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AIチャットなどのテクノロジーを活用した先進的な不動産取引を実現する「イタンジ」

AIチャットなどのテクノロジーを活用した先進的な不動産取引を実現する「イタンジ」の伊藤さんのプレゼンテーションをぜひご覧ください。編集上カットされている動画のデモもございますのでプレゼンテーションの動画も併せてご覧ください。

ICCカンファレンスでは「カタパルト」登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
「カタパルト」(10分間のプレゼンテーション)

(プレゼンター)
伊藤 嘉盛
イタンジ株式会社 代表取締役

1984年生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。大学卒業後、三井不動産住宅リース(株)に入社。2008年に1人で独立し、都心の不動産仲介業務を行う不動産会社を設立。4年間で都内3店舗(日本橋、麻布、渋谷)まで事業を拡大。その後、上場企業グループ会社へのバイアウトを実現。仲介業務を自ら行う中で業界の非効率性を痛感し、業界変革への志を立てる。2度目の起業として、2012年6月、イタンジ株式会社を設立。

伊藤嘉盛氏(以下、伊藤) イタンジ株式会社の伊藤です。私たちのビジョンはテクノロジーで不動産取引をなめらかにすることです。

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私たちは主に、賃貸不動産会社に不動産取引のインフラを提供するテクノロジー企業です。左にあるように、従来型の不動産取引は、管理会社→物件データベース→仲介店舗→賃貸ポータルサイト→ユーザーというように、バリューチェーンが非常に長く、アナログな側面が強く残っています。

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私たちは、物件データベースを空室管理ツール「ぶっかくん」、仲介店舗を自動接客ツール「AIチャット」というプロダクトで置き換えていくことを狙っています。

また、テクノロジーを活用した仲介ビジネスのモデルケースとして「ノマド」というネット完結型の賃貸仲介サービスを運営しています。

私たちが言う「なめらかな不動産取引とは」何か。デモをご覧ください。

ユーザーが、賃貸ポータルサイトで見つけてきたURLをここに貼りつけると、「ぶっかくん」を通して、すぐに募集の状況が分かります。

内見カレンダーを見て、希望時間に予約を入れると、内見ができます。もちろん、複数の物件を見ることもできます。内見予約が完了したら、あとは現地に行くだけです。物件探しの工程をとてもシンプルにしました。

さらに、内見に行くまでの質問についてもAIが答えており、例えば「駐輪場ありますか?」と質問すると、質問を理解したAIが即レスします。

業務マニュアルを学習させているので、「仲介手数料ありますか?」と質問すると、当社が設定したオペレーションルールに従って、「仲介手数料は無料です」と回答します。

nomadは現在、質問の60%をAIが返答しています。昨年11月の実装から、返答率を毎月10%改善してます。さらに返答精度を上げていき、圧倒的な即レス体験を作りたいと思っています。

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内見はクラウドソーシングでやっています。店舗に行ったり、営業マンのスケジュールに左右されることがないため、ユーザーはすぐに内見に行けます。

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仲介手数料は無料で、物件を探してる間の月額会費と内見費用がかかるだけです。

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私たちがどういうようなテクノロジーを使ってnomadを運営してるか、もう少し深堀りしてご説明します。

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まず、空室確認システムの「ぶっかくん」についてです。

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皆さん、こんな経験がありませんか。いい物件見つけて店に行ってみると、物件はちょうど決まってしまい・・・となる。これは、いわゆる「おとり物件」という集客手口です。

おとり物件まで悪質ではなくても、例えば、賃貸ポータルサイトで問い合わせした物件が成約済である確率は何%ぐらいだと思いますか。(会場から)40%ぐらい。そうですね・・

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58.8%が成約済みです。結局、賃貸ポータルサイトで探しても本当の情報が分からないということです。今年の1月にnomad宛に問い合わせがあった9,000件の物件URLを調べたところ、5,300件が成約済でした。

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では、なぜこんなにも不動産業界の物件情報は適当なのか。それは、不動産業者間のやり取りが非常にアナログだからです。仲介会社は1件の物件を扱うごとに、1回1回、管理会社に電話をしています。

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管理会社の物件担当が離席していると、折り返しになるなど手間がかかります。結局、仲介会社リアルタイムでの物件情報の更新を諦めます。

その結果、成約済物件が増えてしまいます。アナログなやり取りによって、ユーザーに届く情報が不確かになるだけではなく、管理会社も電話の対応に追われるという弊害も生まれます。

では、ウェブ上にリアルタイムな物件データベースを作ればいいじゃないかと考えますが・・。仲介会社は、ログインの手間を嫌い手元にあるチラシの番号に電話をかけてしまします。結局、電話でのやりとりはなくなりません。

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そこで、私たちは「ぶっかくん」という、仲介・管理会社間が電話の自動音声で空室確認を行えるプロダクトを開発しました。

管理会社は空室状況をエクセル形式でアップロードするだけで導入が完了します。成約した場合はワンクリックで音声の案内が成約済になります。

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実際のデモをご覧ください。

(デモ音声)『お電話、ありがとうございます』『イタンジ不動産、物件確認サービスです』

仲介会社が電話をかけるとこのような音声が流れます。

(デモ音声)『賃貸物件の確認をされる場合は、賃料と#を入力してください。オペレーターにお繋ぎする場合は、9と#を入力してください』

今までは、会社名を名乗って担当者の取次をやっていましたが、電話かかった瞬間に、プッシュダイヤルで賃料を入力すると、物件の成約状況が分かるようになりました。現在、東京圏内だと、5件に1件はぶっかくんを使って物件確認が行われてます。

仲介会社のアカウント数は2万アカウントにも及びます。

ぶっかくんの導入企業が増えることで、私たちは正確な情報をリアルタイムに反映した物件データベースが構築できます。

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仲介会社のインターフェイスは電話ですが、nomadはAPIで繋がっているため、即座に正確な空室状況をユーザーに提供できます。

次に、AIチャットについて。スマホで不動産取引を完結できないのか、と私は考えていました。賃貸ポータルサイトに問い合わせをすると、電話がかかってきてお店に来てくださいと、来店を誘導されます。

折角、スマホで問い合わせしたのに、店舗に行くのは面倒です。なぜ今までスマホ完結型のサービスがなかったのか。

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Nomadを運営してみて分かったことは、スマホで不動産を取引するとメッセージ数がとても多くなることです。

問い合わせから契約まで、かなり細かいやり取りが80回も発生します。ユーザーが増えるとオペレーターを無尽蔵に増やさないといけない。そんな大きな課題がありました。

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そこで私たちは、過去にオペレーターが返信した10万件のメッセージデータを解析して、自動接客を行う「AIチャット」を開発しました。

AIが回答できない質問は、社内のオペレーターが対応して、それを学習データにしています。

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AIチャットにより接客の生産性が上がりました。nomadのオペレーターは店舗型の営業担当者と比べて25倍の生産性を実現しています。店舗型の接客数は1担当者1カ月当たり40名程度ですが、nomadは1人がいれば、1,000名の顧客対応ができます。

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接客の生産性を向上したことで、仲介手数料無料という価格の競争力と収益性の両立を実現しています。

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次はnomadの実績について。サービス開始から15カ月間、成約件数は月次平均16%で伸びています。

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去年の8月に同業種のM&Aを行いました。ネット完結型では他社に差をつけています。

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また、店舗型の仲介会社を合わせても、東京の4万事業者のうち上位25位まで食い込んでいます。10年プレーヤーが多いなか1年半でここまで来たというのは、テクノロジーによってゲームチェンジが起きてると言ってもよいでしょう。

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次は、今後について。私たちは半年前から、nomadの仕組みをオープン化しています。私たちはそもそもテクノロジー企業ですから、不動産取引のインフラ部分でポジションを確立したいと考えています。

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Nomadの運営で生まれた機能やノウハウを切り出して、不動産会社にクラウドで提供しています。

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皆さんもご存知の通り、ネット完結型の不動産取引は、まだまだシェアが小さいです。ランキング25位以内になったnomadでも年間で3,600件しか成約してない。マーケット全体の取引件数は82万件です。

シェアNo.1の大手フランチャイズは年間で約13万件、シェア20%弱です。nomad単体だとシェア1%未満です。

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一方で、AIチャットなどnomadプラットフォームを利用している事業者は100を超えています。年間の仲介件数に換算すると約7万件分が私たちの仕組みを使って仲介が行われています。

7万件を1年間をかけて2倍にしていく目標です。nomad単体ではなく、nomadプラットフォームで仲介シェアNo.1を目指していきます。大手不動産会社も続々と参加しています。

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導入効果も実証されています。ある仲介店舗では人員を変えずに、月次売上を前年同月比230%まで増やしました。このような事例を増やして、プラットフォームを成長させていきたいと考えています。

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私たちは、テクノロジーを駆使して不動産取引をアナログからデジタルへ。もっともっとなめらかにしていきます。

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ご清聴ありがとうございました。

(終)

プレゼンテーション終了後は第一線で活躍する経営者やベンチャーキャピタリストの方々と積極的な質疑応答が行われました。

(コメンテーター 一覧)
 Emotion Intelligence株式会社 取締役 杉山 全功 氏
 オ イシックス株式会社 代表取締役社長 高島 宏平 氏
 株式会社じげん 代表取締役社長 平尾 丈 氏
 C Channel株式会社 代表取締役社長 森川 亮 氏
 takram design engineering 代表 田川 欣哉 氏
 東京大学大学院 特任准教授 松尾 豊 氏
 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 技術理事 武田 浩一 氏
 日本交通株式会社 代表取締役会長 川鍋 一朗 氏
 株式会社ニューズピックス 取締役 NewsPicks編集長 佐々木 紀彦 氏
 株式会社メルカリ 取締役 小泉 文明 氏
 楽天株式会社 代表取締役副社長 山田 善久 氏

新しい産業をリードするトップリーダーが参加するコミュニティ型カンファレンスの特徴を最大限に活かした「カタパルト」は素晴らしい出会いの場となります。ICCカンファレンスではスタートアップのプレゼンテーションの場「カタパルト」の登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/根岸 教子

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