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「人間に違いはない。違うのは努力の試行回数」ユーグレナ出雲氏が考えるリーダーの資質【K16-8C #4】

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「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」【K16-8C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!5回シリーズ(その4)、トップ・リーダーとそうではない人は何が違うのか?について議論しました。「そんな違いはない」と断言するユーグレナ出雲さんの言葉が印象的です。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 8C 「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」
 
(スピーカー)
出雲 充  株式会社ユーグレナ 代表取締役社長
川鍋 一朗 日本交通株式会社 代表取締役会長
松山 大耕 妙心寺退蔵院 副住職
 
(モデレーター)
松田 充弘 マツダミヒロ事務所株式会社 代表取締役

「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」配信済み記事一覧

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【本編】

松田 ここでもう1つ違う視点でいきたいのですが、トップリーダーがいたと仮定した時に、そうじゃない人との違いが何かあるとしたらそれは何かをお伺いしたいのですが、出雲さんどうでしょうか。

人間に「違い」はない

出雲 何にも違わないと思います、だって同じ人ですよね。

トップリーダーとそうじゃない人という分け方は私は初めてですが、普段例えば自分とビル・ゲイツとかウォーレン・バフェットとかそういう人と何が違うのか、というのは考えますよね。

でも同じ遺伝子を持っていて、99.96まで同じ設計図で30兆個の細胞が1つの受精卵から増殖して1つの多細胞の生命体として生命活動をしているわけですよね。

設計図がほとんど一緒なので、今日この会場に大勢の人が来てくださっていますが、1人も天井に手が届く人はいないんです。

身長170メートルの人や170ミリの人はいなくて、みんな正規分布のデータ±2の間に入っているわけですよね。

つまり元が一緒で設計図も一緒で同じような人なのに全然違う、それは人として違うからではないんです。

トップリーダーと私が違うとか、ビル・ゲイツと私が違うところなんか何も無いんですね。

要は質的に違うものは無いという話を僕はしたいんですが、私が一番嫌いな言葉は「シミュレーション」「仮説思考」、後は「効率」という言葉なんですが、そんなのが違うなんてことがあり得るわけないんですよ、同じ「人」がやっていて。

いつも質がどうやったら上がるのか、どうやった効率が良くなるのか、というのはみんなお考えがあると思うのですが、同じ人間で同じ物理構造で同じ立体構造しているのに、そんなに質が違うなんてことは絶対無いんですよ。

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オリンピック、パラリンピックの金メダリストと人間国宝の人に関して質的な話をしていただいても結構だと思っていますが、そうじゃない人が「これは質的にちょっとね」と言ったって同じ「人」が作っているものでそんなに質的差異が生まれるはずが無いんです。

質的には違わないけれど行動(努力)の量が違う

出雲 でも何回トライアルしたか、何回努力したか、という努力の試行回数のボリュームは全然違うわけです。

ビル・ゲイツは私の1万倍頭がいいのかもしれませんが、1万倍考えたからああいう立派な人になったわけではないんです。

色んなプログラミングをしたりソフトウェアを開発し、彼は行動の量がITという分野では私の1万倍は遥かに凌駕してますから、素晴らしい成果を残しているわけです。

なのでトップリーダーとそうでない人、ザッカーバーグと私の中に、そしてどこにいる人にとっても質的な差異や効率、考えのレベルが違うというのは絶対に無いんです。

ですから「違わない」という結論になるんです。

松田 なるほど、質的には違わないけれど行動の量が違う、ということですかね。

出雲 それは人によって全然違うんじゃないですか。

松田 なるほど、ありがとうございます。

川鍋さんいかがですか、何が違うと思いますか。

「言行一致」の大切さ

川鍋 それは言行一致かどうかに尽きると私は思っています。

言うのはただですから何でも言えますし、偉そうなことを言ってる人もいっぱいいます。

私も壇上で色々言わせていただいてますけれども、本当にそれをやってるのかどうか、誰も見えない所でどういう行動をしているかということがその人の本質だと思います。

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自分も色々言いながらも1人だと怠けることばかりですが、色々あるけれども見られてない時の行動がきちっとしてる人にはついていきたいと自分も思いますし、やはりついていけると思うんです。

今聞かれてぱっと思ったのは、タクシー協会の話ばかりですみませんが、私はタクシー協会の全国の副会長なんですが、ナンバー1は東京の日の丸の富田会長で、私の父親と同じ33才年上の方です。

この方は何が凄いかというと、言行一致が徹底していて、自分がタクシー業界を身を粉にして守るんだと。
自分が守るものの為には世の中を敵に回しても守る、というところがかっこいいと思います。


【参考資料】言行一致に関しては別セッションでも同様の発言がありました。
「自分が言ったことを、トップ自らがちゃんとやる(“Say Do Ratio”)」SMFLキャピタル安渕氏が語るGE流経営者の仕事

松田 ありがとうございます。

松山さんはどうですか。

人の魅力は意外性にある

松山 やはりリーダーというからには周りがついていかなければいけないわけで、そうするとその人が魅力的じゃないといけないわけですよね。

必ずしもスペックとか能力が優れている人がリーダーになっているという印象ではなくて、さっきおっしゃったような嫌われ者に徹するというリーダーシップもあれば自分からどんどんいくタイプの人もいると思うんですが、最近 人の魅力は意外性だなと思うんですよね。

例えばお坊さんだからお経が上手に読めますとか、掃除が綺麗にできますとか、それは立派だけれど、本当にそれを極めてる人だったらリーダーになれるかもしれませんが、それは当たり前のことですよね。

若しくは英語の先生が英語できるのも当たり前ですよね。

その中で1つ、その道も極めているんだけど何か全く違う魅力があるのは、それだけでその人の魅力が出てくるんじゃないかと思うんです。

もちろん能力も大事かもしれませんが、人としての魅力、意外性もリーダーと呼ばれる人にはある気がします。

松田 なるほど、当たり前のことを踏まえた上での意外性ということですね。

川鍋 例えばどういうパターンがありましたか。

松山 うちも沢山の経営者の方がいらっしゃいますが、うちに来て一番有名な人は稲盛さんですが、会社にいながら得度するというのも1つの意外性だと思います。

(編集注:得度とは、「出家して受戒すること」で、稲盛和夫氏は1997年に在家得度を受けた)

お坊さんの世界で大事なのはお経が上手い、字が上手い、話しが上手いの3大ポイントなんですが、もちろんそれも大事だけれど上に立ってる人はそれ以外のところにキラッとしているところがあるというのが私の印象ですけどね。

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松田 キラッとしているところがあるというのは、どんなところでそう感じたりするんですか。

松山 例えば東大寺の長老の方は、東大寺という古式ゆかしいところの長老なんですがカイロ大学出身で、イスラム教のことを研究してらっしゃるんです。

説法も「コーランではこうだ」という話が出てきます。

そうするとすごく意外性があって引き込まれるわけです。

松田 深みがある感じがしますね。

松山 そうですね。

川鍋 さきほどの松山さんの小中学校のキリスト教の学校というのもそうですよね。

松山 私も出雲君も元々文系で大学入ってるんですが、理転して農学部に行きましたし、やはり視野が広がるというか、専門的には私は理系のことそんなに分からないかもしれないけど、何となく言ってる話は分かる、というのもすごく大事なことだと思います。

ある種の意外性は人の魅力を高めると思います。

松田 そうですね、いかに自分の意外性を持つか、という質問も自分にしてみるといいかもしれませんね。

(続)

続きは 【最終回】「経営者は賢そうに演じて良いことは1つもない」正直に真っ直ぐに生きよう を配信予定です。
https://industry-co-creation.com/management/6605

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

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【編集部コメント】

続編(その5)では、会場からの質問を受け付け、経営者ならではの悩みとして、演じること・自然体であることの是非について議論しました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。

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