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磨きで味が変わる大発見! ミクロの研磨技術を活かし、世界のバーが選ぶカクテルシェーカーを創る「横山興業」(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 CRAFTEDカタパルトに登壇いただき、見事3位に入賞した、横山興業 横山 哲也さんのプレゼンテーション動画【磨きで味が変わる大発見! ミクロの研磨技術を活かし、世界のバーが選ぶカクテルシェーカーを創る「横山興業」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICC FUKUOKA 2021 オフィシャル・パートナーのMakuake様にサポート頂きました。

【速報】「軽い、薄い、暖かい」植物素材で、サステナブルな衣類をつくるKAPOK JAPANが CRAFTED カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 10A
CRAFTEDカタパルト
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

横山 哲也
横山興業株式会社
取締役 商品企画部長

1981年生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。工業家。東京の制作会社でテレビ番組制作、Webデザイナーとして活動したあと、祖父創業の横山興業で2013年に「BIRDY.」ブランドを立ち上げ、自動車部品の加工技術を応用したシェーカーなどのカクテル用品を開発。2019年Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人100」に選出される。


横山 哲也さん 横山興業株式会社の横山と申します。

本日は横山興業のオリジナルブランド「BIRDY.」とその開発品についてお話しさせていただきます。

審査員の方々には、この後BIRDY.の製品を使った比較体験をしていただきますので、ご協力をお願いいたします。

1951年創業、豊田市の自動車部品メーカー

横山興業の創業者は私の祖父です。

1951年に創業した、今年で70年を迎える会社です。

愛知県の豊田市に会社を構え、トヨタ自動車の下請け企業として自動車部品を作っています。

私の兄が現在3代目の社長を務めており、私が新規事業担当という役割分担をしています。

自動車部品で培った金属加工技術を活かす新規事業

なぜ新規事業が必要だったのかと申しますと、さまざまな理由はあるのですが、1つには「売上の減少」がありました。

自動車部品の中でも、私たちは皆さんが座るシートの背もたれと腰掛けの金属のフレーム部分を作っています。

自動車部品で培った金属加工の技術を何かに使えないか、スピンオフとしてオリジナルの製品が作れないか、そういったところでたどり着いたのが、カクテルシェーカーです。

バーテンダーが使うプロの道具です。

内側にあえてミクロのデコボコを残すシェーカー

BIRDY.(バーディー)は、2013年に発売を始め、価格は12,000円弱で普通のステンレス製ですが、通常のものと比べると3~10倍の価格です。

おそらく世界で一番高価なカクテルシェーカーです。

何が特徴なのかと申しますと、金属の加工技術の中でも弊社が得意としている「研磨」、磨きの技術です。

一つひとつ職人がシェーカーを磨いていきますが、外ではなく容器の中をミクロレベルで磨いていきます。

なぜ磨くのかについてご説明します。

金属は何もしない状態では、ミクロのギザギザの状態になっています。

これを精密に研磨していきますが、あえてミクロのデコボコを残します。

真っ平ではなくミクロのデコボコを残すことで、シェイクをすると細かな泡が発生します。

それがカクテルに溶け込んでいくことによって味わいがまろやかになります。

そういった着眼点で作った製品です。

しかしながら、シェーカーの中を磨いたら味わいが変わるなどというのは、少し突飛なアイデアです。

実際2013年の発売当初、「面白いね」と言ってくださる方は少なかったです。

しかし7年経った今、日本だけでなく世界中のバーテンダー、それもトップ層の方々がこぞってBIRDY.を使ってくれて、3カ月待ち、半年待ちになることもよくあります。

イギリスのサヴォイホテルコノートホテルなど、カクテルの本場の名門ホテルのバーでもBIRDY.一式で揃えていただくような状況に成長してきました。

研磨の方向と細やかさでカクテルの味が変わる

さて、審査員の方々にはカクテルの飲み比べをしていただきます。

20度くらいアルコール度数のあるものなので、弱い方は口を付けるぐらいで体験していただければと思います。

ギムレットというカクテルはジンとライムを使ったカクテルです。

2種類のグラスをご用意しました。

シールが付いていないものは通常のカクテルシェーカーで作ったギムレットで、赤いシールがBIRDY.のシェーカーで作ったギムレットです。

少しレシピを工夫していますので、実際にバーで飲むギムレットとは少し違うかもしれませんが、ぜひ飲み比べていただければと思います。

何が違うのでしょうか。

もちろんデザインも少し違いますが、内側の磨きが違います。

通常のシェーカーはシェーカーに対して横方向に、ヘアライン加工(※)という研磨が施されています。

▶編集注:金属の表面処理加工の一種で、単一方向に髪の毛ほどの細かい傷をつける加工法、および、そのような加工方法による仕上げ方のことである(Weblio辞書)

いかにコストを抑え短時間でそれらしく見せるか、という研磨がされているものに対して、BIRDY.は縦方向にミクロの研磨をしています。

世界が驚く、味わいの変化

では、縦方向のミクロの研磨が、カクテルにどういう変化をもたらすのでしょうか。

先ほど動画で見ていただきましたが、ミクロのデコボコからきめ細やかな泡が発生しカクテルに溶け込み、少しなめらかな印象になっているのではないでしょうか?

縦方向に磨くことによって、素材や氷にストレスがかからず雑味が出ません。

おそらく酸味にも少し違いがありますよね?

そういった違いが世界中を驚かせています。

「シェーカーの中を磨いたら味が変わるのではないか」という仮説のもとに、私自身がBIRDY.の試作品で初めて作ったカクテルを試飲しました。

バーテンダーと私は言葉を失いました。

おそらくカクテルの歴史上、初めて弊社が「シェーカーの中の研磨を変えたら味が変わる」ということに気づきました。

その日から、「これを製品化して作り続けなければいけない」という使命感をもとに作っている製品です。

いかがでしょうか、カクテルの味わいは変わったでしょうか?

職人の手作業に私たちはフォーカスして、製品にユニークさを与えていく、非常にグローバルニッチな業界ですが、その中でもトップブランドを目指しています。

ものづくりの力でバー・カクテル文化の底上げを目指す

最後に、BIRDY.はこの後何を目指していくのかお話しします。

私たちは、バー業界、カクテル業界の文化の底上げをミッションとしています。

次なる夢はネスプレッソのように、ボタンを押したら簡単に美味しいカクテルができるカクテルマシンを作り世界中に広げることによって、ものづくりの力でバー・カクテル文化を底上げすることです。

それが私たちのクラフテッドです。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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