「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場 「Industry Co-Creation(ICC)サミット FUKUOKA 2025」(2025年2月17日〜2月20日開催)、2月18日に「SAKE AWARD」 予選ラウンドが開催されました。こちらの記事では審査員による投票で予選ラウンドを通過した上位6社と、4つの部門賞に輝いた酒を紹介します。

世界で戦えるSAKEを日本から生み出すことを目指す「SAKE AWARD」では、全国から集まった11の酒蔵が自慢の酒を出品、酒のスペシャリストや酒を愛する審査員たちによる試飲体験を行い、予選ラウンドでは美味しさ、製法へのこだわり、ブランディング、想いへの共感といった観点から部門賞を選出し、決勝トーナメントに進む6つの酒蔵を選出しました。
「美味しさ」部門と「製法へのこだわり」部門は「池原酒造(白百合)」、「ブランディング」部門は「haccoba」、「想いへの共感」部門は「能登の酒を止めるな!」が1位を飾り、決勝ラウンドには「haccoba」「池原酒造(白百合)」「能登の酒を止めるな!」「スモールジャイアンツスタジオ(CRAFT WONDER)」「Kokage(ナチュラディスティル)」「平和酒造」が進出しました。
結果速報
部門賞
・「美味しさ」部門
1位 池原酒造(白百合)
2位 haccoba
3位 スモールジャイアンツスタジオ(CRAFT WONDER)
・「製法へのこだわり」部門
1位 池原酒造(白百合)
2位 醸造家 阿久澤 健志
3位 haccoba
・「ブランディング」部門
1位 haccoba
2位 能登の酒を止めるな!
3位 池原酒造(白百合)
・「想いへの共感」部門
1位 能登の酒を止めるな!
2位 haccoba
3位 池原酒造(白百合)

決勝トーナメント進出
決勝トーナメント進出の6社は以下の通りです。
1位通過 haccoba
2位通過 池原酒造(白百合)
3位通過 能登の酒を止めるな!
4位通過 スモールジャイアンツスタジオ(CRAFT WONDER)
5位通過 Kokage(ナチュラディスティル)
6位通過 平和酒造

出展企業の詳細は以下をご覧下さい。
出品酒造・酒一覧
【1位通過】haccoba
福島県南相馬市:ジャンルの垣根を自由に超えて生まれるクラフトサケ
酒造からひとこと
2021年2月、原発事故の避難で一時人口がゼロになった福島県の小高というまちに醸造所を設立。2023年7月から隣町の浪江でも醸造所を営んでいます。「酒づくりをもっと自由に」という思いのもと、かつての “どぶろく”文化やレシピを現代的に表現。ジャンルの垣根を超えた自由な酒づくりを行っています。
自分たちの事業を通して、自律的な地域文化と自由な酒づくりの文化を取り戻すことを、本気で目指しています。
福島県浪江町から “異彩を放つ” お酒をつくりたい。そんな思いから、この地域一帯を長らく治めてきた相馬藩の「殿」(相馬家第34代当主・相馬行胤さん)が営む牧場のホエイをお米と一緒に発酵させたお酒をつくりました。



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佐藤 太亮
haccoba -Craft Sake Brewery-
代表
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「酒づくりをもっと自由に」という思いのもと、ジャンルの垣根を超えた自由な酒づくりを行う酒蔵「haccoba -Craft Sake Brewery-」を福島県の小高というまちで営む。かつて東北でつくられていた自家醸造酒のレシピを受け継ぎ、日本酒にクラフトビールの製法をかけ合わせたお酒をメインで展開。福島浜通りで酒蔵を営みはじめたら、気候変動というグローバルな課題がいつしか自分ごととなり、電力事業も始めている。慶應経済学部卒。楽天やWantedlyを経て独立。酒づくりの修行先は、世界一美味しいと思っている新潟県の酒蔵「阿部酒造」。
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【2位通過】池原酒造(白百合)
沖縄県石垣市:2度目の優勝なるか!? noma Kyotoに採用されたクラフト泡盛メーカー
酒造からひとこと
伝統を守り、常識を破る。小規模だからこそできる試みを武器に革新的な泡盛を製造している石垣島のクラフト泡盛メーカー。二人だけで造る泡盛はアメリカにも出荷されている。国内でも「シラユリスト」と呼ばれるファンとともにイベントを行い泡盛、白百合の魅力を発信している。
2024年秋、「世界一予約の取れないレストラン」として名高いnoma(スウェーデン・コンペンハーゲン)が京都で期間限定出店した「noma Kyoto」にて、当社の泡盛「白百合」特別蒸留が食後酒として採用されたモデル。食後酒として最高の逸品。



【3位通過】能登の酒を止めるな!
石川県能登町:全国24の蔵元が結集、能登の銘柄をつなぐプロジェクト
酒造からひとこと
令和6年1月1日能登半島震災を受けて全国24の蔵元たちと立ち上がったプロジェクト「能登の酒を止めるな!」の能登酒蔵の混成チームです。日本四大杜氏の一つである能登杜氏の発祥の地でもある発酵大国能登が震災で甚大な被害を受けました。彼らを支援すべく、全国の蔵元たちが集い、共同醸造という形で能登の酒蔵の銘柄を止めないことを目的に取り組みを行っています。業界でも初めてのこうした取り組みに、2024年度ACC GOLD、Makuake of the Year GOLDを受賞しました。


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鶴野 晋太郎
鶴野酒造店
14代目蔵元
公式HP
1989年生まれ。石川県能登町出身。株式会社鶴野酒造店14代目。大学卒業後の2012年にIT企業の富士通グループに新卒で入社。プログラマーとして、認証・認可のセキュリティシステム開発やiOS/Android/Windowsなど様々なOSのモバイルアプリ・Webアプリ開発を担務。設計や開発だけでなく、導入や運用という泥臭い領域まですべてを経験。「能登の風土と祭りという伝統文化、日本酒文化を残していきたい。日本酒造りがしたい。」という想いが強くなり、2019年に稼業の酒蔵にUターンし、すぐに日本酒造りに参画。2024年に令和6年能登半島地震で酒蔵が全壊。現在は、共同醸造という形で全国の酒蔵様からご支援をいただきながら酒造りに励んでいる。能登での再建を目指し、日々奮闘中。
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【4位通過】スモールジャイアンツスタジオ(CRAFT WONDER)
東京都品川区:日本の小さな酒造の自由な酒造りを伝えるブランド
酒造からひとこと
日本のスモールカンパニーの伴走者となり、クライアントの事業や共創ブランドの成長を実現するスモールジャイアンツスタジオ。そんな我々が運営するCRAFT WONDERは、小さな酒造たちの「徹底したこだわり」と「遊び⼼」から⽣まれる想像を超えた驚きの商品をお届けします。
こころ躍る瞬間-WONDER-を、丁寧に造る-CRAFT。
⽇本のクラフト酒造だからできる、⾃由でプレミアムなアルコールブランドです。
コンセプトは「濃厚な旬を味わう、極上の苺リキュール」。最高級苺「古都華」を100%使用。華やかな香り、濃厚な甘みとフレッシュな酸味を最大限まで引き出しています。



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中川 裕章
スモールジャイアンツスタジオ
代表取締役 CEO
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新卒で三越伊勢丹に入社。伊勢丹新宿店の婦人服売場にて販促・MD業務従事したのち、JMR生活総合研究所、博報堂コンサルティングにて、国内大手企業の新規事業開発やブランディング、マーケティング戦略策定等20以上のプロジェクトに従事。2016年より電通Y&Rにて、ビジネスプロデューサーとして地域ブランディングや企業の統合コミュニケーションに従事。2019年よりミーミルに参画し、セールス、マーケティングの立ち上げを牽引したのち執行役員就任。2023年に国内の「優れた技術を持っているのに価値に変えられない」等のスモールカンパニーの伴走者となり、スモールジャイアンツ(小さな巨人)を目指す誰もが事業をグロースできる世界の創造にチャレンジするべく、Small Giants Studio, Inc.を創業。慶應義塾大学経済学部卒業。エスモードジャポン特別コース修了。
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【5位通過】Kokage(ナチュラディスティル)
福島県川内村:日本の植物の繊細な香りをジンに閉じ込める小さな蒸溜所
酒造からひとこと
日本の固有植物に着目し福島県川内村にて自然の魅力を詰め込む蒸溜所『naturadistill(ナチュラディスティル)』です。元薬店倉庫を改装した村の中の小さな蒸溜所です。蒸溜酒づくりの文化を大切にしながら挑戦的につくり上げ日本の香りを世界へ届けます。
日本独自の自然の香りを追求した、私たちの代表作となるジンです。かやの実などの固有植物をボタニカルに採用し、減圧蒸留で植物の繊細な香りを抽出しました。(ジントニックで提供)



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大島 草太
Kokage
代表取締役
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1996年生まれ、栃木県宇都宮市出身、福島大学卒。大学へは教員を目指して入学したが、福島の原発事故被害のあった山間部の人々の魅力や海外からの風評に触れ、起業の道へ進む。3年次に福島県川内村のそば粉を使用したそば粉ワッフルの移動販売「Kokage Kitchen」を開業。4年次に地域おこし協力隊を経験し、クラフトビール会社「株式会社ホップジャパン」に入社、醸造に携わる。その後独立し「株式会社Kokage」を設立。高校生大学生と共に立ち上げたフルーツハーブティーブランド「Tea & Things」の運営や、蒸溜所「naturadistill(ナチュラディスティル)川内村蒸溜所」の立ち上げ等、仲間を増やしながら土地の魅力を福島から世界へ届けようと模索している。
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【6位通過】平和酒造
和歌山県海南市:平均年齢30歳、高野山の伏流水で醸す豊かな酒造り
酒造からひとこと
1928年創業。霊峰高野山の伏流水に恵まれた地にある酒蔵。廉価な大量消費のためのお酒の生産から脱却し、日々の人生に豊かな彩りを添えられる高品質なものづくりを目指す。
日本酒「紀土」リキュール「鶴梅」の他、近年ではクラフトビール「平和クラフト」の発売を開始。
醸造家の平均年齢は30歳。日々切磋琢磨しながら情熱をもって酒造りに挑み、日本の若者や世界へ酒文化を広めることに邁進している。
平和クラフト Japanese cedar & rice lager
ビールの強みであるごくごく飲めることと、和食とのペアリングに焦点を当てたクラフトとビール。木桶で醸造した日本酒やビールにインスピレーションを得て、ステンレスタンクの特徴を生かしたホッピーラガーに仕上げた。



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髙木 加奈子
平和酒造
ビール醸造責任者
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2011年に東京農工大学農学部生物生産学科を卒業後、同年4月に平和酒造株式会社に入社。入社後より清酒の製造と農学部の知識を生かして自社田の山田錦や自社畑の南高梅の栽培管理を行う。2014年よりクラフトビール事業の立ち上げに参画。2016年6月より平和クラフトというブランドでクラフトビールの販売を開始、2025年現在も販売を継続している。2019年よりビール醸造責任者として、醸造からパッケージング、レシピ開発まで幅広い分野で平和クラフトの製造を行っている。また清酒の分野でも、清酒専門評価者や南部杜氏資格を取得。社内での製造業務や社外での技術指導などに携わっている。清酒とビール両方の造り手として、日本ならではのクラフトビールの醸造を目指す。
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※以下、順不同
虎ノ門蒸留所
東京都港区:居酒屋&バーを併設したビジネスタワー内のジン蒸留所
酒造からひとこと
2020年、東京都港区 虎ノ門ビジネスタワーの3F横丁内に蒸留所を開設。東京でつくる、新しい日常酒。TOKYO LOCAL SPIRITSがコンセプト。八丈島や新島の島酒、奥多摩沢井の湧き水をベースにしたレギュラージン「COMMON」や、時季の植物を使った「季節のジン」を中心に蒸留をしています。年間20種類ほどのスピリッツをリリースし、併設のバー、居酒屋「酒食堂虎ノ門蒸留所」では食事に合わせる新しいジンの体験を提案しています。
秋の東京、奥多摩や青梅、町田で手摘みしたキンモクセイを蒸留したジンです。都内各所で少しずつ、毎年採らせてもらっているのですが、ビルが多い都会の中にいると、どうしても忘れがちな季節の移り変わりを、金木犀の花を摘みながら感じています。
今年で五回目のキンモクセイ。咲いている花が散り始めるタイミングで、手作業で丁寧に採取し蒸留することで、その香りをボトルに閉じ込めます。食中酒としてソーダ割、香りそのものを楽しむならストレートで飲むのもおすすめです。



8KNOT
岐阜県美濃加茂市:現役の消防士が造る「美濃加茂ビール」
酒造からひとこと
現役の消防職員(火消し)が醸造するクラフトビール醸造所。『災害の無い平穏な日々を贈る』をコンセプトにした厄除けのビールや地元で語り継がれている『桃太郎のおとぎ話』をコンセプトにしたビールなど、消防士や公務員の視点から作り出されるビールを醸造し、地域の活性化に取り組んでいる。
黄金と白銀
「災害の無い平穏な日々を贈る」をコンセプトにした厄除けのビール。酒粕とお米をビールの副原料に使用し、白ブドウのような吟醸香が香る上品なビール。



LINK SPIRITS
鹿児島市易居町:伝統×革新で薩摩の芋づくりと焼酎を未来に繋ぐ
酒造からひとこと
グローバルを視野に市場を生み出し、焼酎づくりが継承される未来を目指す。商品開発から販売まで「つくり手と飲み手を繋ぐ」ブランドとして、焼酎業界の価値を向上していくことに取り組んでいる。2023年に若潮酒造と共同開発した「NANAIRO-七色-」を販売開始。農家さんと連携して原料となるサツマイモの栽培から手がけた「音環-OTOWA-」もリリース予定。
本格焼酎製法でつくられたNewスピリッツ。ロゼワイン酵母で仕込んだ原酒が、紫芋の天然色素で鮮やかなピンクに色づきました。フローラルでお花のような香りが特徴。原料は芋の病気に強いコナイシンという品種のサツマイモを採用しています。



醸造家 阿久澤 健志
国内複数のビール醸造所で活動する醸造家
酒造からひとこと
パブ文化とビールの魅力に取り憑かれ醸造の道へ。一つのビール醸造所にとどまることなく複数のビール醸造所で活動。ビール醸造に励むなか日本ならではの素材や発酵文化とビールを掛け合わせる可能性に着目。特に麹を活かしたビール醸造に挑戦し、日本らしさある新たなビールを探求する。
Tomodachi(未発売)
日本の発酵文化とビール技術、そして発酵文化に関わる友人たちの原料を、一つの液体にとじこめました。酒の無限大の可能性を感じさせる一杯です。



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阿久澤 健志
ビール醸造家
オンラインショップ
ビール醸造家 阿久澤 健志。2012年、パブ文化とビールの魅力に取り憑かれ醸造の道へ。一つのビール醸造所にとどまることなく複数のビール醸造所で活動。ビール醸造に励むなか日本ならではの素材や発酵文化とビールを掛け合わせる可能性に着目。特に麹を活かしたビール醸造に挑戦し、日本らしさある新たなビールを探求する。”ワクワクすること”をモットーに、「三方よし(つくり手よし、のみ手よし、世間よし)」の精神でビールづくりに向き合う。
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津南醸造(GO)
新潟県中津南町:地元産の銘米とサイエンスで挑む新たな酒造り
酒造からひとこと
豪雪地である新潟県中魚沼郡津南町に本社を置く日本酒蔵。地元で生産される「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を用いて、自然と共生する酒造りを行っており、「Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜」をブランドコンセプトに、酒蔵とサイエンスの融合をベースにした新たな価値創造ならびに海外展開を目指している。


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鈴木 健吾
津南醸造
代表取締役
公式HP | オンラインショップ | 公式X
2005年東京大学大学院農学生命科学研究科 修士課程在学中に株式会社ユーグレナの設立に携わり、共同創業者の一人として研究開発の責任者を担当。同年12月に世界初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功し、2024年よりエグゼクティブフェローに就任。2016年、博士(農学)学位取得。2019年、博士(医学)学位取得。理化学研究所 微細藻類生産制御技術研究チーム チームリーダー、マレーシア工科大学 マレーシア日本国際工科院 客員教授、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授(客員)を務める。2023年12月に津南醸造代表取締役に就任。
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(終)
編集チーム:小林 雅/谷 郁果/松久 聖/原口 史帆/浅郷 浩子/戸田 秀成