人生を変えた出来事(Teach For Japan 松田/READYFOR 米良) – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

人生を変えた出来事(Teach For Japan 松田/READYFOR 米良)

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「自分の中に突如反骨心が生まれて、行動するしかない、せっかくいただいたこのチャンスを絶対に形にしたいなって」(READYFOR 米良)
「人って、期待されると期待に応えたいなって思うようになる」(Teach For Japan 松田)

READYFOR代表 米良 氏と、Teach For Japan代表 松田 氏が、「人生が変わったきっかけ」について熱くトーク。ある日の自分を突き動かしたもの、心の中にある思いとは? 最後には進路に悩む学生への真剣なアドバイスも。

登壇者情報
2016年2月17日開催
ICCカンファレンス STARTUP  2016
Session 2
「社会を変える起業家になる」特別インタビュー
(語り手)
松田 悠介 認定NPO法人Teach For Japan 創業者 兼 代表理事
米良はるか READYFOR株式会社 代表取締役CEO

「自分の中に突如反骨心が生まれて、行動するしかない、せっかくいただいたこのチャンスを絶対に形にしたいなって」

司会  自分の人生「このタイミングで人生が変わったな」という出来事をお話いただけないでしょうか?

米良はるか氏(以下、米良氏) いろいろなインタビューでも話していることなのですが、大学4年生のときには、何かに取り組む人が、ネット上でたくさんの個人から少額ずつ寄付を集められるサービスを立ち上げました。バンクーバーパラリンピックでメダル獲得を目指して活動している障害者クロスカントリースキー日本代表チームの100万円分のワックスを贈ろうという応援キャンペーンの際に、自分で作ってみたものが世の中に出て反応があって評価されたことです。その時に、自分が何か役に立てるんだなっていうことに気付いた。「自分が次に何かをしていこう」というふうになったんです。

(米良)00029_37_2004647

米良はるか 
READYFOR株式会社 代表取締役CEO
1987年生まれ。2012年慶應義塾大学メディアデザイン研究科修了。2010年スタンフォード大学へ留学し、帰国後、2011年3月日本初のクラウドファンディングサービスREADYFORの立ち上げを行い、NPOやクリエイターに対してネット上で資金調達を可能にする仕組みを提供している。World Economic Forumグローバルシェイパーズ2011に選出され、日本人史上最年少でスイスで行われたダボス会議に参加。St.Gallen Symposium Leaders of Tomorrow、内閣府 国・行政のあり方懇談会 委員等国内外の数多くの会議に参加。2014年7月READYFOR株式会社 代表取締役に就任。

もう1つあるのが、スタンフォード大学に留学する前に、初めてシリコンバレーに行ったんですね。READYFORのもう1人の創業者でもある(東京大学の人口知能の研究者の)松尾 豊さんがたまたま学会でアメリカに行ってたんですね。

私もシリコンバレーに「いつか行ってみたいな」と思っていたのですけど、松尾先生が「僕達も行くよ」って言ってたからついて行こうかなと思って。他の学生も一緒に行くと聞いたので「私も一緒についていってもいいですか?」とお願いして、一緒に行くことになったんです。サンフランシスコからシリコンバレーに5日間くらい滞在したのですが、そこでは様々な起業家の人やスタンフォード大学とかFacebookやGoogleなど様々な企業を訪問させてもらったんですよ。

私は、大学4年卒業したばっかりだったので、周りの友達はみんな就職したばかり。起業という道ではなくそういう就職する道しか分からなかったんですけど、めちゃめちゃ刺激を受けました。「自分の試したい価値を追求するのはかっこいいな」って思って、めちゃめちゃ影響受けたんです。まさに今日のICCスタートアップカンファンレンスみたいなイベントですよね。

サンフランシスコからの帰り飛行機は松尾先生と同じフライトだったので、ちょっと興奮してたのもあって一番後ろの方で松尾先生と2人で喋ってたんですね。「すごい良い体験ができました、ありがとうございました」みたいな感じで意気揚々と話しました。

「私いつか絶対日本で頑張ってシリコンバレーに戻って、絶対スタンフォード大学にも行くし、絶対起業もするんです」って言ったら、すごい真顔で、「みんなそうやって言うんですよね、みんなそうやって言うけど誰もやらないんですよね」ってシラッと言われたんですよ。

その時は結構ショックで。「みんな」ってよくわかんないけど同じにされたって思った。私のこの感情は「『みんな』の中にいれられたくないな」というふうにすごく思ったんです。自分がせっかくいただいたこのチャンスを絶対に形にしたいなって思って、家にそのまま帰ってネットでスタンフォード大学に行く方法を色々調べた。そしたら、スタンフォード大学は何かといろんなプログラムがあるから潜入できるんですよね。

その後すぐに、2週間たつかたたないかくらいで、留学に行きました。「決めたところどうにかなる」というか、本当に「行動するしかしない」ということを決めてしまう、それだけかなと思ってます。ICCカンファレンスみたいな場で刺激を受けたけど、行動しないまま終わってしまうのは本当にもったいないと思うんですよね。それ勿体無いなと思うんですよね。

スタンフォード大学に留学では同級生との交流から大きな刺激を受けた (写真提供 米良はるか)
スタンフォード大学に留学では同級生との交流から大きな刺激を受けた
(写真提供 米良はるか)

司会 そこで行動できたのは、何が違ったんですかね。

米良氏 なんかすごい嫌じゃないですか、「お前も、みんなと同じで、口だけで行かないだろう」と言われたらなんか腹が立ちませんか?

松田悠介氏(以下、松田氏) 悔しかったんだ。

米良氏 そうそう、悔しかったんですよ。決めつけられているみたいな気がして、嫌でした。

松田氏 昔からそうだったの、昔から反骨心が強くて。

米良氏 全然そんな反骨心が強いタイプじゃなかったです。

松田氏 何でその時はビンときたの? シリコンバレーに行って感動した直後に「え、なに?」みたいな出鼻くじかれたと思ったの? こんなに盛り上がってるのに「何この大人」みたいな。

米良氏 そうそう、正にそうだったのかもしれないですね、そうだと思います。

松田氏 それだけの感動があったってことだよね。

米良氏 すごい感動しました。

司会 だからこその、そこで出鼻くじかれたって思った時に反骨心が出てきた。

米良氏 かもしれないですね。

司会 ありがとうございました。

「人って、期待されると期待に応えたいなって思うようになる」

司会 松田さんはいかがでしょうか。人生を変えた出来事。

松田氏 教育に携わろうと思ったのは中学の原体験からで、当時は勉強は学年の400人の生徒の中で断トツの最下位、スポーツもできず、色弱なので美術も苦手で、合わせて音楽もできないし、しまいには中学二年生からいじめが始まるという暗黒の中学二年生でした。

誰も助けてくれないことに対する怒りもあったし、世の中は「いじめられてる側が周りの人に言わなきゃ」みたいなことを言うけれど、人に相談するということは心が強くないとできないから、そんな簡単に相談できないんですよね。結局、自分で抱え込んでしまって、自殺を考えたこともある。

そういう暗い中学校時代を過ごしている時に、私はラッキーなことに自分と向き合って、期待してくれて、「どうすれば強くなるか一緒に考えていこうぜ」といって常に寄り添ってくれた体育の松野先生との出会いが自分の人生変えました。

(松田)00032_37_2004650

人って、期待されると期待に応えたいなって思うようになるものです。松野先生は私のことを期待してくださって、伴走してくださって、学校生活を一緒に乗り越えて下さいました。自分にとっては大きなことでした。

中学三年生から松野先生が体育を教えてくれるようになって、一番大っ嫌いな体育の授業でも、どんどん小さな成功体験を授業の中で積み重ねることができました。
「やればできるじゃん」とか、「期待してるぞ」とかって言われるとちょっと嬉しくなって、小さな成功体験の積み重ねによっていつの間にか体育が好きになって、体育バカになっていって、いじめも抜けだすことができたんですよね。

こういった形で厳しい状況にいた自分がその状況を抜けだすことができたこと、大っ嫌いだった科目が大好きになったっていう経験をしたっていうのが自分にとって大きくて。でも、これってなんか魔法が降りたとか何でもなくて、1人の先生、松野先生の存在でしかないんですよ。

意外と身近な課題解決のアプローチとか、教育への貢献の仕方があるんだなと思って、自分が恩を受けているのでそれの恩返し、恩送りをしたいということで、高校の頃から教員を目指すようになって教育の世界に入っていった、ってことを考えていくと、原体験は中学校の時の体験かなと思いますね。

司会 その後実際に体育教師になられて、そこから今のTeach For Japanの組織を運営されるようになるまでに、また1つステップがあったと思うんですが何だったんでしょうか。

松田氏 私もいい先生になりたいって常に思っていて、そういう想いをもって現場に入るじゃないですか。そうすると、想いを持って飛び込んでいくと、想いを持っていれば持っているほど色んなことに気付くんですよね。

それこそ問題意識も強くなってくるんですよね。

例えば、自分が担当している子ども達の指導には「最高の授業をするんだ!」と責任を持って、授業の質を高めていくことができるけど、他の先生の授業がどうであっても、自分は何もできないわけです。

時には授業がうまくいかないのを子ども達の責任にしている先生もいました。私は「教育」というコンテクストの中には子どもたちが悪いことは何一つないと思っています。

学級崩壊を引き起こすのは子ども達のせいではなく、学級崩壊を引き起こすような授業をしないように先生が授業力を改善し続ける必要があると思うのです。

どうすれば一人でも多く子ども中心で物事を考え、学び続けることができる先生を増やすことができるのかを色々と模索したくなって、学校以外で実現するっていうことでその後教育委員会で働いて政策をやろうと思ったんですけれども、教育委員会の政策って、四十数才にならないと政策で意思決定できない。

自分の20代をそこに投資するのはおかしいなと思って、学校を作ろうと思ってそのためにリーダーシップとマネージメントを学ばなきゃいけないと思って海外の大学院に留学して、Teach for America に出会ったという流れです。

ハーバード大学留学中にTeach For Americaとの運命の出会いがあった
ハーバード大学留学中にTeach For Americaとの運命の出会いがあった
資料:Tearch For Japan プレゼンテーション
資料:Tearch For Japan プレゼンテーション

「やりたいことをやるのが1番。好きなことに出会うために、チャンスをどんどん取りに行ってほしい」(READYFOR 米良)

司会 最後に、自分が目指すことをまだ模索している、一歩踏み出せないでいる学生や若者に対してのメッセージをお願いいたします。

米良氏 私は自分が社会を変えてるというふうには思っていなく、自分が好きなこと、やりたいことをやってるという想いが強いんですよね。
私は、誰かがその一歩を踏み出せない時に、色んな話を聞いて、「これって面白いよね」と言って、誰かがその一歩を踏み出す事が出来る姿を見るのがすごく好きなんです。

なんかもうどうしようもないくらい楽しいんですよ。楽しいから大変だけどずっとやってる。「こういうやり方もあるんじゃない」とか後押ししてあげることで、変わって行くのを見るのがとても楽しい。純粋に好きなんだと思うんですね。

私はたまたま好きなことに出会えた。好きなことに出会うってすごく難しいことだと思ってます。私は恵まれていて、すごく幸運にも色んな世界と、色んな人との出会いをできたと思うんです。

でも自分がこうなったのも、何か好きなことに会いたいなと思って、色んな人に会ったり、色んな経験をしたりするということを積極的にやったからだと思うんですよ。

障害者クロスカントリースキー日本代表チームの100万円分のワックスを贈ろうという応援キャンペーンの時も、強い意思を持ってやったとは全然思ってなくて。多分色々やってた中の一つなんですよね。でもその中で一番夢中になれたことだったんですね。それがすごく好きなことだったんですよね。

READYFORにスタートにつながった障害者クロスカントリースキー日本代表チーム応援キャンペーン (写真提供 米良はるか)
READYFORにスタートにつながった障害者クロスカントリースキー日本代表チーム応援キャンペーン
(写真提供 米良はるか)

なので、好きなことを見つけるのに迷ったりしたら、とにかく好きかもしれないなとか、やったら面白いかもな、とか松田さんと一緒に喋ってると楽しいな、松田さんの近くで働いてみたいな、ぐらいのことをどんどん行動にしてもらいたいと思っています。

その中で違うと思ったら、しっかり決めたところまでやって、次のところにステップアップする。その積み重ねで、本当にやりたいこと、好きなことっていうのができる。

「社会を変える」という意識もすごくあるけど、松田さんも多分好きでやってると思う。例えば、「教育改革します」とか言ってるけど、その人自身が全然好きじゃなかったら疲れるし、誰もやりたくない。

やっぱり好きなことに出会うために、色んなことをやって欲しいし、色んな世界を見えるチャンスをどんどん取りにいって欲しいなって思っています。

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ダボス会議では世界のトップリーダーとの出会いがあった (写真提供 米良はるか)
ダボス会議では世界のトップリーダーとの出会いがあった
(写真提供 米良はるか)

「学生のうちはノーリスク。今失敗しても次のことをやればいい。とにかく行動を!」

司会 ありがとうございます。松田さん、最後にメッセージをお願いします。

松田氏 やりたいことがある人はどんどんやるべきだと思います。リスクとってやって、やればやるほど色んなことをより知って、思いも深まったりだとか、ちょっと違うなって逆に思ったりだとかするので、そういったことの連続の中でゆくゆくは本当にこれを人生をかけてやるんだ、みたいなものも見つかると思う、人生じゃなくて今やるんだってことも見つかると思いますので、やりたいことがある人は行動する。

やりたいことが無い人は、私は「試し食いの理論」って言ってるんですけど、たいした理論でもなくて、定食でも入ったことない定食屋に入って「A定食」、「B定食」、「C定食」とあっても、食べてみないとどれが一生食えるか分かんないじゃないですか。

「社会を良くしたいと思ってるんです。環境にも、教育にも興味があるし、福祉にも興味があるし、要するに世の中良くしたいと思ってる、社会貢献したいと思ってるんです」という学生が多いんですよ。

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松田 悠介 
認定NPO法人Teach For Japan 創業者 兼 代表理事
日本大学を卒業後、体育教師として中学校に勤務。体育を英語で教える Sports English のカリキュラムを立案。その後、千葉県市川市教育委員会 教育政策課分析官を経て、ハーバード教育大学院(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、プライスウォーターハウスクーパース株式会社 にて人材戦略に従事し、2010年7月に退職。Teach For Japan の創設代表者として現在に至る。日経ビジネス「今年の主役100人」(2014年)に選出。世界経済会議(ダボス会議) Global Shapers Community 選出。 経済産業省「キャリア教育の内容の充実と普及に関する調査委員会」委員。奈良県奈良市「奈良市総合計画審議会」委員、「奈良市教育振興戦略会議」委員。共愛学園前橋国際大学「グローバル人材育成推進事業」外部評価委員。京都大学特任准教授。著書に「グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」(ダイヤモンド社)」

でもずっと食べたことない状態、やってみたことない状態でずっと考えて悩んでても、結局今までの経験とか今まで出会った人でしかそれを見つめられてないので、コミットメントになかなか繋がらないんですよね。だからこそやっぱり食べてみる。期間決めて「A定食」を食ってみればいいんですよ。3ヶ月は「A定食」を食べてみて、「ちょっと旨いけど飽きるな」とか、「しょっぱいけどしょっぱさいいな」みたいな、自分の舌の感覚が分かるじゃないですか。

それと同じで、福祉、環境とかあったら、まず福祉やってみればいいんですよね。福祉やってみて、三ヶ月間コミットして、そういったことをやってる団体はどこなのかっていうのも調べて、週末ボランティアしてみたり説明聞いたり、そこで出会った人と話をしてみたり。その中でどんどん自分の軸にどれだけその対象に対して共感するのか、ちょっと違うなっていうのが見えてくると思うんですよ。

ちょっと違うなって思ったら次は「B定食」を食ってみればいいんですよ。つまり次教育やってみればいいんですよ。教育に3ヶ月間コミットして、「ちょっとわかんないな、あと2ヶ月やってみるか」でもいいと思うんですよね。そうやって実際行動起こしていくことを通して、「本当に一生食えるのか」、「大好物なのか」ということを見つけ出していく試し食いを続けていって、本食いに繋げていくみたいなことを是非ともチャレンジしてもらいたいなって思っています。

今の学生は恵まれているので、そういった定食がずらっと並んでるんですよね。やろうと思えばやれるチャンスもあるし、フィールドもあるし、分野も色々社会課題のみならずですよね、ビジネスの世界も色んなビジネス、アグリビジネス、バイオビジネスとかITとか色々ありますけども、そういったものが色々あるので、何か一番ピンとくるものを取り敢えずやってみる。

そこは学生のうちはノーリスクなので、今失敗しても次やればいいだけなので。これが35才とかだとそういうわけにはいかなくて、失敗すると結構リスクも取れなくなってくるので、今試し食いできる年齢の人たちはどんどん試し食いしていくべきだと思いますね。

とにかく行動ですね。

(終)

インタビューアー:渡辺 裕介
編集チーム:小林 雅/小林 泰/藤田 功博


Teach For Japan松田さんとREADYFOR米良さんは2016年9月13日開催予定の「ICC/AIESEC ソーシャル・イノベーション・カンファレンス2016」に登壇します。学生は参加費無料です。是非ご参加ください。

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