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「価値があるものは高く売る」ーー時給30万円の経営アドバイザー直伝、初開催「厚利少売」ワークショップレポート

2月17日〜20日の4日間にわたって開催されたICC FUKUOKA 2025。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。このレポートでは、今回初開催、菅原 健一さん開催によるワークショップ「薄利多売から抜け出す思考·行動様式『厚利少売』ワークショップ(120分拡大版)」の模様をお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2024年10月に発売されたすがけんさんこと菅原 健一さんの著書『厚利少売』を読むと、まさに正論で異論を唱えることは難しい。この日、会場に集まった28名の参加者は、BtoBにBtoC、ものづくりからSaaSなど、さまざまな事業に携わるさまざまな立場の人たちが集まった。

どの参加者たちも、ワークショップを申し込むにあたって詳しい理由を書き込んでいる。共通しているのは、自分たちの商品やサービスの商売を営むときに、自信のある商品を安売りせずに、価値相応の価格で売りたいという願いである。

ワークショップ冒頭では、参加者たちの学びたいことを紹介

しかし価格を上げて今までの顧客を失うのは怖い、目先の売上が消えるのは困る、高い価格をどう伝えればいいのかなど、さまざまな不安がある。そこで、このワークショップである。

4人1組のグループが7つ、グループワークで課題や考えや問いを仲間と話し合い、頭ではわかっているはずなのに、なぜ薄利多売に傾きそうになるのかを分解して理解していき、「本当は高く売れる」という価値を見出していくのがゴール。「厚利少売」の原則理解からワークショップは始まる。

次回開催も予定されているので、ネタバレにならない程度にどんな内容なのかご紹介していこう。

すがけんさんが提唱する「厚利少売」とは


菅原 健一
株式会社Moonshot
代表取締役CEO

企業の10倍成長のためのアドバイザー。社会や企業内に存在する「難しい問題を解く」専門家。クライアント10社、エンジェル投資先20社の計30社のプロジェクトを並行して進める。過去に取締役CMOで参画した企業をKDDI子会社へ売却しそのまま経営継続し売り上げを数百億規模へ成長。スマートニュースを経て現職。 20代のマーケター600人が参加する #20代マーケピザ 主催。  【過去の略歴】 ・2016年6月スマートニュース入社。 月間600万人を超える利用者、1人あたり毎日12分以上も利用されているSmartNewsの中でブランド広告責任者(Head of Brand Advertising)を務める。 ・スケールアウト社(現Supership社)にてデジタル広告プラットフォームのサービス開発とマーケティングを担当。株式会社medibaによるスケールアウト社買収に伴いmedibaのCMOに就任、広告事業およびマーケティング施策を牽引。 スケールアウト社、株式会社nanapi、株式会社ビットセラー3社が合併しSupership社となり、同社CMOとして、ブランド広告主の課題解決やアドテクノロジー、データドリブンマーケティングの啓蒙、事業展開に貢献。

菅原さんは、自身も「厚利少売」を実践する経営アドバイザー。詳しくは書籍でも紹介されているが、キャリアのスタートはエンジニアでマーケターを経て、現在はエンジェル投資家兼、企業を10倍成長に導く経営アドバイザーを務めている。

菅原さんが最初に解説したのは、「厚利少売」はBtoBもBtoCも同じということ。そして人口減と高齢化、所得減、物価上昇が進む世の中で、「厚利少売」が商いの上で求められる状況であるということ。売る側として、意思をもって変えられるものは単価だけのため、他の選択肢はないという。

冒頭に自分たちがいかに「薄利多売」の思想に陥っているかのセルフチェックテストをし、いよいよ「厚利少売」の理解へ。書籍で詳しく解説されているが、そのエッセンスをご紹介すると……。

   

簡単に言えば、ニーズかつ希少価値のある商材を作れれば利益率が高く、少なく売っても常に儲かるということ。手前味噌だが、規模の拡大よりもコンテンツの内容を高めようとするICCサミットも「厚利少売」のサイクルを実践しているように思える。

このサイクルは、言われてみると至極当然なのだが、決して好景気とは言えない世の中で、お客様を目の前にすると勇気がいる。ワークショップに出席している参加者たちも書籍を読んで理解はしているものの、実行部分で難しさを感じているのではないだろうか。

グループワークがスタート

最初のグループワークでは、高くても売れている、人気で手に入らない「厚利少売企業」をまずリストアップし、身近や同業でそんな企業はいないか考え、どんな「厚利少売」的なビジネスをしているかを書き出し、オンラインホワイトボードのmiroを活用して自分たちがそうなるためにどうしたらいいかをグループで議論、発表した。

ウェルディレクション向井 俊介さんのグループは、「厚利少売」になるには独自性のある機能やブランド作りに加えて、顧客を選ぶことが大事であると発表

菅原さんからは「厚利少売」な企業の例として、TESLANOT A HOTEL北欧、暮らしの道具店寺田倉庫が紹介された。

そして「マーケティングの誤解」についても解説。日本マーケティング協会の定義の通り、マーケティングとは、「製品・サービスを通じて価値を創り、提供し、浸透すること」であり、決して「プロモーションのため」「多く売るため」のものではないということ。この誤解があると、薄利多売に陥ってしまうという。

3C分析、4P戦略などのフレームワークを説明しながら、お客様のフィードバックを聞き、正しいお客様を見極めることの大切さ、商売の基本である「需要と供給」のコントロールについては現場「いらない量・いらないものまで作りすぎ」、バランスを取るのは非常に難しいため、目指してはいけないと戒めた。

「需要と供給」がうまくいっていないところは「要らない人にまで売ろうとしすぎ」の状態であり、それを変えていくのが戦略だという。ビジネスの成功は需要の予測と需要の拡大に尽きるといい、どうしたらそれが測れるかを丁寧に解説。これはぜひワークショップで直接聞き、腹落ちしていただきたい。

すがけんさんの時給が30万円になった理由

参加者が最も気になったのは「価格を上げる方法」だろう。しかしこれに対する菅原さんの答えはあっさり「上げるだけ」。上げて売れなければ「下げるだけ」。そんな……という雰囲気が会場に漂った。

ここで解説されたのは、『厚利少売』の書籍にもある、菅原さんの時給が30万円となったきっかけ、広告販売のベンチャー企業で単価100万円の広告を年間売上100億円、という目標を1年でいかに達成したかというエピソード。

限られたリソースや時間で、「どこで戦うか」=ターゲットを変え、「どう戦うか」=価格を変えるという、いわば消去法といってもいい結論を実行。単価が上がれば会う人も変わることを経験し、トップの彼らの悩みや思考を知り、それに寄り添う提案でさらに単価が上がっていったという菅原さんの話は、いたってシンプルだ。

当時営業30人の会社で単価100万円・受注率5%ならば、20万社の提案の必要があり、それこそ非現実的である。それを単価10億円にしたら経営者と話せるようになり、単価が30億円となり、同様の案件を4社受けたら100億円達成という「厚利少売」となった。

現在菅原さんは、3カ月1プロジェクトベースの年間合計4プロジェクトで動くコンサルタントに対して、アドバイザーとして年間10案件を受けてスタートアップ20社に投資をし、年間30の問題解決を担当。圧倒的な経験数の差を生んで、これもまた自身の「厚利少売」のクオリティに寄与している。

なぜ薄利多売になってしまうのか?

書籍にもあるが、「薄利多売」から「厚利少売」になるためのハードルとして、一番高いものとして紹介されているのが「マインドセット」。つまりこのワークショップだけでいきなり「厚利少売」になるのはとても難しいということだ。

グループワーク②は、その根幹に迫るべく、なぜ自分が薄利多売になっているのかその理由を書き出して、なぜその状況に陥っているかをディスカッション。

各グループを回ってみると「数字を上げろというプレッシャーがある」「業界の標準に縛られている」という声が上がっている。菅原さんが「愚痴にならないように(笑)」と釘をさしていたのはこういう意見が上がることを予想していたのだろう。

HENGEの三宅 智朗さんのグループでは、競合も含めてマーケットが商材の相場を決めているのではないかと薄利多売に陥る理由を推察し、別ブランドを作ったほうがいいのではないかと発表。

ローカルフラッグ濱田 祐太さんのグループは、社内のKPIが売上や出荷であり粗利になっていないことや、問屋から注文がなくなったら、棚落ちしたらとという恐怖で、お客さんを選んでいないことが薄利多売の理由と言い、利益ベースや付加価値を意識するのが大事で、別のお客さんを見つけようという話になったとのこと。

これらの意見に同意しながら菅原さんは「買いたいといった人を何回断ったかが厚利少売にとって重要な指標」とコメント。いかに希少資源で、手に入らないものであり、手に入ったら嬉しいものであるかが大切だそうである。それについて考えるのが次のワークとなる。

お客様の喜びをもとに価値を設計するのが最優先

グループワーク③は、「高くても買いたい」を作るためにお客様の喜びを見つけよう・作ろう、がテーマ。ここで菅原さんが強調したのは、価格設計とは価値設計であるということ。「誰」に「何」をしたら「いくら払ってくれるのか」を考える。価格は価値であり、価値とは相手の変化量であり、まずは値段よりも価値の設計が先であるべきと語った。

変化量とは、お客さんがその商材を消費したら、精神的に、生活的に、お客様とお客様の大切な人たちの間の認識、好意、状態、支払いなどに、どんなよい変化が現れたのかで、その変化の価値でお金を払ってもらう。そのため変化のヒアリングは必須で、本当に得たい変化にどれだけビジネスを近づけるかが肝だという。

富裕層が増えている現在、価格を上げることを恐れないで、と菅原さんは参加者たちを鼓舞した。

このグループワークでは、自社のお客様が喜ぶ理由を自分で列挙し、その後はどうすれば「高くても買いたい」を作れるか議論。ディスカッションの声もだんだん大きくなってきて、ヒートアップしていきているのがわかる。

菅原さんは、面白い理由が出ていると、グループ⑦を指名した。

発表するグループ⑦の諏訪田製作所 水沼 樹さん

お客さんが喜ぶ理由は、KAPOK JAPAN深井 喜翔さんは「父親が買って、家族から褒められた」諏訪田製作所 水沼さんは「母親の巻き爪で悩んでいた娘が専用爪切りを購入。病院で爪を切ってもらっていたが、通院不要に」、READYFOR名和 俊輔さんは「お客さんがクラファンを通じて社会の課題が解決に向かい喜んだ」。

ポジティブな価値が語られる一方、少売については議論となったそうで、メーカーとしては待っているお客様に早く届けたく、間口を狭くするのは、メーカーの姿勢としてどうなのか。名和さんは社会課題は数多く、いいプロジェクトを10個しか扱わないというのは…と議論になったという。

それに対して、菅原さんは「厚利少売」のごとく、時給30万円で月に4時間✖️10社の40時間しか労働時間はないが、それに満たない仕事をやらないわけではない。むしろ時間もお金もあるため、それ以外にはギブすることに徹して、さまざまな企業をサポートしていると答えた。

クラフトビールのFar Yeast Brewingの山田 司朗さんのグループは、他の3名は企業のソリューション系の事業で、さまざまな意見が出たという。

「お客様が変化した、中間KPIを上げることによって社内で説明しやすいことで価値を認めてくれたり、効率化や便利になっていることで成果が上がり、その分もっと払っていいかなと思ってくれたり、満足しているお客さんが紹介をしてくれるそうです。

自分はものを売っている意識が強くて、お客がどう変化したかや、課題を解決する意識がなかった。ソリューションという視点がなかったこと、お客様の変化に気がついていなくて、納品して終わっていたので、その意識を変えていきたいということに気づけたのが良かったです」。

菅原さんは、山田さんの後半コメントについて、マーケティングの世界では、グッズドミナントのロジックより、サービスドミナントに世の中が変わりつつあり、今はものを売るだけでなく、サービスを含めていく感覚が必要だとのこと。お客様にとっては買ってからが始まりのため、アフターケアせず放置していると考えてみてはとコメントした。

一朝一夕にはできない「厚利少売」

ワークショップも後半に近づき、数年後に「厚利少売」に変われそうですか?と共有されたのが、書籍にもあるこの表である。

1回聞いて、この表の左から右へガラッと変われるものなら、お金をもらってやりたいという菅原さん。これまでの経験から薄利多売からの変化は時間がかかるようで、今回のワークショップではまず意識が変わったり、知識が増えたり、同じことを考えて悩んでいる人がいることを知ってほしかったという。

「何回も来てもらったり、数年かけて左から右へアクションができればいいなと思います!」

このワークショップの活用法

ワークショップの最後はQ&A。リアルで集まることの価値のひとつは、「厚利少売」を目指す同志たちから学びあえることである。

KAPOK JAPAN深井さんのQ

「厚利少売に一気にシフトするのは無理であっても、少しずつならできるかもしれないと思う。フェーズを具体的にイメージしたい。明日から何かを変えるならば何ができるか?」

菅原さんのA「号令があっても本当にできるかわからない。在庫もあるだろうし、全部切り替えるのはリスクがある。それでも有形商材やSaaSは、ハイエンド版を作るか、サービスを追加して、まずは10倍で切り出してみる。受注生産でもいい。5倍、10倍にしてみて、既存のお客さんでどのくらいそのシグナルを受け取りたい人がいるかを見てみる。

既存とは違う100万円の商品が出たときに、どういう人やメディアが反応するかを見る。すぐは売れなくても、どのくらい遠くに届くか、どういうシェアがされるのかなどをみる。例えば2個しか売れなかったとしても、買った人は誇らしく思うかどうかなどを観察する」

akippa小林 寛之さんのQ

「駐車場予約のサービスをしています。AIの普及で供給のコストが安くなると、厚利少売は成り立つのでしょうか?」

菅原さんのA「いい質問ですね! それは提供する側からの思考ですね。

買い手側から考えてみると、例えば超富裕層は使わないから、そう考えずにコンシェルジュはないの?って考えるかもしれない。作り手側から考えると皆一緒になると思うけれど、買い手から考えると、みんな同じでつまらないなと考える。そこに商機があるんじゃないかと考えます。

全然違う人たちは何を考えているか? 僕が約10年前に資産3,000億円の企業のNo.3のコンサルをしていたときの話です。

アルファードが日本では今、売れていますよね、プライベートジェットで移動しているような人に、ランボルギーニやフェラーリではなくて、なぜアルファードに乗るの?と聞いたら、『乗るときにかがみたくないじゃん』と言うのです。そう考えるのか!と思いました」

ローカルフラッグ濱田さんのQ

「売る側としてだけでなく、サービスを買う側、雇う側、発注する側としての落とし込み方をお聞きしたい。自分の会社の人件費構成がそもそも薄利多売の思想なので、ビジネスが薄利多売になっているのではないかと思い当たったんです」

菅原さんのA「そこに気づいてもらえるのは意外でした。

社会、業界、会社、部署、個人という段階があり、皆さんはどの視点で働いていますか? 個人というのは、社会の構成員そのものなので、一番上と下の人はつながっています。

なぜこの本を書いたかというと、今、海外に行くとどこでもあらゆるものが日本の2倍高い。だから全部2倍の価格にしなければと思ったんです。

海外では、僕らより貧しそうな人たちもたくさん働いている。物価も高いけれど給料も高い。だから生きていけるんです。そうやって全体が2倍になったから僕らは二分の一になってしまった。だから外国から人は来てくれるけれども、僕らは行けなくなっちゃいましたよね。物価的鎖国になってしまった。

だからみんなが一斉に販売価格も2倍、給料も2倍にすれば、働いている人の購買力が増えて経済は回るようになる。一足先にそれできて利潤がよくなっている会社もある。それを目指してほしいです。

環境や生産者に配慮して、取引でできるだけ不当に安く買わず、高く買ってあげることで、社員の人たちや自分たちもお金がもらえる世界、そんな世界が素晴らしいと思う人をお客様にしてほしいです。全体で見ればちゃんと巡って返ってくる、自分たちだけが抜けがけするのではなく、全体で一挙にできればいいと思います」

あしたのチーム赤羽 博行さんのQ

「世の中を良く変えたいと思い、なるべく多くの人や会社に使ってもらいたいと思うと、社数や利用者数を追いかける薄利多売な思想に自分がなってしまいます。多くの人に使ってもらいたいと思う数を追いかけている自分が一番ボトルネックなんじゃないかと思います」

菅原さんのA「そういう大変な仕事は、わざわざやってくれる低価格の会社がやればいい仕事です。低価格で広げている人たちのお手本になって、高くても買いたいお客さんと、経営者同士のレベルで、数百億円のレンジならば、できることはたくさんあると思います。

例えば社員数が多いなら、課金形態を変える、社員数でチャージするみたいなことはできるのでは? 僕の場合は広告費を上げていった結果、経営者が判断できないレイヤーに行った。そこで経営者にとって、費用対効果の高い提案に変えていきました。会社全体の役に立つポジションになれば、大企業が使いたいものになります」

あしたのチーム赤羽さんのQ
「コンサルとSaaSで同じようなサービスをやり、半額でやられると引っ張らてしまいます。薄利多売の争いに巻き込まれないようにするには?」

菅原さんのA「相手にしないことです。僕の例だと単価を上げました。経営レイヤーにとって重要なものになる必要があります。同等の商品ならば安い方がいいけれど、経営者が10億円で使うにはどうすればいいか?を考えることです。

僕は投資家の目線もあるのですが、同じものはいりません。同じものしか売れない営業マンはいらないので手放して、誰も作っていない、でも必要とされているものを作る。

金額が高いというのは、影響度がその企業に対して高いもの。そういうものをやらないと、価格競争に巻き込まれます。同じことをやるなら、若くて安い人たちが勝ちます。もっと利益がほしい、給料を上げたいと考えるとき、違う道を選ばざるを得ないのが、厚利少売です」

人口が増えていき、経済が発展していく時代に浸透した薄利多売の思想は、今もなお深くマインドセットを支配している。「厚利少売」に少しでも早く近づくためには、まずは書籍を読んで実践してみる、そしてこのワークショップで答え合わせと軌道修正を行っていくのをおすすめしたい。

最後は、菅原さんから会場に集まった参加者に向けて、熱い激励が送られた。

「本にも書きましたが、価値と価格が一緒ならば、皆さんは本当はもっと高く売れると思っています。

なぜなら、僕は皆さんの価値がもっと高いと信じています。僕は皆さんのことを信じているのに、皆さんがなぜ自分のことを信じていないんでしょうか。

皆さんは自分を信じて、社員を信じて、もっと価値があると思ってください。価値があるなら高く売れるはずです。

僕は皆さんをずっと信じていますし、応援していますので、これで終わりではないですから頑張ってください」

ワークショップ終了後も、菅原さんを追って質問する参加者たちが多いのが印象的だった。どの企業もユニークで素晴らしい事業をしているが、事業はさまざまな変数に翻弄され、経営者の悩みは尽きない。

その中でも、菅原さんが言っていた「環境や生産者に配慮して、取引でできるだけ不当に安く買わず高く買って、社員の人たちや自分たちもお金がもらえる世界、そんな世界が素晴らしいと思う人をお客様にしてほしい」というメッセージは、参加者たちの心に深く刺さったのではないだろうか。

その実現のための手法が「厚利少売」である。2時間のワークショップはあっという間であるが、よりよい世界の実現のために、このマインドセットで繰り返し、薄利多売の思想を上書きしていく必要がある。ただ利益を効率よく上げるためだけではないこの大きな目標に共感する方は、ぜひ次回(も)ご参加いただきたい。

(終)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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