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障がいのある人や高齢者、みんなが楽しめるビーチ作りを目指す「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」(ICC KYOTO 2025)

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ICC KYOTO 2025 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、須磨ユニバーサルビーチプロジェクト 土原 翔吾さんのプレゼンテーション動画【障がいや高齢者、みんなが楽しめるビーチ作りを目指す「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】“インパクトヒーロー”を育成し、世界中で小さな革命を起こし続ける「Earth Company」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

土原 翔吾
須磨ユニバーサルビーチプロジェクト
理事 事務局長
公式HP | 公式X① | 公式X②


神戸大学大学院修了。元理科教師。不登校生徒の担任を務めるなか、須磨ユニバーサルビーチプロジェクト代表で当事者の木戸との出会いにより、立ち上げに参画。理事事務局長として、障害の有無や性別および年齢の垣根を越えて、誰もが楽しめる海の環境づくりと、理念・活動への共感拡大を推進。子育てを機に移住した妻の地元の稲美町の停滞状況を打破し、変化をもたらすために、平成生まれとして初の首長選へも出馬。地域の多様性・包摂性の推進、地域コミュニティの活性化と持続的な発展を目指し、総務省アイデアビジネスコンテストの地域開催等、活動は多岐にわたる。教育出版中学公民の教科書掲載(2021年度 )、ブルーフラッグベストプラクティス賞世界2位(2023年度)。


土原 翔吾さん(以下、土原) みんなの「できない」を「できた!」に変える――NPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト理事 事務局長 土原 翔吾です。

約3,200万人が海に入る楽しみを諦めている

土原 唐突ですが、皆さん、海に入られたことはございますか。

では、車イスなど、障がいのある方が海で楽しんでいるのを見かけたことはありますか。

約3,200万人の障がい者や後期高齢者の方が、海に入るのを諦めていることに気づいてすらいないのです。

僕たちは、その障がいや、見えない壁というバリアを乗り越える挑戦をしています。

最高の笑顔を引き出す活動

土原 まずは、こちらの動画をご覧ください。

最高の笑顔ですよね。

僕たちの活動は、こちらの笑顔に詰まっています。

障がいを持って生まれた方や事故で障がいを負った方、お年を召されてから人生最後の海をパートナーと楽しみたい方がいらっしゃいます。

神戸市須磨海岸において、日本で初めてのビーチマットを設置し須磨ユニバーサルビーチプロジェクトを立ち上げてから、9年目の夏を迎えました。

言葉では表現できない経験をサポート

土原 海に入るのが初めてのこちらの女の子は、初めのうちは少し緊張していましたが、途中からこのような笑顔になりました。

娘さんの笑顔をご覧になったお父さんが、「たまらんですわ」とおっしゃって、私服のまま一緒に海に入ってきてくださいました。

そして、帰り際に、「どうしましょう。娘の着替えはあるのですが、私の着替えは持ってきていないので、乾かしてから帰ります。」と困りましたとお話ししてくださいましたが、この上なく幸せそうなお顔をされていました。

皆さんにとっては、海に入ることは、小さな挑戦かもしれませんが、障がいを持つ方やご家族にとっては、とても大きな夢や社会へと繋がっているのです。

障がいのある方が、親御さんの場合もございます。

その方のお子さんは、「パパ、海や山に行こう。どうして、私の家族だけが行けないの」と嘆いていました。

しかし、成長して小学生になり、諦めてしまいました。

「私のパパは障がい者だから、海や山へは行けない」と思うようになったのです。

しかしながら、その後、もう少し成長したある日、スマートフォンを見せながら、「パパ、海に行こう。SUP(※)しよう。ここだったら行ける」と教えてくれたそうです。

▶編集注:SUP(サップ)とは、スタンドアップパドルボードの略称で、ボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進むアクティビティのこと。

こちらのお話を、お父さんは、涙ながらに、僕にお話ししてくださいました。

言葉では言い表せないような経験を、僕たちは作っています。

「え!? 海に障がい者や高齢者はいないから、やめたほうがいい」とまで言われた僕たちの活動は、現在では、利用者がひと夏に約500人、延べ5,000人を超えるまでになりました。

また、あるとき、障がいのある弟さんとそのお兄ちゃんといらっしゃったお母さんが、次のようにお話ししてくださいました。

「弟が楽しめるのはもちろんですが、お兄ちゃんが、これほどまでに楽しめているのは人生で初めてです。これまでずっと我慢させてきてしまったのだろうと思います」と、涙ながらに教えてくださいました。

このように、みんなで楽しい場所を作っています。

イチから作り上げた最高のコミュニティ

土原 さて、アイテムについて、ご紹介させてください。

実際に、こちらに持ってきております。

砂浜でも車イスが通ることのできるビーチマットや、車イスに乗ったまま海に入ることのできる水陸両用のアウトドア車イスを活用しています。

しかしながら、僕たちの本当の強みは、アイテムではなく、コミュニティです。

また来たいと思っていただける、最高の仲間が、海で待ってくれています。

しかし、このような仲間も、最初から集まったわけではありません。

毎日、都度、1本で長さ10m・重さ40㎏のビーチマットを、70~80mと海まで繋げて、撤収します。

非常に大変な作業です。

しかし、だからこそ、人が人を呼び、最高の仲間が集まりました。

シャワーや更衣室も、初めからあったわけではありません。

テントは譲り受け、お手製シャワーは漁師さんにタンクを持ってきていただいて、当初はすべてイチから手作りで行っていました。

現在では、神戸市が、仮設の施設を建ててくださるまでになりました。

こちらのスライドで、施設の前にいらっしゃる男性は、進行性の難病を患っていて、余命宣告も受けていました。

初回の海は、無理やりお母さんに連れてこられていました。

しかし、その際の仲間が楽しく、何度か来てくださるようになっていました。

そのような中、あるとき、彼は、「地域で、障がいのあるお子さんとそのお母さんに、ここだったら海に入れますよとお伝えしたところ、泣いて喜んでくれました」と、言ってくれました。

そして、その際に、彼は「残りの人生を楽しませてもらう側ではなく、楽しませるほうに命を懸けたいと、決意しました」と言ってくれ、今では副理事長に就任してくれました。

公民の教科書に登場、世界2位のビーチに

土原 現在では、ネスレ日本六甲バター(QBB)神戸製鋼所(KOBELCO)など、神戸市を代表する企業の方々に応援していただいており、中学の公民の教科書にも掲載されています。

そして、僕たちが活動している須磨海水浴場は、海におけるミシュランガイドのような、ブルーフラッグという国際認証で、世界5036のビーチ・マリーナ・観光船舶の中から世界2位を受賞しました。

須磨から全国へ、33都道府県62のビーチに出張

日本が、また世界が、そして時代が、ようやく僕らに追いついてきたのだと自負しています。

道は、次々と開いてきています。

北海道から沖縄まで、多数の依頼を頂いており、33都道府県62ヶ所のビーチに出張し、継続していくプロジェクトを、20個も発足しています。

また、今春には、山口県から、新卒の女性が、ユニバーサルビーチにともに取り組みたいと、フルタイムで入社してくれるほどになりました。

僕たちは、こちらのきょうだいプロジェクトを、2030年には、全都道府県に発足させ、諦めずに挑戦する文化を、須磨から全国へ届けていきたいと思っています。

しかし、そのためには、さらに大勢の仲間が必要です。

1都道府県・仲間100人・企業10社が各都道府県に集まれば、全国で約5,000人・500社が集まれば、日本国民のほぼ全員と挑戦することのできる文化が生まれ、笑顔を作っていくことができます。

ご協力を、よろしくお願いいたします。

「こんな経験ができていいなって、言ってもらえるように」

土原 最後になりましたが、先ほどご紹介させていただいた、僕たちのプロジェクトを通じて初めて海に入った女の子は、さまざまな挑戦をきっかけに、現在では特別支援学校ではなく普通高校に通っているそうです。

ご家族のインタビューが届いておりますので、ぜひ、最後まで、ご視聴ください。

(動画中音声)

父「海水浴を一緒に体験するということがなかった。

とても楽しく海水浴の体験ができたなと思いました。

行くたびに本人も楽しんで、海の中に入っていくし、周りの方との関わりにも慣れて、いろんな体験をする」

母「和歌山の海だったと思うんですけれども、たまたま通りかかったので、海に寄ってみようかって海岸に行ってみたんですけど、やっぱり近寄れなくて。

砂浜に邪魔されて近寄ることができなくて、抱っこして足をチャプチャプっとつけるのが精一杯でした。

海水浴をするだけじゃなくて、メガサップのようにサップに乗って海の上を楽しめる。

外に出たいなって気持ちが、強くなりましたし、こんな楽しいことがあるし、やってきてるよっていうのをぜひとも、この子の通う学校の友達にも知らせたいな。

『いいな!』って(言われる)。今までいいなあなんて言われることってなかったんですけど、こんな経験ができていいなあって、言ってもらえるようになりました」

父「また一緒に乗ろうか?」

娘「うん」

(笑顔)

あなたの地元の海から、一緒に最高の笑顔を“みんな”で作らせてください。

ご協力を、よろしくお願いします。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/中村 瑠李子/戸田 秀成

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