フィリピンで従業員向けローン等の福利厚生サービスを展開する「VENTENY」のプレゼンテーションを2回シリーズでお届けします。(その1)は、フィリピン市場の魅力と現地企業が抱える労働環境の課題についてお話し頂きました。2016月9月6日・7日に開催したICCカンファレンス KYOTO 2016「カタパルト」-グロースステージ- プレゼンテーションの書き起こし記事です。
ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。
登壇者情報 2016年9月6日・7日開催 ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」 Session 9B CATAPULT(カタパルト) - グロース・ステージ - (プレゼンター) 和出 潤一郎 VENTENY INC. Founder & CEO http://venteny.com/ 18歳で渡米。Northeastern University(Boston, USA)を卒業後、PwCに入社。帰国後、(株)オークファンでの執行役員等を経て2011年にdataSpring Philippines inc.の代表取締役社長として、フィリピンへ出国。現地従業員の一般的な労働環境、現地企業の従業員に対するマネジメント方法、成長が著しいマーケット等を日々目の当たりにしながら、2015年にフィリピン国内においてBtoB向け福利厚生サービスと、加盟企業の従業員を対象にしたパーソナルローン(HR & FIN TECH) を一体にしたソリューションを主に提供するVENTENY INC.を設立し、代表取締役社長に就任。(現任)同国内においてはオンリーワンの位置付けで、サービス開始以降の会員数(加盟従業員数)は約28,000人。2016年内には合計50,000人の会員獲得を目指す。
和出 潤一郎 氏(以下、和出氏) フィリピンから参りました、VENTENYの和出と申します。
弊社は、従業員に特化した福利厚生と金融ソリューションを組み合わせたビジネスを東南アジアで提供しています。
日本で弊社のサービスを紹介させていただくのは初めてでして、本日は会場の皆様、投資家の皆様、そして未来のメンバーに向けたプレゼンテーションをさせていただきたいと思っています。
弊社VENTENYは2015年2月に創業し、現在はシンガポールに本社を置きながら、2015年4月から第1ヶ国目としてフィリピンでサービスを展開しています。
まず、フィリピンを初めての市場として選んだ理由として3つの背景がございます。
1つめが、私がフィリピンへ渡ったのが2011年ですので、早くも今年で5年目になりました。
当時はVOYAGE GROUPの子会社の代表としてフィリピンに赴任したことに始まり、その3年後、現地で培ったネットワークや地の利を活かすかたちでVENTENYを起業したという経緯があります。
2つめが、急速な経済発展と生活水準の向上があります。
直近のフィリピンのGDP成長率は7%を超えており、東南アジアの中でもトップクラスで際立つ成長を遂げています。
そして3つめが、この国の福利厚生が充実していないことが挙げられます。
年金、住宅ローン、健康保険などの従業員として加盟が必須のものはありますが、いずれも内容やプロセスが古いままです。
経済が発展した今とは大きなギャップが生じており、現地スタッフからは使い勝手があまり良くないと言われております。
今後の予測
そして今後の予測としては、フィリピンに限らず、東南アジア諸国全域において良い従業員の囲い込みが更に加速することが予想されます。
その上で、これまでは会社が従業員を選ぶ買い手市場であったことに対し、今後は従業員が会社を選ぶ時代が着実にすぐそばまで来ているように感じています。
結果、企業は優秀な人材の確保や流出を防ぐべく、福利厚生を含めた社内環境の改善がキーとなってくるであろうと考えます。
VENTENYのソリューション
そこで、弊社VENTENYは自社のソリューションとしては、日本的な福利厚生のアウトソーシングサービスを通じて企業と従業員の満足を得ながら、一方で入手したデータを活用して、優良な借り手に貸し付けを行う従業員向けローンサービスを展開しております。
会社は今日の時点で社員10名。わたし以外は全員ローカルスタッフで運営している会社でして、おかげさまでフィリピンにおいて、弊社はオンリーワン且つナンバーワンの企業となっております。
個人向けローン市場の成長
皆様もご存知の通り、近年の東南アジアは成長力を更に増しており、中間所得層の数も著しく伸びています。
その結果、個人の購買意欲も以前に比べ大幅に高まっており、それに従い個人向けローン市場も、年を追うごとに拡大している状況です。
東南アジア全体の個人向けローン市場は、2010年以降の統計で約60兆円を超すと言われており、VENTENYはまさにこのマーケットに対して参入しているところです。
このように発展目覚ましい東南アジアですが、その一方で特有の課題も存在しています。
従業員のつなぎとめ
企業の労働環境という観点から申し上げれば、低い帰属意識や高い離職率が、目立った課題となっています。
特に(フィリピンの)ローカル企業では、これまで従業員のケアに関し積極的な取り組みは行ってこなかったところが多く、どの企業で働いても環境はほぼ同じ。従業員の福利厚生環境はどの会社であっても大きな違いはないという状況でした。
その一方で、従業員から見た課題として、家族の進学、介護などの事情で急に資金が必要となる状況が日本よりも格段に多いと言えます。
この場合、借り入れの手段として銀行やクレジットカードの申し込みという選択肢もありますが、実際には審査に時間がかかり過ぎてしまったり、そもそも審査に通らないなど、すぐにお金の用意ができないケースが多数存在しています。
資金ニーズが満たせないと、気持ちに余裕がなくなり、最終的には冷静な判断ができなくなります。
その結果、単純に、今よりも給与の高い企業へ転職するというケースが多々見られます。
このような現状がある中で、どのように従業員をつなぎとめるかが課題となりますが、私どもVENTENYは、その答えのひとつに従業員向けの金融・レンディングサービスがあると思っています。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鈴木 ファストアーベント 理恵
続きは フィリピンで実現する従業員向けローンの仕組み - 注目のベンチャー特集「VENTENY」(2) をご覧ください。
【編集部コメント】
続編(その2)では、フィリピンで実現する従業員向けローンの仕組みについてお話し頂きました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。