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「小さな一歩が社会を変える」【A16-4】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!15回シリーズ(その6)は、リディラバ安部さんに、非行少年だった時代から、社会課題をビジネスにする起業家となるまでの自己紹介を頂きました。ぜひ御覧ください。
「ICCx AIESEC カンファレンス」は、NPO法人アイセック・ジャパン(AIESEC)とICCパートナーズが共同で開催した、AIESECに所属する大学生を対象としたカンファレンスです。当日は高い志を持った大学生250名が、ビジネスリーダー/社会起業家たちのパネルディスカッションと、質疑応答セッションに参加しました。
2017年も、秋頃に「ICCx AIESEC 2017」を開催する予定です。参加を希望される方は、ぜひ全国25大学のAIESECの各委員会に所属ください。
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【登壇者情報】
2016年9月13日開催
ICCx AIESEC カンファレンス 2016
Session 4
「小さな一歩が社会を変える」
(スピーカー)
安部 敏樹
リディラバ代表理事/
Ridilover代表取締役
三輪 開人
e-Education
代表理事
米良 はるか
READYFOR
代表取締役CEO
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ
代表取締役
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【前の記事】
【本編】
小林 三輪さんありがとうございました、素晴らしい。
AIESECの話題を絡めて一歩をお話頂きました。新しい話題も登場し、素晴らしかったです。
小林 次はリディラバの安部さん お願いいたします。
安部 はじめまして、皆さんこんにちは。
ここにいらっしゃる方は大学生の方がほとんどだと思いますが、始めに私の考え方を説明しておきます。私はみなさんが「若者だから」といった視点で見ることはしません。
それは良い意味での「若者だからできる」も、悪い意味での「若者だからできない」も、どちらに寄っても人の成長は促されないと思っているからです。
「若者」ではなく、「君」だから出来るという事でない限り世の中は変わらないと考えているので、個人の経験と合わせて、今日はその様な話をしたいと思います。
宜しくお願いします。
リディラバの安部と申します。
我々の団体の名前、非常に読み難い社名だと思います。
リディラバは、「Ridiculous things lover(バカバカしい事が好きな人)」という言葉からスタートした会社です。
あの…ドラゴン桜の前の話をしようかと思うのですが、いいですか?
非行少年だったリディラバ安部さん
小林 いいですよ。
安部 オブラートに包んで話すと、私は14歳の時家庭内暴力で家を追い出されています。
家庭内暴力を「した」側なのですが。当時家庭では色々ありまして。
家から追い出されているので、家に帰れないですし、元々学校も通っていなかったので、どこにも行き場がありませんでした。
14~16歳位は、親戚の家や、友人の家に泊めてもらってました。簡単に言うと、非行少年。ろくでもない人間で、そこからは人生転落状態でした。
高校も3年生まで仮進級で在籍していただけ、ほぼ学校に通っていなかったので「君はどこにもいけません。評定平均1.8しかありません。」と先生からホームルームで宣言される始末でした。
偏差値は20、30程度だったのですが、そのホームルームがきっかけで周りの友達が「ドラゴン桜」というプロジェクトを作ってくれました。
そこが結構人生の転機でして猛勉強して東京大学に入学したのですが、大学に入ると、この様なことを言われました。
「ノブレス・オブリージュ」という言葉です。
この言葉を知っているという方いますか?
(多くの参加者が挙手)
すごいですね。
皆さん教養があって素晴らしい。
「ノブレス・オブリージュ」は元々欧米貴族の考え方で、恵まれた環境にある人達、あるいは能力的に優秀な人達、金銭的にも立場的にも恵まれた人間というのは、その分を社会に還元しなければならない。
より社会を変えていく責任があるという「高貴な義務」という考え方です。
私の在籍していた東京大学の川人ゼミというところは、当時300人ほどが在籍していた「法と社会と人権」というとても大きなゼミでした。
OBOGでは、ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗さん等有名な方が輩出されているのですが、そこではまず最初に先生の方から「ノブレス・オブリージュを実現しなさい。君達はエリートだから」みたいなことを言われるわけです。
【参考資料】 いま、人権を考える – 調べて知らせて世界を変えるヒューマン・ライツ・ウォッチ
ノブレス・オブリージュでは社会は変わらない
安部 でも、私結構斜に構えたやつなんで、ほんまかいな、と思うわけです。
正直なところ、私がグレていた時、誰一人として東大生は私を救ってはくれなかったぞ、と。
東大にいた周りの学生も、「政治が、国が、社会が」と言っているけれど、5年、10年経てば絶対自分の家族やら生活が1番になるし、自分の給与を下げてまで世の中のこと考えないだろう、と。
東大生3,000人だって人の子。みんな自分が大事でしょうよ。
それを犠牲にしてまで社会のため人のためと考える訳がないのに、何を言っているのだろう。
「ノブレス・オブリージュとか言っているけれど、絶対嘘だろう。そもそももう日本に貴族いないしとか思っていました。」と思ってました。
今日会場にいる皆さんも、本気で社会のことを考え、変えたいと思っている人が多いと思いますが、もう少し年齢を重ねれば家族や子供のことを考えるようになります。
それ自体は悪いことではなく、ただ、社会を変えたり支えたりしていくということが、優秀なエリート達だけに偏っているという認識自体が現実的ではない。
それよりも、誰しもが、社会に関わるということに関心を持つような仕組みを作らなければ、そもそも世の中が良くならないのではないかと考えました。
貴族社会に長らくあった「ノブレス・オブリージュ」という考え方では世の中が良くならないのだから、もっと別の形の組織を作った方が良いのではないかと思い、バカバカしいことが好きな人という名前で始めたのがこの組織となります。
小林 一枚のスライドでここまで話しましたね。
本題にまだ入っていないのですが。
(会場 笑)
安部 ここからは進めます。
小林 これから自己紹介なの?
安部 すみません。自己紹介の流れでした(笑)。
リディラバ安部さんの自己紹介は続きます
安部 巻きながら進めます。
私は19歳で大学に入ってから、ずっとマグロを取っていました。
5年位オーストラリア等へ行き、潜ってマグロを取るという仕事をしていました。
(会場どよめく)
小林 すごい。これは、拍手ですね。
(会場 拍手)
安部 会場の皆さん、リアクションが良いですね。
小林 良いでしょ。
安部 びっくりしました。
ただ、マグロの話はこの後ほぼ出てこないので忘れて下さい。
(会場笑)
今は29歳ですが、東京大学の文系に入学し、その後 理系に転向し複雑系や脳神経科学といった内容の研究をしていました。
STAP細胞で騒動となっている小保方さんと同じ理化学研究所で働いていたりもしました。
また、24歳から東京大学で教鞭をとっており、「ソーシャルビジネスの為のチームビルディング」という授業を1、2年生に教えています。
去年(2015年)の3月からは、東京大学の先生に対して教えるという仕事もしています。
権威のある教授に対しても、「もっと変えていきましょう」という話をする色々な意味で難しい仕事になります。
本(「いつかリーダーになる君たちへ」)にもなっているので良かったら読んで下さい。
リディラバ安部さんの自己紹介はさらに続きます
安部 ここからが本題となるのですが、先程も話したように、グレていた当時「私自身が社会問題」という状況でした。
(会場笑)
どう考えても「意識高いね」とかより、「こいつをなんとかしなければ」と思われるタイプ。
当事者として「社会問題の私」が考えると、横浜駅前でタ◯コを吸い、オレンジ色の髪をしているとはいえ、心の中は寂しい訳です。
当時の私の周りには、その様な人が多く、家で上手くいっていない、親がいない、あるいは学校で上手くいっていない等でグレている人間が集まり、たむろしてバカなことをしていました。
ふと「俺ってどうすれば救われるのかな」と考えたりもしてたのですが、当時は答えは見つかりませんでした。
ただ運が良いことに、私は周囲に助けられて社会復帰を果たしたのですが、大学に入った後も色々な社会問題の現場へ行き、自分の目で問題を見るようにしてきました。
自分に限らず、どこの現場に行っても、当事者はずっと苦しいまま、泣き寝入りする人が多いのが現状です。
さて、なぜ多くの人の問題は解決しないのか?
逆にいうと私はどうして運良く社会復帰できたのか。そこには何か特徴はないのか?
こういうことを大学時代、あるいはその前から長らく考えていました。
結論として出た答えは、多くの人にとって社会問題というのは関心を持つ対象ではないことが原因だろうと。
つまり関心を持ってもらえるかどうかというのが鍵になるのだろう、と。
(続)
【参考資料】 2017年2月23日のプレゼンテーション動画も合わせてご覧ください。
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鎌田 さくら
続きは 社会問題への関わりを阻む「3つの壁」(リディラバ安部) をぜひご覧ください。
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【編集部コメント】
続編(その7)では、「社会の無関心を打破する」リディラバ安部さんに、社会問題に関わるのを阻む3つの壁についてお話を頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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