【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2026 開催情報詳しくはこちら

犬と人がよりよく共存する社会を目指して、「鼻紋」でペット業界をDXする「S’more」(ICC KYOTO 2025)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

ICC KYOTO 2025 スタートアップ・カタパルトに登壇した、S’more 澤嶋 さつきさんのプレゼンテーション動画【犬と人がよりよく共存する社会を目指して、「鼻紋」でペット業界をDXする「S’more」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。

【速報】生産加工の“かくれフードロス”をアップサイクルで解決する「ASTRAFOOD PLAN」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by EVeM

澤嶋 さつき
S’more
代表取締役社長
公式HP | 公式X① | 公式X②

兵庫県出身。新卒で保険代理店ベンチャーの人事職に就き、その後同社はIPO。株式会社リクルートでの営業を経て、直近は外国人材ベンチャーにて新規事業の立ち上げを担当、市場開拓・アプリ開発・マーケティングに従事した後、株式会社S’moreを創業。改ざん不能な犬の『鼻紋』認証技術を開発し、犬の出生から販売・飼育・医療までの履歴をつなぐIDプラットフォーム「NoseID」の開発・運営を行う。「人とペットの共存社会を築く」ため、ペット業界全体のDXと新たなインフラづくりに挑む。B dash Camp準優勝、福岡県ITスタートアップビジネス大賞、福岡市の行政連携による社会実証採択、東京都ASAC・APT Women・Nestlé社アクセラ採択、等。


お迎えから数日で失われた命

澤嶋 さつきさん 「Nose ID」、鼻で犬を管理するDXサービス。

ここに、子育てを終えた夫婦がいます。

新しく“子ども”を迎え、愛しい時間が再び動き出します。

しかし、すぐに悲劇が。

トイレができずに家中おしっこだらけ、「ご飯を食べる量が少ないかも」と思ったら、3日後にその子は亡くなりました。

人の赤ちゃんの場合、確かな情報に基づき、物理的にも心理的にも行政から守られていますが、同じ命なのに、犬には何もないのです。

NoseIDのサービス検証中、4頭もの犬が亡くなったのは衝撃的でした。

実はこの子たちは生後8週間未満で亡くなっており、幼い子は適切な育て方ができないだけで死に直結するリスクが高いのです。

小さな命が情報を偽り販売される理由

生後8週間未満での生体販売は違法ですが、小さい子の方が売れるため、命の危険があっても情報は改ざんされ、幼い子が販売されています。

例えば、遺伝病がある子を引き受けると、生涯、病院通いということもあります。

実は、販売されている犬の情報の約半数は、虚偽だとも言われています。

▶︎ペットオークション・ブリーダーへの一斉調査結果について(環境省)

ペットの数は今や子どもの数よりも多く、ものすごい数の、偽の情報が流通していることになります。

犬の個体を証明する「鼻紋」

命の流通にトレーサビリティが存在しない、どうしたら証明ができるのか…そこで私たちが注目したのが、犬の鼻の皺、鼻紋です。

鼻紋は人間の指紋と同様、生涯変わりません。

これを認証することで、個体を識別することができるのです。

鼻紋データを獲得するため、C向け無料サービスをローンチし、4万枚のデータを集めました。

それらを機械学習して鼻紋認証サービスを開発、そして後押しをするように政府が動き、今、業界も変わろうとしています。

動物愛護法は改正されたけれど…

動物愛護法改正では、出生記録が義務付けられ、生後0日目から7日ごとに写真記録をすることで情報改ざんを防ぐ仕組みです。

▶︎飼養管理基準省令等の改正について(犬猫の8週齢規制に係るもの)(環境省)

クリーンに取り組む業者は、現場で7日ごとにアナログで写真を記録し、エクセルに転記し、ですが、それには限界があります。

スマホで完結、生体管理DXの「NoseID」

そこで私たちは、生体管理DXとしてNoseIDを開発しました。

鼻紋と出生記録の管理が、スマホだけで完結します。

また、出生情報から生後日数が自動取得でき、改ざんできない情報として保管されます。

NoseIDは、改ざんしようのない鼻紋を、スマホでスキャンする仕組みで、誰でもできます。

記録された情報は、信頼のあかしとなります。

これらの課題を解決するNoseIDは優良ショップのニーズにミートし、今年3月の本格ローンチ後、営業員1人の力で、既に130店舗での契約を獲得しました。

飼い主にとっての「母子手帳」

続いて、飼い主側の話です。

改ざんできないように撮りだめた情報は、飼い主にとっては、お金を払ってでも欲しいものです。

お迎え後もサービスは続き、人に戸籍があるように、正しい犬情報に基づいた育て方ガイド、専門家相談を通して命を守り、飼い主をサポートします。

飼い主から、感謝の声がたくさん届いています。

信頼できるショップやブリーダーに顧客が集まるしくみ

ビジネスモデルは、ショップに生体管理ツールを無料で提供しており、飼い主は犬を購入する際に1万円を払うことで追加サービスを受けられます。

既に全国にパイプラインがあり、上位5%にあたる100社を獲得するだけで、新規販売数の8割を押さえられることになります。

犬を迎える時にはNoseIDがついている、そんな状態を早々に築くことで、信頼あるショップやブリーダーに顧客が集まり、悪質業者は自然に淘汰されていきます。

命の流通を透明にしていきます。

愛犬×データは巨大な市場

ここまでの話を聞いて、マーケットが小さそうと思いましたよね?

私たちは、単なる生体管理ツールの提供にとどまりません。

商流の川上で鼻紋と確かなデータを獲得しており、ペット業界全体をDXし、豊かにする会社です。

生体管理の正確な情報を切り口に、ゆりかごから墓場まで、事業を展開していきます。

実はこの業界では、あらゆるところで情報が分断されており、飼い主は愛犬にマッチする情報に辿り着けずに困っています。

業者側も需要や犬の分布が分からず、疲弊している状態です。

なぜ、今までひとつなぎのデータが存在していなかったのか、たくさんの方とディスカッションをして見えてきたのは、レガシー業界でアナログなステークホルダーが多いためDXはほど遠く、一部、自社領域のみのデータを処理する企業もありますが、とにかく根強い競合意識、囲い込みがあることです。

単に、儲かる、効率的という理由では立ち行かなかったのですが、私たちには鼻紋があります。

命を守るためであれば、と業界が動き出しました。

生まれたらすぐNoseID、飼い主の手に渡った後もあらゆるサービスにチェックインするだけで、データが蓄積されていきます。

事業としては、正確な情報を切り口に、しつけで信頼関係を構築してニーズを把握し、悩みの深いご飯、病院、保険で、日本だけで1.2兆円の市場になります。

既に一部で、小規模PoCは実施済みです。

しつけで信頼を得た飼い主の8割が、レッスンや物販の購入に至っています。

動物病院とのカルテ連携を視野に入れた投資、しつけ界を束ねるリーダーとの協業、福岡市との実証実験や命を守る取り組みに、業界のあらゆるキーマンが賛同し、今では協力店が380以上です。

NoseIDは今後どんどん企業連携を進め、ひとつなぎのサービスを提供していきます。

さらに、日本だけにとどまらず、問い合わせをもらった海外企業とAPI提供の商談も進めています。

生体管理認証ニーズは、世界中にあるのです。

人とペットが共存する社会のために

ここまで、先を見据えた大きな話をしてきましたが、私たちの原動力は、目の前にいる飼い主一人ひとりです。

皆さんは、環境が整ってない国で我が子を育てるのがどれだけ大変か、想像ができるでしょうか。

3万人ものユーザーが、自分の子に何かあった時のために、とNoseIDを利用しています。

見てください、アプリ内には、我が子を思う記録がびっしりと綴られています。

ご飯を食べないときは、このトッピングを使うと喜んで完食するとか、おびえていそうな時はお気に入りのおもちゃを使えば近づいてきてくれるとか、これはただのデータではないのです。

私はこれを見る度に、胸がすごく熱くなります。

わんちゃんの鼻スキャンが当たり前になるまで、私たちはやり切らないといけない。

同じ想いを持つチーム、業界の仲間がいます。

宣言します、私たちは業界を変革していきます。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!