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大人が笑い、子どもが安心する教育で、未来を作るアーティストを育む「アトリエe.f.t.」(ICC KYOTO 2025)

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ICC KYOTO 2025 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、アトリエe.f.t. 吉田田タカシさんのプレゼンテーション動画【大人が笑い、子どもが安心する教育で、未来を作るアーティストを育む「アトリエe.f.t.」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】“インパクトヒーロー”を育成し、世界中で小さな革命を起こし続ける「Earth Company」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

吉田田タカシ
アトリエe.f.t.
代表
公式HP

吉田田タカシ(よしだだ たかし)。1977生まれ兵庫県出身、奈良県在住の教育者、デザイナー、ミュージシャン。バンド「DOBERMAN」ボーカル。アートスクール「アトリエe.f.t.」代表。放課後デイサービス bamboo を⼿掛ける株式会社たのしいにいのちがけ代表取締役。「まほうのだがしやチロル堂」の共同代表として2022年グッドデザインアワード大賞(内閣総理大臣賞)を受賞。教育や社会問題に取り組む「トーキョーコーヒー」を全国約400拠点で展開し、2025年8月にキッズデザイン賞受賞。大阪府人権教育夏季研究会や日本PTA全国研究大会などにおいて多数の講演実績がある。


吉田田 タカシさん(以下、吉田田) 皆さん、こんにちは、アトリエe.f.t.代表 吉田田 タカシです。

7分間、本気で参ります。よろしくお願いいたします。

4歳から大人まで200名が学ぶ“アートスクール”

吉田田 「あなたは、アーティストですか?」という、こちらの問いから、始めさせていただきます。

アーティストと言いますと、芸術家やミュージシャンを想像されるかと思いますが、僕たちが定義するアーティストとは、自分のみちを自分でつくる子ども、そして、ワクワクする社会をつくる大人です。

僕たちは、アトリエe.f.t.というアートスクールを、27年間、運営してきました。

ミッションは、すべての人を、アーティストにすることです。

僕たちが掲げているのは、「つくるを通して、いきるを学ぶ」という言葉です。

正解を暗記するのみが「学び」ではなく、モノも、人生も、地域も、社会も、幸せの価値観さえも、すべて自分たちで、つくってよいということを伝え続けてきました。

こちらには、4歳から大人まで、200名ほどが在籍しています。

27年間、個性的な面々の命と向き合ってきた

個性的な面々で、中には、いわゆる社会的マイノリティの方もいらっしゃいます。

LGBTQや不登校、発達障害、うつ、精神疾患、愛着障害などと呼ばれる子や、もちろん、そうでない子も混ざり合って、自然と学んでいます。

そのような個性的で、格好のよい方々の命と向き合ってきた、27年間でした。

もう立ち上がれないというほどの挫折も、味わいました。

生きていくのだという意欲、その土台となるのが、安心と自信です。

これは、居てよいと思える力です。

私が、僕が、この世界に居てよいのだと思える力を、無意識の奥に、しっかりとした柱としてつくる――そのような教育をしてきました。

地域の子どもを地域の大人で育てる感覚を取り戻す「チロル堂」

吉田田 アトリエe.f.t.から生まれたプロジェクトが、2つあります。

1つは、まほうのだがしや チロル堂です。

こちらの駄菓子屋の取り組みは、2022年、GOOD DESIGN AWARD(グッドデザインアワード)において、なんと内閣総理大臣賞に値する大賞を受賞しました。

本日の短い時間の中ですべてはお伝えいたしかねますが、いわば、子ども食堂のアップデート版です。

支援する側・される側に分かれるのではなく、思いとお金が循環する仕組みのデザインです。

地域の大人たちの意識・行動が変わることによって、貧困・孤独に限らず、すべての子どもが情けない思いをすることなく、温かい食事がとれるという仕組みです。

夜は酒場となり、呑めば呑むほど、子どもたちに食事を届けることができるという、罪悪感のない仕組みとなっています。

「地域の子どもは、地域の大人で育てるのだ」という感覚を取り戻すプロジェクトでもあります。

不登校を大人が考える「トーキョーコーヒー」

そして、もうひとつのプロジェクトが、トーキョーコーヒーです。

こちらは、トーキョーでもコーヒーでもなく、登校拒否のアナグラムなのです。

現在、全国で約35万人の子どもが、学校に行かない選択をしています。

こちらのグラフを、ご覧ください。

学校に行かない子が、次々と増えているのです。

しかし、こちらのグラフは、少し視点を変えますと、公教育が子どもたちから次第に選ばれなくなっているとも言えるかと思います。

不登校は、子どもの問題ではなく、大人の課題なのだということを、大人がそろそろ認めて、今こそ、すべての大人が、幸せとつながっている教育について考えるときなのです。

大人が本気で楽しめる400拠点を全国に設置

そのため、僕たちは、子どもの「ための」場所ではなく、大人が本気で楽しみ、つながりを取り戻す場所を、スタートから3年で全国に400拠点をつくりました。

全都道府県にございます。

延べ参加者は、25,000人以上です。

各拠点で何を行っているかと言いますと、極めてシンプルです。

大人が、ひたすらに楽しんでいるのです。

大人が取り組みたいことを持ち寄って活動するのみ、草木染めでも書道でも取り組みたいことを行うのみです。

全国の大人が、動き始めたのです。

お父さんやお母さん、部長や社長、すべての肩書きを捨てて、何者でもない、自分が取り組んでみたかったことに挑戦するのです。

SUP(サップ)をしたり、太鼓を叩いたり、そうすることにより、信頼が早送りでつくられて、悩みやヘルプを言える関係性が生まれます。

それが、本当のセーフティーネットなのです。

そして、大人が楽しんでいると、子どもは安心して自分のタイミングで動き出します。

子どものための場所とはあえて言わない

子どもの「ための」場所と、あえて言わないことがポイントなのです。

居場所があるから行くのではなく、あとで振り返ると、居場所だったと思えるところが、本当の居場所です。

子どもは放っておくと、このようにして、自分たちで考えて遊び始めます。

これが、主体的な学びの始まりなのです。

この子たちは本当に学校に行っていないのかと思えるほど、生き生きした表情になってくるのです。

子どもが本当に安心する条件は、大人が笑っていること

社会に不要な子どもなんて、ひとりもいません。

学校に行かない子どもは、戦えない子どもではないのです。

「トーキョーコーヒー」は、大人がつながりを取り戻し、対話して学び直す機会と、子どもにとっての本質的な居場所を、同時に生み出すデザインなのです。

子どもが本当に安心する条件――それは、「お父さん、お母さんが笑っていること」です。

大人が笑っていることなのです。

トーキョーコーヒーは、子どもたちに、「この社会や大人は楽しいから飛び込んで」と胸を張って言える、そのような世の中に変えていくためのムーブメントです。

新たな挑戦━━まち全体を学びの拠点に

さらに現在、僕たちは新たな挑戦を始めています。

奈良県天理市に拠点を移し、新しい学校を設立準備中です。

これまでの27年間、アトリエe.f.t.が取り組んできたことすべて、こちらに集約させます。

天理市における教育モデルは、行政とも連携しています。

子どものみならず、大人も学び直し、宗教・文化が根付くように、まち全体を、アメリカ・ユタ州のソルトレイクシティやバチカンのように、都市そのものを学びの拠点としていく試みです。

▶参考:ソルトレイクシティバチカン (Wikipedia)

想像してください。

まず、まちの真ん中に、森をつくります。

そちらで行われる、子どもたちの主体的な学びの体験、地域の大人もお年寄りもワクワクするプログラム、教員に向けた研修、企業向けのクリエイティブ研修や全国のトーキョーコーヒーによる交流、そして、こちらの教育モデルを日本中に展開して、公教育や地域を変えていくのです。

教育を変えることは、未来への誠意

開校に必要な資金は、2億7,000万円です。

社会を変えていくための新しい学校を創らせてください。

現在、競争することや 合理化するのみの経済が終わりに向かう中で、倫理的で持続可能な価値観を持った“アーティスト”を育てることこそが、世界に山積する様々な課題を根本解決する、ただひとつの方法だと、僕たちは信じています。

個別の課題ではないのです。

対処療法では、解決できないのです。

教育しか道はないと、思っています。

教育を変えることは、未来への誠意です。

力をお貸しください。

ともに取り組みましょう。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/中村 瑠李子/戸田 秀成

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