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4. LayerX松本 勇気が指摘する、「3年後を描けない日本企業はAIで負ける」という現実【終】

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LayerX松本さんは、小手先のAI機能追加では生き残れず、「3年後のAI進化から逆算したプロダクト設計」が必須と強くメッセージ。一方で柴田さんは、細やかな業務品質を持つ日本にとってVertical AIは「ソフトウェア産業始まって以来の最大のチャンス」と断言。砂金さん・西さんも同意し、日本品質のサービスを世界へ輸出する絶好の好機だと締めくくります。ぜひ最後まで、ご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはリブ・コンサルティングノバセルです


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 2C
AI経営イニシアティブ 前半パネルディスカッション
Sponsored by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

柴田 尚樹
NSV Wolf CapitalManaging Partner

西 勝清
Notion Labs Japan合同会社
ゼネラルマネジャー アジア太平洋地域担当

松本 勇気
LayerX
代表取締役CTO

(モデレーター)

砂金 信一郎
Gen-AX
代表取締役社長 CEO

大島 周
リブ・コンサルティング
パートナー

『AI経営イニシアティブ 前半パネルディスカッション』の配信済み記事一覧


砂金 AIの議論をしていると、AIの仕組みの話ではなくて、結局データの話じゃないですかみたいなことは、技術サイドでもよくある話だと思います。

Notionは最初、使い勝手が良い共同エディティングツールみたいなところから始まりましたが、結局データをきちんと管理するためのAIのモジュールが複雑に絡み合って、今の状態に進化しています。

そういうモデルを我々日本としてどう作り出していけるのかは、グローバル企業から学ぶべきところが結構あるのではないかと思います。

先ほどのパネルに戻っていただくと、柴田さんと西さんから広くお話を頂いたことにより、かなりカバーできているのではないかと思います。

松本さん、その他に話しておいたほうがいいというテーマはありますか?

3年先の姿を描けなければ負ける

松本 AI時代に勝つ企業、負ける企業というテーマでは、残念ながら日本企業のほとんどが「負けている状態」かもしれません。

Notionのサイモン・ラスト元CTOと仲が良いのでたまに話すのですが、彼が言っていたのは、シリコンバレーでは技術に対して楽観的で、絶対に進化する、絶対に安くなるというようなことでした。

彼らは、こう進化するだろうという予想を四六時中みんなで話していて、3年後に合わせてプロダクトを作っているのですが、日本国内では多くの企業が、「Claude Opus 4.6は高いから、Claude 3.5 Haikuとか安いのでどうやったら実現できるか」みたいな話をしているのです。

ただ、目先のコストを削っても、3年後どうなるか、そこからバックキャストしてプロダクトを作らないと、今作ったものが半年後、下手すると3カ月後に意味がなくなってしまうということが、普通に出てくると思うのです。

例えば、Claude Coworkも今後ますます変わってくると思います。

Anthropicだって数年後を見据えてプロダクトを作っていますし、シリコンバレーの今伸びている会社も、ある程度先を見越した開発を行っています。

例えば、先ほどのGensparkなどの事例も、絶対にこういう進化をして安くなっていって、多様なモデルが出てくるから、それを組み合わせれば絶対どこかではブレークイーブンがやってくるから、絶対にそこに向けて作っていくんだ、と。

そういう技術的にビジョナリーな方がたくさんいてプロダクトを作っているから、シリコンバレーではイノベーティブなAIプロダクトが生まれるのだと思います。

一方、そういうディスカッションを日本ではほとんど見たことがないので、そこが日本企業の未来を案じてしまうポイントだったりしますね。

砂金 ここで言う真ん中のところの日本企業が、ツールを作っている、AIを応用した仕組みを提供する会社なのか、それを使って事業として利益を出していく普通の事業会社なのかで全然変わってくると思いますが、事業会社側で3年後の技術予想をもとに技術選定ロードマップを作っているかというのは、もう壊滅的にないですよね。

松本 だから、SaaSに毛を生やした機能を作って「AI」と言うのをやめましょう、と。

投資家は、AI企業とは絶対見てくれないからです。

SaaSにエージェントを生やすのではないのです。

もし今ゼロから起業するとしたら、このカテゴリーではこういうエージェントを作る、例えば会計、経理、ローンの領域にあるべきエージェントはこれで、それが3年後どんなことをやっているのかを考える。

そこに対して必要なエージェントをうまく走らせるためのガードレールを引くとしたら、こういうプロダクト設計で、現状の自社SaaSのプロダクトとのギャップはここにあって、だからこれを埋めにいかなければいけないし、売り方も変えなければいけない。

そういった全体のチェンジマネジメントをしなければいけません。

その議論をしないと、勝ち筋どころか「何もない」状態になってしまうと思います。

Vertical AIでは日本にチャンスがある

柴田 そうですね。

今朝のカタパルトで審査員を務めましたが、私が最近言っているのは、多分これは私以外の人が言っているのを聞いたことがないですが、Vertical AIにおいては、日本に多分ソフトウェア産業始まって以来のチャンスがあります。

世界で戦えるチャンスが来ていると思います。

今までのソフトウェア、インターネット産業で日本はずっと負け続けて、「デジタル赤字」という言葉ができてしまうぐらい負け続けています。

スマホもクラウドも欧米のものを使うのが当たり前になっていて、今回もLLMは多分米中のものを使うのですが、一番上のVertical AIのアプリケーションに関しては、結構本気で日本企業がワンチャン、グローバルでいける可能性があるのではないかと思っています。

本を売りたいからとかテレビに出たいから言っているのではなくて(笑)、本気でそう思っているのですよ。

今朝のカタパルトを聞いていても、私が拝見した限り、3、4件ぐらいは多分あまりグローバルで見たことがないな、すごいなというスタートアップがありました。

LLMのレイヤーでは米中に敵わないけれど、アプリケーションのレイヤーでは、日本発で、もちろん日本の中でも頑張ってほしいですし、海外で戦える可能性のある、負け癖から勝ち癖に変わるような、気合の入った方たちとたくさんお話をしたいなと思ってここに来たというのが、今日の私の裏テーマでもありますね。

砂金 「Physical AIで…」「ロボットで…」みたいな薄っぺらい議論になってしまうと、なかなかそこで勝つのは難しいと思いますが、今日のカタパルトでは食品とか、ITとは今まではだいぶ遠かったジャンルだけれども、AI側のインターフェースが改良されていったことによって、必ずしもITエキスパートだけではなくて、色々な人たちがAIの要素を使えるようになりました。

かつ、マルチリンガルなのですよね。

今まで言葉の壁があって難しかったのが、リサーチの段階でもマーケティング、セールス、ディストリビューションのいずれの段階でも、AIサポーテッドでグローバルに進出ということや、そもそもグローバルでやることを前提に事業計画を立てていくことは、そんなに無理があることではなくなってきています。

少なくとも私がやっているコールセンター業界の例でいうと、会話する部分のAIがマルチリンガルになることで、日本のコールセンター産業は1兆円ぐらいですが、輸出できる可能性がワンチャンあるのです。

アメリカの客を客とも思わないつっけんどんなコールセンター応対と日本式の応対とどちらがいいかという時に、日本式のほうが丁寧で気持ちが良いので顧客満足度も高いということが発生するのであれば、産業構造を変化させる可能性があります。

では、それはどこなのか。

柴田 コールセンターの話でいくと、商習慣的にアメリカよりも日本に近い国は世界にたくさんあると思うので、そういう国には日本発でいける可能性が十分あると思います。

西 細かい話ですが、日本と韓国のSORの話で、Verticalを含む時にSORが必要だと思いますが、日本と韓国のガバナンスやセキュリティや権限管理の細かさへのこだわりは、間違いなく世界一です。

それが当然ですというものを持っていけば、人がやったのか、AIがやったのかとか、元に戻さないといけないとか、そういうところにすごくこだわらないといけなくなるので、そこもサポートになると思いますね。

柴田 あと、日本の会社から、例えばAIで新しい機能がついたというリリースが出る時に、リリースが下手だなと思う時がありますね。

砂金さんの会社は若干違うかもしれませんが、アメリカの会社だと、ほとんどちゃんと動かないようなものをあたかも動くようにデモ動画を作って、みんなを感動させるという芸がありますよね。

砂金 (笑)

柴田 もちろんできないことを過大広告してはいけないとは思いますが、AIエージェントの機能などをリリースされるのであれば、もう少し夢がある、これすごいな、使ってみたいなと思うような、ドキドキ感のあるプロモーションをされるといいかなと思いました。

松本 弊社の「Ai Workforce」というプロダクトは、特に多言語対応を意識したわけではなかったのですが、お客様の社内で海外拠点で働いている方にも普通に使われています。

ちゃんと使われるエージェントを作れば、本当は売れるはず、というところだけ、少し補足させていただきます。

大島 ありがとうございます。

では、前半が終了時間になりましたので、途中になかなか厳しい話がありつつも、最後は日本の勝ち筋のヒントが出たのではないかと思います。

どちらかというと汎用的な議論が多かった中において、より個別のカテゴリ、業界、テーマ別で、また議論を深めていく、そんな後半の時間にしていけたらなと思います。

前半のセッションとしてはいったんここで締めとさせていただいて、後半に移っていければと思います。

ご登壇いただいた皆様、改めてありがとうございました。

(終)

▶︎編集注:この後、4組の分科会に分かれて、4つのテーマでフォーカスセッションが行われました。

「AIシフト SaaS編 〜SaaS企業がAI時代にどう競争戦略を変えるか〜」


(スピーカー) 

稲垣 裕介
ユーザベース
代表取締役 CEO

倉橋 健太
プレイド
代表取締役CEO

竹田 正信
マネーフォワード
取締役執行役員 ビジネスセグメントCOO

山崎 はずむ
ナレッジワーク
執行役員CAIO

(モデレーター)

湯浅 エムレ 秀和
グロービス・キャピタル・パートナーズ
パートナー

「B2C編 〜B2C領域でAIが共創ルールをどう変えるか〜」


(スピーカー)

西野 誠
Oh my teeth
代表取締役CEO

橋本 舜
ベースフード
CEO

森 雄一郎
FABRIC TOKYO
代表取締役CEO

(モデレーター)

徳力 基彦
note
noteプロデューサー/ブロガー

「レガシー領域編 〜レガシー産業におけるAI活用の可能性〜」


(スピーカー)

下岡 純一郎
クアンド
代表取締役CEO

坪井 俊輔
サグリ
代表取締役CEO

平井 瑛
estie
代表取締役

(モデレーター)

朝倉 祐介
アニマルスピリッツ合同会社
代表パートナー

「AIオリジン編 〜AIネイティブ企業が見据える次の波〜」


(スピーカー)

稲田 大輔
atama plus
代表取締役CEO

奥西 亮賀
IVRy
代表取締役/CEO

西尾 健太郎
Gunosy
代表取締役社長

任 宜
スマートニュース
Chief Operating Officer COO

(モデレーター)

砂金 信一郎
Gen-AX
代表取締役社長 CEO

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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