【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2024 開催情報詳しくはこちら

食には「アッパー系」と「ダウナー系」の2種類がある(石川善樹)【F17-7D #3】

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!

「極めよう、『食』と『心』を。」【F17-7D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)は、今回のセッションでキーワードとなった食事の「アッパー系」「ダウナー系」について議論しました。健康な食事の鍵は”量”であるという話も必見です。是非、御覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 7D
極めよう、「食」と「心」を。

【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 7D
極めよう、「食」と「心」を。

(スピーカー)
川上(全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職

高島 宏平
オイシックス株式会社
(現オイシックスドット大地株式会社)
代表取締役社長

松嶋 啓介
株式会社Accelaire 代表取締役
KEISUKE MATSUSHIMA 総料理長

(スピーカー&モデレーター)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

「極めよう、食と心を。」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
【新】極めよう、「食」と「心」を。【F17-7D #1】

1つ前の記事
精進料理は菜食主義ではなく精神集中するための食事(川上全龍)【F17-7D #2】

本編

高島 パフォーマンスを上げる食事というときは栄養素やGI値がどうだという「食料」的な話しが多いですが、「食事」というのはどういう気持ちで楽しむか、どういう人と一緒に過ごすかというところがだいぶ違いますよね。

最初の質問にあった「パフォーマンスを上げる食事」というものを考えた時、それは食事なのか食料なのか栄養素なのか、そのあたりもみなさんに聞きたいのですが、石川さんどうですか。

石川 そうですね、詳しくは本(疲れない脳をつくる生活習慣、プレジデント社)を読んでいただけたらと思うのですが(笑)。

食の話をする時にまずこれだけは押さえていてほしいというのが1つあるとすれば、僕等の脳が判断していることですが、食には「アッパー系」と「ダウナー系」の2種類あるということです。

食には「アッパー系」と「ダウナー系」がある

石川 さっきの幸せの話しとも関わってきますが、人間にとっての快楽は大きく分けるとアッパー系とダウナー系のものがあります。

アッパー系代表の食料は油と糖で、アッパー系のものをとると「もっと欲しい」となります。肉等もそうですね。

ダウナー系代表の食事は旨味です。

これはどういうことかというと、清原さん(元プロ野球選手)がはまった覚醒剤という薬がありますが、あれはアッパー系の快楽の薬で、アッパー系の特長は、とればとるほどもっと欲しくなることです。

皆さんが油と糖を取る時は、自分は覚醒剤をとっていると思ってください(笑)。

ダウナー系の代表はマリファナです。マリファナは一部の国では解禁され始めていますが。

高島 この覚醒剤とマリファナの例えで、分かりやすくなっていますか?(笑)

石川 食の業界の人は詳しいのかなと思って。

高島 あえて僕等に合わせてくれているんですね、すごい偏見だな(笑)。

石川 日本人は例えばドラックをやる時に、アッパー系の覚醒剤が好きで、アゲアゲになりたがります。

アメリカ人とかは逆にマリファナ的な深い満足でずっといくといったダウナー系のドラックが好きなんですよね。

高島 食事で例えてもらった方が分かりやすいかもしれません。

(会場笑)

石川 (食事で言うと)野菜の旨味がしっかり引き出された料理を食べるのかと。

高島 アッパー系というのがフライドポテトやハンバーガー等、ファストフード的なものですね。

石川 そうですね、フライドポテトは美味しいですよね。

あれはアッパー系の要素が全て詰まっていて、じゃがいもは糖分なので糖に油をつけて塩をまぶしたものなんです。

それに加えて某マクドナルドさんのポテトは肉の香料が入っています。

高島 「某」じゃないじゃないですか。

(会場笑)

石川 肉の香料が入っていて、油と糖と塩の完璧なハーモニーで美味しすぎるので、最近アメリカで肉の香料が禁止されました。

ですから、フライドポテト的なものを食べているのか、あるいは精進料理的な旨味をしっかり引き出したものを食べているのか、自分の食生活がどっちに寄っているのかということが、まず食を考える上で一番最初におさえるべきところです。

高島 石川さんがおっしゃっているのは「アッパー」の食をやめて「ダウナー」にしたほうがいいよということですか。

石川 はい、そうです!

日本は他の国に比べ肥満が少ないことで有名ですが、それは欧米の食に侵略されていないともいえるんです。

お隣の中国の食文化はあっという間に侵略されました。

日本が独自の食文化を保てているのは、そもそも、油と糖よりも旨味を重視する文化があったからだといわれています。

旨味は1907年に池田菊苗さんという方が発見されましたが、そこから100年ぐらい誰も旨味の研究をしていませんでした。世界の料理でも「旨味」に注目が集まり始めたのは最近ですよね。

松嶋 日本ではもともと話していましたが、世界の料理人が旨味という言葉を使い始めたのはこの15年~20年ぐらいですね。

石川 世界的には新しい概念で、旨味の科学的研究が進んだのは最近です。

東北大学の笹野先生が研究されていますが、この方が開発された旨味測定器では皆さんの味覚がどれほど旨味に反応できるか測定できます。

測定できないと全てのものは良くなっていきません。

体重計とか血圧計、JINS MEME(集中度合などを測定できるメガネ型ウェアラブルデバイス)もそうですが、まず測定できないと改善しようがないと思います。

そういう意味では食の世界において今まで測定するものがありませんでした。

史上初めて味覚を測定できるというのが東北大学の笹野先生の大発見で、それを使ってオイシックスは今実験をやっているんですよね。

実験「味覚は2週間で変えられる?」

高島 そうですね。

今、石川さんと松嶋さんと一緒に仕事をしているのでそれに関する話を少しします。

アッパー系・ダウナー系の話ですが、石川さんの理論では基本的に身体に悪い食べ物を食べている人は、身体に悪い食べ物を美味しいと思う味覚状態にあるということですね。

ですから、味覚状態を変えることができれば身体に良いものを食べ続けることができるのではないかということで、どうやったら味覚を変えることができるか、という実験を今一緒に行っています。

味覚を変えるためのメニューを松嶋さんに開発してもらい、2週間オイシックスのお客さんに食べてもらって、味覚が変わるか・自覚している健康状態が変わるか・体重が減るかという測定を1回200人がやってみたのですが、結構劇的な効果が出ています。

プラシーボ効果もあると思いますが、理論提唱者である石川先生がびっくりして「こんなに効果があるんですね」と言っていました。

石川 そうでしたね、さすがにわが目を疑うくらい効果がありましたらかね(笑)

でも、味覚は2週間あれば十分変わります。

舌の細胞は8日から10日で入れ替わるので、皆さんの口の中に乗っかっている舌は、2週間前の舌ではありませんよ。

2週間あれば十分変わるとは思っていましたが、それを松嶋シェフが味覚を変える旨味たっぷりのメニューを考えてくださいました。

松嶋 たっぷりとは言いませんが、旨味をベースにしたメニュー構成を考えました。

旨味が何から取れるかをちゃんと調べ、保存食を使ったり、もしくは旨味は保存食だけではなくて生鮮品の中にもあるので、そういったものの引き出し方も考えて1週間のメニューを朝と夜、しかも3分ぐらいでできる料理を考えるというのは結構大変です。

石川 オイシックスからの要求、要望が多かったんですね。

松嶋 要求は多かったですね。

オイシックス的に簡単なレシピじゃないと売れないということだったので、朝は5~10分ぐらい、夜は20分くらいで1品作れるようなものを考えました。

それが習慣となり、身に付けば3分以上の時間がかけられると思いますが、入り口のハードルが高いと続かないと思います。

良い食事かどうかは、質というより量の問題である

石川 何の話をしているか簡単にまとめます。

従来、食物を見る時に僕等はビタミンがどうだ、栄養素がどうだという切り口で見てきましたが、最近食を見る時の切り口として、そもそもアッパー系なのかダウナー系なのかという切り口が出てきました。

それはなぜかというと、健康であるために何が大事なのか、油が悪いのか糖が悪いのか色々研究してきましたが結局、質より量の面で、たくさん食べるからダメという結論に今なっています。

最先端のダイエット理論においても、健康的な体重を維持するにはとにかく量を抑える必要があるというのが1つの結論です。

それでは量を抑えるためには何が大事かという話になります。ダウナー系の食事は量を自然と抑えてくれますが、アッパー系の食事はもっともっと欲しくなります。

例えばOLさんがコンビニとかで、糖分が沢山含まれた野菜ジュースとおにぎりと食べているんですが、コンビニのおにぎりは油と糖ですからね、ご飯に油がいっぱい塗ってありますから。

松嶋 あと防腐剤ね。

石川 そんなものを食べていると、アッパー系なので絶対おやつが食べたくなり、おやつに手が伸びてしまうわけです。

野菜ジュースとおにぎりでもいいのですが、味噌汁等を追加し、最後を味噌汁等の旨味で締めると。

高島 出汁ということですね。

石川 そうです、ダウナー系のものなので、深い満足で終えられるし、おやつにも手が伸びにくくなります。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 「自炊率が高い国ほど肥満率が低い」まずは一汁一菜の朝食作りから始めよう!(石川善樹) をご覧ください。

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! ICCのYoutubeチャネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/ 城山 ゆかり

【編集部コメント】

健康な食事かどうかは量で決まり、その量をコントロールする要素としてアッパー系/ダウナー系という概念があるという議論はとても響きました。(甘党・コンビニが大好きな立花)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!