コンサル・投資銀行の実体験から生まれたユーザベース「SPEEDA」 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

コンサル・投資銀行の実体験から生まれたユーザベース「SPEEDA」

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ビジネス・ブレイクスルー大学大学院の「アントレプレナーコース」が2016年4月に開講しました。ICCパートナーズ小林雅が担当した「スタートアップ企業のビジネスプラン研究」全12回の映像講義について、許諾を頂きまして書き起し及び編集を行った内容を掲載致します。今回の講義は、株式会社ユーザベース 代表取締役共同経営者/株式会社ニューズピックス代表取締役 梅田 優祐 氏にゲストスピーカーとしてお話し頂きました。

60分の講義を3回に分けてお届けします。 (その1)は2008年に創業するまでの梅田氏の起業するまでのキャリアと、その体験を基にしたユーザベース「SPEEDA」の誕生ストーリー・について語って頂きました。ぜひご覧ください。

登壇者情報
2016年1月21日収録
ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」
スタートアップ企業のビジネスプラン研究
「ユーザベース」「ニューズピックス」
 
(講師)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 教授
 
(ゲストスピーカー)
梅田 優祐
株式会社ユーザベース 代表取締役共同経営者
株式会社ニューズピックス代表取締役
 
(アシスタント)
小泉 陽以

小泉陽以 氏(以下、小泉) ビジネス・ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」スタートアップ企業のビジネスプランのお時間です。

この番組のアシスタントを務めます小泉陽以です。よろしくお願い致します。

小泉

まずは講師をご紹介いたします。

ビジネス・ブレイクスルー大学大学院教授、小林雅さんです。

小林さん、よろしくお願い致します。

小林雅 氏(以下、小林) よろしくお願い致します。

小林

小泉 今回はどのような内容になりますでしょうか。

小林 今回は、「ユーザベース」そして「ニューズピックス」の代表の梅田さんをお招きしております。

おそらく受講生の方でもNewsPicksを利用される方は多いでしょう。ICCパートナーズの公式アカウントもありますので是非ご覧ください!

最近は、キュレーション・メディアとか、あらゆるコンテンツが簡易に作れるようになってきていることもあり、起業するときにそういったメディア企業をやりたいという人が増えてきていると思います。

そこで、実際にメディアを事業化している梅田さんに、NewsPicksの立ち上げの経緯も含めて伺いたいと思っております。

小泉 それでは改めましてゲストをご紹介いたします。

株式会社ユーザベース代表取締役共同経営者、株式会社ニューズピックス代表取締役の、梅田優祐さんです。

梅田さん、よろしくお願い致します。

梅田優祐 氏(以下、梅田) よろしくお願い致します。

梅田

小泉 では、梅田さんのプロフィールをご紹介いたします。

スライド01

小泉 梅田さんは1981年にお生まれになり、2004年に横浜国立大学を卒業されました。

そして、コーポレイトディレクションにて製造業、商社を中心とした全社成長戦略、再生戦略の立案・実行支援、食品メーカー等のBPRを中心に従事されました。

まず、卒業されてからコーポレイトディレクションへ就職されたわけですけれど、こちらではどのようなお仕事をされていたのですか。

梅田 コーポレイトディレクションは日本をベースとした戦略系のコンサルティングファームです。

大企業の戦略立案から事業構造の改革などをアドバイスしながら提案、実行、支援までしていくのです。

私はその下っ端の下っ端として、毎日大量の情報収集をして、それをエクセルで分析をしてパワーポイントで提案書を作るということをやっていました。

小泉 この会社にはどのような理由で入られたのでしょうか。

梅田 大学の時に就職活動で自分自身が何をやりたいかというのは、あまり強く持っていなかったのです。

大学時代も、体育会サーフィン部というのに入ったのですが、まったく熱中できずに、1カ月くらいで辞めてしまった。

何か熱中できるものをずっと探していたのですが、何もありませんでした。

そして、世界中へ旅をしていて、何かを探したいと思っていた時に、やはり「自由っていいな」ということを感じたのです。

そんな中、「プロフェッショナルの対価は自由だ」といった内容を本で読み、私も大学生で単純だったので感化されて、ではプロフェッショナル職種の1つであるコンサルタントになろうと思い門を叩きました。

小泉 ここには何年くらいいらっしゃったのですか。

梅田 3年くらいです。

小泉 そして、その後です。

UBS証券投資銀行本部にて、事業会社の財務戦略の立案、資金調達支援、自己勘定投資に従事された。

このUBS証券へ転職されたキッカケは何かあったのですか。

梅田 はい。コーポレイトディレクションは非常にやりがいのある職場だったのですが、グローバルという視点で仕事がしたいという思いが強くなってきたのです。

コーポレイトディレクションは日本をベースとしておりましたので、海外をベースとしたグローバルなファームに移りたいと思ったのです。

なおかつ、コンサルタントは企業を事業面、つまりPLサイドから見ますが、次はファイナンスの面、つまりBSサイドから見る能力を強化したいという思いでUBS証券へ行きました。

スライド02

小泉 そして、ユーザベース(UZABASE)を設立され、代表取締役共同経営者になられました。

この起業のキッカケは何だったのでしょうか。

梅田 コーポレイトディレクションでも、私の最初の仕事というのは、国会図書館まで行って、大量の資料を印刷して、それを段ボールに入れて、タクシーに乗って、オフィスに戻って、そのデータをひたすら打ち込むというものでした。

そして、なぜビジネスの世界はこんなにも非効率で非合理なところが残っているのかということを、下っ端で働いている中で非常に強く感じました。

ただ、これはコーポレイトディレクションというコンサルティングファームの非常に小さな世界の話だと思ってはいました。

しかし、UBSへ転職をして、グローバルなファームでもまったく同じような働き方だったことに驚きました。

すると、やはりビジネスの世界にグーグルのような、もっと誰もが簡単に使える情報インフラがあれば、全然働き方は変わるのに……という思いが非常に強くなってきました。

そして、UBSの海外オフィスの同僚に聞いても、みんな同じような問題意識を持っていた。

ただ、そういうサービスがないから奴隷のように働かなければならないのだ、と。

そのような状況だったので、ならば自分たちで作ろうという思いが強くなって、1年後にUBSを辞めてユーザベースを立ち上げました。

小泉 こちらは共同代表という形を取られているのですが、お一人ではなくご一緒に創業された方がいるのですか。

梅田 そうです。社長が二人います。

小泉 それはどのような方と一緒に起業されたのですか。

梅田 UBS証券の時の同僚になります。

彼は三井物産からUBS証券に転職してきまして、私と転職したタイミングがたまたま一緒で、研修で隣の席だったのです。

エクセル研修など新人に混じって研修をするのですが、その時にお互い助け合って、何とか研修期間を乗り切ったというのが出会いでした。

小泉 その共同経営者の方も同じような思いを持っていらっしゃったということでしょうか。

梅田 はい。まずは、私がこれをやるためにUBS証券へ「辞めます」と伝えました。

それが社内にアナウンスされた時に、彼から電話が来て「俺も同じような問題意識を持っていたのだ、一緒にやろう」と言ってくれて、一緒にスタートすることになったのです。

小泉 そもそも梅田さんは小林さんともお知り合いだったのですよね。

そこはどういったキッカケだったのでしょう。

小林 私が以前に企画、運営をしていたカンファレンスがあるのですが、その参加者として梅田さんがいらっしゃったのが出会いです。

実は、僕もコンサルティング会社出身(アーサー・D・リトル)なので、同じような経験はありました。

国会図書館というか、マーケティング・データ・バンクという図書館みたいなところがあるのですが、そこへ行ってコピーを取って、ひたすら分析をするということをやっていたのです。

ただ、僕は同じような課題を感じながらも、自分はそういうものを創業しようなどとは考えていなかったな……などと思いながら今聞いておりました。

素晴らしいと思います。

小泉 続きまして、会社の概要につきましてご説明いたします。

スライド03

小泉 事業内容は、企業活動の意思決定を支える情報インフラの提供。

設立は2008年4月。

そして、資本金は10億4,957万円。

所在地は東京都渋谷区の恵比寿です。

ちなみに社員数はどれくらいいらっしゃるのですか。

梅田 現状、ユーザベース全体で約170名の社員がおります。

ユーザベースには、大きく二つのプロダクトがあります。

一つは、法人向けに企業・業界情報を提供するSPEEDA(スピーダ)

もう一つは、BtoCサービスであるソーシャル経済ニュースのNewsPicks(ニューズピックス)です。

そして、このNewsPicksは事業分割をして別会社化をし、現在は株式会社ニューズピックスという形になっております。

そのニューズピックスの社員が約40名くらいで、SPEEDAを展開するユーザベースが残り130名くらいです。

そのような社員構成になっております。

小泉 それではさっそく本題に入ってまいりましょう。

設立のところから少し詳しく教えてください。

スライド04

梅田 はい。ユーザベースを設立したのは2008年になります。

当時私は、UBS証券という投資銀行本部に勤めておりまして、リーマンショックが起こる直前でした。

ですから、景気も非常に良かった。

ただ、働いている中で、冒頭でもご説明いたしましたが、日々情報の海に溺れていて、なかなか欲しい情報にたどり着けないということがありました。

そして、これに対して良いサービスを提供している会社もなかったので、僕たちが立ち上げようということで、UBSを2008年の4月に飛び出して、ユーザベースを作りました。

小泉 ちなみにこのお写真は創業当時のお写真でしょうか。

スライド05

梅田 そうです。12畳ほどある一室がオフィスでした。

品川の江南地区にあった場所なので、周りには飲食店が全然ありませんでした。

ですから、炊飯器が真ん中に見えるかと思うのですが、みんなで自炊していたのです。

また机の下には寝袋を敷いていました。

文字通り「寝食を共に」して、何とか1年目を乗り切りました。

小林 その頃の社員は、1年目の終わりで何人ほどいましたか。

梅田 6人です。

そして、1年間丸々開発期間でしたので、売上ゼロの期間が1年間ずっと続いていました。

つまり、預金が減るだけの期間が1年間あったのです。

小泉 そして、その1年後ですね。

スライド06

梅田 はい。2009年にこのSPEEDAというサービスを始めました。

小泉 これはどのようなサービスなのでしょうか。

梅田 これは、金融機関ですとか、コンサルティングファームが、競合分析をしたり、市場調査をする時に、統計データ、マーケットシェアの情報、財務データといったものをワンストップで簡単に取れるようにしたものです。

今までこういう情報というのは、国会図書館であったり、先ほど小林さんがおっしゃられたマーケティング・データ・バンクだったり、あとは官公庁のホームページなどに散在しておりました。

しかし、それをワンストップに集めて、誰でも簡単に使えるGoogleのようなインターフェイスで実現したものが、SPEEDAになっております。

小泉 これは、BtoB(企業が企業向けに行う事業)のサービスなのでしょうか。

対談

梅田 そうです。BtoBのものです。

小林 コンサルティング会社というのは、たとえばソニーさんがお客さんだとすると、パナソニックを分析しなければならないでしょう。

そういうレベルの分析を、財務データを分析したりなどして、比較するわけです。

そういう場合、普通はいろいろな会社の有価証券報告書などを見ながら、てくてく打ち込みます。

しかし、それを一覧性のある形ですぐに使えるというのがSPEEDAです。

小泉 そうしますと、ちょうど前職であった証券会社の方たちなどが使えるということですね。

梅田 私自身が金融機関やコンサルティングファームの下っ端で苦労していたので、自分たちの欲しいものを作ろうということで実現したのがこのSPEEDAになります。

小林 これは使う方は簡単なのですが、作る方は結構大変だったのではないでしょうか?

梅田 めちゃくちゃ大変でした。

本当は2008年の4月に創業して、9月にはもうリリースする予定だったのですが、全然開発がうまく行かなかったですし、コンテンツが集められないという状況だった。

なおかつ、10月にはリーマンショックが起こります。

資金調達もまったくできなくなるし、データを提供してくれるサプライヤーも引いてしまったことがありました。

そういう中、一度開発がゼロに戻ってしまったようなこともあったのです。

ですから、1年間、資金的には最後ギリギリの状況で、なんとかリリースにこぎつけたという状況でした。

小泉 そして、実際どれくらいの方が使っていらっしゃるのでしょうか。

スライド07

梅田 会社数で言うと500社強です。

33%のBusiness Corporationsというのは事業会社さんです。

当初は金融機関ですとか、投資ファンドなど、プロフェッショナルファームを中心にご利用いただいておりましたが、今は富士通のマーケティング部門ですとか、一般の事業会社の方々にも使っていただけるようになってきております。

今は、むしろそこが非常に伸びてきているという状況です。

小林 ちなみに、月にいくらほどで利用可能なのですか。

梅田 ご契約頂くID数によって異なるのですが、月の最低契約金額は39万円になります。

小林 一般的な情報サービスと比べると高額なサービスなのですね。

小泉 BBT(ビジネス・ブレイクスルー大学)でも使っていますね。

梅田 はい。学生さん、みなさんに使っていただいております。

小泉 これは日本の企業だけなのですか。

梅田 世界中の調べたい企業の情報だったり、業界動向などの情報などが取れます。

たとえば、ファストファッション業界のマレーシア市場がどうなっているか調べたいという場合、これだけでも非常に情報収集というのは大変なのですが、SPEEDAに行けばすぐに業界動向が出てきます。

小泉 それは日本語だけに対応しているのですか。

梅田 英語も対応しています。

小泉 では、海外の方も使えるということなのですね。

梅田 はい。

スライド08

梅田 現状、SPEEDAは、国内ではすでにほとんどの金融機関で使っていただけるようになってきておりまして、今は事業会社が増えてきています。

ですから、事業としては非常に軌道に乗っている状況です。

そして、一番のチャレンジは海外に展開していくということで、まずはアジアを中心に広げて行っています。

SPEEDAは日本語でも英語でも両方使えるような形になっています。

今は香港とシンガポールを中心に販売をしております。

あと、上海とスリランカにリサーチ拠点がありまして、ここでアジアの情報を収集してSPEEDAにコンテンツ化しているという形ですね。

小泉 そして、NewsPicksの話題に移りましょう。いよいよNewsPicksの誕生ですね!

(続)

編集チーム:小林 雅/石川 翔太

続きはこちらをご覧ください:地道なテレアポから始まった「NewsPicks」のインフルエンサー戦略

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。