには参加するのです。
アンカリング(※) と呼びますが、インターンシップを経験して、「リブ・コンサルティングが一番だ」と思ってもらえるような状況を作るようにしています。
▶編集注:アンカリングとは、最初に提示された数字や条件が基準となり、その後の判断を無意識に左右する心理作用のこと。
もともとコンサル業界には優秀な学生が集まりますが、保守的な優秀層と革新的な優秀層がいたとして、「保守的な人はBig4を志望してください、でも、世の中を変えていくようなラジカルな人はLiBですよ」と、二項対立にしています。
▶コンサルBig4とは?コンサルティング業界におけるBig4の特徴を徹底比較 (ムービン・ストラテジック・キャリア)
リブ・コンサルティングをスタートアップとコンサルの組み合わせだと考えると、スタートアップのお手伝いをするということは、世の中を変えていく、ラジカルな仕事です。
これまで、保守的な優秀層と革新的な優秀層の両方がBig 4を志望していましたが、定義付けをすることで、革新的な優秀層はリブに入社するような流れを作っています。
加藤 ありがとうございます。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸