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ICC FUKUOKA 2025 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、NEWLOCAL 石田 遼さんのプレゼンテーション動画【人・金・知恵の仕組みで、地域リーダーたちとまちづくりの希望を作る「NEWLOCAL」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】司法で社会の不合理を変える!“公共訴訟”に取り組む専門家集団「LEDGE」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
石田 遼
NEWLOCAL
代表取締役
公式HP | 公式X
1986年東京生まれ。東京大学大学院 隈研吾研究室で建築・都市設計を専攻。卒業後、マッキンゼーアンドカンパニーにて国内外の企業・政府の戦略策定・実行を支援、主に都市開発、公共政策などを担当。2017年 都市·不動産向けのスマートシティ・スマートビルのプラットフォームを提供するIoTスタートアップを起業。2022年 株式会社NEWLOCAL創業。「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに日本各地で不動産開発を中心としたまちづくりを行い、人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指す。現在は長野県野沢温泉村・御代田町、秋田県男鹿町、京都府丹後地域で展開中。半分は東京、半分は各地を飛び回る生活。
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石田 遼さん 「地域からハッピーシナリオを共に」、NEWLOCALの石田 遼です。
よろしくお願いします。

突然ですが、皆さんの地元の10年後を、想像してください。

どのような未来が見えますか?
シャッター街、廃校…、地元に未来はあるのか
開かないシャッター、増える廃校、自分の地元には未来がない――日本中で、こんな言葉を耳にしてきました。

2040年までに、自治体の半数が、消滅の危機にあると言われています。

▶自治体、2040年に半数消滅の恐れ 人口減で存続厳しく 2014年5月8日(日本経済新聞)
生き残れるのはリーダーがいる地域だけ
そのような中、稀に出会う、希望ある地域の共通点に気づきました。

それは、未来を担う覚悟ある地域リーダーの存在です。

彼らと出会い、こう確信しました。
生き残ることができるのは、リーダーがいる地域のみです。

でも、それだけでは足りません。
共同創業者として地域リーダーを後押し
地域の現状を変えるために、リーダーは行動します。
しかしながら、やがて、壁に突き当たります。
課題は複雑で、専門人材やファイナンスの知見は足りず、活動は点から面になりません。

NEWLOCALは、リーダーをブースト(後押し)し、持続的に希望をつくります。

NEWLOCALは、地域リーダーの共同創業者として、JV(※) を立ち上げ、不動産を軸にした、まちづくり事業を展開、地域への「人」「金」「知恵」の循環を生みます。
▶編集注:JVとは、Joint Ventureの略称で、複数の企業が互いに出資し、新しい会社を立ち上げて事業を行うこと。合弁企業(事業)、共同企業体。
創業2年半で、4地域(・12施設)・売上2億円(今期見込み)、8億円を調達し、40名以上を雇用してきました。
私たちは、ただのまちづくり会社ではありません。

今後10年で消滅する(とされている)地域を救うために、スピード、スケール、再現性を追求する、まちづくりスタートアップです。
1拠点目は長野県野沢温泉村
1拠点目は、長野県野沢温泉村です。

自然と文化に恵まれた、人口3,000人の村に、年間60万人が訪れます。


地元だけでは課題を解決できない
地域リーダーは、河野 健児です。

東京で就職後、地元に戻り、観光協会の会長になりました。
彼は、村の課題に気づきました。
「高齢化による施設の遊休化」と「観光の冬偏重による通年の雇用機会不足」、どんどん縮小する構造です。

彼は、夏のアクティビティの会社を立ち上げ活動する中で、この課題は、地元のみでは解決できないと考えるようになりました。

遊休施設を季節を問わず集客できる宿泊施設に
私は、健児さんの志に共感し、野沢温泉企画を設立しました。

遊休施設を活用し、通年で人を呼び込み、移住や雇用を促進しています。

例えば、長年使われていなかった、こちらの物件は、DIYをしてバー(MusicBar GURUGURU)にしました。



1日100人以上が訪れます。
運営を引き継いだ宿(野沢温泉ロッヂ)では、夏のコンテンツをつくり、稼働率が40%になりました。


築100年の古民家(白樺)は、通年で集客できるホテルに改修中です。
個人保証でコミット
一度は、すべての銀行から断られましたが、1年越し(創業1年)で3億円を調達することができました。

私自身も個人保証をつけ、覚悟を決めています。

これらは、すべて徒歩圏内です。リスクを取って(背負いながら)事業を行い、雇用や集客を生むことで、少しずつ村全体に変化が生まれています。

変化や挑戦の輪が、社外へと少しずつ広がっているのです。

まちづくりを推進する人・金・知恵の仕組み
あるとき、ふと、寡黙な健児さんが、「あきらめかけていたことが、遼たちが来て、変わりだした」と言いました。

このように、NEWLOCALは3つの仕組みで、まちづくり事業をブーストしています。

まず、地域内外共創という「人」の仕組みです。

人材を雇用・育成、行政や事業者と連携し、外からの関わり代(しろ)をつくります。
次に、ファイナンスハックという「お金」の仕組みです。

地域にお金の流れを生み、地域社債や地域REIT(リート)(※) などの仕組みをデザインし、不動産を介した「地域インパクトファイナンス(※) 」を開拓します。
▶編集注:REIT(リート)とは、Real Estate Investment Trustの略称で、投資家から集めた資金で不動産への投資を行い、その収益(賃貸料収入や売却益)を投資家に分配する金融商品(不動産投資信託)のこと。実施主体はそのためにつくられた投資法人または信託。(REITを参照)。
▶編集注:インパクトファイナンスとは、社会的または環境的な成果を意図的に創出することを目的としながら、経済的なリターンも追求する金融活動のこと(インパクトファイナンスとはを参照)。
そして、多地域連携という「知恵」の仕組みです。

人と知見を地域間で共有して体系化し、行政・金融機関との制度設計も進めます。
秋田県男鹿市、京都府丹後地域に拠点
非常に泥臭い事業ですが、徐々にモデルが見えてきました。

秋田県男鹿市では、稲とアガベの岡住 修兵と取り組み、宿のなかった男鹿駅前に、来月(2025年3月)にはホテル(ホテル かぜまちみなと) が、(2025年)夏には商業施設ができる予定です。
▶「男鹿まち企画」創業1周年 観光庁の令和5年度事業「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」に男鹿市が採択(PR TIMES)
▶男鹿の未来を拓く挑戦! サケ造りとまちづくりで、地域の希望の星になる「稲とアガベ」(ICC KYOTO 2024)



京都府丹後では、ローカルフラッグの濱田 祐太さんと、創業1カ月で店舗をオープンし、現在、3つの宿を開業準備中です。
▶まちづくりスタートアップNEWLOCALがローカルフラッグと「株式会社京都丹後企画」設立 丹後の文化と自然を活かした未来へ(PR TIMES)
▶生まれ育った地域の衰退を止めたい! 地産ホップの「ASOBI BEER」で京都・丹後から挑戦する「ローカルフラッグ」(ICC KYOTO 2024)



地域リーダーが溢れる日本へ
現在は(創業2年半で)4地域、5年で10地域を目指し、毎年20地域ほど開拓していく予定です。

まずは、希望を体現する10地域をつくります。
それぞれ売上10億円、地域が変わる規模を目指します。
そうして、ロールモデルと仕組みをつくり、次のフェーズへ。
地域リーダーが溢れる日本にします。
まちづくりを産業として育て、世界へモデルを展開します。

地域は可能性の溢れるフロンティア
私は、東京都出身です。

建築、コンサルタント、ベンチャーで、まちづくりの経験を積んできました。
恵まれた環境でしたが、「本当に未来につながる仕事に人生を懸けたい」という思いを抱えてきました。

コロナ禍を機に、日本中をめぐり、地域こそ、世界に誇る資産で、可能性の溢れるフロンティアだと実感しました。



“新しい地元民”としてまちづくり
そして、地域リーダーたちと出会い、「一緒に仕事がしたい(共に取り組みたい)」と思いました。

自分のようなプロ人材たちが、“新しい地元民”になれば、地域は変わる――そう信じて、これまでの経験と資産のすべてを、地域に注いでいます。

仲間も集まってきました。

宿泊・飲食・まちづくりのプロや、優秀な若手が、日本中で、新しい地元民となっています。
よそ者や変化を嫌う声も
もちろん、地域には、よそ者や変化を嫌う方もいらっしゃいます。
あるとき、“健児は東京者に騙されている”と噂する方がいらっしゃいました。

なぜ、これほど頑張っているにもかかわらず、理解してもらえないのだろうかと、やるせない気持ちになりました。
しかし、健児さんは、「自分たちは正しいことをしているのだから、ここで負けて(挫けて)はいけない。」「子どもたちの世代のために、俺たちが取り組まなければいけない。遼が続けるのならば、俺は最後まで付き合う」と、言ってくれました。


私は、このようなリーダーたちに、人生を懸けたいと思いました。
地域からハッピーシナリオを共に
さあ、今度は、どのような未来が見えますか。

私には、希望が見えます。

NEWLOCALは、泥臭く、覚悟を持って、リーダーたちと、地域で希望をつくり、世界へ届けます。


私たちのビジョンは大きく、まだまだ力が必要です。
正直、挫けそうになることも、多々あります。
皆さんの力を貸してください。
地域リーダーの方、そして、地域に想いのある、個人、企業、金融機関の方、共に取り組みましょう。
「地域からハッピーシナリオを共に」

ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成