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ICCサミット KYOTO 2026のDAY1、Session 3Dで開催するセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは(シーズン2)」に登壇する企業のオフィスをご紹介いただくシリーズ、シーズン2の第5回目は「hacomono」です。ぜひご覧ください。

この記事は ICCサミット KYOTO 2026で青山スタイル / natがスポンサーするセッション「人が集まり、力を発揮するオフィスとは。」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズです。
hacomonoのオフィスを訪問
ウェルネス領域の店舗向けに、さまざまなソフトやハードウェアを提供するhacomono(ハコモノ)のオフィスは原宿にある。2013年の創業から4回の移転を重ねた現在地は、代表取締役CEOの蓮田 健一さんがかねてから目指していたという原宿だ。
その理由を蓮田さんは「他のスタートアップに同質化せず、群れない場所であること。スポーツの事業なので国立競技場が見えるし、クリエイティブで、勝利の神社である東郷神社が近くにある」と語る。オフィスを案内いただきながら、お話をうかがった。

「動」のオフィスへ
ウェルネス領域のSaaS、といってもピンとこないかもしれないが、サービスの例を見ると早いだろう。全国で1900店舗以上を展開する24時間365日利用可能なジム、chocoZAPを無人で運営することを可能にしているのは、hacomonoの技術なのである。

受付がいなくても、QRで開錠して施設へ入り、アプリ経由で人気のマシンを予約して並ぶことなく使う。どの器具が使われて人気かも一目瞭然だ。オーナーは、天井に配置されたAIカメラで入店者数を確認でき、もしジム内で何かあればアラートが飛ぶ。ほぼすべてのデータが取得可能のため、次の経営の一手も打ちやすい。

蓮田さんは言う。
「静と動を二極化するのがオフィスのコンセプトでした。エンジニアの多い会社なので、エンジニアは集中できることが大事。動は、会社の事業であるウェルネスです。
このショールームは、R&D、つまり研究開発拠点でもあります。我々はソフトウェアだけでなく、ハードウェアも作っています」
利用時間や料金を自由に設定して決済する外付けハードも作っているため、既存のマシンに装備することも可能だ。「場所があればレバレッジできる」ーーそんな技術とハードをhacomonoは提供している。
ソリューション提供の幅はフィットネスクラブ、運動スクールだけでなく、公共運動施設や学校やそのグランド・教室の民間解放にまで及ぶ。
「学校はいい場所や施設、ブランドを持っているので、それを利活用すべく土日や夜間の解放などにも使われています。たとえばサッカーチームやテニスチームがその場所を使いたいときに、予約して決済してQRをかざすと入れるとか。 AIカメラを付けておいて、入ってはいけない場所行くと自動アラートが鳴るとか」
受付も管理人も不要な運営を可能にし、人口減少社会に事業を伸ばしている。
「会社のコンセプトはtoBではなく、BtoBtoCのエンドユーザーのUXを変えること。お客さんや企業からの要望も聞きますが、きっと3年後や5年後にこうなるよね、かつエンデューサーとして絶対そっちのほうが便利だよね、というのを先んじて作っています」
chocoZAPはまさにそんな事例の一つで、手続きの指導権はすべてユーザーに渡すというのがコンセプトのプロジェクトだったという。何がウェルネスの未来なのか? そしてそれは別の場所でも転用可能か?を試行錯誤しているのが、この「動」のオフィス、ショールームなのである。

「静」のオフィスへ
再びエントランスへ戻って「静」の執務スペースへ向かうと、オフィスは人が少なくがらんとしている。写真は無人状態のものだが、オフィス出勤に回帰する企業が多いなか、hacomonoの勤務形態はフルリモートなのだそうだ。
「フルリモートだから、みんなさまざまなところに住んでいます。ソフトのエンジニアだけではなくハードウェアのエンジニアも必要なのですが、日本では少なくて、地方在住だったりする。そういう社員を採用する意味でもフルリモートですね」

業務委託を含めると500名ぐらいいるという従業員数に対し、用意されている席は60〜70席。全員で集まるときは、大きな会場を借りるそうだ。

セミナールームもあり、社内以外にも、スポーツ関係者やフィットネス業界の経営者の集まりなどに利用されている。日本代表クラスのアスリートやスポーツインフルエンサーもよく来訪するという。ピラティス・サッカー・ダンスなど業界団体の活動向けに無料で貸し出して、一緒に参加することで新たなサービスのヒントや、ユーザーの解像度を高めているという。



『キャプテン翼』の作者、高橋陽一の直筆イラスト入りユニフォーム。サッカー日本代表選手のグッズも
訪問時に出社していた社員の方々は多くなかったが、蓮田さんと楽しげに会話を交わし、サッカーやバスケットボール、キンボールといったスポーツを愛するバックグラウンドを持っている。オープンでフラットに、のびのびと働く様子が伝わってくる。改めて、このオフィスについて蓮田さんに話をうかがった。
フルリモートで日本一熱狂的な組織を作る

「若くて熱いメンバーが多いので、乾杯の温度も『ウェルネスでパッション!』とか(笑)。全社ミーティングとか本当に、涙あり笑いありで毎回ぐしゃぐしゃになります」
蓮田さんは、大学までミッドフィルダーとしてサッカーをやってきたスポーツマン。音楽のクラブや、スポーツ施設などで開催する、年に複数回あるという全社イベントは、本格的に仕込む出し物あり、スピーチありで、フルリモート勤務の会社とは思えない結束と盛り上がりを見せるそうである。
「それもやはりエンタメとか、 toCのUXを変えることを大事にしてるからです。BtoBだと、どんどん真面目になっていっちゃいますよね」
そういう蓮田さんは、前回の全社ミーティングで、CANDY TUNEの「倍倍FIGHT!」をhacomonoの10年ビジョンの替え歌バージョンにしてダンサーと共に歌い踊り、「原宿から世界へ!」のフレーズでは自分たちを重ね合わせて大喝采を浴びたそうである。

「先ほどの3つの理由から、元々原宿にしようと思っていたんです。一時期は他に拠点も作ったりしていたんですが、結局みんな出社しないのでそれもすべて閉じて、ここだけにしています。
フルリモートは世の流れと逆に見えるかもしれませんが、やり方次第で熱量高い組織は作れると考えています。「ウェルネスが広がる社会をつくる」というビジョンでやっている中で、みんなが同じ時間に満員電車で出社してというのが、本当に幸せなのかな?と思うからです。
企業活動では合理性がとても大事ですが、自分は経営の中に、非合理を入れるのも経営センスなのかなと思っています。経営者が非合理を自分なりに大事にするというか、そのスタンスを取るのがすごく大事な気がします。非合理を捨てたら、経営なんて誰がやってもいいんです。

創業者がこういう思いをやっているという、自分なりの非合理だけど「hacomonoらしさ」というユニーク性に潜むウェルネスと、好きなエリアで好きな人と暮らすけど、世の中で言うところのいい水準の給料がちゃんともらえる事業をみんなで作ろうとしています。そして、その事業には責任がある。
そこで、フルリモートだけど日報という文化を持っています。日報なんて面倒臭いと普通は言うけれど、それも自分は非合理でいいかなと思っています。みんなが必ず、仕事終わりに一斉に日報を出すのは、組織としてすごく美しいなと思っています。
そこでみんなの仕事ぶりが見れるし、フルリモートだって解決できますし、AIがあるからテキスト化することの意味はどんどん上がっていて、いろいろな分析ができる。
hacomonoらしい文化として、フルリモートを日本一うまく活用しながら、フルリモートなのに日本一熱狂的な組織をつくる。日本一の組織をどうやって作ればいいかというのを、人事チームの1つのミッションにしてもらっています。
トップダウンで作るのは結構簡単だと思ってるんですが、それをいかにみんなが誰かの指示待ちではなく自走できる組織をどこまで作れるか。我々の組織作りのオセロの四隅って何だろう?というのを決めたらもう、それを頑張っていればいい。真ん中のところはあまり見なくていいよ、みたいな。
それでもやっぱりオフィスはすごく重要です。お客さんとのコミュニケーションの接点もそうだし、社員同士の偶然の接点もそうだし。よく社内でも、ラン & ビアとかフィット & ビアもしています。実は不健康らしいですが(笑)」
スポーツを愛する集団である彼らが、その素晴らしさを広げようとする新しい事業や、さまざまな社内エピソードを聞けば聞くほど、この大きな組織がフルリモートで運営されているとは信じがたい。
やりたい運動、行きたいジムを都度選べるフィットネスのサブスクFitFits(フィットフィッツ)や、地域のプロチームと自治体とのタッグで展開する運動課題の解決、試合のない日のスタジアムのVIPルームのコワーキング化や、地方に観戦遠征に来たファンのための民泊事業など、その事業はスポーツの域を超えて大きく広がっている。
社名の由来を尋ねたとき、蓮田さんは「ライブハウスのことを箱、と言ったりするじゃないですか。それにちなんでいます。ライブハウスは感動や熱狂が生まれる場所だし、そんな世の中にしたい。日本中のいろいろな箱で使われるものを作って、そこで個性が生まれるものにしたい」と語った。
いつもは静かだが、必要とあればいつでも集まり、熱狂や感動を生み出せる仲間と、日本の各地を沸かせるものを作る。その原型となる箱が、このオフィスなのだろう。

【hacomonoのオフィスデータ】
| 延床面積 | 661.2㎡ |
| 設立 | 2013年4月 |
| オフィス入居時期 | 2022年8月 |
| 従業員数 | 323名(アルバイトを含む) |
| 事業内容 | ウェルネス/運動施設向けオールインワン・マネジメントシステム「hacomono」の開発・提供 |
(終)
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