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世界初の商用グラフェン技術で、デジタル産業に革命をもたらす「グラフェナリー」(ICC FUKUOKA 2026)

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ICC FUKUOKA 2026 リアルテック・カタパルトに登壇した、グラフェナリー 平野 梨伊さんのプレゼンテーション動画【世界初の商用グラフェン技術で、デジタル産業に革命をもたらす「グラフェナリー」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】放射性廃棄物を抑える核融合で、持続的な電力供給に貢献する「LINEAイノベーション」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2026)


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

平野 梨伊
グラフェナリー
代表取締役社長
公式HP

慶應義塾大学博士課程を修了後、三菱電機株式会社にて液晶ディスプレイや携帯電話基地局向けの半導体トランジスタの研究開発に従事。担当したデバイスの上市に成功し、所長表彰を複数受賞。また、海外企業と協力した新規事業の開発をプロジェクトリーダーとして牽引。社内における研究開発の戦略立案やポートフォリオ策定に従事。また、文部科学省に出向し、競争的研究資金制度の企画・運営に参画し、100億円以上の予算を獲得。早稲田大学大学院にて大学発スタートアップの成功要因を研究し、MBA取得。東北大学ベンチャーパートナーズにてディープテック投資を担当し、大学発スタートアップのバリューアップに貢献。現在はグラフェナリー株式会社代表取締役社長および慶應義塾大学特任講師として、革新的グラフェン技術の社会実装に挑む。


平野 梨伊さん グラフェンで光デバイスを革新する、グラフェナリー株式会社です。

我々は、慶應義塾大学発の「グラフェン技術」と「光デバイス技術」を融合した次世代半導体の社会実装を目指しているスタートアップです。

ノーベル賞を受賞した素材「グラフェン」とは

まず、半導体の進化について、ご説明させてください。

半導体の進化は、これまで多くのイノベーションを創出してきました。

そして、新たな半導体として誕生したのが、「グラフェン」です。

グラフェンは、「炭素原子が平面上に並んだ非常に薄い材料」で、2010年にノーベル賞を受賞しました。

ノーベル物理学賞に英大の2博士 炭素新素材グラフェン(朝日新聞DIGITAL)

ノーベル賞を受賞した理由は、

  • シリコンの100倍という非常に電気が高速に流れる性質
  • 鉄よりも強く、ゴムのようにしなやかに曲がる、薄いけれど強いという性質
  • 銅の10倍という非常に良く熱を通す性質

があるからです。

世界初、グラフェン光源の開発に成功

多くの研究者が、電気が高速に流れる特性を活用して、グラフェンのトランジスタの研究開発を精力的に行ってきました。

しかし我々は、先ほど挙げたすべての特性を使って、世界で初めて、「グラフェン光源の開発」に成功しました。

グラフェンを用いることによって、「赤外光源」を「半導体基板上に集積」することに成功しました。

グラフェンの光源としての圧倒的な性能を、1枚の半導体チップの中に実現しました。

赤外光線の構造は140年間進化しなかった

この図に示すように、赤外光源の構造(ガラス管に封入された数ミリメートルのフィラメント)は、1878年にエジソンが白熱電球を開発して以来、約140年にわたり進化してきませんでした。

しかし我々は、グラフェンを用いることによって、半導体基板上に集積可能なグラフェンの赤外光源を、世界で初めて開発することに成功しました。

これは慶應義塾大学の牧(英之)教授が10年以上、そして数億円の費用を投じて研究開発した成果です。

これにより、トップジャーナルの『Nature Communications』に論文が採択され、特許群も成立しています。

▶︎High-speed and on-chip graphene blackbody emitters for optical communications by remote heat transfer(Nature Communications)

グラフェン光源を赤外分析装置に活用

我々は、このグラフェン光源を「赤外分析装置」に活用していこうとしています。

赤外分析装置は、物質に光を当て、透過した光(光の吸収パターン)を観測することで、物質の同定や、状態を分析することができる装置です。

我々のグラフェン光源は、「従来の光源の約100万分の1」の光源面積です。

そこで、「光も弱くなってしまうのではないか?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし我々は、このグラフェン光源とセンシング技術を融合することによって、従来の100万分の1の面積の光源でありながら、従来と同様の赤外分析ができる手法を確立しました。

これによって、理論限界を超える10倍の空間分解能(接近した2点を独立した2点として見分ける能力)を達成しています。

こちらは、他の光源との比較です。

中赤外LEDや量子カスケードレーザー、波長可変QCLやハロゲンランプ等と比較して、我々のグラフェン光源は、非常に発光サイズが小さく、かつ半導体基板上に集積可能です。

また波長範囲も非常に広いため、複数の物質や状態を同定することが可能で、発光周波数も非常に高いため、高感度な測定を行うことが可能です。

バイオ分野への革命的応用

この超微小のグラフェン光源は、人類をどう進化させるのか、ご説明させていただきたいと思います。

先ほどのグラフェンを搭載した赤外分析装置を、我々はバイオ分野に活用していくことを考えています。

既存のバイオ製品は、可視光のみで、蛍光マーカー(ラベル)が必要で、生きたままの細胞を見ることが困難といった課題があります。

しかし、我々のグラフェン光源を搭載した赤外分析装置は、赤外線によってラベルフリーで多成分を直接観察可能です。

非常に高い空間分解能があるため、細胞を生きたままダイレクトに継続観察することが可能です。

我々は現在、分析装置メーカーと協業をスタートしており、グラフェン光源とその回路モジュールを分析装置メーカーに販売していくことを目指しています。

まず、SOM(実際にアプローチできる市場規模)として、赤外分析装置の280億円の市場を狙っていきます。

将来的には、バイオ分野に展開していくことによって、4,200億円の非常に大きな市場を狙っていきます。

イノベーションの発端になる、最初のスタートアップに

我々のグラフェン技術は、先ほどのような「医療・バイオ」分野以外にも、「環境・分析・創薬」「情報通信・半導体」「新素材」といった多くの技術分野に展開することが可能です。

NDA(秘密保持契約)のため、本日は残念ながら詳細をご説明することができないのですが、たった一つのグラフェン技術によって、デジタル産業に革命をもたらすイノベーションインパクトがあります。

我々の目指すスタートアップ像は、イノベーションの「発端」になる「最初のスタートアップ」です。

量子コンピュータを例にとりますと、「D-Wave」という世界初の商用量子コンピュータが誕生したことによって、一気に社会実装が進み、社会変革が起こりました。

我々も、世界初の商用グラフェン光デバイスを社会実装し、多くの社会変革を生み出していくスタートアップとなることを目指しています。

グローバルを見据えた事業ロードマップ

こちらは、現在の推進体制です。

グラフェンを社会実装するために、半導体の経験者からなるチーム体制を構築しています。

私自身も半導体の研究開発の経験があり、慶應義塾大学で20年以上グラフェンの開発に携わり、世界で初めてグラフェンの赤外光源を開発した牧がCTOを務めています。

またアドバイザーとして、元JVCケンウッド社長である河原(春郎)さんにも参画いただいています。

また、我々の技術に賛同した多くの研究者が、チームに参画してくれています。

我々が考案した多くの基本特許がすでに成立しており、知財クリアランスと参入障壁を確保した上で事業を推進することが可能となっています。

これまでに、多くの賞を頂いています。

今後のロードマップです。

革新的なグラフェン素子で赤外分析装置による着実な事業化を図るとともに、多事業に展開していくことを目指しています。

「産学官民金」を巻き込んだオールジャパンで産業化を図り、グローバルへ展開していきます。

次の時代はグラフェンとともに進化する

人類は、これまで半導体と光源の進化とともに発展してきました。

次の時代は、グラフェンとともに進化していきます。

この実現は我々だけではできないため、ぜひここにいる皆さんの力をお借りして進めていきたいと思っています。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/小林弘美/戸田 秀成

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