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開発メンバーに嫌われて深めた「龍が如く」ヒットへの自信(「龍が如く」総監督・名越稔洋)【F17-10A #9】

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「 レジェンド対談『龍が如く×妖怪ウォッチ』 – メガヒットを生み出すプロデュース力を徹底議論」【F17-10A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その9)は、会場から質問を受け付け、クリエイターのキャリアや幸せについて考えました。また、「龍が如く」のチーム作りについてセガゲームス名越さんからお話いただきました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。

本セッションは、株式会社グッドラックスリーにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2017年2月21日〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 10A
レジェンド対談「龍が如く×妖怪ウォッチ」――メガヒットを生み出すプロデュース力を徹底議論
Supported by 株式会社グッドラックスリー

(スピーカー)
日野 晃博
株式会社レベルファイブ
代表取締役社長/CEO

名越 稔洋
株式会社セガゲームス
取締役
コンシューマ・オンラインカンパニーCOO
エンタテインメントコンテンツ統括本部 統括本部長

(モデレーター)
井上 和久
株式会社グッドラックスリー
代表取締役CEO

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【本編】

井上 では残り時間が15分となりましたので、せっかくですから会場からも質問をいただきたいと思います。

上原さんが待っていましたとばかりに手を挙げていらっしゃいます。

では上原さん。

上原 マイネット(Mynet Inc.)という会社をやっております、上原と申します。

とても面白い対談でした。ありがとうございます。


上原 仁
株式会社マイネット
代表取締役社長

1974年生。神戸大学経営学部卒業後、1998年NTTに入社し同社のインターネット事業開発に従事。2006年7月株式会社マイネット・ジャパン(現マイネット)を創業し同社代表に就任。自社のモバイルCRM事業を国内3万店舗まで育成した後にヤフーへ事業売却。
現在はゲームタイトル買収・再生を手がけるゲームサービス業のリーディングカンパニーとして業界を牽引している。

私は、今、600人ほどの、スマホゲームの運営に特化した会社を経営しています。

多数のクリエーターを抱えていますが、ゲームクリエーターというのは、子どもたちの憧れの仕事であり、彼らは憧れから今の仕事に就き、名越さん・日野さんのようになりたいと、まさにお二人のようなゲームクリエーターに憧れている状態だと思っています。

しかしクリエーターのキャリアにおいても、うまいこと行く人、行かない人がいるかと思います。センスがある人、ない人とも言えます。

そのメンバーたちが、ゲームクリエーターとして名越さんを目指したいと言いながら、下積みの中でなかなか芽が出ず、37歳、独身、年収350万円という状態に至っているとします。

そういう状態になっている彼に、周りの人間は、「君、そこには正直辿り着けないよ」と思っているとします。

その彼に、どのような風に声を掛けてあげたらいいか、ないしは経営者としてどのように処遇していくべきか、ご意見をお聞かせください。

芽が出ないクリエイターをどう処遇すべきか?

井上 リアルな悩みということで、どなたかを思い浮かべながらでもいいですし、そういう方がいらっしゃったとして、どのように対応されますか?

日野 どうでしょうかね。人をどうしても切らなくてはならないことというのは、こういう職業をやっているとありますよね。

皆さん恐らく、多かれ少なかれやられていると思います。

そのような時に掛ける言葉はどのようなものが適切かということですよね。

名越 まずは、本人が幸せに思っているかではないでしょうか。

辛いのかどうか、意見をかわすわけではありませんが、例えば、私から見て「こいつ大変だろうな」と思って一緒に飲みに行ってみたら、全然大変そうでない人もいますよね。

井上 課題に気付いていないということでしょうか?

名越 いや、そうではなくて、満足しているんですよ。

苦しい自分に納得して仕事をしているんです。それはいいことだと思います。

この給料、この年齢で、今やっている仕事はこんな状態になっていて、さぞやしんどいだろうなと、たまには食事でもと誘ってみると、意外と明るくて、無理しているのかと思えば、全然そうでもなかったり。

その人は、今幸せに生きているんですよ。

なので、もう言うことはないわけです。

「お前、よく考えろ、不幸せなんだぞ」と、わざわざ声を掛ける必要はどこにもないわけです。

(会場笑)

ただ、逆は困りますよね。

本人はそこそこいい感じに行っているはずなのに、「もうだめだ」となる人、あきらめの早い人が結構多いんです。

それは、誰もが普通に通る道です。

はっきり言うことが必要な時もある

名越 要は簡単に成功すると思っている人が結構多いのです。

スマホゲームのせいなどにする気はありませんが、コンソール(のゲーム開発)はやはり結果が出るのに時間がかかりますし、作業量も多く、自分が担当したパート、持ち分というか、そこに明確なモチベーションを築きづらい傾向が結構あります。

それはディレクションやプロデュース次第なのかもしれませんが。

結構足が速くて、少人数で作れるということで、結果の速さから、そちら(スマホゲーム)に行く人が割と多いのは、最近の傾向なのかなとも思っています。

基本的には、私も、日野さんが最初におっしゃった意見の通りだと思います。

どこかで、無理なものは無理だからと言ってあげるべきだと思います。

放っておくことは愛情ではないし、言うべき時には言ってあげるべきだと思います。

井上 なんとも言えませんが。

日野 このような、公衆の面前では話しづらいですね(苦笑)。

上原 人にはそれぞれあった道筋があるのだと。

日野 はっきり言うことが必要な時もあると本当に思います。

井上 ありがとうございます。

もう一つくらいご質問ありませんか?どうぞ。

質問者 リクシィの安藤と申します。

「龍が如く」が大好きでして、1ファンとしての質問になるのですが、先ほど「求められるもの」と「創りたいもの」というお話がありましたが、名越さんのお考えがよく分かりました。

開発プロジェクトのメンバーというのは、皆さん作品が好きだから入ってくるとか、作品が好きな人を採っているとか、そこは役割分担をされているとか、その辺りは組織として、どういうスタンスなのかをぜひ伺えたらと思います。

メンバーから嫌われて逆に自信が湧く

名越 コアメンバーは開発当初から一緒なのですが、そのコアメンバーは、「龍が如く」のゲーム開発をすごく嫌がっていました。

実際、抜けられては痛いメンバーも何人も抜けました。

理由は、「龍が如く」というゲームが嫌いだったからです。

井上 テーマが嫌いと?

名越 テーマが嫌い、売れる予想がとてもつかないと。

まあ、私が狂ったと思ったとか、いろいろ理由はあると思うのですが、実際、こんなものを作りたくてゲーム会社に入ったんじゃない、と明言されました。

とても辛かった一方で、それくらい印象の強いゲームなのだと、変に自信が湧いたのも事実です。

日野 それくらいの反発感を湧かすくらい、個性の強いものだと。

名越 子どもが産まれるというので、おめでとうと声を掛けたら、「子どもに言えないようなゲームを作りたくありませんので辞めます」と言った人もいました。

質問者 最近で言えば、認知度が上がってきて、「龍が如く」を作れば恐らくヒットするだろうという雰囲気が社会的にあったとして、それを知って加わってくるメンバーもいると思うのですが、そういう方が混ざってくる時の組織の変化はどうですか?

名越 それほどいないですよ。

会社なので、「龍が如く」が大好きです、ぜひチームに入ってがんばってみたいですと言って入社しても、全く違う部署に配属されたり、スキルが別の分野に向いているということで、「ソニック」を作っている人もいます。

今どう?と尋ねたら、「ソニック楽しいです」と。

井上 そのようなパターンもありますか。

名越 そうそう。

ファンタシースターオンライン」が儲かっていて楽しいという人もいますし。

会社というのは、いろいろと選択肢がありますよね。

ですので、納得して好きでジョインしているメンバーというのは全体の半分にも満たない、ないしは、もっと少ないと思います。

プロ意識でやっている人がほとんどです。

先ほどのスライドで言えば、「求められている」から頑張るというメンバーの方が多いと思います。

質問者 ありがとうございます。よく分かりました。

(続)

続きは 【最終回】”ポケモンGO”の大ヒットをどう考えるか?(レベルファイブ日野晃博×「龍が如く」総監督・名越稔洋) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

クリエイターが薄給だけど幸せであることも多いというのは分かる気がします。そもそも表現したい方々って、いわゆる経済的尺度や金銭で潤う生活とかって常人には考えられないほど、優先順位が低かったりするのですよね(親が貧乏クリエイターだった榎戸)

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