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「ソーシャル・イノベーション実現に向けて」【A16-1】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その9)は、ユーグレナ永田さんからセッションのまとめとなるメッセージをいただきました。ぜひ御覧ください。
「ICCx AIESEC カンファレンス」は、NPO法人アイセック・ジャパン(AIESEC)とICCパートナーズが共同で開催した、AIESECに所属する大学生を対象としたカンファレンスです。当日は高い志を持った大学生250名が、ビジネスリーダー/社会起業家たちのパネルディスカッションと、質疑応答セッションに参加しました。
本年も、2017年9月15日(金)に「ICCx AIESEC 2017」を開催する予定です。参加を希望される方は、ぜひ全国25大学のAIESECの各委員会に所属ください。
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【登壇者情報】
2016年9月13日開催
ICC×AIESEC ソーシャル・イノベーション・カンファレンス2016
Session 1
「社会をより良くする起業家の夢の実現を支える仕事」
(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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【前の記事】
【本編】
小林 残り時間が迫ってきました。
そろそろ最後の質問になるかもしれません。
ではどうぞ。
質問者11 ありがとうございました。
関西学院大学2年の◯◯と申します。
単純な質問になるかもしれませんが、ユーグレナさんはなぜ日本の産業を拠点に運営を行なっていらっしゃるのか?
理由としては先程おっしゃったように、日本企業との提携やBリーグとの関係のように切れない部分もあると思いますが、ニーズや市場があるのは発展途上国だと思います。
現在海外移転という大きな流れの中で、共感してくる大企業も多いと感じるのですが、その中でなぜ日本の産業で運営していらっしゃるのかお聞きしたいです。
永田 まずはミドリムシの技術開発ができた理由は、東大の研究成果と、大阪府立大学や近畿大学、宮崎大学といった日本中の学術機関と連携した結果生まれたものです。
先生達は40年以上研究をなさっていて、僕達は最後の最後となる1ピースを入れさせてもらったという感覚がすごくあります。
この技術自体は、日本の技術ということをベースにして産業化したいということがスタートです。
次のステップとしてグローバル展開に関しては、弊社は海外に事業所を増やしているのですが、世界をマーケットとして考えた時、日本に居続けるということを決めている訳ではありません。
ですので、常に色々なことを検討しています。
ただ、自分達が目的としている「人と地球を健康にする」ということを考えた時にあるべき姿がどこにあるかということを前提に考えているということですね。
小林 大丈夫ですか?
質問者11 はい、ありがとうございます。
(会場拍手)
商品名をミドリムシにするかユーグレナとするか
質問者12 時間はまだ大丈夫ですか?
小林 大丈夫です。
質問者12 東京大学2年の〇〇と申します。
質問が2点あります。
僕も大学の生協等でミドリムシの商品を見るのですが、ミドリムシという名前であるからこそ、ここまで売れていると思うのですが、その反面ミドリムシはどうしても虫を連想してしまうと思います。
それで手が出せない人もいるのかなと思っています。
企業秘密でなければ、よりミドリムシの商品を混ぜ合わせていくために考えている戦略を教えて欲しいということが1点目です。
永田 おっしゃる通り、2010年まではユーグレナとして商品を売っていたんですよ。
でも全然売れなくて。
2010年に商品をミドリムシと変えて、とても売れたんですね。
結局何かというと、アテンションできない限り、人は手に取らないので、お店用に商品が並んでいる時、「ユーグレナ入荷しました」と表示しても絶対振り向かないですよね?
「ミドリムシ入荷しました」と言われたら、「何?」となります。
知った後のコンバージョン、買う確率はミドリムシの方が低いと思っています。
けれど、アテンションが100倍であれば、コンバージョンが10分の1だったとしても、期待値は10倍あるので、ミドリムシでいきましょうということが今までの考え方でした。
当たり前にするということは、マーケットにとってすごく大切なんですね。
普段の生活の中に入り込ませ、当たり前にすることは10年かかると思っています。
それを取り組むということが、僕達の基本的な考え方です。
(質問者の方は)東大の方ですよね?
質問者12 はい。
永田 東京ではユーグレナとして、関西ではミドリムシとして商品を作っているんですよ。
今ネーミングテストをしているのですが、売れているのはどうもミドリムシなんですよね(2017年2月より商品名をミドリムシに統合)。
このようなチャレンジはしています。
質問者12 もう一点だけいいですか?
小林 いい質問だからいいですよ。
統一された意思を持つ組織を作るには
質問者12 先ほど、明日出雲さんが死んだとしても会社は同じ方向に動くとおっしゃいましたが、統一された意志の組織を作るにはどうしたらいいかということをお聞きできれば嬉しいです。
永田 まず一番始めにあるのは、入社の時のスクリーニングだと思います。
弊社では能力や、職歴、学歴を見ません。
「この人は本当に僕達と一緒に地球を変えようとしているか?」ということが感じられるかどうかをすごく徹底しています。
加えて、入社した後にも、僕達はその意識をシェアするためのイベントを社内向けに多く行います。
忙しくなってきたり、お金を稼がなくてはいけないとなった時、そういった意識を横に置くということが起こりがちです。
例えば、食品のサンプルを作ると、食べきれない位サンプルが沢山できます。
そのサンプルがゴミ箱に置かれた瞬間、僕は走って行って怒りました。
人を食品で助けるということをしているのに、何をしているんだということです。
その時は全員で食べたのですが。
変な話ですが、クリスマスの時に街中がライトアップされるじゃないですか?新卒の仲間が「あのエネルギーは許せない」と言いはじめたんですよ。これは過剰なのですが(笑)
(会場笑)
それが言える組織はすごく大切だと思っていて、それを柔軟に僕達は対応し、受け入れましょうということをしています。
質問者12 ありがとうございます、参考にさせていただきます。
小林 時間が過ぎてしまいました。
並んでいる4人でジャンケンをしていただいて、一人の質問だけ受け付けます。
(並んでいる4人がジャンケン)
決まりましたね、最後の質問をお願いします。
ソーシャルワーカーの父親の元で知った「恵まれている自分」
質問者13 明治大学1年の〇〇と申します。
率直に聞きたいのですが、先程自分が恵まれた立場にいると気づいたということでしたが、そのきっかけが知りたいです。
恵まれた立場にいることが当たり前のようになっていると思います。どうしてそのことに気づけたのかなということをお聞きしたいです。
永田 最後は少し重い話になります。
今度僕のロングインタビューが出る予定なので、それも見ていただければと思うのですが。
▶ユーグレナ 取締役CFO 永田暁彦氏インタビュー(Widge)
実は、僕の父親自体がソーシャルワーカーです。
父は僕が子供の頃から、親がいない子供や、老人ホーム、精神疾患や身体障害の人達の色々な組織で働いていました。
年に一度お祭りがあるのですが、そこへ行くと、彼らは社会から見えないようにされているけれど、確実に存在していると感じました。
僕は幼少時からそこに接していたことがすごく大きくて。僕はこんなに元気で、勉強させてもらえて、何でもあるということを感じていました。
大学時代、18歳の時に休学し、海外に行くという経験をしたり。色々な役割を、お金を稼ぐためにできるのは、幸せだなと思っていました。
日本国内にも接点は色々あると思いますし、実際、僕は色々な接点を持つことができた。
そういった経験の積み重ねが自分の中で大きかったと思います。
質問者13 もしその経験がなければ、今のような大きな事業はできていないと思いますか?
永田 それはないですね。
僕以外の役員三人は「そんなことはないよ」と言いますよ。
出雲はバングラデシュでの経験がありますが、鈴木は純粋に研究者なので、ある意味ミドリムシを愛しているだけですよね。
このように、決して必須条件ではありません。
由来は人それぞれで良いと思っています。
僕が一番大切だと思うことは、人と比較しないことです。
このような会社を作ったから偉いということではなく、公務員になったとしても良いと思っています。
人と比較せず、自分の人生を選択した結果どこを目指すのかが大切だと思います。
質問者13 良く分かりました。
ありがとうございました。
小林 ありがとうございました。
最後に永田さんから、会場にいる20歳前後の皆さんに一言メッセージをいただけますか?
永田 今お話した通りですが、誰かと比較する人生が一番辛い人生だなと思っています。
後輩から、「東大にいたのに〇〇証券になってしまいました。外資系ではありませんと。」といったことを言われたことがあるのですが。
そんなこと、どうでも良くありませんか?
▶ その通り!(小林)
おそらく皆さんも、大学がどこだといった横を見合った人生になりがちだと思います。
そういうものを全て取り外せた人が、ミドリムシみたいな選択肢を選べるのだろうなと思っています。
なぜなら、人生はチャレンジすると必ず沈みます。
▶ その通り! 沈みました!(小林)
その時に、他人と比較すると新しいことはできません。絶対値ベースで自分が信じることを選択し続けることが最後の下地になるかなと思っています。
これから宜しくお願いします。
小林 以上でセッションを終わりたいと思います。
ありがとうございました。
(会場拍手)
(終)
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鎌田 さくら
【編集部コメント】
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