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高いモチベーションで働く組織の秘訣は何か?(Plan・Do・See / LITALICO / リンクアンドモチベーション)

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特別対談に、Plan・Do・See 安東 尚徳さん、LITALICO 中俣 博之さん、リンクアンドモチベーション 麻野 耕司さんの3名の迎え、「ハイ・モチベーション組織の開発」について大いに語っていただきました。(その2)では高いモチベーションで働く組織の秘訣は何か?を議論しました。モチベーションの源泉の4Pでの説明はとてもわかりやすく、各社の特徴がわかる内容となっています。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 1E 特別対談「ハイ・モチベーション組織の開発」

(スピーカー)
麻野 耕司  株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員
安東 尚徳  株式会社Plan・Do・See ヒューマンリソースマネージメント室 ディレクター
中俣 博之  株式会社LITALICO 取締役

その1はこちらをご覧ください:就職人気企業(Plan・Do・See / LITALICO / リンクアンドモチベーション)の採用の秘密に迫る


司会 麻野さんのお話の中にも出てきましたが、モチベーションの高い組織を作る最初の関門として、採用というのは非常に重要だと思うのですが、3社共通して、入社後も非常にモチベーション高く仕事をされているという印象があります。

すごくいい話を聞いていたんだけれど、実際に入ってみたら現実とギャップがあって辞めちゃいました、といった話は一般にはよくあるじゃないですか。

皆さんの会社では、社員のモチベーションを上げるために、採用後どんなことに取り組まれておられるのでしょうか?

ビジョンとミッションが何よりも大切

中俣 まずそんなにないです。

やっていることは、先程の繰り返しになりますが、ビジョンに共感し、この事業をやりたいということで入社している人ばかりなので、ビジョンやミッションとずれることをしないということでしょうか。

もちろん、少し飲み会を多くするとか、全社員が集まって我々のの事業の意味を見直していくようなことも1年に1回はするんですよ。

映像コンテンツを使ったり、顧客からの手紙を頂いたりという形でやるにはやるんですけれど、それで大きくマネージメントしてるかというとそんな感じではないですね。

結局のところ、ビジョンでマネージメントする、事業でマネージメントする、けれども人でマネージメントしていかない、というのが弊社の基本的な考え方ですね。

司会 特別なことをする訳ではなくて、先ほど説明したピュアな事業ビジョン、ポジションできちんとやり続けるということですね。

中俣 そうですね、世の中のトレンドと課題を適切に把握し、それに対して明確なビジョンをつくることができれば、あとは実行だけです。。

司会 最初からずれていない、埋める必要もないと、そういうことですね。そういう風に事業ができると非常にいいですよね。

でも、なかなかそうもいかない部分もあるかなと思います。そういった意味では、安東さんの会社はいかがですか?

「働きがいのある会社」

安東 モチベーションを上げるために特別に何かをやっている訳ではないけれど、モチベーション向上に繋がっているかもしれないことは、沢山あると思いますね。

有り難いことに、7年間くらい「社働きがいのある会社」として上位に入っています。

何が働き甲斐なのかというと、自分のやりたいことがやれる環境があり、それをしたい人達だけが集まっていて、自分の目標やビジョンが会社のそれと合っている。

更には、それをいい仲間とやれていることが働き甲斐に繋がるようです。

モチベーションを上げるために特別なことはやってないけれども、会社のビジョンを理解しながら自分の目標を明確に持ってやっていけるかが重要なのは、本当に皆さんの会社と一緒です。

目標設定して面談でその振り返りをして、日常のルーティーンやアクションに落としていくということを、現場のスタッフレベルまで徹底してやっているということだと思います。

それがやりやすいし、私たちはB to Cのビジネスをしているので「ありがとう」をもらいやすいんですね。

現場でお客様に「ありがとう」と笑顔を頂けて、一緒に働く仲間が楽しくやれていて、そこに喜びを感じている。

それだけではもちろん限界があるので、次の半年、1年でどうなっていきたいのか、会社を5年10年でどうしていきたいのかということをいつもすり合わせています。

日常の「ありがとう」と、3カ月・半年・1年毎の目標の進捗状況を見ながらやっていく、その繰り返しではないですかね。

質問者 とはいえ時間的な余裕が無くなってきたりすると、心の余裕も無くなってきて、明るくて元気で素直な人でも、仕事に対するモチベーションが下がることもありますよね。

どの会社でもあると思いますが、皆さんがいらっしゃる会社では、そこから本当に腐っていく人というのはいないものですか。

腐ったミカンの話ではないですけれど、もしいるんだとしたら、やはり周りで働く人たちに広がっていくじゃないですか。その人に対してどういう対処というか、その人をもう一度蘇らせるような取り組みはされているのでしょうか。

もしくは、組織の判断でその人を辞めて頂くといったことも場合によってはあるのか、というところをお伺いできれば。

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中俣 弊社では、完全に組織の自浄作用に任せてますね。

例えばAさんのモチベーションが低い、低いというか少し下がっているなというのは、基本的に皆の仲が良く、モチベーションが高いのすぐに分かるんですよ。

私のところに言いにくるんですね、他の社員が。「中俣さん、○○さんちょっと最近元気がない気がします」と。

その時に私が動いてしまうと皆が甘えてしまうんですよ。

だから私はその社員に「君のほうで何とかしてもらっていい?」と言ってプッシュバックするようにしているんですね。

新卒1年目の社員が少し辛くなり始めて、2年目くらいの社員が私のところに来るんですけれど、私にそう言われたから2年目の子が頑張ってこの社員を何とかして、元に戻すんですね。

私がとか、組織とか、制度でやるのではなくて、組織の自浄作用を活性化させるという方向ですね。

結果的に上手く機能して、辞める人もあまりいないです。

質問者 組織として本当に理想的な形ですね。

中俣 そうですね。そこでマネージャーが動くパターンもあれば、経営者が動くというパターンもあると思うのですが、私の場合は言い出しっぺに行動させて、自浄作用を循環させるということをします。

司会 麻野さんにお聞きした方がよいですね。

そもそもモチベーションとは何なんでしょうか。何に対してモチベーションが上がるかという「モチベーションの源泉」のようなものが、果たして全ての人で同じなのかということは、モチベーションについて議論する以前に疑問に思う点です。

その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

モチベーションの源泉

麻野 「モチベーション」という言葉のイメージを単体で捉えるのは非常に難しいのですが、よい対比を挙げるとしたら「テンション」ですかね。

「テンション」は気分なので、必ず何らかの対象がある「モチベーション」とは違います。ただ漫然とモチベーションが高いという状態はなくて、例えば、特定の仕事に対するモチベーションが高いといった状態がありますね。

モチベーションは、対象に対する自分の優先順位とかエネルギーのことです。仕事へのモチベーションは低いけれど、プライベートへのモチベーションは高いという場合はありますよね。

組織で仕事をするということに対するモチベーションの源泉は、「4P」と呼ばれる4要素で構成されてると言われています。

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1つ目は「Philosophy(理念・目的)」、2つ目は「Profession(仕事・事業)」、3つ目が「People(人材・風土)」、4つ目が 「Privilege(特権・待遇)」。

大学生になってサークル選びをするとします。どこのサークルに入るかというのは、どのサークルに最もモチベーションを感じるかという話なんですね、そこに入るわけですから。

「私はバレーボールが好きだから、バレーボールサークルに入ろう」というのは、「Profession」に魅力を感じているということですね。

次にバレーボールサークルでも日本一を目指しているところと和気あいあいとやっているところがあって、「私は和気あいあいとやる方がいいな」というのは 「Philosophy」ですね。何を目指しているか。

同じ和気あいあいとやってるバレーボールサークルでも、「このサークルの人の方が、あのサークルの人たちよりも肌が合うな」というのは「People」ですね。

最後に、「でもこちらのサークルの方が就職に有利だな」となるのが「Privilege」ですよね。

モチベーションというのはこの4つの要素で変わりますよね。

会社によってどこでバインディングして(束ねて)いるかは別なわけですよ。例えばLITALICOさんは完全に「Philosophy」なわけですよね。会社によって、例えばマッキンゼー(McKinsey & Company, Inc.)だったら何となく「Profession」。

恐らく、若いうちから大企業の経営者と難しくて新しくて大きい仕事ができるので、もしかしたらその人は同じPhilosophyを持った社内でも経理に異動になったら、もうマッキンゼー辞めますという風になるかもしれないですね。

LITALICOさんの場合だったら、異動になっても、このPhilosophyだったらいいですよとなるかもしれないので、人によっても組織によっても、どこがポイントになるのかはある程度違いますよね。

経営者としては、自分がどこで握ってるのかを把握することが、とても大事だと思っています。

司会 リンクアンドモチベーションさんではどこで引っ張っておられるのでしょうか?

麻野 やはりPhilosophyですね。

司会 なるほど。それを浸透させるために、何か取り組まれてることはありますか。

麻野 そうですね2つぐらいあります。

Philosophyというかミッションのようなものがある会社でも、段々会社が拡大していくと現場ではそれを感じにくくなるんですよ。要は組織が分化していくので。社会が発展するというのは、分化することなんですよね。

昔であったら、例えば肉を食べたいと思ったら、獲物を捕りに行って、その運んできて料理して食べるので、本当の意味で「肉を食べること」を一人で丸ごと味わえるんですよ。

でも現代のように社会が発達すると、獲物を捕る人と、それを運ぶ人と、料理する人と、食べる人が全部バラバラなんですね。肉を運んでいる人は、誰のために、あるいは何のために運んでいるのかを感じにくくなるじゃないですか。

会社の中でも一緒で、1つの大きなミッションを分担してやっていと、自分の仕事と元々のミッションっがどう繋がっているのかが段々見えにくくなります。

お二人はサービス業界におられるのでそれが感じやすいと思いますが、弊社なんかですと、例えば研修をやってモチベーションを上げようといった時に、研修を売る人と、研修を作る人と、研修で話す人とに分担されてるんですよね。

売る人は、「あれ、こんな目標のあれって、何のためにやっているんだっけ?」と段々分からなくなります。そんな時にやるべきことが2つあるんです。

1つが、上司であるマネージャーが少し俯瞰して、「君がこの研修を届けることで、世の中のモチベーションを高くすることに繋がるんだよ」と働きかけることです。

もう1つは採用ですね。採用に関わらせるようにします。そうすると、何のために働いてるんですかといった会話を応募者とすることになるじゃないですか。

「私が研修を売っていのだけれど、それをこの目標のためにやっているんだよ」と言うと、「そうだ、私はこのためにやっていたんだ」という風に段々と思い出せるので、そういう機会は提供するようにしていますね。

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質問者 先程中俣さんが、飲み会など、そういった人のマネージメントすらあまりしないとお話されていましたが。

中俣 私のスタンスは結構そうですね。

質問者 株式会社LITALICOとして、ですか?

中俣 いや、飲みに行く人も当然いますよ。

質問者 リンクアンドモチベーションに対しては、もっと人と人が繋がってるイメージがあり、もちろんPhilosophyでというのもあると思いますが、Peopleに魅力を感じて働いてる人もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

同じ組織の中の上司部下での飲みニケーションではないですが、社員の繋がり活性化のために何か会社、あるいはマネジメント層が意識的にされていることはあるのでしょうか。

麻野 そうですね、弊社では、意外と飲みに行ったりすることはあまりないですね。

安東 昔は多かったような印象がありますが。

麻野 結構少ないですね。

安東 リンクダイニングもあるのにね。

麻野 私もすごく頻繁に弊社が運営するレストランのリンクダイニングに行っているように見られるのですが、リンクダイニングに行った時には100パーセントの確率でfacebookに上げているからであって、そんなには行っていません。あれが私の全てです(笑)

中俣 ちょっと飲んで帰ろうといった、社員同士の飲みは結構あるんですよね、きっと。そういうのもあまりないんでしょうか。

麻野 少なめかもしれないですね。

安東 そうなんですね。でも、そういうのもあるようなイメージです。

中俣 弊社ではマネージメントの飲み会はないですけれども、社員同士の飲み会は結構ありますね。上司と部下が仕事の相談で飲みに行くようなことはあまりないですけれど。

安東 弊社では多いですよ。

やはり食事や飲み物を提供する空間を作っているので、そこへは積極的に行きますし、行くことが学びと向上に繋がるので行くようにもしています。それは割と皆も個人個人で心がけてやっているようですね。

どこもそうだとは思いますが、やはり弊社でもコミュニケーションの量が何よりも大事なので、改善をしながら皆が積極的にやるようにしてますね。

(続)

編集チーム:城山 ゆかり/井上真吾/小林 雅/Froese 祥子/渡辺 裕介

続きはこちらをご覧ください:モチベーション・マネジメントに正解はあるのか?(Plan・Do・See / LITALICO / リンクアンドモチベーション)

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