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バイオマスを活用した高機能バイオ炭「宙炭」で土作りを大幅に短縮、有機農業の収量をアップさせる「TOWING」(ICC KYOTO 2023)

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ICC KYOTO 2023 リアルテック・カタパルトに登壇した、TOWING西田 宏平さんのプレゼンテーション動画【バイオマスを活用した高機能バイオ炭「宙炭」で土作りを大幅に短縮、有機農業の収量をアップさせる「TOWING」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。

【速報】農作物のアップサイクルで、世界の農地を潤す「EF Polymer」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

西田 宏平
TOWING
代表取締役
HP | STARTUP DB

1993年生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科修了。その後大手メーカーでの研究開発職を経て、大学在学時に学んだ人工土壌技術(農研機構にて発明)を社会実装する為に2020年にTOWINGを創業。TOWINGの独自技術も掛け合わせて開発した、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を活用したプロジェクトを各地で展開しています。宙炭は廃棄予定だった材料を炭化し、独自の土壌微生物叢を培養して生産しており、畑の能力を向上したり、農地へ炭素を固定したりする等の効果があります。この宙炭を中心とする持続可能な食料生産システムを地域に導入し、未来永劫おいしい作物が食べられる世界を実現するべく日々邁進しています。


西田 宏平さん 皆さん、こんにちは、TOWING(トーイング)の西田です。よろしくお願いいたします。

プレゼンのトップバッターがいきなり私事から始まって申し訳ないのですが、私は田舎で育ちまして、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんが畑で育てた野菜をもいで食べるような生活をしていました。

ですが、この野菜はもう食べられなくなってしまいました。

実はお祖父ちゃん、お祖母ちゃんが腰痛になってしまい、土づくりが困難な状態になっています。

地力の低下によって食料生産量がダウン

土づくりができなくなると畑の地力がどんどん低下して、良い作物が育ちづらい畑になってしまいます。

3年以上放置された畑では、土づくりの再生期間は5年ぐらいかかるという研究結果が、今出てきています。

これは、実は私だけの問題ではなくて、地球上のすべての人に関係がある問題です。

今、耕作放棄、気候変動、化学肥料依存など様々な要因で、地力がいろいろな世界で低下していってしまっています。

これが食料生産量の低減につながっていて、2050年には食料生産量が10%減ってしまうような算出結果も出ています。

皆さんご存知の通り、2050年には世界総人口が100億人ぐらいまで増えるような推計も出てきています。

餓死者が大量に出てしまうリスクがあります。

弊社は、この土づくりのソリューションを提案する会社です。

私の弟がCTOとして入っておりまして、兄弟で立ち上げました。

地域で余っているもみ殻を高機能バイオ炭「宙炭」に

この土づくりソリューションを導入すると、土づくりの速度、質、サステナブル性を上げることが可能です。

この土づくりソリューションで使うものは、「宙炭(そらたん)」という名前の高機能バイオ炭というものです。

地域で今大量に余ってしまっているもみ殻を炭にして、そこに様々な良い微生物をブレンドした「微生物カクテル」を付与して、この宙炭を作ります。

この微生物カクテルがキーで、機能性のある微生物を弊社で選定します。

弊社は50aほどの研究農園を持っていますが、そこで機能の発現を確認したり、協力していただける農家さんの現場でも実証して効果を確認しています。

前身の研究機関の成果も合わせると10年弱の積み上げがあり、複数の微生物カクテルを実用化できています。

農地と言っても本当にいろいろな条件があります。

土壌の分類や施肥設計、栽培作物などに合わせてカスタマイズして宙炭に付与し、農地に散布して機能を実装するプロジェクトを実施しています。

通常では5年かかる土づくりを1カ月以下に短縮

弊社の土づくりソリューションを取り入れていただくと、5年かかるところがわずか1カ月に土づくり期間を短縮することができます。

加えて、今農林水産省も様々な戦略を立て取り組んでおりますが、効率的な有機転換や耐病性向上も可能になっています。

実際に実証事件として協力いただいた農家さんの農園で宙炭を使用していただいた時に、収穫量が有機肥料だけで1.7倍に増えたという結果も出てきています。

通常、有機に切り換えると収穫量が下がってしまうのが普通ですが、こういった結果も出てきています。

この農家さんだけではなく、今、様々な農家さんの条件で栽培試験を繰り返し実施していて、収穫量の増大効果が確認できています。

現在、約100軒ほどの生産者さんに、このプロジェクトを導入いただいています。

時間の都合で全部言えませんが、ターゲットの生産者さんにおいて、コスト同等で収穫量の向上効果、耐病性の向上効果、品質アップ、ビタミンCの向上といった効果が、今確認できています。

温室効果ガス低減に貢献するグリーンテックカンパニー

ここまでは弊社のアグリテックのお話をしてきましたが、実はグリーンテックの要素も含む会社です。

GHG(温室効果ガス)の低減効果を、弊社のプロジェクトで確認することができます。

冒頭でもみ殻を原材料にして宙炭を作るというお話をしましたが、今大量に余ってしまっているコーヒーかすやお茶殻、行政で処分に困っている剪定枝、あとは畜産系の残渣、食品工場の残渣といったものも原材料にして、宙炭にすることができます。

現在80種類以上に対応することができています。

こういった未利用バイオマスは焼却処分されていたり、たい肥にして使うケースもあります。

ただ、どちらもGHG(温室効果ガス)の排出量が結構多くて処理コストが高かったり、農家さんのニーズが低くてなかなか使ってもらえない、地域で余ってしまっているといった課題があります。

2027年には宙炭プラントを各地に建設予定

弊社は、こういった未利用バイオマスを炭にして微生物を培養して、農家さんに届ける宙炭のプラントを各地に立ち上げることを計画しています。

これを実施することができれば、農家さんに魅力的な資材を開発して、どんどん、どんどん使っていただくことができますし、GHGの排出量の低減効果もあります。

実際に、このプラントのキャッシュポイントとして、バイオマスを処理するところ、あとは土づくりのソリューションを農家さんに提供するところ、加えてGHGの低減効果を販売するところも可能です。

日本初、みどりの食料システム法に基づき認定された、基盤確立事業者として、バイオ炭の農地施用のJ-クレジットに承認(PR TIMES) 

実際に今、環境貢献度を測定しています。

10,000tぐらいバイオマスを出す工場について導入効果を算出すると、約5,000t/年のCO2の低減効果を示すことが可能です。

ビジネス性についても、投資回収を6年で実施できるといった算出結果も出てきています。

弊社はこのプラントを各地に立ち上げるために資金調達を実施して、2023年から本格的に拡販を始めています。

食料生産システムの課題解決を目指す、株式会社TOWINGがシリーズAの資金調達を実施、累計調達額10億円を達成(PR TIMES) 

2027年には30基以上のプラントを立ち上げて、売上目標100億円を達成したいと考えています。

現在、この宙炭プラントは弊社だけで立ち上げるのではなく、複数の会社様と連携して立ち上げることを計画しています。

ぜひ興味ある方はお声掛けいただけますと幸いです。

地球規模で宙炭の普及に挑戦

冒頭で私は、2050年に向け食料生産量がどんどん減ってしまうというお話をさせていただきました。

この宙炭が普及することで地力をどんどん、どんどん、いろいろな地域でアップさせていくことができます。

これは日本だけではなく、弊社は海外展開を考えていて、どんどん、どんどん地球上でプロジェクトをやっていきたいと思っています。

サステナブルでおいしい野菜を次世代に届けるため、これは私たちの会社だけではなかなかできないことですので、皆様のご助力をいただけますと幸いです。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美

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