ICCサミット最終日、あの「COTEN RADIO」の公開収録に密着!【ICC KYOTO 2021レポート】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

ICCサミット最終日、あの「COTEN RADIO」の公開収録に密着!【ICC KYOTO 2021レポート】

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9月6日~9日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2021。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、ICCサミットでもさまざまなセッションにスピーカーとして登壇する株式会社COTEN 深井 龍之介さんの「コテンラジオ公開収録『明治維新-財閥編』」の公開収録の模様をお伝えします。屈指の人気を誇る音声プログラムは、どのように収録されているのでしょうか? ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


最終日のICC サミット KYOTO 2021、9月9日のDAY3午後。半数以上の参加者はすでに京都を去ったか、場外の特別プログラムに参加したりして、メイン会場にいる人は少なかったのではないかと思う。登壇者・関係者の多いソーシャルグッド・カタパルトも午前中に終了していた。

しかし14時15分、D会場の最後の枠に、ファンにはたまらない企画が用意されていた。ICCサミットの参加者の間でもファンの多い「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」(以下コテンラジオ)の公開収録。この人気を集めそうなプログラムが、最後の最後の枠に配置された理由ーーーそれは集客より何より、ただ「3時間までなら時間延長OK」という理由だけだった。

この収録を見たいと意思表明していた人は、3日間の取材で聞いたただけでも何名もいたが、上記の理由で彼らはこの場にいない。多忙な経営者たちということもあって、多くのコテンラジオファンは、後ろ髪をひかれながら自分の職場や別の場所へ散っていった。

ポッドキャストで配信されるため、内容は後日公開予定の書き起こし記事でご紹介するとして、この収録を「生で見たかった」という方たちのために、株式会社COTENの深井さん&ヤンヤンさんこと楊 睿之さん、株式会社BOOKの樋口 聖典さんの3人のスピーカーの様子、特別ゲストとして後半に登壇した住友生命の藤本 宏樹さん、会場に集まったファンの声を合わせて、当日の模様をお伝えしよう。

▶この日の収録の模様「財閥の歴史 〜日本の近代化を担った老舗たちの系譜〜(前編)【COTEN RADIO 特別編】」を動画でもご覧ください

コテンラジオの3人がICCに登場

開始15分前に会場に入るとーーーおなじみの3人組が、もう舞台に上がっている!

樋口さん、深井さん、ヤンヤンさん

通常のICCサミットのセッションならば、開始直前に会場が暗転し、司会がスピーカーを1人ずつ呼び込んで登壇するのだが、今回は公開収録とあって3人共すでに着席して、和やかに開始を待っている。

ICCサミットの登壇および座り位置は、モデレーターを除いて五十音順だが、YouTubeチャンネルで視聴しているエピソード開始で入るアニメーションのごとく、並んでいる。

シリーズもののエピソード冒頭で流れるアニメーション。ヤンヤンさんが輝いているのがカワイイ

2020年の深井さんのカタパルト・グランプリ参加をきっかけに、お三方にはICCサミットにご参加いただいている。深井さんがプレゼンで登壇したときは、朝から2人が会場に来ていて客席から見守っていたのも微笑ましくて印象深い。

▶2人のコメントあり。深井さんが登壇したカタパルト・グランプリの様子はこちら。
ICCの中心で愛を叫ぶ!「まったく予想していなかった」アーティスト、MAGOがカタパルト・グランプリ優勝!【ICC KYOTO 2020レポート】

深夜までテーマを議論しあうCo-Creation Nightという企画の「歴史の部屋」では、コテンラジオファンの経営者たちに囲まれ、初参加だったため、3人はだいぶアウェーといった雰囲気を醸し出していた。それから1年経って、今はだいぶ知り合い(というか顔見知りのファン)も増えたはずである。

今回は樋口さんが運営するいつもの収録スタジオ「いいかねPalette」から飛び出し、ICCサミットのセッション会場での収録である。ソーシャルディスタンスもあって、少々心許なさげに見えるが、3人には広々とした会場が用意された。早速開始前の3人の声を聞いてみよう。

「台本はいつも消化しきれないほど」

PCを広げて、何か確認している様子の深井さんとヤンヤンさん。画面をチラ見すると、これはファン垂涎の台本ではないか! 今回は前後編の2話分の収録を予定していて、台本は合わせて10ページ。写真はヤンヤンさんの画面である。

ヤンヤンさんの台本画面。参考リンクと思われるタブがたくさん開いてある(画像は一部加工しています)

▶台本製作の秘話はこちらの記事でも紹介されています。コテンラジオ台本(歴史)チームの膨大な作業工程に見る、「学び」の深淵(フクリパ)

深井さん「(台本の)内容の最終チェックみたいなのはヤンヤンと一緒にやったりしますね」

一方、毎回絶妙なリアクションで「歴史弱者」の視点を提供する樋口さんは、台本にはあえて入っていないのだそう。ピュアなリアクションかつ「なるほど!」と同意したくなる合いの手は、少しぐらいネタを仕込んでいるのかと思いきや、すべて現場のアドリブということだ。

樋口さん「ネットでレビュー見ると、聞き手が無知すぎて話にならん、いらつくとか言われています(笑)」

深井さん「無知のフリをしてるだけじゃないの?」

樋口さん「最近ちょっと詳しくなってきちゃって〜。でも、やっぱ歴史の転換点って6回ぐらいあるってことぐらいはわかるかな!」

たとえデタラメとしても、それっぽいことを言える時点で、すでに歴史弱者ではない気がする。

樋口さん「3つの条件揃ったらさ〜、やっぱ変わるんですよ!」

これを聞いた深井さんヤンヤンさんは大ウケ。リスナーならご存知かと思うが、深井さんとヤンヤンさんの語りだけでも面白いものを、聞き手の樋口さんが、ポイントを要約したり、時に中学生のように純粋に驚いたり、視聴者が期待していたことを代弁してくれるので、より腹落ち度が増す。

今回の収録中にも、江戸時代に創業した三井越後屋呉服店が、三越の前身だったということを聞いた樋口さんは「キムタクみたいに略してたんだ!」と即座にリアクションして、深井さんとヤンヤンが吹き出す場面があった。黄金比ともいえる3人のバランスの良さは、どんなゲストを迎えても崩れない。

登壇時に配信が完了した「教育の歴史」は、13話に分かれて配信されたが、まだまだネタは残っているという雰囲気がありながら終了していた。あれは実際台本をどのくらい消化したのだろうか。

深井さん「いや〜全然、語れてないね」

ヤンヤンさん「3分の2くらいかな?」

現在、古書買取・販売のバリューブックスがスポンサーとなって、コテンラジオのためにテーマに応じた参考文献の書籍を提供している。毎回数十冊を読んで台本を作りつつも、提供本以外も、たくさん読んでしまうという。

ヤンヤンさん「結局自費でも買っちゃうよね」

深井さん「結局ここどうなってんだろ?ってなっちゃいますからね」

歴史に対する探究心が尽きることのない二人である。

コテンの秘密兵器が壇上に

手持ちマイクで収録

今回、ICCサミットの登壇者には、フェイスシールドを着用した登壇をお願いしていた。普段の収録はスタンドマイクで向かい合って話しているのがYouTubeでは見られるが、横並びでマイクを持つ姿が新鮮だ。

深井さん「それより、ヤンヤンがICCにいるのが相当(新鮮)……」

ヤンヤンさん「ここにいちゃいけない存在ですよ。僕がいるべきなのは、自分の部屋ですからね…」

樋口さん「自分の家の中か概念上かどっちかにしかいない。外に出ちゃいけない」

ヤンヤンさん「僕はコテンの秘密兵器なので、ずっと秘密でないといけないんですよ」

秘密でありながら回を増すごとに存在感を増し、番組マスコットとしても愛されているのがヤンヤンさん。「いいかねPalette」のスタジオとはかなり異なる環境で、有観客で話すのはどうだろうか?

深井さん「やったことはあるんですが、すごく久しぶりです。ちょっと僕は緊張しています。環境が違ってしゃべれるかなと……」

ヤンヤンさん「僕らだけでやってるならいいけど、ミスると迷惑かけてしまうなと、そういう緊張はあります」

樋口さん「僕はずっと歴史弱者なので、失うものはありません(キラリとした微笑)」

緊張といいながらも、話しなれた3人が壇上にいる一方、緊張の面持ちでこの時間を待っている人もいる。

舞台袖で、登壇を待つ住友生命 藤本さん(右端)

藤本さんはコテンラジオの大ファンであるが、この日のテーマ「明治維新-財閥編」のテーマにもなる、所属する住友生命について、大量の資料を用意している。

藤本さん「何を聞かれるかわからない。感想を聞きますと言われていて、一生懸命住友の歴史を復習しました。400年分もあるので、覚えるのは無理ですが……」

そう言うと、緊張の面持ちで「最前列がちょっと…」と表情を曇らせる。コテンラジオの強力なファンがすでに着席して開始を待っているのが気になるようだ。
コテンラジオのファンに聞く
開始前から、客席の最前列で壇上の3人に熱い視線を送っているのはHENGEの汾陽さん。今日の公開収録に何を期待しているのだろうか?

汾陽さん「僕も緊張してきちゃいました……ヤンヤンさんのポロリが出るんじゃないかと期待してるんですが(笑)」

壇上はなぜか大喜びである。

樋口さん「それが出たらもう終わりですよ!」

ヤンヤンさん「ポロリはちょっと…」

汾陽さん「まさ(ICCの小林)さんから、ヤンヤンちょっと、と言われて出禁になっちゃう(笑)。今回のICCサミットの個人的にメインコンテンツと思っているので、楽しみにしています。ついに来たな!って感じで、本当に楽しみです。

コテンラジオは、2回前のICCでみんながコテン、コテンといっていて、1年前のICC KYOTO 2020で深井さんが出られて、それからです。それ以前からコテンラジオは人気がありますが、そのときからこの界隈で非常に盛り上がってますよね。

ICC登壇者にも大人気のコテンラジオ。各ポッドキャストランキングでも常に上位人気を誇る

社内でもいつも会う人すべてにコテンを伝えています。本当に素晴らしいし、楽しませていただいています。今日は応援したいと思います。ヤンヤン推しなので、主にヤンヤンを」

会場が暗かったのといつもの赤マフラーがなく、認識が遅れて大変失礼してしまったのだが、IT批評家の尾原 和啓さんもこの一列目に座っている。後日、コテンラジオに登場したことを配信で知った。

尾原さん「個人的には僕、『生樋口』が見たい。みんな樋口さんを誤解してるんですよ!

コテンラジオは深井さんのすごさもそうですが、樋口さんのリアクション力であるということに、みんな気づいていない!

深井さんの知性とヤンヤンのコケティッシュさ、みんなここに注目しがちですけれども、樋口さんのリアクションによって、ふたりの知性と個性が輝いているわけです。それがコテンラジオ」

樋口さんは満面の笑顔で「なるほど!」と膝を打ち、得意顔で胸を張りすぎてのけぞっている。

尾原さん「しかも、ICCはパネルディスカッションの魅力で見せるカンファレンスじゃないですか。コテンラジオはその究極系ですよ!」

樋口さん「いや、違います!(笑)」

リスナーは皆手放しの大絶賛でその素晴らしさを語るが、当事者たちはあくまで謙虚。それもまたファンの愛をかきたてる。

特別な演出はなく、エモい盛り上げもせず、歴史で語られている以外のさまざまなファクト、深井さんとヤンヤンさんが歴史を深く愛しているが故に発見した、国境や時空を飛び越えた共通点などが語られるのがコテンラジオの魅力。歴史上の偉人の人としての個性も語られて、いきなり身近な存在になる(高杉晋作とかジャン・ジャック・ルソーとか)。

こんなふうに先生が語ってくれたら、学生時代の歴史の授業がどんなに面白かっただろうか、と思う人も少なくないだろう。今回のテーマは「明治維新-財閥編」とちょっと固めだが、きっとこの3人なら面白く語ってくれるに違いない。

「前編」の収録スタート!

通常のパネル・ディスカッションとは違い、雑談的にセッションが始まった。

樋口さん「ICC最終日ですよ! 最終日の最終セッションにもかかわらずこれだけ多数の方々が集まってくださって嬉しいです!」

深井さん「(笑)多数かどうかはよくわからないですけど、嬉しいですね」

会場は、ガラガラである。

ヤンヤンさん「紅白歌合戦でいえば、大トリですよ」

樋口さん「今日は公開収録です。我々は、コテンラジオという番組をやっているのですが、コテンラジオをご存知ではない方いらっしゃいますか?」

ほぼ知っている人ばかりだが、わずかに知らない人がいたため、樋口さんはポッドキャスト番組のコテンラジオの紹介を始めた。週2回として配信している音声コンテンツで、歴史から人間とは何かを楽しく学ぼうという番組で、話数はすでに200回を越えていること。Japanポッドキャストのランキング上位であること。

そして、最初の番組タイトルコールで、公開収録ならではの拍手の練習が行われた。

樋口さん「音楽を流して、僕が『世界の歴史キュレーションプログラム、コテンラジオ〜♪』と言うので、そうしたら拍手をしていただけますか?」

「コテンラジオ〜」の言い終わりと重なるように上がった拍手を、樋口さんは腕で指揮して操って満足げ。深井さんは「それやる(笑)?」と笑っている。

樋口さん「1回やってみたかった(笑)。アリーナにいる数千万人の方、ばっちりです!」

続いて、公開収録に向けた意気込みをヤンヤンさんから。

ヤンヤンさん「はい! 価値ある、時間を、提供…(深井さん、樋口さん失笑)…できるかなと」

深井さん「(笑)絶対普段言わないやつじゃんそれ。迎合したね」

樋口さん「この面白さ伝わるかなあ?(笑) ヤンヤンさんがこのステージにいることが、どれだけ異常かというのをね」

ヤンヤンさん「普段僕のいるべきところは、自分の部屋ですからね」

深井さん「プログラムのプロフィールに、『中国4000年のハゲ』って書いてあるからね(笑)」

ヤンヤンさん「あれはICCさんが出している冊子ですよね。載っているのを見て、ふざけてるんじゃないかと思いましたね」

ICCサミットのプログラム冊子。3人のプロフィール掲載ページ

樋口さん「そんな多様性こそが、ICCの魅力になっているかと思います。では、行きます!」

リスナーにとってはおなじみのジングルが流れたあと、練習したとおりの「生」番組タイトルコールと、会場にいる人たちの拍手が入って、「明治維新-財閥編」前編の収録が始まった。このタイトルコール、すでに収録済みのものが流れていると思っていたが、生で聞けて、拍手で参加できて感激した。

「財閥」について何を語るのか想像がつきにくいかもしれないが、そこはコテンラジオ、近代化を国とともに担った財閥の成り立ちと、今残っている・残っていない財閥、明治維新が与えた影響、ピンチを救った経営判断など、興味深い話のてんこ盛り。

個人的に面白かったのは、産業がない時代に明治維新で支配階級がいなくなったことで、旧社会の支配階級出身ではない人たちが勃興してきて財閥を作ったこと、強い起業家精神を持っていたことや、明治時代の新しい財閥は、ある特定の時代(天保年間の10年未満とのこと)生まれの当時20代後半〜30前半の若者たちによるものという共通項があったことなど。

「人間にとって、いかに環境は大切かってことですよね」と深井さん。上に紹介した以外にも面白い内容はたくさんある。詳しい内容はぜひポッドキャストでお聞きいただきたい。

前編収録後、5分間の休憩

リスナーはご存知だと思うが、各エピソードの時間は厳密に決まっていないためばらつきがある。

樋口さんの「だいぶしゃべりましたたね、時間やばいね、一旦ここらへんで切りましょうか。ありがとうございました」そんな感じで、前半が終わる。このとき、開始からすでに1時間8分が経過していた。

深井さん「(笑)やばいですね」

樋口さん「僕らは最大3時間までやっていいと言われています。本当に、僕らたとえ3人きりになってもやるのですが、みなさんはご都合もあると思うので、気にせず出てください」

深井さん「めちゃくちゃ暇な人だけ残っていただければ(笑)」
ということで、ここで5分くらいのトイレ休憩が挟まれることになった。後半登壇予定の藤本さんや聴講していた参加者たちが3人に声をかけ、尾原さんは話し続けた3人に大福を差し入れ。深井さんはそれを「むちゃくちゃ美味い!」とぱくついている。

差し入れをパクリ

最前列で聞いていた汾陽さんは生コテン、いかがだろうか?

汾陽さん「ヤンヤンさんの間が絶妙に差し込まれますよね。樋口さんのリアクションもすごい!」

後半の登壇を待つ藤本さんは「普通に聞いちゃいますね。でも目の前で聞けるのは不思議」と、これから起こることが信じられない様子だ。

本人たちは、いたっていつものテンションで淡々と、かつ楽しそうに話していて、”ファースト・テイク”状態ながら、二度聞き・三度聞きしたくなるような内容たっぷりのコンテンツを生んでいる。

HLABの高田さんと談笑する樋口さん

樋口さん「ぼちぼち再開しますか? ここにいらっしゃる方々、配信されたらタダで快適な家で聞けるのにかかわらず、ここにいらっしゃる。せっかく京都にいるんだから美味しいものとか食べに行ったらいいんじゃないですか? おっさん3人が喋っているだけですよ」

(一同笑)

ヤンヤン「まだおっさんじゃない!」

樋口さん「すんません(笑)。(自分を指して)おっさん、(深井さんを刺して)おっさん、中国人、が喋っています」

ヤンヤン「そうとも言えます」

樋口さん「年齢の概念ないですからね、時を超越していますからね、ヤンヤンさんは(笑)」

じゃあもうそろそろ入りましょうか。深井さん、後半は、どのぐらいの予定ですか」

深井さん「藤本さんもお呼びするので、40〜50分くらいかな」

樋口さん「よし、じゃあやりましょう」

やりとりの和やかさに目を細める観客を前に、再び席に着いた3人は、休憩などなかったかのように、後編の収録を再開させた。

「後編」ゲスト、住友生命の藤本さんが登場

後編で特にフォーカスしたのは住友のイノベーションが起こる企業文化と、日本の近代化で財閥が担った役割、銀行の誕生や戦争の影響だ。

第一次大戦後に他の財閥の商社が漁夫の利を得て平均粗利75%を稼ぐ中、住友はその成り立ちから、ものを転売して得られるような浮利を追わず、(当時は)商事を作らないという理念を持つなど、それぞれの財閥は時代の波にもまれながら、運命を変えていく。

「日本的経営」といわれる、組織を家族のように捉える意識が生まれた時代背景や、第二次大戦によって翻弄された財閥の運命(GHQから自発的解散を迫られ、株没収などかなり酷い目にあう)、安定株主を失ったその後などが語られたが、そんな事情があるなんて知らなかった!連発の面白さ。気づけば35分が経過していた。

深井さん「まだだいぶ残っているんですが……藤本さんをそろそろお呼びしてお話したいです」

住友生命の藤本 宏樹さんが後編に登壇

藤本さん「戦後が我々の新たな出発点と思っていたのですが、その前もお話しいただいて、他の財閥についても学ぶ機会がなかったので、聞いていて面白かったです」

リアルタイム”中の人”を迎えて、深井さんたちの好奇心に火が点いた。

深井さん「ここまで住友の家訓やビジョンについて紹介してきたのですが、実際に働いて本当にそうだなと思うことはあるんですか?」

藤本さんは、家よりも事業の存続を大切にという理念があったからこそ現代までグループが続いているという話や、「自利利他公私一如」の精神、現在でも社内の会議で開始時に、全員起立して経営の要旨三ヶ条を唱和することを紹介すると、3人は口々に感心。その様子もぜひ、ポッドキャストでお聞きいただきたい。

低く響く美声の持ち主の藤本さんは、住友が所有するかつては世界一の産出量を誇った別子銅山(1961〜1973)を近代化して、事業発展の基礎を築いた別子銅山支配人の広瀬宰平を「コテンラジオの力で、ぜひイケメンで大河ドラマに!」とアピールした。

結局後編も1時間ほど話し続けて終了となったが、「もっと細かく話したいところもあって、7話分くらいあれば」と台本を眺める2人は残念げ。終了後に深井さんは「話してみると、思ったより圧倒的に時間がかかるので、いつもたくさん余らせる感じです」と言っていた。

収録終了でポーズ

ICCサミットのセッションや特別プログラム、クラフテッド・ツアーで場を設けている、経営者および、経営者のそばにいて考えを理解している”翻訳者”たちがストーリーを語るというのは、リアルで当事者ならではの視点が共有されて、換えがたい価値がある。

一方、コテンラジオのように、その時代背景の紹介に始まり、時代を横串で刺してみたり、財閥縛りで違いを見てみたり、今回だと政府やGHQの思惑といった、プレイヤー違いの視点で見てみると、歴史はたちまち立体的になり新たな価値を生む。今回は”住友の中の人”藤本さんがいたことで、それが現代までつながっていることを実感できた。

メインの語りは深井さん、その肉付け、違う視点からの考察などでヤンヤンさんというスピーカーのスイッチも飽きさせず聞き続けられるし、尾原さんや汾陽さんが言っていたように、樋口さんの合いの手も最高だ。終了後の樋口さんに聞いた。

樋口さん「今日2時間くらいでしょ? 余裕っすね(笑)! 普段は10時間ぐらいやっているので」

それを一挙に収録しているのだという。

樋口さん「最長はトータルで、休憩も入れて12時間くらいの収録もあります。途中にご飯食べたり、日によっては一泊二日で泊まり込みして、次の日も収録を続けたりとか。

(深井さんとヤンヤンさんは)ガッと勉強されてくるので、間を置くと忘れてしまうじゃないですか。収録に合わせておふたりが準備されてくるのを、いい形にしたい」

この言葉にも表れているが、樋口さんの2人やゲストへのリスペクト・気配りが、コテンラジオを非常に聞き心地のいいものにしている。ミュージシャンであり元吉本所属の芸人であり、現在は地元の廃校を利活用したインキュベーションプラットフォームの運営をしている樋口さんは、深井さんを飲み会で発掘して音声コンテンツを勧めた、いわばコテンラジオの産みの親である。

3人は最後まで会場に残った参加者や、会場スタッフにお礼を言うと、手早く荷物をまとめて会場を後にした。横一列に並んだシルエットに、再び冒頭のアニメーションとオープニングのジングルを思い出さずにはいられない。

この公開収録の番組の配信は2021年2月2日から始まり、その後にICCのウェブサイトでは書き起こし記事を公開予定。今までコテンラジオを聞いたことがないという方も、これを機会にぜひ聞いてみてほしい。樋口さんによると、「Spotify、Appleといった主要ポッドキャストのランキング1位から探して」とのことである。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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