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ICC KYOTO 2022 D2C & サブスク カタパルトに登壇いただいた、ディプロモード 西田 誠さんのプレゼンテーション動画【「MOONRAKERS」は、先端技術×ユーザーボイスでミライの生活を創造する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはプレイドです。
▶【速報】保育施設向けおむつサブスクで手ぶら登園を実現!「BABYJOB」がD2C&サブスク カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 12A
D2C & サブスク カタパルト
Sponsored by プレイド
西田 誠
ディプロモード株式会社
プロジェクト”MOONRAKERS” 代表
1970年、愛媛県生まれ。1993年、岡山大学卒、東レ入社。配属された原糸部隊で多くのヒット商品に携わり、その後、最初の社内ベンチャーとしてポリエステルフリースを使用した最終製品の販売に挑戦。1999年、上記をきっかけにユニクロに飛び込み営業を行い、大型受注を獲得。2000年、大型受注をきっかけとして始まった東レとユニクロの取組スタート時に出向第1号として赴任、2002年帰任。2004年、2度目の社内ベンチャーとして東レ素材を使用した縫製品OEM部隊を立ち上げ。国内/海外の大手アパレル・小売店とのビジネスを開拓し、中国/アセアン/バングラデシュ/インド/アフリカにいたる広範な製造工場と連携したサプライチェーンを構築。 2020年、3度目の社内ベンチャーとして「先端素材による未来のファッション」の創造をめざすD2Cプロジェクト“MOONRKAERS®(ムーンレイカーズ)”を立上げ。
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西田 誠さん 皆様、こんにちは。
東レグループの社内ベンチャー企業、ディプロモード株式会社の西田と申します。
大企業の社内変革を目指す
私は、東レグループという典型的な日本の大企業で、企業変革を目指し、社内ベンチャーという、硬直した組織と戦う苦労の多い仕事に、3度も挑戦した変わり者です。
本日はその3度目の社内ベンチャー「MOONRAKERS(ムーンレイカーズ)」についてお話しいたします。
▶組織の中でも自分の意志に素直に挑戦する西田誠氏 ‐「自分の意志が貫ける仕事をやる」(マイナビニュース)
突然ですが、皆さん、「東レ」って知っていますか?
皆様がイメージされた通り、「東レの素材」は多くの企業で使用されています。
それでは、「東レ“の”商品」と聞いて、何か思い浮かびますか?
浮かびませんよね。
価格だけではない価値観を消費者に伝えたい
東レはB2Bビジネスが主体で、取引先経由でしか、消費者に物を売っていません。
それはある意味、取引先がお客で、取引先の意向がすべてということです。
しかし最近、「それって本当に正しいの?」と疑問に思うことが増えてきました。
それは急激な地球温暖化、Z世代の台頭、DXによる産業構造の変化などの事業環境の激変と価値観の多様化が進む中で、取引先の言う「価格」ばかり重視のものづくりは本当に正解なのか?との疑問です。
そうした疑問を解消するために、東レグループがチャレンジする消費者への直販プロジェクト、それがMOONRAKERSです。
ユーザーの声をもとに、素材から高速で商品開発
MOONRAKERSのコンセプトは、「先端素材」でつくる「ミライの生活」です。
ユーザーの声をもとに最新の先端テクノロジーを日常生活にダイレクトに繋ぎ、快適で便利で美しい「ミライの生活」を創造することを目指しています。
MOONRAKERSは、求められる商品を「素材」から「高速」で開発します。
自社ダイレクトの販売で、商品上市までのスピードを倍速化、そしてユーザーボイスをもとに迅速に次の開発を進めます。
具体的には最新の先端技術を投入した商品を、自社ECとクラウドファンディングでダイレクト販売しました。
▶Makuake(マクアケ)|MOONRAKERS × Makuake(Makuake)
昨年(2021年)の事業スタートからすでに単月では黒字化を達成、さらに今後もアイテムの拡充による事業拡大が確実な状況です。
私たちも驚くほどのスピード感で、消費者の支持が拡大しています。
Makuakeで大反響、極薄ヴィーガンレザー
そして中でも特に大きな反響を呼んでいる商品が「Chimaera Skin(キマイラ スキン)」です。
皆様のお手元にも回覧させて頂きますので、ご覧ください。
最新の極薄ヴィーガンレザーで、従来の人工レザーとは全く異なるサステナブルな素材です。
キマイラ スキンを使用したコートは、1カ月の販売で1,700万円に迫る売上を達成し、当時のMakuake衣料品歴代トップ10に入る大ヒットになりました。
▶薄さ0.3mmで冬も暖かい。東レグループ開発の希少素材「キマイラスキン」コート(Makuake)
ユーザーの反応は非常に強く、価格にこだわらない、もの重視、環境重視の姿勢が鮮明でした。
無視できない衣料品の廃棄問題
ミライを示すユーザーの声、そして特に大きく響いたのが、次の言葉でした。
「服をゴミにするときが、一番いやな気持ちになる」
それは衣料品の廃棄問題という、私たち繊維アパレル産業の構造問題の本質を突いた言葉です。
実は日本のアパレル市場規模は、30年前に比べ大きく減少しています。
しかし一方で、供給量は大きく増加しています。
需要に対して大きく上回る供給量は、当然廃棄を生み出します。
ゴミとして出される衣類の再資源化率はなんと5%程度です。
ほとんどはそのまま焼却・埋め立て処分です。
その量はなんと1,300tです。
年間で48万tにも上ります。
生活を美しく彩るはずの私たち繊維アパレル産業は、石油産業に次ぐ世界第2位の環境汚染産業なのです。
これは服の製造に関わる人間として、そしてファッションを愛する生活者として、間違いなく無視することのできない問題でした。
サステナビリティ性と機能性・ファッション性を融合する
こうした問題意識を踏まえたキマイラ スキンは、そのサステナブルなコンセプト、そしてそれだけではなく、機能性とファッション性の美しい融合で、ユーザーの高い支持を得ました。
それは私たちにとって、ユーザーが示す未来の姿そのものに見えました。
キマイラ スキンは、環境汚染、動物愛護の観点から開発された素材です。
従来の人工レザーが樹脂の使用で数年で劣化するのに対し、特殊製法で樹脂を使わないため、一般的な人工レザーの数倍、数十年使えるロングライフな商品です。
また、樹脂を使わないことで、将来的な回収リサイクルも可能としています。
テクノロジーを革新し、次なる挑戦へ
私たちは現在、こうしたユーザーボイスのもとに、テクノロジーの革新を進め、次なる挑戦へ向かいます。
1つ目は、商品の回収リサイクルです。
リサイクル対応の素材、商品設計は既に実行しており、ユーザーが辛い思いで服を捨てなくて済むシステム、服の廃棄問題解消のモデルケースを作り上げていきます。
石油から植物へ。未来を変えていく
2つ目は、石油資源に頼らないサステナブルな社会の実現です。
私たちは100%植物由来のナイロン素材を、本年度より展開していきます。
そしてこれにとどまらず、石油由来の素材をどんどん植物由来素材に変えていきます。
強く軽くリサイクルできるカーボン製スーツケース
そして3つ目は、アパレル以外の廃棄物削減への挑戦です。
まず皮切りに選んだそのプロダクトは、「スーツケース」です。
皆様も今回京都に来られる際に使われているのではないでしょうか?
皆様のそのスーツケースは、環境に配慮された素材を使っていますか?
サステナブルでしょうか?
壊れたらゴミになりませんか?
そう、スーツケースもまだまだ環境に配慮された商品が少ないアイテムです。
今回私たちは、スーツケースの素材に鉄よりも強くアルミよりも軽いロングライフな高い耐久性でロケットやF1カーといった極限の環境でも使用される先端素材、カーボンファイバーを使用します。
そして同時に商品の回収リサイクルシステムを導入する予定です。
強く軽くロングライフなカーボン素材でリサイクルシステムを導入できれば、そこには無限の可能性、美しき未来が広がると考えています。
私たちはアパレル産業を変え、そしてアパレル以外でも、「ミライの生活」の創造に挑戦します。
共に新しい産業の創造を
最後に、ここにお集まりの皆様にお願いです。
私たちはおそらく先端技術という宝の山を持っています。
そうでなければ、ユーザーからこんなに強い支持を得ることはできません。
ただ、一方で、あとは「空白」ばかりです。
「ほとんど空白」と言っていいかもしれません。
企画、デザイン、流通、ユーザータッチポイント、事業のシステム、PR、プロモーションなど、あまりにも大きな空白ばかりです。
ただMOONRAKERSが今までの東レになかったスピード感、超小ロット対応、そしてオープンマインドを補完します。
ぜひ私たちMOONRAKERSをタッチポイントに、東レグループの持つ宝の山を使い、共に新しい産業を創造してほしいのです。
ある方がおっしゃいました。
「大企業は硬直的だ。けれど、大企業が変わらなければ日本は変わらない」
私たちは、東レという内向きの大企業を内部から必ず変革していきます。
そしてテクノロジーで素材を変え、かかわるすべての皆様と高速で世界を変えていきます。
本日は、ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美