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フルリモートからオフィスに回帰、価値循環の新たなカルチャー創造に挑む「メルカリ」

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ICCサミット FUKUOKA 2026のDAY2、Session 8Fで開催するセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは。」に登壇する企業のオフィスをご紹介いただくシリーズ、第2回目は「メルカリ」です。ぜひご覧ください。

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ICCサミット FUKUOKA 2026のDAY2、Session 8Fで開催するセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは。」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズ、第2回目は、今や説明不要なほど社会に浸透しているフリマアプリを運営する「メルカリ」。六本木のオフィスを青山スタイル/ natの町田瑞穂ドロテアさんと、佐村ふみさんとともに訪れた。

メルカリは2025年12月に「CultureHub」と呼ぶ新しいオフィスをオープンしたばかり。執行役員CHROの宮川愛さんと、 Workplaceチーム、マネージャーの佐々木 嘉文さんに出迎えられ、追ってご紹介するエントランスより先に、晴れたこの日に真っ先に見せられたのはこの景色だった。

会議室「Zico」の窓から、写真よりもずっと大きな富士山が、くっきりと真正面に見えていた。メルカリの28ある来客用会議室は、偉人の名前に則ってつけられており、グループ会社である鹿島アントラーズで大活躍したジーコも、メルカリにとって偉人なのである。

伝説のハットトリックのジーコの位置をマークしたテーブルと、会議室名のプレート

佐々木さん「1993年にジーコ選手がハットトリックを決めた伝説の試合がありまして、その時のゴールの図面をテーブルに。入っているサインは、アントラーズの選手たちが来た時に書いてもらいました。

▶︎【もう一度見たいあの試合】ジーコのハットトリック!  93Jリーグサントリーシリーズ 第1節第2日  鹿島アントラーズ vs名古屋グランパスエイト  ハイライト(Jリーグ公式チャンネル)

あとはジーコさんのサイン待ちです(笑)」

ジーコが訪問した暁には、エントランス近くにある大きなボードにサインを入れてもらう予定だという。そんな和やかな雑談からメルカリのオフィス訪問が始まった。

週2出勤の社員を迎える2025年12月に誕生した新オフィス

サービスからもわかるように、『あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる』というのがメルカリのミッション。この新しいオフィスの随所にそれが散りばめられている。

佐々木さん「日々の業務で大きなミッションを見失いがちになりますが、オフィスの飲料はサステイナビリティーに配慮し、ペットボトルではなくてアルミの缶にしています。その使用済の缶を回収して溶かし、活字をプリントしているのが、先ほど見ていただいた会議室名の鋳造プレートです。

こちらがプレートとなったのと同じアルミ缶のひとつ

元々18階と25階にオフィスが分かれていました。、昨年週2回の出社と意思決定し、オフィスに集まることの重要性を会社として再インストールしたタイミングであったので、2025年の12月のタイミングで25階と26階の2フロアにしまして、26階に関しては山田(進太郎さん、創業者、CEO)も含めて、価値循環も意識したオフィスコンセプトを策定しました。

26階をオープンするにあたって、どういう思いで作ったのかという動画を見ていただいて、その後コンセプトの細かいところをご説明させていただければ」

と見せていただいたのが、「CultureHub」と銘打たれたオフィスができるまでの映像の完成前のバージョン。オフィスのコンセプトや、この後に見学するフロアでの印象的なポイントとなる、”価値が循環した”家具の作り手たちが登場する。

この映像の中にはCEOの山田さんも登場する。その中で山田さんは「CultureHub」は今あるものを評価するだけでなく、新しいバリューやカルチャーが生まれてくる場にしてほしくてそう名付けたと語っている。

長い時間を過ごすオフィスを、みんなで喜怒哀楽共にする場にしたい、これから変わっていく働き方に伴って、人が集まり、交わることで生まれるものがある、それが必ずいい形に作用していくはずとも語っていた。

コロナ期には、どこからでも働けるリモート勤務を推奨してきたメルカリだが、現在は出社に方針を転換し、週2回出社としている。

宮川さん「1年半くらい前までは『YOUR CHOICE』といって、いつでもどこからでも働くことができました。その中でフルリモートで入っていただく方が増えましたが、やはりAI時代だからこそ人と人との繋がりは大事だと思っています。東京近郊に居住していないフルリモートの方は例外ですが、それ以外の方は今は基本的に週2回の出社としています」

佐々木さん「2024年の7月ぐらいからオフィス回帰へのコミュニケーションは始まっていたのですが、それもいろんなことがありました。

オフィスに出勤、というのは、会社として大きな方針転換です。それでも継続して働いていただいている方もいますし、弊社の働き方と合わないというご判断をされている方もやはりいらっしゃって、働き方の変革をやっていく上での難しさを実感しましたね。

フルリモートの働き方では個人の生産性が上がりつつも、やはり組織やチームでの大きいアウトプットは、オフィスで顔を合わせて一緒に議論することによって生まれ、よりスピーディーな意思決定を作れる場所になると思っているので、現在はオフィスに来ることを大切にしています」

広大な2フロアとはいえオフィスに2,000人を収容できるキャパシティはないため、そこはチームごとにローテーションを工夫しながら運用しているという。佐々木さんは、「そういう営み自体がチームを作るとか、組織を形取っていくみたいなところもある」と言う。

佐々木さん「基本的にはフリーアドレス制を導入しています。2フロアで全ての従業員が来るキャパシティを今は持ち合わせていないので、週2をベースに曜日毎に出社する組織を決めて、この曜日にこの組織はこのエリアというゾーニングを作っています。

宮川さん「同じ曜日であるべき組織や、近い席の方がいいという現場のニーズを可能な限り聞いています。自分が割り当てられた日以外に来なければならないこともあり、オフラインコミュニケーションが必要なときは出社をと伝えているので、そういう場合の席もゾーニングとして必ずあります。

オフィス回帰の目的は出社そのものではなく、オフラインコミュニケーションを促進することなので、オフィスに来たけれど、誰も知っている人が周りにいなくて、結局1人でオフィスで仕事しているようなことは避けたいという観点と、全員が入りきらないという観点から、そのような運用を1年半しています」

佐々木さん「組織も変わっていきますし、オープンなワンフロアでゾーニングの割り振りがしやすいようなレイアウトを作っています。18階と25階の時は働く場所を自由に選べるというコンセプトでオフィスを作っていましたが、座席数が限られてしまっていました。

今回のアップデートで、プロジェクトエリアのようなところは基本的に座席に戻し、座席数は会議室も大幅に増やして、オンラインでもリアルでもコミュニケーションが取れるような形でオフィスを設計しています」

 執務デスクが並ぶエリアの各地に人が集まるスペースが廃されている 写真:タケシタ トモヒロ

宮川さん「以前の18階はデッドスペースもあって、それが余裕があって良いというコンセプトでもありました。今回は仕事をするエリアは人が集まっているけれど、人と人のハブになるような場所はスペースがある、そんなメリハリがすごくあって、柔軟に対応できています」

六本木ヒルズの18階は、当時従業員数が今程多くなかった状況ではあったが、メルカリのバリューの如く「Go Bold」で入居したという。事業や組織の急拡大期を過ごした場所だけに社員の思い入れも強かったが、今回の新オフィスではそれをどうやって超えていくかが挑戦だったそうだ。

ミッションとカルチャーをオフィスに落とし込む

それを具体的にどのように形にしていったのか。

佐々木さん「メルカリはファウンデーション(共通する土台となる価値観)やバリュー(行動指針)をとても大事にしています。それを実践することによって、最終的に『あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる』というミッションを達成できると信じています。みんなが集まり、より大きな成果を出す、仲間と共に成果を最大化を生み出す拠点としてオフィスを作っています。

メルカリの4つのバリュー「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」「Move Fast」の文字がフロア各地に配置されている 写真:タケシタ トモヒロ

今回とても大事にしたのはミッションと、カルチャーをより体現できるオフィスにしようということ。山田から、ミッションは最上段でありつつも、そこで集まる、育むみたいなところはカルチャーが一番ベースにある、オフィスはカルチャーのハブになってほしいというところで、コンセプトになっています」

宮川さん「バリューは一般的には価値観と訳されますが、メルカリではあえて行動指針としています。

ファウンデーションはバリューより根底にあって、例えば空気のようにないと生きていけないようなもので、サステイナビリティー、インクルージョン&ダイバーシティ、Trust & Openness、Customer Perspective(お客さま視点)です。これらはメルカリの社員として内包していてほしい価値観です」

佐々木さん「最上段のミッションをオフィスにどういう風に落とし込むかというところで、3つのキーワードがあり、1つ目は『バリューの体現』。2つ目は『価値循環の体感』で、3つ目は『人と人がつながりアイデアを加速させる』です。

バリューはみんな認識はしているものの、日常の中で口にするとか目にするみたいなところがより人として意識を強めるところだと思ってるので、そういう仕掛けを作っています。

2つ目の価値循環はミッションとしては大きな目標を掲げていますが、日々の業務で、例えば私であればオフィスを作っていて、常に価値循環を体験できるかというと、そうではないと思っています。

自分たちがやっているその先は、より世界をよくするという大きなミッションを達成するための1つになっていることを、従業員にも認識してほしいというのがある。

Tシャツのベンチやアルミ缶などをオフィスの中に入れて、『ちょっといいことをしている気分の良さ』みたいなものが、オフィスに来ると感じられる。サーキュラーエコノミーが広がると、ミッションの達成にも近づけるし、もっといえば世の中を良くしているみたいなことにつながると思ってほしいと思っています。

3つ目はオフィスで、いろいろな人が繋がることで大きな成果を出していかれるものにしようと」

価値循環させるプラットフォーマーとして

18階のオフィスに並んでいた古い椅子を再構築してオブジェに。社名ロゴも価値循環したもので作られている 写真:タケシタ トモヒロ

オフィスのデザインは、全体を統括するデザイナーに加えて、日本各地に住むクリエイター達とのコラボレーションを行った。

佐々木さん「メルカリのサービスはあくまでプラットフォーム。お客様がいろんな面白いものを出していただいて、それを面白いと買っていただけるお客様もいて、その中で価値が循環します。

我々とデザイナーだけではなくて、いろいろな方を巻き込みながらオフィスを作っていければ、よりメルカリらしさみたいなところも出るんじゃないかなっていうところで、様々な方々に知見も含めてご協力いただきました。

僕たちメルカリの価値の一番は、価値が循環すること。メルカリでものを買って、その中でものを良くしていくというプロセスを踏めるとー番素直に伝わるのではと考えました」

エントランスにあるメルカリウォール。何を置いたらいいか、従業員からも意見を聞いたそう

佐々木さん「メルカリウォールは、メルカリのサービスを具現化するというコンセプト。最初はシンプルに、私や設計者でとりあえずメルカリでたくさん買って並べる、みたいにしていたんですが、我々だけでは、我々のキャパシティを超えないというのがありました。

そこでメルカリのヘビーユーザーであるクリエイターにディレクションをお願いしたところ、その方が選んできてるものが、僕らが認識しているメルカリ以上にすごく面白い視点があって、様々な世代の様々なものが溢れたものができました」

希少価値の高いゲーム機に反応するのは外国のエンジニアだそう 写真:タケシタ トモヒロ
ニュースでも話題になったトイレットペーパーの芯の出品

宮川さん「メルカリであるものを色々買ってきて、それをデザイナーの方に1 つのものにしていただくというのは、18階を作った時も、同じようなコンセプトで、その当時からやっていました。今回はまた別の形になりましたね」

メルカリで購入したものを組み合わせてクリエイターが制作したカウンター。
引き出しや棚が多いのは色々なものの思い出をしまうため。価値の循環や可能性を表している

執務フロアへ

オフィスフロアは、執務スペースの外に来客用会議室と大規模な会議室がある。

400人程度収容できる会議室。イベントや忘年会などでも活用

執務スペースは、訪問した月曜日に出勤するチームが勤務中。チームごとにまとまっているところもあれば、共有スペースのソファやカフェで仕事をしている人たちもいる。

佐々木さん「カフェは、前と比べて大きくしています。どれぐらい使ってくれるのか心配していましたが、カフェでリラックスするだけでなく、ディスカッションもされていることが多くて、利用率も非常に高くなりました。

カフェの家具はメルカリで購入や、前からあるソファの張り地を新しくしてアップサイクル。紙管も多用されている 写真:タケシタ トモヒロ

以前は2フロアそれぞれにあったんですが、今度は2フロアで近いのでまとめました。そのぶんカフェ利用の杯数もすごく増えて、お互いにとって良い効果がありました」

フロアは円形で、中央がエレベーター。フロアは執務スペースが同心円状にあり、その中央部分にはカフェや、様々なメルカリで購入した商品が使われている共有エリアなどが配置されている。外側となる窓側に少人数の会議室が並ぶエリアもある。フロアを歩いているとオレンジ色のテーマカラーから、グリーンのエリアに入ってきた。

宮川さん「ここからエグゼクティブエリアで、経営陣が窓際のところなのですが、経営者でもみんなオープン、フラットな感じですね。山田も座っているエリアです」

そのフラットな風通しのいいフロアの隅々に、「価値を循環したもの」があり、一つひとつに意味やストーリーがある。これがメルカリ、という主張がフロアのあちこちから聞こえてくるようである。

先に見せていただいた動画では、広葉樹の端材で制作した木製のベンチの作り手や、社内で集めたTシャツの古着を捻り合わせて作成したソファの張り地の作り手が登場していた。その家具や大きなホワイトボードが配されたエリアが、「Unleash(アンリーシュ)」だ。

ワークショップやオンラインMTGなどでも活用されている「Unleash(アンリーシュ)」 写真:タケシタ トモヒロ

佐々木さん「『Unleash(アンリーシュ)』もとても大事なキーワードです。オフィス内で一番人が集まれる場所で、部署のオールハンズをしたり、チームがプレゼンで1週間利用したりなど、想定以上の幅広い用途で使ってくれています。

このねじるベンチは、社員の着なくなった洋服をねじって作っているのですが、よく見るとメルカリのロゴが2箇所付いています。弊社に黄色しか着ない名物社員がいて、黄色が目立つので、あ、彼がいる!と見つけられていたりします(笑)」

社内会議室の名前は、英語でのグループのミッションやバリュー、ファウンデーションとなっており、それがアルファベット順に配置されている。

佐々木さん「昔は会議室名の順番に法則がなかったので、会議室がどこにあるか、自分がどこにいるか迷ってわかりにくかったんです。会議室はフロア合計で40あります」

そんな工夫に加えて、フロア内の動線も改善され、以前は同じフロアでも目的の場所に行くためにオフィスを一度出る必要があったが、現在は循環のごとく、ぐるりと一周できるようになっており、これもまた使い勝手が良くなったポイントだそうだ。なお25階は現在、オフィスの機能的なアップデート中とのことである。

ソファの座面もテーブルトップも、当然のように循環する素材を活用 写真:タケシタ トモヒロ

AIの時代だからこそ、感情や身体性は組織としての強みになる

執務エリアで働く人たちは国際色豊かで、社員の約3割が外国籍。彼ら・彼女らはエンジニアが多く、オフィスに感心が高い人も多くて、様々なリクエストや要望をSlackで上げてくれるという。

宮川さん「こうしたらいいんじゃないですか?という意見が自由に発言できるカルチャーはすごく強いですね」

佐々木さん「オープンチャンネルみたいなのもたくさんあり、不具合があった時にITとも一緒に対応できるチャンネルもあったりします。そこで、すぐじゃなくてもいいから考えてくれないか、みたいな意見がきますね。意見募集とか、何も呼びかけなくてもたくさん来るんです!

スタートアップのカルチャーもあるんですが、外国籍の方とか特に躊躇なく言ってくれることに助けられたりしています。日本人だと思っていてもちょっと遠慮したりしがちですから」

再び社員が集まってくるオフィスが完成した今、メルカリはさらなる成長の糧が「Culture Hub」にあると信じている。

宮川さん「やはり私たちが大切にしているミッションの達成をみんなで実現できる場所、っていうところで、色々な偶発的な会話から色々なものが生まれたり、私たちの大切にしている4つのバリューが体現できるというところをコンセプトにして、それがまさに新しいオフィスで行われています。

ちょっとした立ち話がしやすい場所だったり、喧々諤々と議論ができたり。そこで人と人との出会いがあるからこそできます。AIの時代だからこそ、人としての感情や身体性みたいなものは、組織としての強みになっていくと思っています。

2021年9月から始まった『YOUR CHOICE』では、好きな時にどこからでも働けて効率的なところはすごくできたのですが、やはり一体感のような、熱量が少し薄れてしまったところもありました。それをまたオフィスに回帰して、今の時代だからこそまたみんながここで、それが体現できているよね、っていうことをリマインドできる場所にしていきたいですね」

新たな命を得た古いものたちが、二つとない新鮮な空間を作り出しているこの場所で、再び仲間と顔を合わせて仕事をする。不要になったものを循環させる新しい方法とカルチャーを世の中に広めたメルカリは、今また、このオフィスから、新たなものを生み出そうとしている。

【メルカリ オフィスデータ】

オフィスフロア平米数26/25Fの2フロア
設立2013年2月1日設立
オフィス入居時期2013年2月1日
従業員数2,159名(連結)(2026年2月末時点)
事業内容スマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営

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