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ICC KYOTO 2023 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき4位に入賞した、TURING青木 俊介さんのプレゼンテーション動画【「Turing」は完全自動運転EV車両の量産で、テスラを超える自動車メーカーを目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Sponsored by ノバセル
青木 俊介
Turing
取締役CTO
HP | STARTUP DB | X(旧Twitter)
米・カーネギーメロン大学 計算機工学科で博士号取得。米国では自動運転システムの開発・研究に従事し、サイバー信号機の開発やゼネラルモーターズ社のウルトラクルーズの開発に携わる。2021年より国立情報学研究所 助教として着任し、青木研究室を主宰。名古屋大学 特任助教を兼任。2021年8月に完全自動運転とEV車両の開発を行うTuring株式会社を共同創業し、取締役CTOとして参画。人工知能による完全自動運転システムの実現を目指す。MITテクノロジーレビュージャパンより35歳未満のイノベーターIU35に選出。
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青木 俊介さん テスラを超える自動車メーカーになりたい、テスラを超える自動車メーカーになってやる。
Turing(チューリング)株式会社、CTOの青木 俊介です。
よろしくお願いします。
衝撃を受けたメンターの教授の一言
私はもともと、アメリカのコンピュータサイエンスの聖地と言われている、カーネギーメロン大学で5年間、博士課程を修了しており、その中で自動運転システムを作っていました。
在籍期間中には、ゼネラルモーターズやグーグルと一緒に自動運転車を作って、自分で作ったソフトウェアで車を動かすということを行っていました。
私は20代を、ものづくりとアメリカに捧げてきました。
研究に没頭していたある日、私のメンターの1人であるルーマニア人の教授に、こんなことを言われました。
“How can we conquer the market held by Japanese car makers by autonomous driving?”
日本語に訳すと、「日本の自動車メーカーが持っている市場を、この自動運転システム、ソフトウェアの出現によって、どう奪い取ることができるだろうか?」です。
こんなことをミーティングで言われて、私は自分の頭を殴られたような大きな衝撃を受けました。
日本は情報とITによる変化で負けてきた
私たちが住んでいるこの日本という国は、もともと製造業、ものづくりが伝統的にすごく強い国です。
しかし、情報、IT、ソフトウェアの出現によって、大きく市場を失ってきました。
例えば、マイクロソフトが出したWindows OS、そしてAppleが出したiPhone、ハードウェアにソフトウェアが重なると、日本は途端に弱くなってしまい、市場を大きく失ってきた国です。
世界はテスラを高く評価
同じようなことが、自動車産業にも起こっています。
テスラです。
彼らは、EVという新しいプラットフォームの上に、ソフトウェア中心でものをつくるという発想で自動車を作っています。
実際にテスラは、世界で高く評価されています。
左側はテスラの時価総額、右側には他の主要な自動車メーカー12社ですが、12社全てを足し合わせてもテスラに勝てない。
世界は、そんな評価をしています。
日本の基幹産業が危うい
私たちの国、日本は地下資源がないために、工業製品、ものづくりに大きく頼ってきました。
日本の自動車の年間出荷額は60兆円を超え、自動車産業に従事している人数は550万人で、全就業人口の8.5%を超えると言われています。
つまり、ソフトウェアと自動運転システムによって、テスラがこの市場を食い荒らすということは、私たちの日本の基幹産業が非常に危うくなるということです。
私はこの大きな危機感と、日本のものづくりをどうにかしたいという思いを持って、Turing株式会社を設立しました。
私たちは、完全自動運転を成し遂げ、EV車両の量産を成し遂げ、テスラよりも大きくなる自動車メーカーです。
テスラの辿ってきた道、戦略を追いかける
Turingの戦い方です。
私たちは、テスラのフットプリント、テスラが辿ってきた道をしっかり辿っていきます。
スライドの左側にあるのは、豊田 喜一郎(トヨタ自動車創業者)がフォードの車を日本に仕入れ、解体して分析した際の写真です。
それを元に、豊田 喜一郎はトヨタの最初の車を作りました。
私たち日本人の特性は、アメリカが作ったものを真似して、品質を高めて世界一になるというものです。
実際、私たちはそれができたわけです。
ですから私たちTuringも、テスラの製品、戦略を真似て、追いかけて、最後は世界一になります。
自社車両のプラットフォームを開発
トラクションです。
車両開発に関しては、彼らは2003年に創業して、2008年にテスラ・ロードスターという改造車を販売しました。
私たちは2021年に創業して、たった1年半で、自分たちの自動運転システムとソフトウェアを乗せた「THE 1st TURING CAR」という車を、一般顧客に販売しました。
▶「THE 1st TURING CAR」について各種メディアに掲載されました(Turing)
時間軸にして、3分の1です。
また、こちらは今回初めて社外に発表しますが、自分たちで車両のプラットフォーム開発も行っています。
こちらは今年の、東京モーターショーの後継であるジャパンモビリティショーに出展する予定です。
▶自動運転EV開発のチューリング、JAPAN MOBILITY SHOW 2023に出展(PR TIMES)
開発するのは「常識」を保有するAI基盤モデル
もう一つ、TuringのAI・ソフトウェアの思想についてですが、私たちは、「Following the Biological Evolution」という言葉を大事にしています。
人間や生物がどういう選択をとってきたのか、猿に運転はできないけれど人間に運転ができるのは、人間の目が良いからではなくて人間の頭が良いからです。
であれば、良いセンサ、良い認識技術ではなく、良いAI、良い判断機を作りましょうと考え、創業しています。
また、私たちは免許取得以前に、一定の「常識」を獲得して免許を取得して運転行動をしています。
つまり、ある程度の「常識」を保有するAI基盤モデルが必要だと考え、2年前から開発に勤しんでいます。
約1,400kmの自動運転連続走行に成功
ソフトウェアに関するトラクションです。
2021年に創業し、1年後には認可を得て公道走行を開始しました。
▶公道での自動運転走行を開始-チューリング社、千葉県内での実証実験に着手(PR TIMES)
カメラだけで自動運転をしています。
また、約1,400kmの自動運転連続走行にも成功しました。
▶チューリング社、AI自動運転走行による国内初の北海道一周長距離走行実証を実施(PR TIMES)
これは日本での最長記録です。
大規模言語モデル搭載車両を発表
ある程度の常識を有した自動運転AIを開発するために、2023年6月にはLLM(大規模言語モデル)を盛り込んだ自動運転車を開発し、発表しています。
▶自動運転EV開発のチューリング、自社工場「Kashiwa Nova Factory」の見学会と、LLM(大規模言語モデル)を搭載した自動運転車の走行デモを実施(PR TIMES)
スライドの右の写真にある通り、交通誘導員や車内での会話、交通標識などを入力して、交通行動を決定するシステムとして発表しています。
強い経営陣・開発メンバーが参画
Turingという会社は、この2年間で大きな成長を遂げました。
この要因は、強い経営陣にもあります。
私がCTOですが、CEOは「Ponanza」という将棋AIを作った山本 一成、COOとしてはメドレー株式会社を執行役員として上場まで導いた田中 大介が入っています。
また、開発メンバーとして、一部上場企業でAI関連のトップであるCAIOを務めていた方、海外企業でCEOを務めた方をはじめ、リクルート、メルカリ、サイバーエージェントなど、ベンチャーや自動車メーカーからエンジニアが参画しています。
量産化に向けたスケジュール
私たちの会社は、自動車メーカーです。
自動運転機能付き車両を、顧客に届けます。
2023年には2,000万円で最初の製品を一般顧客に届けました。
2024年以降は年間100~200台を生産し、自動運転機能と無線でアップデートする仕組みであるOTA(Over The Air)を盛り込んで、顧客に届けます。
▶参考:Over The Air(OTA)技術とは?(2023年最新版)(自動運転ラボ)
また、2030年以降は10,000台以上の生産を行い、その中に完全自動運転車を組み込んでいきます。
価格帯としては、2029年までは1,000万円を超える高級車セグメントを狙っていきます。
2024年夏に限定100台を販売、ぜひ応援を!
本日この場で発表しますが、2024年の夏に100台の販売を開始いたします。
我々が開発したソフトウェア、自動運転システムが搭載され、我々自身がデザインした車両です。
日本のものづくりと製造業を応援したいと思う皆様、Turingと一緒に令和の時代に新しい自動車メーカーを立ち上げたいと思う皆様、ぜひこの製品を買って、日々乗っていただき、応援していただきたいと思います。
ご静聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成