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ファームシップが運営する世界最大規模の完全人工光型植物工場「富士山グリーンファーム」を見学しました!【ICCビジネス・スタディツアー vol.5】

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2019年11月某日。ICCパートナーズ一行はICCサミット参加者の方々や運営チームスタッフとともに、スタートアップ・カタパルト初代王者「ファームシップ」が運営する植物工場を訪問しました。本レポートではその模様をお届けします。世界最大規模の完全人工型植物工場から見えてきた、私たちの食の未来とは?ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


2019年11月某日の朝9時、私たちはJR大崎駅近くの大崎ガーデンタワーに集合していました。本日向かうのは、ICCサミット スタートアップ・カタパルトの初代王者・ファームシップが運営する植物工場です。登壇から丸3年、同社代表取締役を務める安田瑞希さんのご厚意により、今回のICCビジネス・スタディツアーが実現しました。

大崎ガーデンタワーに集合するツアー参加者

ファームシップは、世界最大級の工場野菜生産・販売網を有する2014年創業の農業系スタートアップです。

世界最大級の植物工場を運営!ファームシップは、生産と消費がより密接になる未来をテクノロジーで追求する(ICC KYOTO 2019)

今回のICCビジネススタディツアーに参加するのは、慶應義塾大学SFCの琴坂将広さん、USB証券(当時)の武田純人さん、協同商事/コエドブルワリーの朝霧重治さん、inahoの菱木豊さん、ICC運営チーム、ICCパートナーズの計14名。運営チームメンバーのうち、鎌田杏奈さんと能任花林さんの2名は、ファームシップで働く社員でもあります。

さらに今回のスタディツアーでは、LEXUSから貸与いただいた新型車両で東京-静岡間を移動します。筆者は、琴坂さん・武田さん・朝霧さんが乗る「LEXUS LS」に同乗させていただきました。それでは、早速ツアーの模様をお届けします。

「植物工場」と聞いてどんなイメージをお持ちですか?

植物工場のある富士市に向かう途中、今回のツアーに参加した理由をお三方に伺いました。

琴坂さん 「日本の農業の未来を考えたときに、植物工場は一度は見なければいけないと思っていました。伝統的な業態が残る農業の中で、世界的にみても最先端の実践をしているファームシップの植物工場に行けば、未来へのヒントが見られるのではと期待しています」

運転を担当いただいた慶應義塾大学の琴坂さん

助手席に座るUBS証券(2019年12月現在)の武田さんにも伺いました。

武田さん 「アグリテックという言葉で括られがちな分野ですが、植物工場にはテックの要素がどれぐらいあるのかに注目しています。また、植物工場に対して世の中が何を期待しているのか、それに対してファームシップがどんなことに取り組んでいるのかを知りたいと思い、参加しました」

後部座席に座る協同商事の朝霧さんは、独自の視点での参加でした。

朝霧さん 「弊社では有機野菜の卸業を営んでいるので、農業が今どう変化しているのか知りたいと思って来ました。私たちは物流や倉庫を持っていますので、将来的には植物工場のユーザー(運営者)となる可能性もあると思っています。仮に植物工場を運営するとなった際の規模感や投資感についても知りたいですね」

消費者として抱く「植物工場の野菜」へのイメージはどのようなものでしょうか? 昨今関心の高まる“食の安全性”の観点から伺いました。

琴坂さん 「自然の育成環境が反映されていたり、工業化されたプロセス以外の面を感じることができれば『安心だな』と思えますね 」

武田さん 「僕はむしろ逆で、ストーリーとかが一切入り込まないレベルまで合理的なシステムで完成されているほうが、植物工場としては安心です」

朝霧さん 「僕は、そうしたプロセスがきちんと公開されてることが安心なのかなと思いますね」

植物工場への期待に胸を膨らませながら、一行は今回の目的地である静岡県富士市の植物工場「富士山グリーンファーム」に到着しました。

本ツアーの目的地「富士山グリーンファーム」とは

富士山グリーンファーム(静岡県富士市)

今回訪問した富士山グリーンファーム株式会社は、ファームシップが出資する植物工場です。2017年に当時最先端の技術を集めて建設されました。野菜は日光を一切用いないLED照明のみの空間で栽培され、完全人工光型植物工場として世界最大級の規模を誇ります。

元々は食品飲料系の倉庫として使われていた物件で、内装をリノベーションすることで通常よりもコストを3〜4割抑えて建設されたのだそうです。

富士山グリーンファームの概要(提供:ファームシップ)

工場内部を見学させていただく前に、安田さんからファームシップの事業について1時間ほどのレクチャーをいただきました。

ファームシップが植物工場を始めた理由

安田さん 「ファームシップは、一言でいうと農業に関するあらゆる課題解決を目指すベンチャーです。

株式会社ファームシップ 代表取締役 安田 瑞希さん

最初は、大学同級生であり共同創業者の北島正裕が『植物工場はおもしろいぞ』と誘ってくれたのがきっかけでした。ただ、それまで多くの企業が植物工場で失敗していたのを知っていましたし、『10億円〜20億円も投資して100円のレタスを作って投資回収できるのか?』と懐疑的でした。

ですがそこまで言うならばと、当時勤めていた会社を辞めて植物工場の会社に入りました。私は公認会計士でもあるのですが、その特権を活かして財務的な側面も色々見させてもらって分かったのは、植物工場は規模の経済(スケールメリット)が効くビジネスであること、そしてエンジニアリングとの掛け算で成功に導ける可能性があるという手応えでした。そうして北島と創業したのが、ファームシップです」

投資総額120億円超、世界最大級の植物工場グループに

安田さん 「植物工場をつくるには10億円ほどが必要でしたが、当時の私たちにはノウハウはあるものの、お金がありません。一方で、周りを見渡してみると、植物工場をつくるお金はあるけれどノウハウがない、という企業がちらほらといました。そこで構築したのが、パートナーシップを前提としたとの植物工場オペレーターモデルです。

始めは、静岡県富士市にある植物工場からスタートしました。弊社からノウハウの提供と社員の派遣を行ったほか、販売についても弊社で行う形をとりました。販売を自社にしたのは、今後の拡大を考えた際に出口戦略をしっかりと押さえないといけないと考えたからです。

そのあとに挑戦したのはジョイント・ベンチャー(JV)モデルで、その第1号がここ、富士山グリーンファームです。立ち上げ当初は弊社から多くの人員を派遣しましたが、現在はJVプロパーの方々のみで回していただき、安定した生産を続けています。

また、同時進行で、植物工場に特化した人材教育の場として兵庫県伊丹市にiCube(アイキューブ)トレーニングセンターを設立しました。新卒入社の社員の研修の場として使われるほか、新工場を建設している間に就労予定の方々にトレーニングを積んでもらい、チーム文化を創ってから工場を稼働させる、という形で使用しています。

弊社の競争優位性は、大規模な植物工場のマネジメントのノウハウと、新規の技術開発力にあります。例えば、LEDをどのように野菜に当てるか、といったテーマです。言いかえれば、『オペレーション力』と『技術』の組み合わせが弊社の強みです」

さらに2020年には、静岡県藤枝市に東京電力と芙蓉リースとの共同出資により、総工費約20数億円の新型植物工場が稼働予定とのこと。LEDの効率化により、葉物野菜の収穫サイクルを従来より5日間も短縮できる最先端工場になるのだそうです。

静岡に国内最大級の植物工場 東電などレタス生産(日本経済新聞)

続けて、ファームシップが植物工場の運営において重要視しているポイントについてご解説いただきました。

植物工場の「生産性」を高めるための考え方

安田さん 「植物工場には安全性、安定供給、高機能・高栄養などの多くのメリットがありますが、私たちがビジネスとして特に大事にしているのは『生産性』です。

それを支える一番大きな技術的ブレークスルーは、ここ数年では、LED(発光ダイオード)です。光源として蛍光灯を活用していた時代に比べ、省エネルギーで電力コストが抑えられる上、波長や光の強度により成長を制御することができます。さらに、機械化や栽培・収穫を効率化する作業動線の工夫も大切にしています」

ここで、慶應義塾大学SFCの琴坂さんから質問が入ります。

琴坂さん 「生産性を高めることを考えた際、規模の経済の上限、頭打ち要因には何があるのでしょうか?」

安田さん 「LEDの話に関連しますが、一つは電力量の制約です。植物工場のコスト構造に占める電力コストは非常に大きく、LEDの導入前は全体の4割を占めるほどでした。現在は20~30%程度と相対的に低くはなっているものの、電力会社との電力契約が2,000キロワットを超える特高(特別高圧)になると、自施設に特別高圧対応の鉄柱を建てる必要が生じ、その設備投資が大きくかかります。

そこで私たちは、そうした設備投資のコストを抑えるために、近年価格が下がってきた太陽光発電を導入しようとしています。

“自然光の代わりとなるLEDの電力を賄うための太陽光発電”と聞くとなんとも不思議な感じがしますが、公認会計士でもある安田さんらしいコスト構造に基づいた解説に、深く頷きながら聞き入る一同でした。

LEDがあやしく照らす、植物工場内部に潜入!

そしてついにお待ちかね、植物工場の見学タイムです。富士山グリーンファームでは一般に工場見学は受け付けていないため、今回のスタディツアーは、言わば「特別公開」。工場内部が気になって仕方がない私たちですが、すぐには入ることはできません。

見学者は専用のスーツ・マスク・長靴を着用し、手洗いをした上で手袋をする必要があります。露地栽培の野菜が雨風に晒された“外”で育てられていることを考えると、衛生管理への意識の高さが伺われます。

そしてついに、工場内部に潜入しました。LEDの明かりで、室内はうっすらとピンク色に照らされています。富士山グリーンファームの生産ラインは大きく2つの部屋に分かれており、まず見せていただいたのはレタスを栽培する区画。6段ほど積み重なったベッドが、何列にもわたって配置されています。

ベッドの1つを覗いたのが上の写真です。スポンジのような床材に小さな穴が空いていて、その一つひとつからレタスの「芽」が生えています。各ベッドには配管が伸び、そこから養液が供給されます。ちなみに発芽を行う部屋は別にあり、そこでは種の状態から暗所で2日間、水のみで芽が出るのを待つのだそうです。

全ての芽が順調に育つわけではなく、育苗したのち次のステップに行けるのは9割ほど。形や色、成長度合いを指標に人が取捨選択をして“植え替え作業”を行います。このように、この工場では最初に種を植えるところから収穫まで、ほとんどの作業が人間の手によって行われているのだそうです。

より幅広い場所に移動された苗は、LED光のもとですくすくと成長します。奥までずらりとレタスが並ぶ光景は壮観でした。工場内を歩いていると、ふと、LEDが点灯していない真っ暗なベッドがあることに気がつきます。

これは、日光のない「夜間」の状態を再現している状態です。生育のためにLEDを当て続けていればよいわけではなく、自然環境下での栽培と同様、健全な生育には昼夜のサイクルが必要。この工場では、栽培する野菜の種類によってLEDの波長・強度は同じにしながらも、「昼間の長さ」を変えているそうです。

フラッシュで光っていますが、おやすみ中のレタス

工場内の環境は、暑くもなく寒くもなく、やや涼しめかなといった気温でした。エアコンによる温度管理、CO2濃度、湿度が生育に適した形で制御され、さらに適度な“風”をつくることで、空気が滞留するのを防いでいます。

施設内には複数のタンクが鎮座しています。これらは、各ベッドに供給する養液を貯蔵するタンクです。LEDとは異なり、養液は野菜や設備の種類によってその組成を変えているそうです。

フェーズごとに異なる「植物工場の生産性」の考え方

この後、ケールなどを栽培するもう1つの区画のほか、写真をお見せすることはできませんが「研究開発エリア」も見せていただきました。どうすれば単位面積あたりの収量を上げられるか、または収穫サイクルを早められるかを、農学や工学の博士号を持っている社員も含めて、研究に取り組んでいるのだそうです。

安田さん 「LEDの照明時間や強度を高めれば、栽培日数は短くなり1日あたりの生産性は上がります。しかし当然その分だけ電力コストがかかりますし、“チップバーン”と呼ばれる過成長による褐変が増えるため、それを取り除くための人件費が嵩みます。また、栽培密度を上げれば面積あたりの収量は増えますが、葉が広げることができないため細長い野菜が出来てしまいます。

植物工場では、そうした各種生産性のバランスをフェーズにあわせてどのように調整するかが非常に大切です。

そうしたフェーズごとにどういった投資が必要で、結果として利益率がどう変わるかをしっかりと考えなければなりません」

安田さん 「また、野菜は生き物ですから、その成長に必要な環境は一定ではありません。しかし現状、野菜の状態に応じて生育環境を自動で調整できているかというと、今は人が野菜を見て、人が環境を設定しています。言わば人が植物と“会話”している状態ですが、それを可能な人材は限られています。

現在、野菜そのものの生体を分析して、環境制御へフィードバックする技術の研究も進めています。そうした研究から、どのようなデータを取得するべきかが分かり、さらにそれを測定するための技術が農業用に安く開発されることも重要だと考えています。」

収穫された野菜は、隣室でパッケージ化され出荷へ

富士山グリーンファームでは、野菜の収穫はすべて手作業で行われています。今回の見学は午後の時間帯だったため野菜の収穫を見ることはできませんでしたが、収穫後のプロセスについても見学させていただきました。

印象的だったのは、土のないクリーンな環境なので当然ながらドロや羽虫がついていることはなく、収穫された野菜は洗浄することなく、そのままパッケージされていることでした。

テンポよくラインに投入されていきます

お店で見かけるお馴染みの姿になりました

野菜は販売先ごとに用意された専用ビニールにパッケージングされ、その場で段ボールに梱包されます。隣室には、出荷されるまで野菜を保管するための冷蔵室もありました。

いよいよ出荷!

植物工場のとれたて野菜を試食&ディスカッション!

工場見学を終えた私たちは、ファームシップさんのご厚意で、今日とれたばかりの野菜を試食させていただきました。土も何もついていないので、洗わずに食べられます。

普段、葉物野菜だけをドレッシングなしで食べる機会はあまりないので、美味しく食べられるのだろうか? と思っていたのですが、収穫したてのお野菜は苦味やエグみがほとんどなく、野菜が苦手なICCパートナーズ社員の北原さんも「みずみずしさ全然違う!」と目を大きくしながら食べていました。

レタス、サンチュ、小松菜などをワイワイいただきながら、安田さんと参加者の間に自然とディスカッションが生まれました。

琴坂さん 「植物工場は、既存の農作物のシェアを奪っているのでしょうか? それとも『植物工場野菜』という新たなマーケットを生み出しているのでしょうか?」

安田さん 「植物工場の野菜という市場があるわけではなく、葉物野菜の大きなマーケットの中で、植物工場産の野菜のシェアが増えているという感じです。そういう意味では一般の農家さんのシェアは下がっているのですが、それは私たち植物工場事業者の影響というよりかは、高齢化などによりその絶対数が減っているのが原因です。

ですからコンビニベンダーさんの選択肢としても『輸入品を買うか、植物工場の野菜を買うか』という流れになります。単純にキログラムあたりの単価を比較すると植物工場は輸入品に負けてしまいますが、輸入品の歩留まりは5割ほどと言われており、それを勘案するとこちら側に引き合いが出てきている現状です」

参加者とのディスカッションは30分ほども続きました。最後に、「農業の課題を解決したい」と願う安田さんが考える、これからの農業のコンセプトをご紹介したいと思います。

ファームシップが考える「次世代農業」とは

安田さん 「いま、高齢化により農業の担い手は急速に減少しています。毎年のように年に数回台風が直撃し、その被害で廃業を余儀なくされる農家も少なくありません。しかも農作業は過酷です。夏は暑く、冬は寒いのが当たり前です。

一方で今、植物工場には働き手が集まっています。夏は涼しく、冬は暖かい。季節や天候に左右されることなく、年中雇用を生み出すことができます。しかも、農業経験がなくても働くことができます。

私たちは現在の植物工場を発展させ、さらなる次世代農業ををつくりたいと考えています。

1つ目は、現在の10倍以上の生産効率化を実現する「NEXTFARM」です。生産性を追求することにより、小さな植物工場でも成立する世界を創出します。それこそ、個人農家さんがこの技術を選択できるまで生産性を上げたいと考えています。

2つ目は、AIで需給調整する「スマートバリューチェーン」の構築です。この業界の宿命でもあるフードロスを解決するために、NEDOの予算をいただきながら生産と流通のマッチングを目的とした技術開発に取り組んでいます。これは、生産も流通もやっているもファームシップならではの取り組みです。

3つ目は、CO2排出ゼロの「FARMBASE」の実現です。太陽光発電や風力発電を活用し自分たちでエネルギーを創り出し、そのエネルギーで生産も加工もやってしまう。さらに、リサイクルや再生可能エネルギーによりトータルでのCO2排出をゼロにするアグリフードコンビナート構想です。

ここですかさず、武田さんが質問で切り込みます。

武田さん 「規模の経済を小さくできたときに、どんな植物工場が実現するのでしょうか?」

安田さん 「都心の空き駐車場に“移動型の植物工場”が置けるようになるイメージです。ハーブをつくるコンテナ、レタスをつくるコンテナみたいなものがあり、販売店や飲食店の近くに配置させ、しかも自由に動かせるような仕組みをつくりたいと考えています。

コンビニ向けに大量に葉物野菜をつくるためにはこれまでの大規模工場も必要ですが、ニーズがマイクロに変化する飲食店や個々の消費ニーズに答えるためには、そうした小規模多機能型の仕組みが有効です。味や栄養価もある程度コントロールしたうえで、例えば病院の近くに健康意識の高い人向けのミニ野菜工場を配置することもできます」

植物工場は「野菜のある生活」をアップデートする

以上、2019年下半期初となるICCビジネス・スタディツアーの模様をお届けしました。帰りの車中で、ツアーに参加した慶應義塾大学SFCの琴坂さん、UBS証券(2019年12月現在)の武田さんに感想を伺いました。

琴坂さん 「今回植物工場を見学して、普通の農作業とは全く違う見た目ながら、実は行われているのは自然に近いプロセスの再現であり、そこに効率性を求めながらクリーンかつ大規模にやっているということが分かりました。『植物工場』よりも『屋内農業』という言葉のほうが近いような印象ですね。これは写真では決して分からない、貴重な体験だったかなと思います」

武田さん 「小規模な植物工場のアイデアを伺って『植物工場』という言葉に抱くイメージが大きく変わりました。工場というと『いかに生産性を上げるか』となりがちですが、ダイレクトに消費者に届けることでの効率性の向上など、まだまだビジネスデザインの設計にも余地がある分野だなと感じました。工場としての改善に留まらない、野菜を食べる、買い物をする、もっと言えば生きるということのデザインの可能性を感じました」

◆ ◆ ◆

私たちが日々口にする野菜や果物を支える我が国の農産業は、衰退の危機にあります。生産人口の急速な減少に、自由競争・国際貿易の波が押し寄せています。さらに食の安全性や栄養への関心が高まり、消費者のニーズが多様化する日本のマーケットにおいて、植物工場に求められる期待は大きなものです。

その中で、経済性を追求しつつ新たな雇用を生み出し、新しい農業のあり方を提案し続けるファームシップの取り組みは、非常に素晴らしいものだなと感動しました。植物工場は、野菜とともにある私たちの生活を、どのようにアップデートしてゆくのでしょうか? 今後のファームシップの活動に、皆さまもぜひご注目ください。

安田さん、ファームシップの皆さま、富士山グリーンファームの皆さん、ありがとうございました!

本ツアーは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサー Lexus International Co.様にサポートいただきました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成

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