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ICC KYOTO 2025 スタートアップ・カタパルトに登壇した、Kinish 橋詰 寛也さんのプレゼンテーション動画【牛乳たんぱくを含むコメを開発! サステナブルでヘルシーな乳製品で、食の未来をつくる「Kinish」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Sponsored by EVeM
橋詰 寛也
Kinish
代表取締役CEO
公式HP
新卒でPwCコンサルティング合同会社に入社し、経営コンサルティングに従事。その後日本マクドナルド株式会社へ転職し、プライシング戦略部責任者、デリバリー事業開発責任者を担当。日本マクドナルド史上初のグローバル役員候補に選抜される。2023年、美味しくてサステナブルな世界を実現するために、株式会社Kinishを創業。日米で事業開発を行っており、コメの品種開発・コメの植物工場・コメベースの代替乳製品の開発・販売を行う。KinishはFood and Beverages Tech Review氏に「アジアで最もイノベーティブなフードテック」として選ばれるほか、日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社 2025年版」に 選出される。現在初のプロダクトであるライスアイスブランド、「The Rice Creamery」を日米にて販売・展開中。
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橋詰 寛也さん 皆さん、おはようございます。
株式会社Kinishの橋詰です。
我々は、コメからミルクを作る事業を営んでいます。

一握りの人だけが乳製品を味わう世界がやってくる?
突然ですが、皆さんに質問です。
近い将来、一握りの人だけが牛乳やチーズを味わえる、そんな世界が近づいているとしたら、皆さんはどう感じますか?

これは、決して誇張ではありません。
乳製品は、地球温暖化によって危機に直面しています。

乳牛は暑さに弱く、気温が上がると頭数も乳量も減るためです。
では牛を増やせばいいのではないか、そう思う方もいるかもしれませんが、それは逆効果です。

この図の通り、牛自体が温室効果ガスを大量に発生させるため、数を増やせば問題を悪化させるだけだからです。
コメから新しく美味しい乳製品を創出
この問題の解決策として、植物性ミルクが注目されています。

ただ、ヘルシーだけど美味しくないと感じる人がまだ多く、なかなか主流な商品にはなりません。
そこで我々は、日本のコメの伝統と技術を活かして、この問題を解決しようとしています。

世界初、牛乳たんぱくを含むコメの開発に成功
私たちは、タネづくり、イネづくり、そしてモノづくりの3つを組み合わせた独自のアプローチを展開しています。
まず、タネづくりについて。

私たちは、牛乳たんぱくを含む特殊なコメの開発に成功しました。
これは、京都府立大学の増村(威宏)先生の支援による世界初の取り組みになります。
サステナブルな植物工場で安定的に大量生産
次に、イネづくり。

我々のイネは、高さ20cm程度の小型のものをベースとしています。
この小ささにより、植物工場で多段栽培することが可能です。
小型イネを植物工場で作ることで、短期間で、どんな栽培場所でも既存の4倍以上の収穫量を実現します。
しかも、それは温室効果ガスを排出しない持続可能な方法です。

世界のどこでも、安定的に大量生産が可能となります。

甘くて濃厚なライスシロップ
最後に、モノづくりについて。

お米を噛むと甘くなるのは、日本人にとっては馴染みのある話だと思います。
この性質を応用すると、ジャムと同じくらい甘い、濃厚なシロップに変化します。
この特徴は、大豆やオーツ麦にはない、お米ならではのものです。
お米こそ、乳製品を作るのに最適な素材です。
日本食ブームのアメリカで積極展開
このお米の乳製品をグローバルに展開したいと思っており、特にアメリカを狙う予定です。

アメリカには既に2兆円ほどの市場があり、健康ニーズによって引き続き拡大傾向です。
また、昨今アメリカでは日本食がブームとなっているので、日本ならではの美味しさを売りに、アメリカ市場を積極的に開拓していきます。
2ステップでブランド展開
また、私たちは変化の激しい食品市場に適した独特のアプローチをしています。

まず、牛乳たんぱくを含まない普通のお米でブランドを立ち上げ、商品を販売。
並行して研究開発を進め、次のステップで、牛乳たんぱくを含むオリジナルのお米を使った商品を投入します。
こうして、初期から出口と収益を確保しつつ、研究開発の成果を確実に市場に届けます。
アイスから始めてミルク、チーズやヨーグルトへ
では、何のプロダクトから始めるのか。
私たちはアイスクリームから着手しました。

アイスは乳製品の中で最終製品として最も利用されており、美味しいブランドを作るのに適しているためです。
アイスで確立したブランドをミルク、チーズやヨーグルトなどの市場に展開します。
お米ならではのクリーミーで優しい甘さのアイスを発売
そしてこちらが、最初のアイスクリームのプロダクトです。

お米ならではの優しい甘さとクリーミーさを活かし、あたたかみがありながらも、高級感のあるブランドに仕上げました。
The Rice Creameryは、美味しさは勿論のこと、サステナブルでヘルシーな、三方よしのアイスです。

単価が高くても好調な販売数
そして、こちらをご覧ください。
今年(2025年)8月に商品を発売したばかりですが、既にこれだけ多くの場所で販売する予定となっています。

日本では成城石井やカルディ、アメリカでは現地スーパー、そしてMeta社には社食として購入されており、既に多くの方から強い関心を頂いています。
今年の売上見込みは5,000万円です。
これは日本の販売実績です。

私たちの商品は比較的単価の高いアイスですが、それでも有名な100円台のアイスに匹敵する販売数です。
また、かの有名な某高級アイスと、ほぼ変わらない販売量を実現しています。
アカデミー賞のプレパーティーに出展
アメリカでは9月からの販売ですが、アカデミー賞のプレパーティーにも出展するなど、既に多くの注目を集めています。

著名な方々から、非常に高い評価を頂きました。
海外のフードメディアも注目
実際のお客様の声も、力強いものです。
例えば日本の方からは、お米とは思えないクリーミーさ、濃厚なのにスッキリ、アレルギーがあっても楽しめるなどの声、アメリカの方からはもっと驚きの声を頂いております。

言われなかったら牛乳のアイスかと思う、日本のものと聞くと美味しいことを期待するが、その期待を超えるくらい美味しかった、などと言っていただけています。
こうした反響は海外メディアにも広がり、複数のフードメディアから掲載依頼があり、インタビューも実施していただきました。

開発したコメで2029年から新商品を展開
そんな大きな期待を、我々は数字に変えていきたいと思っています。
今年は売上5,000万円の着地見込みですが、アメリカを中心に販売を加速させ、2029年からは我々独自のコメも使った新商品を展開し、最終的には2030年に売上100億円、アメリカの売上比率80%を目指します。

グローバル経験豊富なチームでアメリカ市場へ
この野心的な目標を達成するために、Kinishにはグローバル経験が豊富なメンバーが集まっています。

海外と日常的に連携する、国際的な事業展開に適したチームです。
また、我々は4つのアメリカのアクセラレータープログラムに選抜されており、彼らのネットワークやサポートを使って効率的にアメリカに展開していきます。
▶KinishはWildcard Incubatorと米国Union Kitchenによる米国事業化支援プログラムの支援先に選抜(Kinish)

日本の美味しさと技術で次世代に“食べる喜び”を残す
最後に一つ。
私は物心がついた頃から、世界中を渡り歩く日本人になりたいと思っていました。
それを実現するためのキャリアが今までで、前職の日本マクドナルドでは日本で初めてグローバルリーダー人材にも選ばれました。
でも、そんな経験をふまえて思いました。
世界を渡り歩くのではない、世界を変える日本人でありたいと。
だからKinishがアメリカでの成功で満足することは、絶対にあり得ません。
我々は日本が持つ圧倒的な美味しさと技術を世界中に広げ、次世代に”食べる喜び”を残します。

日本のお米が世界中の未来を照らせるよう、これからも頑張りたいと思います。

Kinishの挑戦にぜひ、ご期待ください。
本日はありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成


