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【最終回】”ポケモンGO”の大ヒットをどう考えるか?(レベルファイブ日野晃博×「龍が如く」総監督・名越稔洋)【F17-10A #10】

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「 レジェンド対談『龍が如く×妖怪ウォッチ』 – メガヒットを生み出すプロデュース力を徹底議論」【F17-10A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その10)は、会場から質問を受け付け、レベルファイブ日野さんとセガゲームス名越さんから見た「ポケモンGO」ヒットの理由等についてお話いただきました。ぜひ御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。

本セッションは、株式会社グッドラックスリーにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2017年2月21日〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 10A
レジェンド対談「龍が如く×妖怪ウォッチ」――メガヒットを生み出すプロデュース力を徹底議論
Supported by 株式会社グッドラックスリー

(スピーカー)
日野 晃博
株式会社レベルファイブ
代表取締役社長/CEO

名越 稔洋
株式会社セガゲームス
取締役
コンシューマ・オンラインカンパニーCOO
エンタテインメントコンテンツ統括本部 統括本部長

(モデレーター)
井上 和久
株式会社グッドラックスリー
代表取締役CEO

▶「レジェンド対談『龍が如く×妖怪ウォッチ』」の配信済みの記事一覧

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【本編】

井上 もう少し時間がありますので、もう一問くらいいかがですか?

では、どうぞ。

質問者 ヤマップの春山と申します。

貴重なお話をありがとうございます。二つお伺いしたいことがあります。

お二人の視点から見て、「ポケモンGO」がヒットした理由の分析をお聞かせください。

もう一つは、位置情報×ゲーム、つまり現実の場にゲーム性を立ち上がらせるという可能性についてどのように感じていらっしゃるか、お伺いできればと思います。

よろしくお願い致します。

名プロデューサーたちから見た「ポケモンGO」

井上 では日野さんから。

日野 「ポケモンGO」に関しては、本当にすごいと思いました。

ああいったゲーム性のあるものを作って、もちろんゲーム自体の売上も上げているとは思うのですが、やはり「ポケモンGO」があることによって、ポケモンの話題性が上がりました。

展開した時期などを考えても、どこまでが狙っていたのかは分かりませんが、やはりこのタイミングでこういうものをヒットさせて、続けて本篇の発売をこのくらい後に、という流れが素晴らしくできていたと思います。

井上 (昔、本作を遊んだ)ユーザーが返ってきているパターンもあるんでしょうかね。

日野 どうでしょうか。

「妖怪ウォッチ」をやっている時に、ここはポケモンに勝てた、と感じていた部分があるわけです。

そういうわけで、今回は「ポケモンGO」でハンマーを食らったような、本当にそれくらいの衝撃がありました。

それから、位置情報を使ったゲーム性などについて、いろいろ研究したんですよ。

ああいった新しい遊びに対して、積極的に取り組むようにはなりました。

井上 位置情報×妖怪ウォッチのようなもの、それを超えていくようなものも今後あり得るということでしょうか。

日野 うーん、どうですかね(笑)。

井上 その辺りは、明言を避けられますか(笑)。

名越さんはいかがですか?

「Ingress」時代にポケモンでのヒットを予見

名越 これは本当の話なのですが、Ingressの技術が出た時に、社内である人物と二人で話したんです。

どうなるかねこれ、と。

私は、ポケモンでやったら絶対に当たると言ったんです。

井上 予言者じゃないですか。

名越 だって、理由があるんですよ。

位置情報ゲームというのは「面倒くさい」んですよ。

認知度が高く、コレクション性があって、ゲーム性が担保されているものって、ポケモンしかないんですよ。

井上 妖怪ウォッチは?

名越 (ポケモンは)もっと広いですから。

井上 そうですよね、ポケモンは世代が広いですよね。

名越 しかも、言い方が難しいですが、妖怪ウォッチの方がドラマ性が濃いので、ポケモンはどちらかというともっと淡泊ですよね。

そういうとポケモン関係者に怒られるかもしれませんが。

いろんな意味で、ポケモンが一番向いていた。ポケモンでやったら売れるね、と。

そうしたら出てきて、売れて、超納得です。

(予想していたことに)一文の得にもなりませんが。

ただ、先ほども言いましたが、位置情報ゲームというのは面倒くさい行為だと思っているので、同じ仕組みを使っても、そう簡単にヒットは出ないと思います。

もっと極端に言えば、ほぼ、手を出さない方がいいくらい。

投資と手間に比べ、恐らくヒットが見込めるというものが、IP(有名キャラクター)的にあまり思いつきませんし、オリジナル(IP)でやるとしたら、自殺行為です。

B to Bなどが政治的にうまく利用できるという前提があれば話は別ですが。

たとえば、セブンイレブンとマクドナルドも同時に取れたとかいう話ならばまた違うと思いますが。

▶編集注:ちなみに「ポケモンGO」ではマクドナルドセブンイレブン両方がポケストップとなりました。

そうでもない限りは、数少ない成功例がきちんとリプレイスされて、きちんとできたという話かなと思っています。

井上 ありがとうございます。

残り時間も短くなりましたので、最後まとめを一言ずついただければと思います。

特に、日野さんも、名越さんも、ICCは初めての参加ということで、このようなセッションをやってみてどうだったか、気付きなどがあれば、共有いただければと思います。

日野さんからお願いできますか?

飲み屋のような「生」トークがいい

日野 はい、では私から。

そうですね、やはり今日は非常に楽しかったです。

やはり何というか、これほどまでに普通のトークができるとは思っていませんでした。

段取りがないですからね、ある意味、ついつい本音を話してしまうという状況でした。

何を話すか、もう少しちゃんとした段取りがあるのかなと思っていたんです。

これはいい意味で言っていますが。

井上 偶然性を大事にしていますよね。

日野 本当に、生のトークがしっかりできて、それがいいですね。

名越さんは、名越さんで、打ち合わせを全くやってくれませんし(笑)。

名越 しませんて。テレビでもしません。

井上 予定調和ではないんですよね。

「なごなま」でもそうだったんですか?

▶編集注:「なごなま」とは、名越さんが出演するニコニコ生放送の企画です

名越 「なごなま」でも、打ち合わせなどしたことありません。

日野 でも今日こういう場所で、本当にめったに話せないことを話して、名越さんからお話を聞けて非常に楽しかったです。

たくさんの人が見ている前だけれど、ただ三人で、飲み屋で話している感じというか、これはすごいなと思っています。好印象で、楽しませていただきました。

井上 ありがとうございました。

コンテンツに愛情が入っているかどうかが大事

名越 おっしゃる通りで、事前打ち合わせをやらないのは、まず面倒くさいからというのと、もう一つは、事前に打ち合わせをすると、「今日は何を言わない」ということを先に決めてしまうことになるので、あまり面白くないですよね。

井上 ポロッと出たことが楽しいと。

名越 プロだからそれは出さないんだけれど、一度、出すべきか出さぬべきかという、その考えを通ってから出てくる発言の方が面白いと思うので、それはそれでありなのではないかと思います。

恐らく、クロスメディアの話は、私も映画や実写をやったり、最近では配信ドラマをやったりなどをしていますが、もっと実際は具体例を挙げた方が面白かったかもしれません。

当然広くマスをとらえているという意味では、レベルファイブの方が、数字として結果も出していらっしゃるということで、関心が高かったと思うのですが。

井上 「龍が如く」ファンもこの世代だと多いと思います。

名越 でもね、本当「妖怪(ウォッチ)」は面白いですよ。

ジバニャンと話したら、泣きました。

結構ね、いい(笑)。

(会場笑)

日野 ありがとうございます(笑)

いい加減な答えが返ってきてびっくりしました(笑)。

名越 いや、ああいう愛情があるところというのは、全体のコンテンツのちょっとしたところなのだけれど、そういうものが入っているかどうかというのが実は大事なんですよね。

割と周りから見たらどうでもいいところだったりしますが、私にとってはそこが非常に大事なところで、その一言、一行を抜いてもらったらとても困るようなものが入っていることが、コンテンツだというのはあるんですよね。

未だにそれはありますよね。

そういうことを大事に、これからもゲーム作りをやり続けていきたいなと思っております。

井上 本当にありがとうございます。

名越さんは、このパネルの直前に、東京から福岡まで飛行機でお越しくださり、この後もすぐに東京に戻られるのですよね。

日野さんも、本当に多忙なスケジュールの中、時間を空けていただいて、本当にありがとうございます。

会場には、ゲーム業界はもちろん、ゲーム業界以外の方々もたくさん参加されていて、まさにIndustry Co-Creationにふさわしく、気付きなどがたくさんあったセッションになったと思います。

お忙しい中、会場に駆けつけて登壇してくださった名越さん、日野さんのお二人に最後盛大な拍手をお願い致します。

一同 ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

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