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農作物残渣のアップサイクルで、干ばつに苦しむ世界の農地を潤す「EF Polymer」(ICC KYOTO 2023)

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ICC KYOTO 2023 リアルテック・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、EF Polymer下地 邦拓さんのプレゼンテーション動画【農作物残渣のアップサイクルで、干ばつに苦しむ世界の農地を潤す「EF Polymer」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。

【速報】農作物のアップサイクルで、世界の農地を潤す「EF Polymer」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

下地 邦拓
EF Polymer
取締役 COO
HP | STARTUP DB | X(旧Twitter)

沖縄県出身。米大(国際関係論)卒業後、米国シンクタンク(ワシントンDC)、外資系コンサルティング会社(東京)を経て、2020年に出身の沖縄に戻り、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の職員として外部資金調達、産学官連携・地域連携に従事。2022年8月にEFポリマーに参画。日本・海外事業開発に従事。


下地 邦拓さん 皆さん、こんにちは。EF Polymer株式会社でCOOをしております下地と申します。

EF Polymerは「エコフレンドリー・ポリマー」という意味になります。

本日、3つ覚えていただければと思います。

EF Polymerはインド生まれ・沖縄育ち、「沖縄から世界へ」を目指すアグリスタートアップです。

自社の特許技術により農作物残渣(ざんさ)、みかんの皮やバナナの皮などを原材料に、完全有機の超吸水性ポリマーを製造しています。

これを土壌に混ぜ込むことによって、水の利用量を4割、肥料の利用量を2割、そして収量を15%上げることができる資材です。

経済・環境の両面において、真に持続可能な農業の実現を目指しています。

干ばつの農村出身の研究者ナラヤンとの出会い

「沖縄に新たな産業をつくりたい」

そういう想いから、私は沖縄科学技術大学院大学の学長室で働いていました。

そんな中、出会った研究者が我々の代表のナラヤンです。

彼の研究テーマの軸になっていたのが、「どうすれば干ばつに苦しむ家族や仲間を助けることができるのか?」でした。

ナラヤンはインドの300人の農村の出身、そしてその農村は干ばつのエリアでした。

お父さん、お母さん、村の仲間がせっかく植えた作物が、「水ストレス」(水需給が逼迫している状態)によって収量がなくなってしまう。

ただでさえ苦しい家計がどんどん圧迫されてしまう。

そのような状況をどう打破できるか、ずっと考えていました。

深刻な「水ストレス」の影響

実はこの問題を抱えているのはインドの農村だけではないのです。

世の中で干ばつの影響を受けている世界人口は45%。

これはあまり知られていませんが、人類が利用可能な淡水のうち、農業が利用しているのが70%。

これが掛け合わされ、多くの生産者が直面しているの課題が「水ストレス」です。

水ストレスを受けてしまった作物は、3~4割作物収量が減ってしまいます。

これはインド、日本だけでなく世界中の生産者が直面している課題です。

さらにこの状況を悪化させているのが、高騰を続ける肥料の価格です。

そんな中で研究を続けていたのですが、世の中にはすでに保水剤、保肥剤がありました。

しかし、短期的には確かにそのような課題を解決していても、中期的、長期的に見ると土壌を汚してしまっている。

その先の地下水を汚してしまっている、またその先の海洋を汚してしまっている。

そのような課題は、どうすれば解決できるのか。

短期的はもちろんですが、中長期的に持続可能な解決策が必要だと思い研究を続けてきました。

1年で土に還る自然由来の「超吸水性ポリマー」を開発

そして、OIST(沖縄科学技術大学院大学)で確立したのが、世界初、完全有機・完全生分解性を有する超吸水性ポリマーです。

審査員の皆さまのお手元に配布したものは、従来廃棄されCO2を排出していた作物残渣をアップサイクルし、1gあたり約50倍の水(50gぐらいの水)を吸水するポリマーです。

これは吸水・放出を半年間繰り返し、1年で完全に生分解、土に還る資材です。

これを利用することで、水の利用量を4割、肥料の利用量を2割を削減します。

イメージとしては、土づくりの際に根の周りに水のビーズを置いていくようなイメージになっています。

そうすることで収量が上がっていくというような素材です。

イメージとして見ていただければと思うのですが、これは沖縄県恩納村で採れる赤土です。

2つの容器に100gずつ土を入れています。今、左側に我々のポリマー1gを入れました。

そうすることで1gあたり50gの水を吸うことができるので、左側の土が通常の土(右の土)よりも50g多く保水しておける土に変わっていくようなイメージになります。

すでに右側を見ていただければと思いますが、水が出てきています。

これを露地だとイメージしてください。

実際に畑だった場合、これに肥料が溶け出していき、同時に肥料が流れて出ていきます。

これを止めるのが、我々の資材の強みでもあります。

現地の農作物残渣を使い地産地消が可能

こちらは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団さまからの支援で行ったプロジェクトのデータです。

実際に我々のポリマーを利用いただいて、我々のポリマーの利用プラス化学肥料を15%カットした場合でも、収量が48%up、売上が64%upするような効果がありました。

また先ほど、我々のポリマーにはみかんの皮やバナナの皮を使用しているとお伝えしましたが、多糖類が原料です。

多糖類は世の中の作物に普遍的に含まれるものですので、地産地消が可能になります。

例えば沖縄でもできますし、アメリカ、フランス、東南アジアでも、どこでも作れるようなものになっていて、現地で採れる農作物残渣を利用して、我々のポリマーを作ります。

それで農家さまの抱えている課題をクリアして、そこから出た残渣をまた利用して、我々のポリマーを作る、このサーキュラーモデルを我々は実現していきます。

そのモデルを、今沖縄でもインドでも作っています。

用途は農業以外にも

我々のポリマーは、実は農業だけに限るものではありません。

農業にプラスして、衛生製品、おむつの吸水シートや日用品、化粧品などの増粘剤、また保水・保冷剤などの中のゲルにもポリマーが使われています。

この辺りにも代替をしていける素材になっています。

実は日本はポリマー製造大国で、トップシェアも日本の企業さまです。

ただ、その方々がこれまで研究をしてきた中でもまだ達成できていないのが、このポリマーなのです。

世界5カ国で160トンを販売

セールス、ライセンシングで事業を進めながら、2021年以降160トンの販売をしています。

1万人を超える農家さまにご利用いただいています。

5カ国で事業展開中です。

今年80トンを売る予定ですが、第3クォーターの1カ月目で、すでに8割の販売を完了しています。

我々は日本、インドに拠点があるのですが、今後、すでにオーガニック認定を取れているアメリカ、フランスでの事業を開発しながら、タイでも展開をしていきます。

EF Polymerの挑戦

今年資金調達を完了させ、インド、日本のチームで連携をしながら事業を作っています。

EFポリマー、シリーズAラウンドで5.5億円の資金調達を実施(EF Polymer)

先月開催されたG20でも、アグリ部門で2位を獲らせていただきました。

EFポリマー、G20サミットのスタートアップ向けピッチイベントで2位を受賞(PR TIMES) 

干ばつに苦しむ世界中の生産者さまに潤いを。

沖縄に新たな産業を。

EF Polymerの挑戦を応援してください。

よろしくお願いします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美

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