10分の1に縮小する日本の伝統文化工芸を支えるため、顧客とともに財団を設立する「TOKI」(ICC FUKUOKA 2021) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

10分の1に縮小する日本の伝統文化工芸を支えるため、顧客とともに財団を設立する「TOKI」(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただいた、TOKI 稲増 佑子さんのプレゼンテーション動画【10分の1に縮小する日本の伝統文化工芸を支えるため、顧客とともに財団を設立する「TOKI」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プラチナ・スポンサーのセールスフォース・ドットコム様にサポート頂きました。

【速報】福祉を起点に寛容な社会を提案する「へラルボニー」が ソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 13A
ソーシャルグッド・カタパルト&ラウンドテーブル
Supported by セールスフォース・ドットコム

稲増 佑子
TOKI
代表取締役

慶応義塾大学法学部卒。在学中にDartmouth大学交換留学。欧州系戦略コンサルティング会社、米系デザインコンサルティング会社にて、日系企業の海外展開や海外企業の日本進出などの案件支援を経て、2014年に文化体験・旅行サービスを展開するTOKIを創業。


稲増 佑子さん はじめまして、株式会社TOKIの稲増と申します。

本日は我々が行なっているTOKIという事業と、それに関係した、2021年設立予定で準備中の財団について、ご説明させていただきたいと思います。

海外からの訪問客に日本の文化・芸術体験を提供

2014年から始めたTOKIは、日本の伝統文化に強い関心のある海外の方々を中心に、日本の本格的な文化を体験や旅行を通じて紹介するというビジネスです。

私が以前働いていた外資系の会社で海外の方が日本にいらした際、「何か日本を感じられる体験をしたい」という要望を受けました。

私自身はあまり知識がなかったため、ホテルのコンシェルジュにお願いして、茶道の体験などをお願いしたことがありました。

日本に興味のある海外の方は、日本に関する本を読んだり映画を見て勉強してきたりと、本当に強い興味を持ってくださっています。

今から7年前の当時は、インバウンドは大きな産業ではなく、海外の方向けの体験は“なんちゃって文化体験”といった具合で、文化の真髄を伝えられない体験がほとんどでした。

大きな期待を抱いて来てくださった方々に「想像していた体験と少し違う」「もう少し深い質問をしたかった」とがっかりされることが多く、非常にもったいないと感じました。

そういった興味がある方々に、日本の本当の良い文化をもっと広めたいということで始めました。

現在、アメリカと中国を中心とした全世界の方々に、ご家族向けや企業が新しいコンテンツを開発する際に、日本の様々な文化を参考にするための企業向けインスピレーショントリップなどの事業を展開しています。

IDEOの経営者が東京の織物職人の自宅を訪問

例えば、日本の一見(いちげん)さんお断りの文化はどういうものか、お茶事とは、ただお茶を飲むだけではなく器や空間、先生のおもてなしを楽しむ文化であるといった裏側まで紹介するような事業を行なっています。

とある一日をご紹介し、事業を具体的にご説明させていただきます。

この日のお客さんは、アメリカのIDEO(アイディオ)という世界的なデザインファームの社長様と奥様、役員の方でした。

社長であるティム(Tim Brown)の奥様が、日本の織物に非常に興味がある方なのです。

ご自身でも織物をされているのですが、「自分の織物に比べて日本の着物はなんて繊細なのだろう。もっと学びたい」ということで、それが見られる現場へ連れて行ってほしいと依頼を受けました。

東京に素晴らしい織物職人の方がいるということで、こちらの澤井織物さんへご案内しました。

我々が提供する体験では、その職人さんの生活や考え方、代々受け継いでいる思いも紹介したいというふうに考えています。

ご自宅でお仕事をされている職人さんが多いため、こちらのスライド写真のように実際に職人さんのご自宅まで案内して、いろいろとお話をさせていただきました。

着物は斜陽産業で、1970年代を境に急激に仕事が減っていっます。

何か新しいことをしなければいけないということで、澤井織物さんは着物だけではなく、こちらのスライド写真のような新しい生地をイッセイミヤケさんと一緒に開発するといった試みもされている、面白い職人さんでした。

そのような、ここ数十年のとても苦しい状況や新しく頑張ろうとしているお話などをしていただきました。

そして実際に職人さんが使っている機材を見せていただき、体験もさせていただきました。

このようにして、織物だけではなく、お茶事や芸者遊びなど、日本人でもなかなか経験したことがないような様々な文化も、実際にお話を伺うといった体験を海外の方向けに提供しています。

文化体験がGoogleとの新たなプロジェクト開発に昇華

先ほどのティムのお話に戻りますが、この日の体験を非常に喜んでいただくことができました。

ただの体験ではなくインスピレーションを受けるような体験ができ、デザインやクリエイティブを推進する会社として、この体験をケーススタディとして世界にも伝えていきたいというふうにおっしゃっていただけました。

また、澤井織物さんからも、「伝統工芸品はなかなか興味を持ってもらえず大変なことが多いけれど、海外の方から違う視点で声をかけていただいたり、強く興味を持っていただいたりして、私たちにとっても素晴らしい体験でした。本当にこれからももっと頑張ろうという励みになりました」と言っていただけました。

その後、実際にティムが「この体験から得たインスピレーションを世界に広めたい」というお話をGoogleの発表会でしてくださったようです。

Google幹部の方が「これは素晴らしいね」と気に入ってくださり、「Jacquard by Google」という新しいウェアラブルのプロジェクト開発を澤井織物さんと取り組むことに繋がりました。

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新たなクリエイティブ産業に繋げたい

我々は海外のお客さんを職人さんに紹介することによって、そのまま伝統を守るだけではなく、そこからイノベーションを起こしてまた新たなクリエイティブ産業に繋げるといったことを行なっています。

また、一歩引いてマクロ環境を見てみますと、伝統産業は非常に縮小しており、かつてのピーク時の10分の1の規模になっています。

このコロナ禍において、40%以上の職人さんが廃業を検討しているという統計も出ています。

我々は職人さんといろいろとお話しするのですが、伝統工芸品の職人さんは、たとえばデパートなどで個展を開催してもお客さんがあまり集まらず、またお茶会などを開催できないため、和菓子の職人さんも販売先が本当になくなってしまっているといった窮状を耳にします。

知ってもらうだけでなく支えるため財団設立へ

今まで我々は、伝統文化やその職人さんのことを海外の方にもっと知ってもらいたいと考えて事業をしてきました。

我々が職人さんたちから感銘を受けてきた中で、今度は彼らに何か還元できることはないかと思い、今まで体験に来ていただいた海外のお客さまにもいろいろとインタビューをしました。

そして、海外のお客さまと一緒に新しい財団「伝統工芸文化・職人財団」(仮名称)を作り、職人さんたちを支援する取り組みをしていこうということになりました。

今、実際に、日本とアメリカで財団の母体の準備をしております。

彼らを支えるために財団を設立しますので、皆さまもどうぞよろしくお願いします。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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