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ICCサミット KYOTO 2020 カタパルト・グランプリに登壇いただき、4位に入賞した、MI-6 木嵜 基博さんのプレゼンテーション動画【旧態依然の研究開発プロセスに革新!「MI-6」は素材開発で、世紀の発見を必然にする】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS にサポート頂きました。
▶【速報】“小さな水インフラ“で世界の公衆衛生をアップデートする「WOTA」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)
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【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX
強者が勢揃い
Sponsored by AGSコンサルティング
木嵜 基博
MI-6株式会社
代表取締役社長
2012年京都大学卒業後、ITベンチャー企業に入社し主に事業開発として、クラウドソーシング事業の起ち上げ、ビッグデータのクレンジング業務等に従事。事業開発責任者としてマザーズ上場に貢献後、2015年オリックス株式会社、2017年モバイク・ジャパン株式会社のGM代理として国内事業を管掌。その後“素材開発に効率と創造をもたらす”MI-6を創業、社内外のテクノロジーやネットワークを活用した幅広い事業開発に一貫して従事。ICCサミット FUKUOKA 2020「リアルテック・カタパルト」優勝。
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木嵜 基博さん 素材開発に革新と効率をもたらすMI-6の木嵜(きざき)です。
イノベーションを牽引するものとは?
突然ですが、皆さんに質問です。
EUの調査によると、「70%のイノベーションには、◯◯が関与している」そうです。◯◯とは何でしょうか?
答えはマテリアル、素材です。素材の発展が、世の中の数々のイノベーションを牽引してきました。
日本は、その素材の研究開発に非常に強い国です。
例えば昨年(2019年)、吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞されました。
私は、彼らが発明したリチウムイオン電池は世の中を大きく前進させ、イノベーションを起こしたと思っています。
しかし、素材開発には非常に時間がかかります。リチウムイオン電池も20年間かかってようやく実用化できました。
非効率な研究開発のプロセスをデータサイエンスで変える
開発の現場には、経験と勘に基づいて実験と評価を何度も何度も繰り返す、非常に非効率なアプローチが残っています。
これは、140年前のエジソンの時代から本質的には変わっていません。
しかし、今はデータサイエンスの時代です。
そのデータサイエンスを活用し、欲しい素材を効率的に探す手法である“Materials Informatics”、通称“MI”が、今、業界で注目を集めています。
MI-6は日本唯一のMI専業ベンチャー
弊社は日本唯一のMI専業ベンチャーとして、3つのサービスを展開しています。
まずはこちらの、技術のイメージ動画をご覧ください。
近い将来、材料研究者は、コンピューターの中で「こういったものを作りたい」と指示を出すだけになっていきます。
すべての仮説を実験することはコスト・期間の面で不可能なので、効率的に探したい場合には、少ない点数からMIを活用して次の実験条件を探します。
それをロボティクスにそのまま指示して合成し、作られた素材のサンプルを測定の機械にかけ、インプットとアウトプットのデータを先ほどのMIのモデルに反映させて、次に良さそうな条件を探索していきます。
そしてグラフ曲線の次の山、この辺りが良さそうだと分かれば、ロボティクスに指示を出し、再度インプット、アウトプットを取ります。
このプロセスに一切人手はかかっていません。
このようにしてデータを取り、モデルの更新を高速で繰り返すことによって、最短距離で一番良い値を発見することができるのです。
MIで“打率”を上げ、ロボティクスで“打数”を上げる
少しマニアックな話なので、技術の強みについて分かりやすく「野球」に例えてご説明します。
野球でより多くのヒットを打つためには、「打率」か「打数」を上げればよいのです。
MIは野球で言えば打率を上げるアプローチで、ロボットが打数を増やすアプローチです。
次に、それぞれについてご紹介します。
素材パラメータの最適化が大幅にスピードアップ
素材開発にはたくさんのパラメータがあります。
従来のやり方だと、4象限で切っても、5つのパラメータを最適化するには4の5乗、つまり1,000以上のパターンが存在します。
しかしMIを活用すれば、たった15回で最適値に到達させることができるという「最適化」が可能になります。つまり1回1回の精度を上げ「打率」を向上させることができるということです。
でももしかしたら、経験と勘に頼るベテランの中には「いや、俺なら5回、10回でできる」と言う方がいらっしゃるかもしれません。本当にそうでしょうか?
2つのパラメータを人の頭の中で最適化しようとすると、コンピュータゲーム「マインスイーパ」でランダムに地雷を探すときのように「この辺りがよさそうだ」と見当をつけることになります。
では3つ目4つ目のパラメータとなると、自分の頭の中で描ける範囲でしか、なかなか探索することができません。
しかし実際にはもっと多くの素材空間があり、ほぼ無限の組み合わせが存在します。
ふとした偶然をきっかけに予想外の素晴らしい発見をすることを「セレンディピティ(serendipity」と言いますが、それができるのがMIの強みです。
実験・評価は10倍速、短期間で新素材開発が可能に
そしてロボティクスは、従来人がほぼ手動で行っていた実験と評価計測を、その10倍のスピードで行います。
ここで2つのアプローチを整理すると、まずMIによって打率をアップさせることができます。1回1回の実験の精度を上げることで実験回数を減らすことができるとも言えます。
さらにロボティクスによってスピードが10倍になるので、同じ期間であれば10倍のトライアンドエラーができることになり、大きなアドバンテージとなります。
今はグローバルでも大きな事例が出てきています。
例えば、これまで開発に5年間かかっていたものが、5分の1の期間で実現されるようになりました。
弊社も同様な事例を発表させていただいています。
研究開発コストを削減しつつ、イノベーションを加速
ここでMI-6の提供価値について整理します。
従来、開発に5年間かかると、人件費だけでも最低5,000万円はかかっていました。
それが我々の技術で10倍の試行が可能になった結果、半年間で従来の5年間分の実験回数を遂行できるようになりました。
さらにMIによって打率も向上するため、イノベーションを加速させることができるのです。
「誰でもMI」を目指し、素材R&Dの生産性を最大化
実績とビジネスモデルです。
創業より、ハンズオンMIサービス、SaaS、そしてロボティクスのサービスを順次投入していっています。
今これらの業界の売上トップ3に入る企業は、すでに我々のクライアントとなっています。
導入業界の幅広さ、扱う素材の幅広さ、そして技術力の証明だと思っています。
そして今、ハンズオンMIを中心に2年連続で300%の顧客成長率を実現できています。この顧客基盤をもとに、SaaS、RaaSへの展開を進めています。
我々は「誰でもMI」を実現し、R&Dの生産性を最大化するサービスを安価で提供できるよう進めています。
また、既に累計5億円超の資金を調達しています。
特徴的なのは、2.7億円を国から調達している点です。
日本は元来素材産業が強いのですが、国際的競争力をさらに強めたいという、いわば国家戦略レベルでの使命感と覚悟を持って取り組んでいます。
専門性の高いマルチなチームが強み
こちらが、このテーマに取り組むチームです。
専門性が非常に複雑で大勢おり、4つの専門性を持つチームで構成されています。
例えばデータサイエンスは、MIの権威で弊社の共同創業者でもある津田宏治先生を筆頭とし、技術顧問、そしてデータサイエンスのメンバーで編成されています。
そしてソフトウェア・SaaS を作るチームは、豪華な企業ロゴからもお分かりのように、強力なメンバーで構成されています。
マテリアルの専門家で構成されるチームは、ドクター割合が非常に高く珍しいケースかと思います。
そしてロボティクスは、このようなチームで取り組んでいます。
研究開発プロセスを革新し、世紀の発見を偶然ではなく必然に
次に、ターゲット市場です。
素材産業は非常に大きいのですが、売上に占める5%が研究開発費用です。
この巨大な非効率マーケットに対して取り組んでいるのが我々です。
素材産業におけるマクロ環境としては、現在、海外との競争がかなり激化しています。
また素材開発が高度化・複雑化し、市場ニーズが短期サイクル化していて、従来のやり方ではもう通用しなくなってきています。
つまり「変革」が求められており、それが今取り組むべき理由だと考えています。
最後に、我々は素材産業が日本の数少ない強みだと信じています。
先人が培ってこられたノウハウの結晶と我々の新たな技術を組み合わせて、素材開発を通じて世の中をより良くしていきたいと思います。
リチウム電池のような世紀の発見を、偶然ではなく必然にしたいと思っています。
MI-6でした。ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/フローゼ祥子/戸田 秀成/小林 弘美
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