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1,000人に1人の「聞こえない子ども」が孤立しない学びのインフラをつくる「Silent Voice」 (ICC KYOTO 2026)

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ICC KYOTO 2026 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、Silent Voice 尾中 友哉さんのプレゼンテーション動画【1,000人に1人の「聞こえない子ども」が孤立しない学びのインフラをつくる「Silent Voice」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2027は、2027年3月1日〜3月4日 福岡市での開催を予定しております。詳しくは、こちらの公式ページよりご確認ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。

▶【速報】行きたいを、行こう!に変える。インクルーシブデザインで障害児家族の声を形にする「IKOU」(Halu)がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2026)

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【登壇者情報】
2026年8月31日〜9月3日開催
ICC KYOTO 2026
Session 11A
SOCIALGOOD CATAPULT – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by EVeM

尾中 友哉
認定NPO法人Silent Voice
代表理事
公式HP | 公式X

1989年、滋賀県大津市生まれ。ろう者の両親のもとに生まれた聞こえる子ども(コーダ)で、手話を母語に育つ。家庭に壁はないのに、親が社会に出ると壁だらけになる。その違いを見て育った。
2017年、大阪でろう・難聴児の放課後等デイサービス「デフアカデミー」を開設。これまでのべ300人以上が利用している。遠方からの利用希望をきっかけに、聞こえない子どもは1,000人に1〜2人と少なく、通所を前提とする福祉制度では地方に施設が成り立たないという構造に突き当たり、オンライン支援を始めた。
認定NPO法人Silent Voiceは今、対面とオンラインの両方でろう・難聴児の教育を届ける全国で唯一の事業者になっている。この形が制度として全国に根づくよう政策提言にも取り組み、企業向けにはデフが講師を務める研修事業を展開して、子どもたちが大人になって力を発揮できる職場を増やしている。毎日放送「情熱大陸」第1399回に出演。
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尾中 友哉さん 認定NPO法人Silent Voiceの尾中と申します。

私は大阪で、耳が聞こえない子どもの福祉施設を営んでおります。

その仕事に至った原点として、聞こえない人たちの社会をどうにかしたいと思っているお話をいたします。

日本語より先に「手話」を覚えて育った幼少期

まず、僕は聞こえない両親のもとに生まれた聞こえる子どもなので、今は日本語を話していますが、日本語よりも先に手話を獲得して育ちました。

手話で、お父ちゃんは僕にいろんな物事を教えてくれました。

僕は野球をしており、サウスポーで野球が上手かったお父ちゃんは家庭ではヒーローだったのですが、職場では聞こえる人に囲まれており、名前を呼んでも聞こえないので、呼ばれる時はネジを投げられていました。

それを知った僕は、「お父ちゃんは職場では人間扱いされていない、家庭ではヒーローなのに。どっちが本当のお父ちゃんなんだろう。」と思いました。

社会に対して、もったいないとも思いました。

写真の右側がお母ちゃんです。

お母ちゃんはある日、喫茶店がしたいと言い出しました。

僕は明確に反対しました。

耳が聞こえないから無理だと。

でもお母ちゃんは、20年以上喫茶店を続けています。

うまくいったのです。

本当はできたのに、できないと言った自分に対して、もったいないと思いました。

「聞こえない=不幸ではない」と気づいた原点 

お父ちゃんとお母ちゃんに、息子として質問をしたことがあります。

「聞こえるようになりたいですか?」と。

お父ちゃんは「聞こえないからできないことが、たくさんあったから、聞こえるようになりたい」と、お母ちゃんは「私は家族がいて、喫茶店のお客様がいて幸せだから、自分を変えようと思わない」と言いました。

二人は同じ聴力です。

聞こえない=不幸ではないと知りました。

それぞれ捉え方があり、その捉え方は環境によってつくられる、そしてその環境はつくれるかもしれない、と私は思ったのです。

「たまご」と「たばこ」でコミュニケーションを体験

今日は、聞こえない子どもたちの環境についてお話ししたいので、皆さんに体験型のクイズを出させていただきたいと思います。

今から、順番をシャッフルして、声を出さずに「たまご」と「たばこ」と言ってみますので、どちらが「たまご」でどちらが「たばこ」か、当てていただきます(※)。

▶編集注:ここで尾中さんは、声を出さずに、口形(口の動き)だけで2つの言葉を示しました。この動画の2:40付近からご覧ください。

本当なら、回答として手を挙げていただきたいのですが、省略します。

もう一回やってみます(※)。

▶編集注:ここでは尾中さんが、手話と発声のない口の形で2つの言葉を示しました。正解は、1番目が「たばこ」、2番目が「たまご」 でした。

ありがとうございます、推測がコミュニケーションに変わりました。

「聞こえやすくする」か「視覚化する」か、2つのアプローチ  

聞こえない人とのコミュニケーションには、2つのアプローチがあります。

聞こえやすくするか、今、皆さんが手話でのコミュニケーションを体験したように、見てわかるようにするかです。

聞こえない子どもがプロセスに加われない構造    

聞こえやすくすることが合うお子さんがいることは事実です。

でも、確かに言えるのは、聞こえる人と同じようにはなれないということです。

公園で、聞こえない子どもが1人で、他は聞こえる子どもだったとして、一緒に遊ぼうと話し合いが始まるとします。

「かくれんぼがしたい」「おにごっこがしたい」「多数決だ!」となっていても、聞こえない子どもは結論だけ聞かされるのです。

プロセスに入れないのです。

だから、自分のやりたいことが言えないのです。

これが積み重なっていくと、言われたからやる、つまり外発的にしか動けなくなります。

そうなることに本人の性格は関係ないです。

環境的にそうなってしまいます。

関係性・有能感・自律性を育む「デフアカデミー」

私たちがどういう環境をつくっているか、こうだいさんを例に挙げてお話しさせていただきます。

かくれんぼがしたい子が1人いたことを知っていれば、結論に至ったプロセスを知っていれば、「明日はかくれんぼをやろな」という気の利いた一言も言えます。

こうだいは良いヤツなのです、それが関係性に繋っていきます。

次に、有能感というのは、自分ができると感じることです。

「いんいちがいち、いんにがに…♪」と九九を歌で覚えるのは、聞こえる人のやり方です。

聞こえない人にとっては、歌は記憶に紐付きません。

聞こえない人は、例えば6×9=54を、「むく(69)っと起きたら腰(54)が痛い」というように、一枚の絵やストーリーで覚えます。

見れば覚えられるのです。

聞こえない人のやり方、生き方があります。

そして、自分が何をして遊ぶか、何を着るか、自分で選びたいという欲求を人は持っています。

こうだいさんは、自分が縫った縫い物を、「デフアカデミー」という我々の施設に持ってくるようになりました。

人と人は異なり、こうだいさんは何が好きで、得意で、大事かが本人も周囲もわかるようになっていきました。

関係性、有能感、自律性、これら3つの要素が高まると、人は何かを「やってみたい!」と思うようになります。

好きで得意な仕事に就いた卒業生のこうだいさん

こうだいさんは、自分の好き・得意・大事から、縫い物をつくる仕事に就きました。

今日、こうだいさんがつくってくれた服を着ています。

こうだいさんは、聞こえる人に囲まれ、職場で辛いこともあります。

でも、自分で決めたことだから、もがいています、強いです。

聞こえない子どもを支えきれない社会構造 

聞こえない人の社会には、医師も弁護士もスポーツ選手もいます。

夢を叶える人がいます。

ただ、その道はめちゃくちゃ細いということを、皆さんにお伝えしたい。

僕は滋賀県生まれですが、ろう学校は滋賀県に1校しかありません。

共働き世帯がこんなに増えた今、親は送迎ができないのです、スクールバスもないのです。

ろう学校の生徒は減少しており、全国的にろう学校は統廃合が進んでいます。

聞こえない子どもに教えるための場所が、減っていっています。

企業については、聞こえない子どもは1,000人に1人なので、営利目的のビジネスはなかなかつくれないです。

福祉については、セーフティネットなので、ここで何とかどうにかしたいのですが、通所が前提なのです。

聞こえない子どもは点在していますので、1つ拠点をつくっても距離の問題で通えず、結果、拠点は立ち上がらないのです。

「世界で自分だけ」と思わせてしまう孤立の深さ

いったい、誰がどうやって支えるのか。

僕がオンラインで繋がった子どもからこういう発言がありました。

「世界で聞こえない人は、自分一人だけだと思っていた」

僕は家族と話せました、文化祭で舞台に上がって踊ることもしていました。

僕はこの子の孤独を想像できないかもしれない、でも支えたいと思いました。

全国で同じ支援モデルが機能する社会へ 

僕らは、オンラインの授業を行っています。

なぜなら、オンラインで3要素を満たせる、子どもにぴったりの先生を全国から探せるからです。

オンライン授業をスタートさせ、オンラインと対面の両方を実施しているのは僕たちだけで、オンリーワンになっています。

オンラインで繋がり、対面のコミュニティに繋げていく事業を行っています。

これをモデルとして、全国の事業者が同じことができるように、私たちは活動していきたいと思っています。

聞こえない子どもが孤立せず、前に進めるインフラを 

聞こえない人は、できない人だと決めつけられていて、社会に支えられる人だと思われています。

でも、支える人になれますし、もうなっている人もいます。

ITも追い風になり、できないことができることに変わっています。

だから、育てる社会システムをつくりたい。

このモデル事業づくりは企業も福祉団体もできないので、認定NPO法人として取り組ませていただきたいと思っています。

2030年に福祉の制度が変わります。

それまでにモデル事業をつくり、社会に価値を証明したい。

皆さんと一緒に成し遂げたい。

よろしくお願いします。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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