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ICCサミット KYOTO 2020 カタパルト・グランプリに登壇いただいた、クスカ 楠 泰彦さんのプレゼンテーション動画【木製手織り機から手作り!「KUSKA」は京都丹後300年の技術で、美しいものづくりを発信する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング にサポート頂きました。
▶【速報】“はじまりは「愛」”──ゴミをアートに変え、世界の貧困を解決する異色のアーティスト「MAGO」がカタパルトGP優勝!!(ICC KYOTO 2020)
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【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX
強者が勢揃い
Sponsored by AGSコンサルティング
楠 泰彦
クスカ株式会社
代表取締役
京都・丹後生まれ。30歳で家業の織物業に入社し「伝統」「ファッション」「芸術」の3つを融合する自社ブランドKUSKA(クスカ)を立ち上げると共に、唯一無二の手織りのネクタイを開発し、百貨店や大手セレクトショップ・自社店舗で販売。2017年からイタリア・フィレンツェで行われる世界最大のメンズ服飾展示会PITTI UOMOに3年連続で出展し、世界最高峰のロンドン、サヴィル・ロウにあるロイヤルワラントの店舗でもネクタイを展開中。また、地元、京都・丹後に特化したWEBメディアTHE TANGO(ザ・タンゴ)を2018年から運営。趣味は丹後の海でサーフィン。ICC FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルト優勝。
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楠 泰彦さん クスカ株式会社の楠です。
日本の絹織物の約60%が生産される「海の京都」丹後
まずは、弊社が生業としている絹織物の産地、京都丹後をご紹介させてください。
京都市内から約100 km離れた場所にあり、日本海に面し風光明媚な場所として知られています。
日本三景の天橋立や伊根の舟屋など、有名な観光名所があります。
ここには300年前からずっと織られている地場産業の「丹後ちりめん」があります。
丹後では日本の絹織物の約60%が生産されており、日本最大の産地でもあります。
しかし生産量は、1972年の1,000万反をピークに、今では30万反と3%の生産量まで激減しています。
その原因は、着物離れや、海外で作られた安価な品物が日本に大量に輸入されるようになったことです。
28歳。廃業寸前の「丹後ちりめん」の家業を継ぐ決心
弊社は1936年に、丹後ちりめんの製造・販売元として創業しました。
私自身は伝統工芸や家業には全く興味が無く、東京の建設会社に勤めながら、趣味で日本全国や海外にサーフトリップに行く日々を送っていました。
そしてある日たまたま読んだ雑誌で、地元の丹後でもサーフィンができることを知り、28歳の時にサーフボードを持って東京から丹後に帰省しました。
そして改めて地元を見つめ直し、衰退する地場産業や廃業寸前の家業を目の当たりにして、「やはりここで生まれ育った自分にしかこの仕事は継げない」と思い、すぐさま東京の会社を退職して家業を継ぎました。
そして、2つの改革を行います。
大量生産の機械を廃棄し、手織り機を手作り
1つ目は、独自性の追求です。
大量生産・大量消費をするのではなく、作り手の想いの伝わる商品を作りたいと思い、今まで大量生産のために使っていた機械織り機をすべて鉄くずとして処分しました。
そして独自性を追求するために“手織り”にフォーカスしました。
このような手織り機は今ではもう作られておらず、すべて自社で木を削り1つ1つ組み立てていきました。
そして、昔ながらの手織りの良さと現代の機械の生産性をハイブリッドさせた、世界でも唯一の手織り機を独自に生み出しました。
お客様へ直接価値を届けるブランディング
2つ目は、流通の改革です。
既存の流通では、私たち生産者の作るものが、様々な流通業者や小売店を通してお客様のもとに届きます。
そのためコストが上がり、私たちの伝えたいことをお客様にお届けすることができません。
そこで私たちは、商品を直接お客様に届けるブランディングを行いました。
300年の技術を駆使、手織りならではの生地を織り上げる
そして立ち上げたのが、この「KUSKA(クスカ)」というブランドです。
“ALL HAND MADE IN TANGO”と文字を入れ、ここに私たちのアイデンティティを込めました。
KUSKAのメイン商品として、まずは男性のシンボルアイテムである「ネクタイ」に特化しました。
最大の特徴は、独自の風合いと質感です。
機械織りが平面的な二次元の生地をつくるのに対し、KUSKAの職人は、素材に空気を含ませながら3次元の立体的な生地を手織りすることに成功しました。
また、その手織りに至るまでの染色、精錬、ノンフィル加工(糸の段階で施す耐スレ加工)、糸くりのすべての工程で、300年間培ってきた丹後ちりめんの技術を駆使しています。
現代のものづくりは、いかに安価に大量に作るかを考えたものづくりです。一方で、どれだけ手間をかけより美しいものを生み出すかを考えるのが、私たち絹織物産業のものづくりです。
我々はそれをKUSKA独自のクリエーションで一つひとつの商品に表現しています。
1日に1職人が3本しか織れないオールハンドメイドのネクタイ
以上の2つの改革の成果として、染めの工程からオールハンドメイドで、しかも1日に1人の職人が3本しか織れない世界唯一のネクタイを、マーケットでも戦える価格で完成させることができました。
現在では手織り職人が11名に増え、手織り機も20台に増設中です。
日比谷に旗艦店オープン、国内外のショップからも熱い注目
銀座4丁目の銀座・和光ともダブルネームでコラボレーションしました。
▶世界唯一のオールハンドメイドネクタイブランド「KUSKA」銀座・和光とのコラボネクタイ 2016年春夏コレクションを2月23日に発売(@Press)
さらに、大手セレクトショップ、百貨店、ANAの国際線200便の機内販売でKUSKAブランドを展開し、2020年9月10日には日比谷に旗艦店「KUSKA & THE TANGO」をオープンしました。
海外への展開もしており、イタリアのフィレンツェで毎年2回開催される、世界最大級のメンズ服飾展示会「PITTI IMMAGINE UOMO」に、2017年から3年連続、計6回出展しました。
また、フィレンツェの名店「TIE YOUR TIE」ともダブルネームでコラボレーションしました。
2019年からは、ロンドンのサヴィルロー(Savile Row)にある「HUNTSMAN」との取引を開始しました。
このHUNTSMANは言わずと知れた王室御用達ブランドで、映画『キングスマン』の舞台にもなり、多くのロイヤルファミリーやハリウッドスターが顧客としていらっしゃいます。
地元に71年ぶりに創立した高校の制服ネクタイを製作
こうして海外でも展開する中、今年(2020年)71年ぶりに丹後に創設された清新高等学校の制服のネクタイを私たちが作りました。
▶世界唯一の手織りネクタイブランドKUSKA 京都・丹後に71年ぶりに創立される 「清新高等学校」の制服ネクタイを作製(@Press)
丹後で生まれ育った高校生に、地場産業の丹後ちりめんに触れてもらいたいという想いで、職人とともに制服のネクタイを作りました。
日本には地域に根差した伝統工芸が235品目あります。
▶伝統的工芸品(経済産業省)
その伝統工芸を新しい仕組みで表現することで、それが日本の地域の新しい成長産業にもなり得ると思い、日々KUSKAのブランディング活動を行っています。
「美しいものづくりを通じて世界中を幸せにする」
2010年にクスカを立ち上げ、この言葉に行き着きました。
「ものづくりは嘘をつかない」
「美しいものづくりを通じて、世界中を幸せにする。」
このミッションを掲げ、京都丹後から発信し続けます。
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