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【最終回】「経営者は賢そうに演じて良いことは1つもない」正直に真っ直ぐに生きよう【K16-8C #5】

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「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」【K16-8C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!5回シリーズ(その5)は、会場からの質問を受け付け、経営者ならではの悩みとして、演じること・自然体であることの是非について議論しました。経営について登壇者と参加者が議論するICCらしい締めとなりました。ぜひ御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。



登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 8C 「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」
 
(スピーカー)
出雲 充  株式会社ユーグレナ 代表取締役社長
川鍋 一朗 日本交通株式会社 代表取締役会長
松山 大耕 妙心寺退蔵院 副住職
 
(モデレーター)
松田 充弘 マツダミヒロ事務所株式会社 代表取締役

「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」配信済み記事一覧

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【本編】

「経営者」を演じているのか? それとも自然体なのか?

ではここで会場から質問を受け付けたいと思います。

質問者1 グッドラックスリーの井上です、今日は貴重なお話ありがとうございます。

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先程 川鍋さんが本当の自分と仮面の自分という話をされていましたが、ある先輩経営者は「経営者はある程度 役者じゃないといけない。例えばこうありたい、こうすべきという自分を出していくべき」と言っていて、一方で常に自然体の経営者もいると思うんです。

出雲さんは毎回緑のネクタイをされていますが、これは演じているのか自然体なのか分からないんですが、

川鍋 (出雲さんを見て)自然体です。

(会場笑)

質問者1 すごくかっこいいなと思ってるんですが、役者である自分と本当の自然体の自分をどう折り合いをつるのかというのがもやもやしていて、自分の中であまり整理されていないのですが、そのあたりを川鍋さんや出雲さんはどうされているのかお伺いできればと思います。

川鍋 これはすごく悩ましい問題で、究極的には当然自然体でやれてみんながついてくるというのが一番良いんですね。

私はオーナーなので最初から社長のつもりでやって、実際10年以上社長をやっていますが、例えば乗る車はあんまり派手じゃいけないとか、そういうことはすごく気にしています。

先程お話したマッキンゼー時代に乗ってたベンツですが、オープンカーがすごく好きでSLKというドアがビーッと開く車に乗ってたんですが、ある時信号待ちしていたら隣にうちのタクシーが来て、窓が開いて「あ、社長」と言われて、これは止めた方がいいと思いました。

あともう1つ、ずっとチャラいからいかんなと思ってたんだけど最近カミングアウトしたのが、私サーフィンがすごく好きなんですよ。

結婚した6年前からサーフィンやり始めたんですが、丁度その時「のりピー」の旦那さんの何某がサーファーっていかにもチャラいしクスリやってるし、みたいなイメージがマスコミに出て、「サーフィン大好きとは言えないな」と思ってたんですよ。

最近そこまで隠してやるべきかと思い始め、やはり会社はどうしてもオーナーの人のカラーが出ますよね。

いい意味でも悪い意味でも絶対に出るので、だったらいい意味で出し尽くしてその上でみんな人を集めた方がいいし、その方が長続きするし、だとしたらあまりにもサーフィンをやってるって言わなすぎるのもおかしいなと思い、徐々に最近出してます。

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勿論 会社の業績が悪かった頃は銀行に対して1円でも返せ、みたいなのがあったので、その最中に「サーフィンです」なんて言えなかったので、そこは黙ってたという戦略的な部分もありましたが、一応会社が軌道に乗ったらなるべく自然体と近づけるようにしないともたないし、会社としての強みも出てこないと思うんですよね。

これはやはりオーナーとか創業者の色に会社が染まっていくのは避けがたいし、経営は全人格的な戦いだと思いますので、だとしたらなるべくそういうの自然体に近づけて正直にやった上で成り立たせた方が長期的に楽になるはずですよね。

質問者1 やっているうちにある程度自然体の自分を変えていくということもありますか。

川鍋 責任感とかそういう面では変わっていくというか成長していくというのはあると思いますが、決して社員皆んなが、社長が万能で、鉄板の強い人がいいとは全く思ってないんですよね。

例えば私もすごくよく風邪ひくし、風邪ひいて「どうしても行けない」と言う程意外と社員が頑張ってくれてたりして、俺がいるってことが重要なんじゃなくて、自分は一番強い想いを持っている、とにかくこの会社のことを一番大事に考えているということさえ伝わっていれば何となく周りはフォローしてくれるし、そう思った瞬間すごく楽になりました。

サーフィンのこともカミングアウトして楽になったし、最近は会社で夢のサーフィン部を作っていきたいと思っています。

松田 なるほど、出雲さんはいかがですか。

出雲 無理して演じて一生を終えられるのであれば役割を演じることはあり得るかもしれませんが、少なくとも私の中では死ぬまで演じ続けるという結論には到底至らないですね。

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唯一違う状況があり得るとしたら、創業直後は社長が全部やらなければいけないで、得意とか苦手とか好きだとか嫌いだとか言ってる場合じゃないんですよ。

私はあんまり経営とか研究とか営業とか得意じゃないんですが、無理してそんなに上手じゃないのに実験や営業をしたり、エクセルも立派に使えないのに経営計画を作ったり、ということを最初はやらなければいけないんですが、それが得意な永田と鈴木と福本でチームができて、全部1人で社長がやらなければいけないという状況からチームが育った時点で社長は無理に何か特定の役割を演じる必要は無くなっていくんじゃないかと思います。

賢そうに演じて良いことは1つもない

川鍋 それはDeNAの南場さんの本にも書いてあって、コンサルタントはとにかく自分がものすごく頭が良くて絶対的に偉くて正しいんだということを言い続けなければいけない商売だと。

経営者は逆で、自分はどんなに弱くて情けないから助けて、と言うのが商売だと。

要するに賢そうに演じて良いことは1つもないという話をしていて、本当にそうだとつくづく思うんですよね。

人間誰しも完璧じゃないし忘れるし、頭良さそうでつんつんしてる人って嫌じゃないですか、そんな人についていきたくないじゃないですか。

多少間抜けな人の方が逆に「この人のここはダメだから俺が助けてあげよう」とみんなきっと思ってくれるはずだし、そこで多分出雲さんはミドリムシ教の教祖で、私はタクシー教の教祖で、そこだけは絶対に負けないぞというオーナーシップがあり、みんなが入って辞めて、を何十回繰り返しても俺はここに居続ける。
やり続けることに価値があるし、仏教的に言うと一隅を照らすと言いますが、これを掘り続けてやり続けることに価値があるということを私は完全に信じ切っているし、全日本ミドリムシ協会会長も信じ切っています。

私も採用をやっていてよく「何でうちなんですか、それだけの能力があるなら他にやりたいことはないんですか、起業しないんですか」と聞くと、「自分はそこまでこれがやりたい、と思えることが正直ないんです」という人は結構多くて、そういうのを聞く度にミドリムシみたいに後天的に見つけられたのは素晴らしいし、私も自分の道があって良かったなと思います。

「タクシー王子だ」みたいなことを言いながら、そこだけは負けないから後はみんな助けてね、という方が良いんじゃないかと思っています。

松田 ありがとうございます。

そろそろ残りの時間もなくなってきたので、このセッション自体のまとめはしないつもりでいるんですが、この約70分を一緒に過ごしてみてどんなことを感じたかということを一言ずついただければと思います。

出雲 私は2つの大切な学びをいただきまして、1つ目は本当にやっぱり皆さん大変なんですね。

(会場笑)

松田 大変そうですよね。

出雲 全然知りませんでした。

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2つ目は、全日本ミドリムシ協会、思ったより響きがいいので、そういうのをここ(壇上)に書いておいてくれるといいですね、よりやる気が出るので。

(編集注:記事に書きました)

そして、結局 (人間は)違わないという話しなんですよ。

松田 それを言うのかなと思ったんですが。

出雲 違うという前提でかリーダーは思考パターンとクオリティが違うとか、同じコーディングされている生物でそんな違いが生まれるはずがない。

だから私はこの表現にかなり違和感があるんです。

「違わない」というのが何とか伝わったらいいなと思っています。

松田 違わないという答えの中に多分みんな可能性を感じるんじゃないかと思っていて、人はどうしても違いを見つけようとして、違いを見つけると自分はダメかなと思ったりするかもしれませんが、同じなんだって思うことができたら可能性が進んでいくんじゃないかと思いました。

川鍋さんはいかがでしたか。

川鍋 105年続いているタクシー業界よりも1,000年続いている仏教業界の方が色々あるはずで、多分色々あるんだろうけどそれをあまり感じられないとおっしゃっていて、さすが修行が違うなというふうに正直思いました。

本当に感じられてないのかは分かりませんが、それをある意味前提としてそれはそれで、自分は自分の道で生きる。

私はついついこういう所で「タクシー協会が…」とか言ってしまい、言ってストレスを発散しているのですが、そのへんはまだまだ修行が足りないなと思いました。

あとは、タクシーと書いてある黄色い服で来なきゃいけなかったかなと思ってます。

松田 タクシーカラーですね。

川鍋 私も意外とキャラは濃い方だと思いましたが、出雲さんの横だと大人しいキャラになってしまったので、次回は負けないように更なる強いキャラで頑張りたいと思います。

松田 ありがとうございます、松山さんいかがでしたか。

松山 リーダーになれるかどうかというのも1つのご縁ですから、色んなことがあってその立場にならざるを得ないこともあるし、どんだけ能力のある人でもそうなれないこともあるし、こればっかりはやってみないと分からないことですから。

ご縁があってそういう立場になった人は、そういうものだと思って一生懸命やると、そういうことですね。

松田 ありがとうございます。

今日は「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」というテーマでしたが、僕が3人の話を聞いて思ったのが、(テーマは)質問形式になっていますが、この質問の答えを見つけ出すことが重要なのではなくて、その問いを投げかけた時に自分でどんな発見があるか、どんな気づきがあるかということだと思います。

ここで得た3人からのメッセージやエッセンス、エネルギーを皆さんの経営やビジネスに活かす時間になればすごく嬉しいと思います。

これでこのセッションを終わりたいと思います、皆さんどうもありがとうございました。

(会場より拍手)

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(終)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

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