ビジネス・ブレイクスルー大学大学院の「アントレプレナーコース」が2016年4月に開講しました。ICCパートナーズ小林雅が担当した「スタートアップ企業のビジネスプラン研究」全12回の映像講義について、許諾を頂きまして書き起し及び編集を行った内容を掲載致します。今回の講義は、株式会社スペースマーケット 代表取締役 重松 大輔 氏にゲストスピーカーとしてお話し頂きました。60分の講義を5回に分けてお届けします。
(その1)は、大企業(NTT)を辞め、ベンチャーに飛び込み、起業に至った決断とスペースマーケットの創業秘話についてお話頂きました。是非ご覧ください。
登壇者情報
2015年12月11日収録
ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」
スタートアップ企業のビジネスプラン研究
「スペースマーケット」
(講師)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 教授
(ゲストスピーカー)
重松 大輔
株式会社スペースマーケット 代表取締役
(アシスタント)
小泉 陽以
小泉陽以 氏(以下、小泉) ビジネス・ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」スタートアップ企業のビジネスプランのお時間です。
この番組のアシスタントを務めます小泉陽以です。よろしくお願い致します。
それでは講師をご紹介いたします。
ビジネス・ブレイクスルー大学大学院教授、小林雅さんです。
小林さん、よろしくお願い致します。
小林雅 氏(以下、小林) よろしくお願い致します。
小泉 今回はどのような内容になりますでしょうか。
小林 今回は、スペースマーケットの重松さんをお迎えしております。
後ほど経歴は出てくると思うのですが、重松さんはNTTという大きな会社からベンチャー企業に転職して、それから30代半ばで起業するという経歴なのです。
受講生の方にも非常に親近感の湧く経歴ではないでしょうか。
大きな会社に入って経験を積んで、ベンチャーでもう少し下積んで、そして企業するというストーリー。
これはみなさんにとっても非常に参考になりますでしょう。
そこで、ぜひ登場していただきたいと思い、来ていただいたというわけです。
小泉 それでは改めましてゲストをご紹介いたします。
株式会社スペースマーケット代表取締役の重松大輔さんです。
重松さん、よろしくお願い致します。
重松大輔 氏(以下、重松) よろしくお願い致します。
小泉 では、重松さんのプロフィールをご紹介させていただきます。
小泉 重松さんは、1976年に千葉県でお生まれになりまして、早稲田大学法学部を卒業されました。
そして、2000年、NTT東日本に入社されまして、主に法人営業企画、プロモーション等を担当されました。
まずは大企業へ行かれたわけですね。ここではどのようなお仕事をされていたのですか。
NTT東日本からキャリアをスタート
重松 NTTではプロモーション寄りの仕事をしていました。
たとえば、PR誌を作ったりしました。勤めていたのが千葉支店だったのですが、その千葉支店のキャラクターを作ったり、そこはかなり好きなようにやらせていただきました。
ただ、やはり大きな会社で、平均年齢も非常に高い会社でした。とは言え、ITのことを知っているのは若いメンバーです。
ですから、若いメンバーが年配の方をどうマネージして、商品知識などを覚えていただきながら営業してもらうか、というような仕組み作りをやっていました。
小泉 そして、2006年には、当時社員数十名の株式会社フォトクリエイトへ入社されました。
NTTという大企業からベンチャーへ移られたわけですよね。
大企業の先が見える人生は怖い
重松 はい。私はNTTに30歳近くまでいたのですが、その頃、キャリアをこれからどうしようかといろいろと考えました。
NTTというのは、良い意味でも悪い意味でも、先が見えます。
40歳になったらナントカ支店の課長というように、「キミはこういう感じでキャリアが進んでいくのだ」というようなことを言われました。
私は、「それは怖いな」と思いました。
先が見えるというのは、ある意味安定しているわけですが、すごく怖いと思った。
ですから、先の見えない世界へ行きたいと思ったのです。
そこでたまたま相談した相手がNTT時代の同期だったのですが、そのフォトクリエイトの創業者である白砂(しらまさ)さんという方で、「ならばウチへ来いよ」という話になりました。
そのようなノリでフォトクリエイトにジョイン(参画)することになったということです。
小泉 そして、インターネット写真サービスやフォトクラウド事業、ウェディング事業の企画立案等を行いまして、同社の2013年7月における東証マザーズ上場にも貢献されております。
ここで起業のノウハウのようなものを培われたのでしょうか。
不安定さをもとめて起業
重松 そうですね。やはり十数人から100人くらいまでの組織を見て、事業の立ち上がりを見ることができましたから。
また、私自身も新規事業をゼロから立ち上げて、結婚披露宴の写真撮影市場の2割くらいのシェアを取るビジネスをゼロイチで作るという経験ができました。
そして、IPO(株式公開)をするとそれなりに安定した会社になったので、するとまた不安定さを求めたくなり、「自分でもやってみよう」と思い、チャレンジをしたというわけです。
小泉 そして、2014年1月、全国の貸しスペースをマッチングする株式会社スペースマーケットを創業されていらっしゃいます。
主な受賞歴にまいります。
・インフィニティ・ベンチャーズ・サミットのLaunch Pad 2014 Springで2位。
・B Dash Campピッチアリーナ2014優勝。
・RISING EXPO 2014 in Japanグランプリ。
このように輝かしい実績をお持ちです。
小林 2014年のピッチコンテストはほとんど総なめに近い形です。
小泉 これは何が良かったのでしょうか。
小林 やはり、後ほど出てくると思うのですが、プレゼンテーションにおける熱意の伝え方というのが、非常に上手になったというところでしょう。
最初に重松さんのプレゼンテーションを聞いたときは、「これはどうしようかな」というレベルであったのですが、そこは経験を積みながら、修羅場を越えて行かれて、神がかったプレゼンテーションになりました。
今となっては人に教えるほどにまでなっていますね。
小泉 それでは会社概要について簡単にご説明致します。
小泉 設立が2014年1月8日。
そして、所在地が東京都新宿区です。
資本金はおよそ6千万円(当時)。
事業内容としましては、「スペースマーケット」の運営、イベントプロデュース事業、プロモーション支援事業、となっていらっしゃいます。
それでは早速、会社の事業についてお願い致します。どのような事業をされているかというところです。
重松 まず、我々の会社のビジョンからお話致します。
重松 我々は、「チャレンジする人を、生み出す。」というビジョンを掲げております。
人が、たとえば「起業をしよう」だとか、「新しいビジネスをしたい」とか、「イベントをやろう」だとか、「お店を開きたい」とか、何かをやろうとした時には、必ず場所探しから入るわけです。
そして、今まではやはり場所を探すというのが大変だった。保証金が高かったり、内装費が高かったりします。
また、私も起業して感じましたけれど、貸してくれなかったりすることもある。つまり、信用がまだなくて「お前には貸さない」と言われてしまうこともあるのです。
すると、場所探しがもっと簡単になることで、世の中にチャレンジの総量が増えるのではないかと思い、こういうビジョンを掲げました。
それから、その場所探しを簡単にするということだけではなくて、世の中を面白くするということをやっていきたいと思っています。
重松 ただ、その場所を探すだけではなく、使い方とか、コンテンツの活用というところまで踏み込んで、世の中を明るく面白くして行けたらと思っております。
そして、現在(講義の当時)はメンバーがアルバイトを含めて20名くらいおります。
重松 主に楽天とかYAHOO!とかAMAZONとかGREEとか、ここ数年で急成長したような企業の幹部候補とか、そういったメンバーでやっております。
小泉 創業した時は何名ほどいらっしゃったのですか。
重松 創業時は2名です。CTO(最高技術責任者)のエンジニアと私の2名で創業しました。
小泉 採用はどのような形でやられているのでしょう。
重松 採用は基本的に、最初は人の紹介です。
基本的に一緒に働いたことのあるメンバーがいるというような形です。前職、前々職で関わりのある人だったりします。
ただ、今はウォンテッドリーという媒体があるのですが、そこでかなり採用できています。
小泉 お写真を拝見するに、若い方が多いように感じられるのですが。
重松 意外とそんなこともないです。
女性も、お子さんがもう2人いるとか、今産休の方もいらっしゃいます。割と社員には子供が多いですね。
スペースマーケットとは何か?
それでは、サービスの概要をご紹介させていただきます。
スペースマーケットとは、スペースを貸したい人と借りたい人をマッチングさせるプラットフォームということです。
イベント場所探しでこんな経験はありませんか?というところです。たとえば、会社の説明会。「大阪で200名の会場を探さなければならない」というような場合だったり、
あるいは、結婚式の二次会の場所探しだったり、
(編集注:写真中央は重松夫妻。奥様=佐藤 真希子さんはベンチャーキャピタリストとして活躍)
あとは経営合宿や開発合宿。
最近はオフサイト・ミーティングをやる会社は多いと思うのです。
しかし、会場の手配というのは毎回ものすごく大変で、しかも毎回同じ場所では飽きる。飽きると、やはり良いアイデアというのも出てきません。
一方、空いているスペースというのは世の中にゴマンとあります。
たとえば、企業の土日のセミナールーム。土日の会議室など。これは空いておりますね。
逆に、結婚式場というのは、土日祝日はフル稼働しておりますが、平日はガラガラなのです。
私がスペースマーケットの事業を考えたのも、この結婚式場に平日営業へ行って、「これ、もったいないですね」という話から始まりました。
そして、「たとえば、これを法人の宴会や会議をやれば儲かるのではないか」ということをいろいろな会社へ提案していったのです。
(続)
続きは 「Yコンビネーターの注目サービスをすごく研究していた」スペースマーケット重松氏が語るビジネス・アイデアの見つけ方 をご覧ください。
【編集部コメント】
続編(その2)では、スペースマーケットを創業する際のビジネスアイデアの見つけ方についてお話頂きました。起業をしたいが、ビジネステーマが見つからないといった人に見て頂きたい内容です。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/城山 ゆかり/戸田 秀成
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