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ICCサミット FUKUOKA 2026のDAY2、Session 8Fで開催するセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは。」に登壇する企業のオフィスをご紹介いただくシリーズ、第3回目は新規事業・プロダクト開発支援サービスなどを提供する「Sun Asterisk」です。ぜひご覧ください。

この記事は ICCサミット FUKUOKA 2026で青山スタイル / natがスポンサーするセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは。」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズです。
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ICCサミット FUKUOKA 2026のDAY2、Session 8Fで開催するセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは。」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズ、第3回目は、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」をビジョンに掲げるデジタル・クリエイティブスタジオ「Sun Asterisk(サンアスタリスク)」(以下Sun)。大手町から直結するビルにあるオフィスをnatの町田瑞穂ドロテアさんと、佐村ふみさん、松本 裕之さんとともに訪れた。
訪問に先立って送られてきたのは、オフィスへのたどり着き方を紹介しているnote。多くの訪問者が地下街で迷い、連絡をしてくるそうだ。大手町から直結する出口がつながっているこのビルの地階の一角に、Sunのオフィスの入口がある。

本当にここがエントランスで正しいのか?と戸惑いながら連絡すると、このオフィスをデザインしたHead of UX & Service Design石川 マーク健さんと、PR / Sunflower (Community Manager)李こずえさんが迎えてくださった。ドアを入るなり真っ暗で、左手突き当たりのスクリーンに映像が輝いている。

まるで秘密めいたアートのエキシビジョンに来たようなスクリーンを見ながら突き当たりの会議室に向かうと、斜めの壁に取り付けられている鏡がドアで、開いた。不思議な空間に迷い込んだようなこのオフィスについて、お二人に話を聞いた。


秘密基地のような雰囲気のオフィス
マークさん「22年4月にここに移転する前は両国にオフィスがあり、その時は結婚式場の運営会社が元々入っていたビルを1棟借りしていました。
そこで足りないところはレイアウトを変えたり作り直ししたりしていましたが、もう1つサテライトオフィスがあって、1つにまとめようと、ここに移転しました。
コロナ禍もあったのですが、以前神田にオフィスがあった頃はアクセスがよくて、人もよく来ていたこともあって、会社自体は大きくなったし、アクセスや利便性を考えてここに移転することにしました」
マークさんは、名刺にHead of UX & Service Designとあるが、大学院で建築学を修め、前職はIDEOの建築家。今回のオフィス見学4社の中で最も異なることは、社内に空間作りの専門家がいるということである。まずは気になる真っ暗なエントランスの話から聞いた。
マークさん「このオフィスを設計している最初に、開口エントランスのところは何で壁が必要なのか?という話から始まり、ガラガラとシャッターを開けたら、すぐ内部が見えるという案があったんですが、ビルマネジメントから防災的にそれは無理だと断られてしまいました。
このエントランスをどうするか、受付をどうしようかと考えるなかで、代表と取締役と打ち合わせをしていた時に、なんか暗いのはいいよねみたいな話が出て。そもそもプロジェクターで映像を使うこともやりたかったので、それを考えてもちょうどいいかなと。
受付はデジタルの会社なので置く必要もないから、そういう体験から設計して、暗くしたままになりました」

Sunの社員は地下に、グループ会社が1階に入居している。暗いエントランスに窓のない地下のオフィスは、どこか秘密基地のような雰囲気が漂う。
マークさん「最初は、ここは完全にスケルトンな状態だったんです。元々レストランが色々入ってたところを借りることになり、地下だし、オフィスが入るというのも想像できないくらいでした。コンクリートも打ちっぱなしというよりも、本当に普通の汚れた感じ。それが結構秘密基地っぽいイメージもあって。
そのころにスケートボードがみんなの間で流行っていたので、最初はちょっとスケートパークみたいにしたかったんですよ。スケートパークを作って、その中で働けると面白いかも?というところから、ランドスケープ的なものを描いてオフィスを構成するというのが、頭の中にありました。
うちのブランドとか雰囲気にマッチしてるんじゃないか、そこから始まったところがありますね。あとは執務エリアとみんなが集うエリア、もうちょっとカフェっぽいエリアと、その3つぐらいの構想があったので、それをどう実現するかと」
エンジニア、デザイナー、ビジネスデザイナーなど、さまざまな職種のメンバーが集うが、話を聞いていると、とにかく社員同士仲が良さそうという雰囲気が伝わる。それでも組織が大きくなるときに課題を感じたという。
マークさん「代表が面白いものが好きだったり、特に会社が小さい頃はみんなで遊んでたり、結構距離が近い範囲の中でみんなで行動していた。スケボーが流行ってたっていうのもそうだし、神田オフィスはコロナ前だったので、飲み会も多くて、オフィスで飲むことも多かったんです。
僕が入った時は社員が40名ぐらいの時。それが200名とかになってくると、昔の距離感っていうのがなくなってきます。
いろんなオフィスをデザインしてきたなかで共通して言われるのが、社内でのコミュニケーションが少なくなるという課題でした。人が増えてうちの会社もその課題が出てくるというところと、あとはコロナ明けだったので、より人が集まらない状況があり、プラス我々としてはフルリモートなので、どうやって会社に来た時にブランド、Sunらしさを感じてもらえるか。
そこで考えてみた自分たちらしさとは、近い距離で、みんな好き勝手に、プロフェッショナルで働いてるところ。よくアベンジャーズや、キングダムやワンピース的な集団だよね、みたいな話が出ます。ちなみに僕はキングダム占いでは、一番最初に死んだ人だったんですが(笑)」
自由で個の強さを活かす集団のSun。当初のアイデアは、代表により終止符が打たれた。
マークさん「引っ越してきてしばらくして、オフィスでスケボーに乗ったりしていたんですが、ある時、代表がスケボー飛ばして、それが壁に刺さるみたいなことがあって、それからはもうさすがにやめようみたいな(笑)」
執務エリアへ

来客用のスペースから執務エリアに入ると、明るく、普通のオフィスの落ち着きもありながら、所々にユニークなこだわりがある。来客用の会議室にも共通しているが、会議室の壁には様々なアートが飾られており、本物の植物が元気に育っている。


マークさん「作業効率を上げるためには、オフィスに植栽とアートが効果的というのを以前調べたことがあって、それをもとに緑やアートなどを取り入れています。
▶︎Human Spaces: 世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果(Interface)
▶︎オフィス×アートがもたらす効果を検証する実証実験の結果報告( B -OWND)

この壁画は宇宙みたいな感じで、暗いところからどんどん出発していくみたいな、飛び立つみたいなテーマで、社内のグラフィックデザイナーが描いています」
デスクが並ぶエリアは長いテーブルにモニターが並ぶフリーアドレス式。椅子に腰掛けると蛍光灯が整然と並んで見えて、基地感があるという。

エンジニアにいい環境をと、アーロンチェアなどを揃えたところ、評判は上々。社員が同じ椅子がほしいと検索して、値段に驚かれたりするという。
マークさん「オフィスに来てもらうためにいい椅子を入れました。皆さんにはもうちょっと分かってほしい(笑)。椅子はその時の予算に合わせて、いろんなバリエーションを入れています。あちこち座って、お気に入りを見つけてもらって。
オフィスの席は元々170人程度しか入らない設計で、社員500人が来られると、確実に座れない状態です。
執務エリアも30〜40席ぐらいで、エンジニアやデザイナー、営業とかいろんな方がいるので、どう働くかを考えました。
アクティビティ・ベースド・ワーキング(※)があったりするので、執務エリアで働きたければそれでいいし、オープンスペースだったり、立って働きたいときや、ソファなど様々な働くスペースを用意しました。フォーンブースだけは予約制で、それ以外は自由に使っている感じです。
▶︎編集注:アクティビティ・ベースド・ワーキングとは、仕事の内容に合わせて、時間や場所を選択して働くこと
特に出社人数も制限していないので、来てみても席がないというときもありますね」
李さん「フリーアドレスなので、席がないときは、代表も普通にみんなと一緒に座ってますね」

オフィスは組織の文化や人の良さを味わえる場所
李さん「出社が多いのは木曜日でしょうか。席がなくて、1階か、近くのスターバックスを勧められる時もありますよね?(笑)。社内の懇親会の日が毎週木曜日と決まっているんです」
マークさん「毎週木曜日と制限しなかったら、みんな毎日やっていそう(笑)。逆にオフィスで、そういう交流会ができるような場所としては成功してるんだなと」
そう口を揃えるマークさんと李さん。その仕掛けはどう作ったのか。
マークさん「ハードウェア的な仕掛けで言うと、やはりバーですね。普通のオフィスだと給湯室やキッチンという名前で、最初はうちもキッチンだったんですが、なんかそうじゃないよねと。酒を飲んで仲良くなるみたいなところは古いかもしれないですけど、そういう懇親会をするので、うちってバーだよねと。
結局はカウンターとシンクと飲み物を置く場所、名前を変えることによって、よりみんながそういう気持ちになれるんだったら、仕事の後はバーになる方が、交流が進むんじゃないかと」

李さん「お酒も置いてあります。最近バーの看板がつきましたよね。以前にマークさんが登壇したイベントにスポンサーでブースを出して、そのブースをどうするかというのでバーを作っていて、そこで使った看板をもらって付けました。
みんな普通のブースを出すじゃないですか。でもうちのデザイナーが、うちの会社を表すものというので、バーカウンターを作ったんです。
普段はPMとかエンジニアをやっているんですが、バーを運営してくれる人たちがいて、その人たちが今月のお酒ですと買ってくれたり、出張とか実家に帰ったりする人たちが、お菓子を調達してくれたりするんです。代表も定期的に社内飲みでどうぞとワインを調達してくれます」


お酒のほかに、ソフトドリンクも無料。「オフィスでやさい」なども常備している
マークさん「僕は日本の会社で働いた経験が少ないのですが、こういうのはいい人を集めるマグネットだなって思っています。どこか行った時に買ってきてシェアするのは、すごくいいところだなって。自然とそうなっていったし、代表や取締役たちもそういうところが重要であると分かっていて普通にできている。時々野菜とか送られてくるよね」
李さん「創業者で取締役の平井が農業を支援していて、お付き合いのある農家さんが野菜を何10kgと送ってきてくださって、それをみんなに提供すればオフィスに来る理由にもなるんじゃないですか?と。
洋梨とかフルーツの時とかもうすごい人気で、私はたまにしかオフィスに来ないんですが、来ていると他の人たちから、私がオフィスにいるらしいと知って、4人分取り置きしてもらってよろしいですか? と連絡がきます(笑)」
マークさん「リモートワークベースであるときに、働く場所ではなくてオフィスの場所って何なんだろうと再定義すると、来たときにその文化や人の良さを味わえる場所ではないか。コミュニティ感が出せるとすごくいいなというので、場所の設計はするけれど、そこにどういうソフトが入ってくるのかをみんなが自由にできるのが、うまくいってるっていう感じです」

ちなみに移転前、コロナ前はアットホームな交流が非常に盛んだったものの、スペース的に限界があって狭いところでやっていたところ、あまりの賑わいに外から見た人がお店と勘違いしたこともあったそうだ。
マークさん「今は、1次会が終わった後に、次にどこ行く?となったら、じゃあ誰かいるからオフィス帰ろうか、とかなりますね」
李さん「大手町のお店が大体90分や2時間制という事情もあって。今日は誰々さんと会食だから、終わったらオフィス戻ってこようねと別グループが話していたり。たくさんお酒はあるし、みんな仲が良いんですよ」

マークさん「だからといって決してみんな、長時間働いてるわけではない。普通に見たら定時で帰れているし、逆にずっと働きたい人もいますね」
李さん「好んで長くいるみたいな感じです。今日はオフィスに来る予定はなかったけど、夜に焼肉を食べに行く都合があるから来たとか」
そういう仲の良い雰囲気は、組織のカルチャーとともにオフィスの作りも大いに貢献している。
李さん「クライアントワークなので、お客様とのキックオフをやろうみたいなときに、人数が流動的だったりするとお店を予約できないので、オフィスで開催しようか。お客様とのワークショップやキックオフで使うこともありますね」
マークさん「昔からいる人たちが、昔の雰囲気のままに懇親会やりましょうよとか、そういうのはある。オープンスペースのところは家具が全部可動式なので、ワークショップやイベントのたびにレイアウト変更ができるように作っています」

李さん「神田オフィスの時は受付に太鼓があったんです。用がある人はこの太鼓叩いてください、となっていて、叩くと中からハーイと声がして。以前にファミリーデーをしたときに、やってきた子どもたちが叩いたら、防災のおじさんが飛んできて『ドアを閉めてやってください』と言われました(笑)」
当たり前を打ち破って新しいものを作る

マークさん「立地の割に単価が安かったのもありますが、逆に普通の会社さんの社長とか取締役の方は、多分地下だったらそもそも選ばないと思うんです。でも、そういうところは、デザインで何とかできるでしょう、かっこよくして、みたいな」
と、地下のオフィスになった理由を苦笑しながら語ったマークさんだが、続くところにSun Asteriskらしさがにじみ出る。
マークさん「普通じゃなくていいじゃん、かっこいいと、チャレンジ的なところもありました。
地下だけど、1回なんかやってみようよと。ただ、やっぱり光が入ってこないという懸念がすごく高かったので、照明計画は気をつけました。執務エリアは蛍光灯ですが、壁際の光だけ1本だけ色変わるようにして、時間と共に変化していく照明にしました。
朝は白い光、それからオレンジ色の光になっていって、 夜9時ぐらいになるとすごくムーディー。お酒が欲しくなっちゃいます(笑)。
代表も、地下のオフィスだけどSunだから登ろう、みんな地上に上がるっていう気持ちで頑張ろう!みたいな(笑)。あとは新しいことにチャレンジしていこうというカルチャーがあるので、地下を選んだというところもそうだと思うし、黒い受付のエリアって、なんか普通じゃないでしょ?みたいな。
当たり前って何なの? そこを打ち破って新しいものを作っていこうみたいなところもあったりします。
直角をあまり使っていなくて、結構アングルを入れたりもしています。普通はフローリングは真っ直ぐに貼るじゃないですか。でも斜めが入っている場所がある。そういうところが、普通とどこか違う?と思ってもらえたらいいなと思っています。

錯覚というか、ランドスケープを作りたかったんです。視覚的に広く見せるために塗装を使って奥行き感を出したり、そういうところはなんか普通じゃないと思ってもらえたら。ちょっとしたことでみんなに新しいこと作れる、そういう意識を持ってもらえたらなみたいな感じで」
オフィスという空間が、組織や働く人たちを触発するような作りをしていることが、このオフィスの最もユニークなポイントである。
マークさん「僕は建築家で、建築やインテリアをした後は、デザインコンサルでした。空間の体験設計をするときはハードとソフトが必要で、体験が空間だから、ソフトを作ると体験が良くなるだろう、この体験設計はデジタルが強くなってくるからとSunに入り、サービスデザイン体験設計をやっています。
企業の中にいる建築家という職種ってあるよね、という話を海外の大学院にいる時に聞きました。普通の会社にいながら建築できるポジションにいるのは、すごく恵まれてるなと思います。今でも声がかかればオフィスデザインや、場所決めに立ち会うこともあります」
会社の中にマークさんのような人がいるのも、また恵まれているともいえる。長い時間を過ごすオフィスを、会社のスタンスやジャーニーを表現しながら組織の交流をより潤滑にする多用途でフレキシブルな場にし、一緒に働く仲間を触発するような、ヒントが見つかるような仕掛けを、会社のカルチャーを熟知した専門家が作っているからである。
マークさん「それでも、デザインの意図的なものは案外汲み取れないもの。こういう意図で作っているんだよというのを発信すると、そんなふうに考えてるんですね!と言われたりします。それでよりオフィスを大事に使ってもらえたりして。
仕事でも特にUIやアプリを作るのは、すでにスタンダード化しているから、それをどう違うものにするか。たとえば空間で表現するならこういう感じなのかと思って、オフィスを見てもらいたい。
アプリも体験設計じゃないですか。使い方だけじゃなく、アプリの中だけじゃなくて、外の体験と合わせてどうするのか。そういうのを考えてほしいなと思いますね」

大手町の大きなビルの地下の一角にある、自由なプロフェッショナルたちが、帰りたくなるオフィス。増え続ける社員数に対してはるかにキャパが足りない彼らのアジトでは、今夜もおそらく乾杯が繰り返されている。
【メルカリ オフィスデータ】
| オフィスフロア平米数 | B1/1F の2フロア(一部区画) |
| 設立 | 2013年3月設立 |
| オフィス入居時期 | 2022年4月 |
| 従業員数 | 約2,000名(グループ全体) |
| 事業内容 | 新規事業・プロダクト開発支援、国内外のIT人材開発・育成・紹介 |

