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8月31日~9月3日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2020。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、DAY1の8月31日、ICCサミット本番を翌日に控え19時より開催された「スタッフ前夜祭」の模様をお伝えします。ぜひご覧ください。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
8月31日、真夏日の京都に90名を超えるICCサミットKYOTO 2020運営スタッフが集結。会場となるウェスティン都ホテル京都で、翌日からの本番に向けて各チームに分かれて入念な準備を行った。
新型コロナウイルス感染症への対策が求められる中、万全を期して会場設営が進められる模様は、以下のレポートを参照いただきたい。
▶リアルの体験価値こそ、ICCのコアバリュー。「ランチ体験」から始まる、運営スタッフの開催準備【ICC KYOTO 2020レポート】
本レポートでは、初参加スタッフ(筆者)から見た、運営スタッフの“決起集会”とも言える「前夜祭」の模様をお伝えする。
前夜祭の会場「フォーチュンガーデン京都」
前夜祭の会場であるフォーチュンガーデン京都は、ICCサミット会場のウェスティン都ホテル京都から車で約15分、京都市役所の北にある。
筆者は、会場に到着してその建物の前に立ち尽くしてしまった。
石造りの洋館が暗闇の中静かにライトアップされ、エントランスから見える内装は明治の洋館風。聞けば近代建築の巨匠・武田五一の設計により1927年に建てられた、島津製作所旧本社ビルだという。
この会場は過去、登壇者・参加者のパーティー会場にもなった場所。運営スタッフの”飲み会”というとカジュアルな場所を想像しがちだが、なるほど、こうしてスタッフも登壇者が触れる「クオリティ」を体感・学習しその場にふさわしい運営やサポートができるようになるのだろう。スタッフの学びの体験はここにもある。
筆者はスタッフが到着する少し前に到着した。早速会場の4階に行ってみよう。
“新しいスタイル”でのスタッフ交流会
今回の交流会は“新しいスタイル”だ。新型コロナウイルス感染症対策でいつもの立食ではなく、全員着席形式となる。
そして各テーブルには手指用消毒スプレーが置かれ、飛沫対策としてスタッフは皆フェイスシールド着用。食事と写真撮影時以外はマスクを着ける。
筆者がこれまで記事で目にしてきた前夜祭とは少し違った雰囲気に緊張していると、会場中央にベテラン運営スタッフ市川さんの姿が見え少し安堵する。
市川さん(サポート統括)「皆さんこんばんは!到着された方から、各テーブルにほどよく分散して着席してください。
今日は三密を避けつつ工夫して、スタッフ同士の交流を図りましょう!」
市川さんが統括を務める「サポートチームA」は、スポンサーブースなどで飲料などの配布や補充に加え、人出の足りないチームのサポートなどを行う。困った時の“強力な助っ人”としてスタッフからの信頼も厚い。今回の前夜祭の運営は、司会も含めサポートチームが担当する。
続いて、司会の坂上さんからアナウンスが。
坂上さん(サポート)「今お配りした紙に、お名前と呼び名、ICC歴、所属チーム、好きなこと・趣味を記入してください」
各自が自己紹介のカードを作成して、ネームホルダーに貼り付けることになっているようだ。
まだ到着していないスタッフも多いが、カードを記入しながら少しずつ談笑が広がる。
書き終わった後のペンは、テーブルに用意された除菌スプレーで消毒する
マスクとフェイスシールド着用のため、相手の声が聞きにくいことも
できるだけ各テーブルに分散して着席するよう、スタッフ同士で配慮する
時刻は既に20時をまわっていて、前夜祭開始予定の19時から1時間ほど経過している。しかしまだ約半数のメンバーしか集まっていない。
特に初日のSession1からスタートアップ・カタパルト(※)が行われるA会場では、リハーサルが長引いているようだ。
▶編集注:「スタートアップ・カタパルト」とは、気鋭のスタートアップ十数社が一堂に会し、1社あたり7分間のプレゼンで事業計画・内容を披露するというもの。第一線で活躍する30名程度の経営者や投資家などが審査を行い、選ばれた企業は一躍注目を浴び文字通り“発射台”(Catapult、カタパルト)”のように一気に成長を加速させることが期待される。その他にも、研究開発型ベンチャーを対象とした「リアルテック・カタパルト」や、“モノづくり”の事業展開を行う企業を対象とした「CRAFTED カタパルト」など、ジャンルやテーマにより様々なカタパルトが開催される。
お互いに準備日の労をねぎらう
ここで、運営スタッフ9回目で今回C会場/4階の統括を務める、“カネタクさん”こと金田さんがマイクを持った。
金田さん(C会場/4階 統括)「皆さん、今日はきっと想像以上に疲れていると思います。
マイク消毒など今回から新しく加わったオペレーション、その他にも実際に会場に入ってから気がついたことや気になることが色々あったと思います。
その整理はこれからきっちり行いましょう。
ひとまず皆さんグラスをお持ちください。今日一日お疲れさまでした。乾杯!」
全員「乾杯!」
食事はフードボックス形式で一人ひとりにサーブされ、着席していただくことになっている。これはICCサミット本番でも同様で、参加者もスタッフも、3日間を通して食事はこのスタイルとなる。
乾杯の後に一つ目のフードボックスがサーブされた。色彩豊かな料理に笑みがこぼれる
美味しい!前菜風の料理がボックスに色鮮やかに盛られ、コース風に2回に分けてサーブされる。
南瓜とチーズのフリッタータ、スモークサーモンと彩野菜のサラダ、燻製ベーコンとキノコのバルサミコマリネ、バジル風味のポテトサラダ…どれも乾杯のシャンパンによく合う。
ドリンクバーに追加の飲み物を取りにいくスタッフも増えてきた。
飲み物は一人ひとりがバーカウンターで注文。新型コロナウイルス感染症対策として、おかわりする場合は一度使用したグラスには継ぎ足さず、新しいグラスで
運営スタッフの意気込みは?
100名近い運営チームメンバーのうち、今回が初参加なのは20名。年齢は19歳から40代までと幅広く、大学生から社会人、さらには企業幹部や経営者、過去カタパルトの優勝者と、ダイバーシティに富む組織がカンファレンスを支える。
居住地も様々。皆このICCサミットのためだけに開催地の関西エリアだけでなく、多くは関東エリアから、そして九州エリアからも参加する。
学生の時から参加しているという、スタッフ歴6回目、A~F会場の6つある会場のうち、F会場で初統括を務める能任さんのテーブルにお邪魔してみよう。
彼女の明るい笑顔はいつも周囲の人を元気にしてくれる。
能任さん(F会場 統括)「原理原則(※)を理解していても、確認が漏れたらセッションをきちんと成り立たせることが難しくなるので、全て確認できたかな?とドキドキします」
▶編集注:ここで言う原理原則とは、ICCサミットを成功させるための根本的な考え方や理念のこと。主催者やスタッフは、イレギュラーな事態や壁にぶち当たるたびに「なぜそうするか?」を考え抜く。その蓄積がICCの理念やカルチャーとなってスタッフに浸透し、ICCサミットの運営指針となっている。
筆者には、彼女の緊張した面持ちが少し意外だった。彼女のようなベテランスタッフにも、毎回新たなステージでの大きな挑戦があるのだ。
隣のテーブルでは、スタッフ歴3回目の木下さんと、初参加の内田さん、大竹さんが話している。大竹さんは、今回初参加ながらE会場のステージリーダー(※)に抜擢された。
▶編集注:セッション会場のステージリーダーは、プレゼン機材の接続やネットワークの設定確認など、登壇者がスムーズにセッションを進行できるようステージまわりの統括業務を担う。高い意欲とポテンシャルを持つメンバーには、初参加でもリーダーなどの責任あるポジションが任され「活躍の場」と「成長機会」が提供されることもICCコミュニティの特徴である。
スタッフ歴3回目の木下さん(左)の話に耳を傾ける、初参加の内田さん(中央)と大竹さん(右)
大竹さん(E会場)「今日は集中して会場準備を行ったので疲れました…木下さんは3回目の参加ですね。やはり慣れてくるものですか?」
木下さん(B会場)「新型コロナウイルス感染症対策などもあり、コミュニケーションの取り方なども含め、今までの動作をアンラーニングして覚え直さなければならないところがあります」
大竹さんは今日までに、所属するチームのマニュアルだけでなく、300ページ以上あるICCサミット全体の運営マニュアルをしっかり読み込んできたそうだ。
初参加のため“アンラーニング”するものはなく、マニュアルに沿って愚直に“ラーニング”し今日に備えるしかなかったと苦笑していた。
――頑張ってください。明日が第一日目ですね。
大竹さん「まずはコミュニティに貢献したいです」
中央のテーブルには、スタッフ歴5回目で、今回はB会場にて前回に引き続き2度目の会場司会を務める中野さんがいる。今日のリハーサルでも、ホールに滑らかで落ち着いた声を響かせていた。
中野さん(B会場)「前回は初めての司会だったので、マニュアル通りのことをこなすので精一杯でした。でも今回は、会場運営全般をしっかり行うのはもちろん、司会として会場の雰囲気を盛り上げたいです。
特に聞いていただきたいところにはメリハリをつけて話すなど、色々な空気を作ることができたらいいなと思っています」
次にお話を伺った遠藤さんは、今回のICCサミット開催地京都からの参加。現在、同志社大学4年生だ。
――スタッフ歴3回目ですね。参加回数と経験を重ねられて、何か見えてきたものはありますか?
遠藤さん(B会場)「ずいぶん視野が広がりました。今まではマニュアル通りにきちんとできることに嬉しさを感じていました。
でも今回は、自分が主体的に発言し会場運営のクオリティ向上に貢献するなど、新たな挑戦ができるようになりました。
これまでの参加である程度の会場運営ノウハウを学んだので、同じ準備日でも1回目の参加時とは違います」
ICCサミットをともに創る楽しさが見えてきたというコメントに、明日から始まる本番への力強さを感じた。
入念なリハを終え、A会場運営チームが合流!
前夜祭も終わりの時刻に近づき21時を過ぎた頃、ようやく11名のA会場運営チームメンバーが到着し約50名のスタッフが揃った。皆に笑みが溢れる。
ただ例年ならば、他会場で参加者向けに行われるオープニング・パーティー運営を終えたスタッフも合流し全員集合となるが、今回は新型コロナウイルス感染症対策のため、その35人のスタッフは残念ながら合流を見合わせることとなった。
福西さん(A会場 統括)「皆さんお待たせしました!」
待ちかねていた皆から盛大な拍手が起こる。
福西さん「まだ準備日ですが始まった感をひしひしと感じており、若干今テンパっています(笑)。
今回は感染症対策などもあり特にオペレーションが複雑で大変だとは思いますが、失敗は許されません。こんな時こそ協力し合いサミットを成功させましょう。
ではお酒を残し過ぎないように気をつけて。乾杯!」
福西さんの乾杯で、家族全員が揃ったような安心感と、これからやっと宴本番が始まるような華やいだ雰囲気に包まれた。
(左から)ICC尾形さん、スピーカー誘導 仙波さん 、A会場 荒木さん、B会場 関谷さん、F会場 石井さん
(左から)A会場 澤田さん、受付 沖田さん、B会場 坂井さん、A会場 平松さん
(左から)受付 張さん、E会場 中野さん、B会場 木下さん、E会場 大竹さん、C会場内田さん
(左から)スピーカー誘導 佐久間さん、E会場 内山田さん、受付 服部さん、受付 原口さん、C会場 遠山さん
“原理原則”を大切にする運営を
ここでICCパートナーズ株式会社 代表取締役で、今回サミットの製作総指揮を取る小林雅さんが前に立った。
小林さんは、同じ時間帯にTHE SODOH 東山 京都で開催されていた、レッド・パス & ブルー・パス参加者対象のオープニング・パーティを終えた直後、A会場運営チームに先駆けて会場に到着していた。そして我々と一緒にA会場運営チームの到着を待っていたのだ。皆の顔に笑顔が灯る。
ICC小林「オープニング・パーティはかなり盛り上がり、参加者の皆さんが明日からのICCサミットを本当に楽しみにされている様子が伝わってきました。
ですから運営スタッフの皆さんには、明日から獅子奮迅の活躍していただきたいと思っています。さらにその活躍が、各々の道の開拓につながると信じています。
今日の準備の疲れが少し出ているようですが、明日からまた頑張りましょう!」
全員「はい!」
ICC小林「それから、運営に関しての質問を色々と受けますが、基本的には“原理原則”に立ち返ることが大切です。
例えば『なぜサーキュレーターがそこに配置されているのか?』についてきちんと考えると、答えは非常にシンプルで明確です。
そもそも、見た目って本当に重要なのでしょうか?
このような状況下での開催でもあり、ひょっとしてICCサミット開催は今回が最後になるかもしれません。見た目なんて気にしている場合ではないですよね?
何のためにサーキュレーターがあるのか、何のために換気をするのか、何のために我々が存在するのか、そういったことをスタッフ一人ひとりが本当に理解していないと運営できないことを分かっていただければと思います。
本当に重要なのは“原理原則”に基づいた運営であり、原理原則に基づいた運営とは、どんな場面でも「なぜそれがあるのか?」と主催者の意図するところに立ち返って考え取り組むことです。この基本を貫くことが、参加者の求めるCo-Creationの“場”の提供につながると考えています。
現状ではまだまだ国内の出張制限を行う企業も多く、参加者の中には、2月に開催されたICCサミットFUKUOKA 2020以来半年ぶりに出張するという方も大勢いらっしゃいます。
そういった方々の期待に応えるものをともに創れること、さらにはその“空間”を共有できる素晴らしさを改めて感じました。皆さんには、緊張感を持って挑んでいただければと思います」
運営スタッフの表情が引き締まり、拍手が起こった。
運営スタッフは、“なぜそうするのか?”を考え抜く
A会場スタッフは、まだ到着したばかりで現場の緊張した雰囲気を纏ったままだ。少し申し訳ないと思いつつ、食事を始めたばかりの本田さんに声をかけてみる。
彼はスタッフ歴5回目で、会場担当は2回目のベテランだ。
――お疲れさまでした。
本田さん(A会場)「今日は16時から17時まで一度リハーサルをして、その後20時半くらいまで再度リハーサルを行ったため前夜祭への到着が遅れました。
やはり、カタパルト登壇者が演台に立つ際のオペレーションなどが例年より複雑になっています。
例えば登壇前にフェイスシールドとマスクをお預かりしたり、マイクのアルコール消毒をするなどの手順が加わったりしたので、本番でスムーズに進行できるよう繰り返し確認や調整を行っていました。
――そうだったんですね。
本田さん でも、なんというか、今回は“原理原則”に新たな要素が加わっただけで根本は変わりません。カタパルト会場経験者も何人かいますが、そういったベテランの経験値がゼロになったわけではないと思います。
僕はカタパルトのオペ卓(音響・映像機器)担当は初めてです。マニュアルに書かれていないような細かな箇所の調整にも時間を割きました。
――例えば?
本田さん 演台担当者は、演台上の機材のチェックをした後に会場のオペ卓にコミュニケーションすることになっているのですが、マニュアルにはどのようにコミュニケーションを取るのかという細かいところまでは書かれていません。
BGMの設定についても、iPadでの入れ方などについてはもちろん書かれていないので、それについて調べて工夫するといった感じでした。
それで少し時間がかかり予定より到着が遅れたのですが、準備自体はきちんとできたと思います」
力強い言葉に頼もしさを感じた。同じくA会場担当の荒木さんも、明日への意気込みを聞かせてくれた。
荒木さん(A会場)「カタパルトについては結構しっかり準備できたので、明日は万全だと思います。頑張ります。
今日はスタートアップ・カタパルトに登壇される藤井友輝さん(Engo株式会社)がたまたま来てくださったので、7分間通しでリハーサルしていただきました。
色々と確認できたので、すごくよかったです」
別のテーブルでは、スピーカー誘導チーム(※)の松井さんが静かに意気込みを語る。
▶編集注: スピーカー誘導チームは、登壇予定のスピーカーを控室に誘導し、さらに写真スタジオ、会場へと誘導する。さらに今回は大勢の参加者を決められたランチ会場に誘導するという新たな役割も務める。
松井さん(スピーカー誘導)「今回はランチ会場の運営も大変です。参加者をセッション会場のある西館から東館に移動していただき、フェイスシールドの着用や、飛沫防止のために用意したうちわの使用をしていただかなければならないのですが、皆さんにご協力いただけるかというところです。
加えて、ランチ会場にも換気機器(サーキュレーターやハンディジェットなど)を設置しますので、オペレーションについてしっかり考えたいです」
それぞれのスタッフが、まるで先ほどの小林さんのスピーチをなぞるように、試行錯誤しながら会場準備にあたっていたことが分かる。
明日からのよりよい運営について、運営スタッフ同士の議論はいつまでも止まない。
後方に目を向けると、小林さんの周りには各チームの統括を中心とした運営スタッフが集まり、会場の換気(新型コロナウイルス感染症対策)について最後まで議論と微調整が行われている。
金田さん「雅さん(小林さんの愛称)のマニュアルにある原理原則の部分は守り、さらに実際にやってみて現状に合わせながらぶれないように調整してつくっていくのが、統括の役割です」
そうカネタクさんが教えてくれた。しばらく彼から会場の換気についてのお話を伺っていると前夜祭お開きの時間が近づき、小林さんが締めのスピーチに立つのが見えた。
参加者が、心からよかったと思えるようなサミットに
ICC小林「明日から本番です。僕はよく『準備が全て、結果が全て』と言いますが、文字通り、準備をしっかりした上で結果を出せるというのが理想的だと思っています。
例えば、あまり勉強しなかったけれどたまたまテストの点数がよくて合格したというのは、結果オーライという意味ではよいのかもしれません。
でも、イチローのように一流と言われるプロスポーツ選手などは、真剣に練習して結果も出します。
それが本当の意味での美しいプロフェッショナルな仕事ではないかと思うのです。僕は20代前半の時からそう心に刻みながら仕事に取り組んできました。
カンファレンスも同じで、今日いかにコミュニケーションを取り、いかに良い議論をし、いかによく考えたのかが本番に結びつく。そして最終的に結果が出なければ次につながりません。
皆さんはしっかり準備をしているし、よいカンファレンスを創りたいと思っているはずです。
でも参加者の皆さんが心からよかったと思えるようなものを創れなければ、結果が出たとも成功したとも言えません。
僕はこれまで、結果のみしか求められない仕事をしてきて生き残ってきた人間です。消え去った人間は、どんなに頑張ったと言えども結局、結果が出せなかった人たちです。
皆さんには是非…(声を詰まらせる)…結果が出せる人間になってほしいと思っています」
小林さんが言葉を詰まらせる様子に、思わず取材の手が止まってしまった。
筆者は週4日ICCオフィスで編集業務をしており、小林さんがICCサミット運営チームメンバーの選抜面接をする様子や、ワークショップなどを通して各々の個性に目をかけ自らの経験を基に助言する様子を見てきた。
だからこそこのスピーチで、ICCサミットにかける小林さんの強い想いはもちろん、「カンファンレンス運営を通じて社会に役に立つ人材を育成・発掘したい」「運営チームメンバーに成長機会を提供したい」とスタッフの育成にも力を注いでこられたことが改めて振り返られ、胸が一杯になった。
その期待に応えるように、皆の「よいカンファレンスを創りたい」という想いが一つになる。
「ともに産業を創る。」という言葉を現実に
ベテランスタッフの一人である三輪さんは、ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリの優勝者でNPO法人 e-Edudationの代表理事を務める。
参加者(登壇者)と運営スタッフの両方を経験した立場から、よいカンファレンスとは?Industry Co-Creation(ともに産業を創る)とは?について語ってくれる貴重な存在だ。
同時に参加者と我々スタッフを、同じ場を共有する“仲間”としてつなげてくれるファシリテーター的な存在でもある。
三輪さん(A会場 統括)「僕は登壇者として参加させていただき優勝することができて、人生が変わって、だからこそICCに恩返しがしたくてスタッフになった身です。
その初めてのカンファレンスでは、スタッフの方々にすごく助けられました。
当時NPOで皆の知らないような国で活動していたこともあり、誰からも見てもらえないのではないかといった思いがありパーティーやセッション中にはずっと隅の方にいました。
でもそんな時、市川さんとカネタクさん(金田さん)に声をかけてもらって、「ここにいていいんだ」「挑戦していいんだ」と勇気をもらえたことで、最終日の最後に、間違いなく人生で一番のプレゼンができ人生が変わりました。
今回は何というか、デジャヴとまではいきませんが、皆さんの中にもしかしたらあの時の僕と同じ思いで来ている人もいるのではないかと思っています。
笑顔の裏に何かものすごく大きな悩みを抱えてこの場に来ている人がいるとしたら、僕達の一言で、あるいは誰かと誰かを繋げることでその人達が救われて、その人達の先にいる人たちまで救われて、社会全体が救われるようなそういう一手になるのではないかと思っています。
だからこそ、僕らが一つひとつ正しいことをやることで間違いなく最高のカンファレンスになると思っているのですが、皆さんは“プラス1”や“プラス2”を出せる人達だと思っているので、『ともに産業を創る。』という言葉を現実にできるように、カンファレンスを一緒に運営していけたら嬉しいです。
明日から頑張りましょう!」
三輪さんの呼びかけに、スタッフ全員が拍手で応えた。
運営スタッフの一人ひとりが、「ともに学び、ともに産業を創る。」 ための良質な“場”をつくりたいという主催者の想いに共感している。そしてこのコミュニティには、その想いを実現するにはどうすればよいか、皆が考えながら結果にコミットするカルチャーがあることを、筆者はインタビューから感じた。
それにしても驚きである。運営スタッフチームは、普段はそれぞれ異なる企業やコミュニティをベースに活動していて、ほとんどのメンバーが今日京都に到着したばかりだ。そして今朝初めて運営会場に足を踏み入れ、筆者のように最初はトイレがどこにあるかも分からなかった人がいるほどだ。
そんな中、今日は皆で一から会場設営をし、リハーサルをし、この前夜祭で笑い、涙し、明日への意気込みを語った。
明日は本番だ。今回参加いただく670名の方々にとって最高の場を創るべく、スタッフの奮闘が始まる。
(続)
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編集チーム:小林 雅/フローゼ祥子/浅郷 浩子/戸田 秀成
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