Eコマースは「amazonかamazonではないか」に二極化するのか? – INDUSTRY CO-CREATION

Eコマースは「amazonかamazonではないか」に二極化するのか?

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Eコマースは「amazonかamazonではないか」に二極化するのか?
オンラインサービス企業として「リアル」をどのように取り組むのか?

第一線で活躍するトップリーダー90名が登壇したICCカンファレンス TOKYO 2016の「ファンを創るプロダクト・サービス」のセッションの内容を公開しました。
オイシックス高島さん、ウォンテッドリー仲さん、クラシコム青木さん、スマートエデュケーション池谷さん、そしてNewsPicks編集長の佐々木さんの議論を3回に分けて掲載いたします。

「中編」はeコマースは「amazonかamazonではないか」に二極化するのか? オンラインサービス企業として「リアル」をどのように取り組むのか? などの議論です。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 3C
「ファンを創るプロダクト・サービス」
(スピーカー)
青木 耕平  株式会社クラシコム 代表取締役
池谷 大吾  株式会社スマートエデュケーション 代表取締役
高島 宏平  オイシックス株式会社 代表取締役社長
仲 暁子   ウォンテッドリー株式会社 代表取締役CEO
(モデレーター)
佐々木 紀彦 株式会社ニューズピックス 取締役 NewsPicks編集長

前編はこちらをご覧ください:「ファン」とのエンゲージメントとは何か?


佐々木 今、楽天のお話が出ました。特にeコマースについて楽天とamazonというのは一つの大きな市場になると思うのですが、どういう存在でしょう。

例えば、今、(オイシックスの)マーケティングに西井さんというCMOの方がいらっしゃいますね。

その西井さんの記事を読んでいますと、「これからはamazonかamazonではないかに二極化する」とありました。eコマースにおいてamazonというのはどういうもので、どういう指標にすべきものなのでしょうか。

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青木 amazonはインフラだと思うのです。それ以外のeコマースでモノを買うということは、もう娯楽にしかならないだろうと思っています。

つまり、買いたいモノを買うという動機付けでウチから買うと理由は、もうまったくない。スピードも遅い、送料も高い、値段も高い。どこも勝っているところがないのです。

だから、娯楽として買っている。そこで僕がよく言うのは、ディズニーランドでお土産を買うところがありますね。出口付近のところにありますね。

あれがもし、羽田空港に直営店ができて、そちらでは20%安く売っていますということがあった時に、例えば飛行機で九州へ帰るお客さんは100%みんなそちらで買いますでしょうか。

こういうことを考えた時に、おそらく20%高く園内で買いたい人たちというのがいるだろうとなる。

それは割合はわからないです。8対2の2が園内なのかもしれない。ですが、少なくともわれわれの企業規模に見合うだけのマーケットは確実にそういう経済的な観点からだけ言えば合理性のない購買行動にターゲットを絞っても取りに行ける。充分だろうと思っています。

それは何故なのかと考えると、あるエンターテイメント体験のピリオドのような意味で何かお土産を買うということだからです。つまりこれも「娯楽」のための購買ということです。

日本のいわゆる観光のようなもので、何らかのアクティビティと、食べるということと、お土産というものが揃わないとヒットしないと、何かで読んだ覚えがあります。

やはり、複数の要素を一ヶ所で受けたいという根源的な体験ニーズのようなものがある。

先ほど高島さんもおっしゃっていましたが、買った時にそれがどういうふうに入っているかとか、それをどういうふうに探すかというところです。

それは、われわれのサイトで探して、楽天で安く買うという人がいるかもしれません。もしかしたら、ウチのサイトで何かを買いたいと思った人の8割はそういう行動を取っているかもしれません。

が、2割くらいの人はそこで買うことによって体験が完成するということに、おそらく価値を見出しているのでしょう。そうとしか思えません。

ですから、amazonは争う相手ではありません。基本世の中のマジョリティはそちらにあり、モノを買いたいという欲求を満たすための機能はもうamazon的なるものが満たしていくのだと思うのですが、そこでも満たし切れないエンターテインメント・ニーズ、例えばソーシャルゲームのアプリに課金するなどというのはまったく合理性のないことなのですが、それが起きているということと同じ理由でエンターテインメントとしてのamazon以外のeコマースの生きる道というのはあるのではないかと思います。

佐々木 リアルで言えばスーパーへ行った方がいろいろ商品はあって安いけれど商店街の親父さんと喋って買った方が楽しいのと同じことですか。

青木 まったくそういうことです。

佐々木 高島さん、どうでしょうか。

高島 同じような感じです。モノと店との違いがないものは、店がある意味がないわけです。

ですから、部品調達所としてのリアルのスーパーマーケットも、どんどん相対的な価値が下がっていく。

やむをえず行っている買い物の相対的な価値はどんどん下がっていくと思うし、わざわざ店へ行く価値があるという機能がなければ、つまりモノを売っているという機能以外の価値が店にないと、リアルでもネットでも変らないです。

そういう意味で大事だと思っているのは、やらないことを決める。

僕らみたいな存在だと、何をやらないかはすごく大事で、例えば僕らは農薬をある程度以上使ったものは何があっても売れないのです。

作った人が自分で食べないものは何があっても売れない。

だから品数というのはあまり増えないのですが、それはやはり自分たちの価値を担保するにはある程度品数を絞って、一個一個農薬検査などをちゃんとやってというのが、僕らの価値です。

何でもかんでもやるという価値もあると思うのですが、僕らのようなところではやることも大事なのですが、やらないことを決めて自分たちの領域の中で徹底的に価値を上げていくということが重要だと認識しています。

佐々木 その意味で、ウォンテッドリーはどういうものになりますか。

例えば、今あるリクルートとかそういうサービスの方が今のところいろいろ求人先は多いわけでしょう。

その中で、転職者の方がウォンテッドリーの方が良いという人を増やすために大事なことというのはどういうふうに考えていますか。

 先ほど佐々木さんが、スーパーがあって、商店街があってという話をされていましたね。まさに振り子が行って戻って来ているのだなというのは聞いていて思いました。

最初は必然的に商店街だったのが、どんどん大きいもので画一的な大量生産、消費社会のようなものが出て来て、そしてまた戻ってきている。それはおそらく衣食住すべてのアスペクトで起きているのでしょう。

これまで生きて行くために買っていたモノがすべてラグジュアリーなエクスペリエンスになっている。

例えば衣食住で服などでも、今は自分なりにストーリーを乗っけて、フォーエバー21などで買って安くても、そこにお祖母ちゃんから貰ったバッグなどもそこへ入れたら、とてもイケているということがありえる。

安かろう悪かろうではなくて、安くても自分なりのストーリーがあればイケている。

ご飯なども、とにかく高級イタリアンならばオッケーとかではなくて、仲間とどこかで取れた特別な魚をバーべキューか何かわかりませんが、そういうものの方がイケているというような。

住も、シェアハウスがイケているというふうに変ってきている。とりわけ20代、30代のマインド・セットはそうです。

それは多分、働くというところでも価値観はそういうふうにシフトしているのではないかと思うのです。

つまり、働くということが、お金を得る行動というところからラグジュアリーになってきている。ある意味、広義のラグジュアリーです。

別に働いてお金を得るだけでは満たされない。

そうではなくて、モチベーション3.0というらしいのですが、自分が成長できるとか、自分より大きな意義のために働けるとか、あるいは自分にもある程度オーナーシップがあって意思決定権があるというような、そういうお金以外のところがないと満たされないというような人たちが増えてきていて、そういう方々がおそらく楽天とかamazonではなくてクラシコムで買い物をされたり、農協などではなくてオイシックスで高いバリューなモノを買われたりするのではないでしょうか。

そういう時代になってきているということでしょう。

そして、そこにウォンテッドリーもハマっているのではないかと思っています。

ですから、ウォンテッドリーの募集要項というのは、給料とか福利厚生とか書いていなくて、何のためにやるのか、という意義のようなところを大きく語ってもらうのですが、そういう大きな流れに乗っているのではないかと思います。

青木 今のお話に少し関連する部分かと思うのですが、ここ数十年くらいの軸で見ると、「ハレ」と「ケ」という言葉がありますでしょう。

「日常」と「非日常」という言葉でも良いです。昔、年一回旅行へいければ良いというレジャーブームという時代があって、だんだん人はそういう海外旅行とかをしなくなってきて、贅沢ではなくなってきたという言い方をする人がいるのですが、僕はどんどん時代は贅沢になっていると思っています。

年一回旅行をすれば良いと思っていた人たちが、月一回ディナーを楽しみたくなり、それが毎週ランチを楽しみたくなり、毎日結構良い朝ごはんを食べたくなり、という形で要するに非日常体験によって得られる脳内の快感物質の分泌を得るための一回辺りのコストを下げて、頻度を高めて行っているのです。

その中で、例えば買い物をするとか、働くとか、車に乗るとか、要は毎日やっていることでさえすべてハレにしたいと思っている人たちが非常に多くなっているように思います。。

すると、一回辺りのコストは下がるのだけれど、回数が欲しいということになりますね。例えば何かをを買おうとして、ホームセンターで買うのと、うちで買うのでは仮に20%値段が高くなったとしてもうちで買いたいと思ってくださる方がいるとしたら、プラス20%はこの「非日常感」「ハレ感」にお金を払ってくださっていると言えるかもしれません。

常にハイな非日常感が何かで得られる。例えばシェアハウスも家にいつも友達がいる状態という「日常間」がすごくあるのだと思っていて、そういう意味では非日常間を演出できるあらゆるeコマースというのは、amazonと共存できると思っています。

勝つとか負けるとかの世界ではまったくなくて、お目こぼししていただけるのではないかと思っているのです。

高島 今の話はとても面白いです。ですが、質問があります。時代の変化とともにファンの作り方というかお客さんに対する対峙の仕方というのは変えていかなければならないと思うのですが、時代の変化というのは非常に掴まえにくいところもありますね。

僕も15年やっていると、15年前の野菜に対する認識と、今の野菜に対する認識、あるいは食生活のスタイル、全然変ってきているように見えます。

すると、今まで評価されていたことを途中で止めて、新しいことをやっていかないと、規模を成長し続けられないと思っているのです。

そのあたりの時代の変化の捉え方というのが質問なのですが。

佐々木 良い質問ですね。

 逆に、高島さんのところは15年でどういうふうに変化されて、どう対応されてきたのかというのが気になります。

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高島 僕は毎月お客さんの家へ行っているのです。15年間。自分が訪問している。それが多分一番大きいですね。

お客さんの話を浴びるように聞いて、何かいつもの得意ネタが受けないというようなことがあったりする。

 時代の変化を感じるのはそういう時ですか

高島 そうです。

 主婦の方のマインドセットのようなものは、15年でどういうふうに変って来ているのでしょうか。

高島 多分、時代の変化と規模の変化があるのです。1億円の会社の時にお客さんが求めていることと、今の規模の時にお客さんが求めていることは、時代の変化とはまた別の、規模の変化による期待値の変化というものもある。

昔は本当に野菜が好きな人たちしかいなかったし、農薬とかにすごく意識が高い人しかいなかったのです。

でも、今はもう以前ほど意識が高い人はいない。どちらかと言うと、先ほど出たように、何となく非日常な「良い感じの暮らしをしたい」というような欲求が多いように思われます。

今のお客さんの方がすごくライトで、雰囲気を愉しむ人なのです。そして、それを叶えるために無理はしたくないというのもある。

あと、食の場合は、毒餃子の事件があったり、放射能の問題があったり、局所的な問題で突然トレンドが変る。

そういう局所的な安全の問題をウォッチしながら、全体で言うと、非常に意識の高いお客様を対象にしていたのが、かなりライトに、「何となく良い方が良いよね」というお客様を対象とするように、われわれが変ってきた。

 では顧客単価で言うと昔よりは下がってきたという感じですか。

高島 しかし、最初は野菜20品目しかなくて、今や4,000品目あるので、顧客単価は上がるのです。

しかし、下がっているものもあります。多分ですが、「産地ツアー行きませんか」と言った時に、お客さんのうちそれに手を上げる率とかというのはすごく下がっている感じはします。

昔はそういうのにすごく「行く行く」という感じの方が多かったです。

青木 先ほどの捉え方というと、少し捉えられているのかはわからないですが、われわれの場合エンジニアを除くすべての職種のスタッフは、自社のサイトでの募集でしか取らないのです。

ですから、僕らのスタッフの90%以上は元お客さんで、今回のテーマで言えばファンだということです。

そして、採用の仕方も、ウチは年一回中途一括採用と言って、年一回中途採用なのですが、だいたい3ヶ月くらいの採用プロセスをやって、そして一次選考からぜんぶ僕が面接に出ているのです。

すると、やはりその時代時代で、ウチに何を求めているかは彼らによって知ることができる。

僕らにとって入社したいという人はファンの最上位だと思っているので、いわゆるロイヤルカスタマーを突き抜けた人たちが、何を僕らにシンパシーを感じているのかというのは、毎年のべ100人弱くらいの人には会って、(一人あたり)一時間くらい話をするので、やはり結構変っていくのは毎年のように感じるのです。

なので、そこは一つあるということと、やはり先ほどおっしゃっておられた非連続に起こる異常事態というのが発生した時に、必ず僕はそれは非連続ではなくて、潜在的な連続が別のルートであるはずだという仮説を持って、過去のコレがそうではないかという仮説を探すようにしていきます。

要するに、今までの補助線の延長線上にくると考えていたところが、別なところへ来たら、実は潜在的なそれに繋がる過去があるはずだということを探した上で、それを補助線にして未来を予測するというように仮説を作っていくのです。そういったことは意識しているかもしれません。

佐々木 面白いです。池谷さんはそういったところで感じるポイントはありますか。子供やお母さんと接していて、そこはプロダクトは違っていても相通ずるものがあるのではないかと思うのですが。

池谷 今日のお話は、僕はウォンテッドリーとかが何で自分が転職するくらい魅力的に見えるかよくわかりました。あとオイシックスさんもそうです。

ただ、僕のところは少し違うと思ったのは、なかなか教育というのは変って来なかったものなので、そこでICTを用いることはタブーだというような、そういうところがまだまだ大きいのです。

ですから、まだみなさん体験をされていない。僕らももちろんそういう教育を受けていません。

ですから、ある一定程度、僕らのこういう業界なども20年とか30年たって当たり前になってくると、多分そういう感覚になるのかと思っています。

つまり、僕らも成熟していくとそうなるのだろうという感覚ですごく見ているのです。

僕らはそれがやりがいだと思っているのですが、まだまだ使っていない子たちというのはいますし、むしろ使ってはいけないのだと思っているお母さんたちとか、教育者というのはたくさんいるので、1ユーザーとしてマーケットの成熟の具合がすごく違うなと思ったりします。

ですから、僕もウォンテッドリーさんとかを見ていて、何故もっと詳細を書いていないのだろうとか思うのですが、「そりゃあそうだよね」と思います。

あとは、アップルの話などは、僕らはアップルとの付き合いがあるので、ものすごく説得力のある良い話だと思いました。

佐々木 今出て来た中で、やはり体験だとか非日常だとかいうのが大きなテーマだと思うのですが、やはり非日常ということを考えると、リアルの方が強いということにも考えがゆきます。

「リア充」などと言われるように。そうでもないのでしょうか。

ネットを通している限り、非日常感とか体験価値というのは、もう限界があるのではないかと。だからオムにチャンネルなどというものが出てくるのでしょう。

そのあたりの、オフラインのサービスから出て来たリアルというものは、みなさんどう考えていらっしゃいますか。

青木 それはまったくその通りだと思います。ただ、一方で、今その購買決定をするための動機付けの大半は、目の前にあるものに触れて理解できるものから離れているような気がするのです。

つまり、お野菜であればそれがどう作られたかということは、触ったり、食べたりしてもわからない。

だけれども、それは無農薬ですとか、こういう生産者さんがこう作っているのですよと言うことによって売れていくという状況がある。

これは要するに触っても、食べてもわからない。文字なり、映像なりを使って、説明されないとわからない。

すると、いわゆる小売に特化して言うと、業態によってはお店に並べるよりも実は通信販売の方が適しているかもしれないのです。

お店で並べてわかることと、むしろネットとか紙媒体でも良いのですがコンテンツで良さを表現することと比べて、僕はむしろコンテンツで紹介することの方が勝ってきているのではないかと思っています。

それはこちらの技術が高まったというよりも、お客様側の購買意思決定の要素の大半が見たり食べたりという触感で理解できることではなくて、いわゆる論理とか、感情で理解することで意思決定をするという分野が、特に僕らが売っているようなものは増えてきている。

ですから、リアルの雑貨屋の方が良いのではないかとよく言われるのですが、特にamazonではないエンターテインメントとしてのEコマースでモノを売って行くといった時に、情報量としてどちらが見えない周辺価値を明らかにできるかと言うと、おそらくリアルの店舗以上になんらかのメディア的サービスでご紹介したほうが良いのではないかと、僕は思っているのです。

高島 私も近い感覚でいます。買い物には、左脳的買い物と右脳的買い物があると思います。

そこで左脳で判断してする買い物はインターネットや文字情報を使った方が伝わりやすいです。

対して、試食をして買うなどというのは、右脳的買い物なのですがそれはリアルでなければできません。

しかし、ウチは実店舗もあるので見ていると、やはり実店舗で伝えられることというのはすごく少ない。「甘い、超甘い、すごく甘い」くらいしか伝わらないのです。

そして、食べてみてやはり甘いというくらいです。すると、リアルでヒットさせられるものというのは、結構わかりやすいものはすごく売れる。

しかし、例えば「おかひじき」というレアな変った商品があるのですが、これはネットではヒットする。「おかひじき」というのは、こういう食べ方があって、こういう作り方があってということが言えますから。

でも、リアルで「おかひじき」をヒットさせるのはすごく難しいのです。地味すぎて。

だから、やはり右脳的なアプローチの方が向いている商品と、左脳的なアプローチの方が向いている商品とがあって、左脳的なアプローチの方が向いているものはむしろネットの方が、買い方はネットですが、最終的なお客さんの体験としては、左脳的なアプローチにした方が充実することが多いのではないかと思います。

佐々木 わかりやすい。さすが、元敏腕コンサルタントです。

高島 それは15年以上前のことですよ。

池谷 クラシコムとかでも社内で実店舗を作ろうと考えた人などは絶対いそうだと思って聞いていましたが、僕も売れるモノが違うのではないかと思うのです。

やはり家具とかも、IKEAみたいに「どれだけこの間を歩けば良いのか」というようなところで買ったりしますでしょう。

本当にお客さんへ良いモノとなると、両方やってみたくなるし、実際売れるモノも違ったりするのではないかと思います。

そういう中で、結構鮮やかにネットだけの方がとおっしゃいましたが、そのあたりジレンマを含めてなかったのでしょうか。

青木 やるとしたらおそらく飲食を組み込んだの業態をやると思います。われわれのメディアから創客できることは間違いないので、店舗をやればその分売上を増加できることはわかりきっていることなのです。

ですが、モノを売る場所としてのリアルな場所ということを考えると、娯楽的な商品を売るにはもうネットの方が向いていると僕は思っています。

だとすると、実際にモノは置いてあるかもしれないけれど、収益の柱は飲食だということになる。

例えば最近で言えばロンハーマンというブランドが10店舗程度で100億円くらい売っていると聞いたことがあるのですが、あそこも顧客体験のかなりの部分を飲食を組み込んで形成しているのだと思うのです。

だから、おっしゃるようにリアルの体験は、非常に商品価値の高いモノではあると思いますが、われわれが生活雑貨を売っているから、リアルでも生活雑貨を売るだけというふうにはなりません。

われわれは基本的にはある種類の価値観のお客様とのリレーションを持っているというところに中心的な価値があるので、それを使って、場にフィットしたどういうコンテンツを提供するのかということになってくると、やはり飲食を組み込んだ業態はネットではできないので、そういうことをやって何かあらたな体験価値を提供していくとか、そういうことの方がやる意味はあるだろうと思っています。

佐々木 池谷さん。教育という面ではどうですか。いわゆるオンラインのフリー教育などは広がりましたが、結局はリアルと組み合わせないとダメだという感じで少し下火になっているところなどもあります。

そして、進研ゼミも塾を買ったりなど、リアルと組み合わせるというところがどんどん出てきていると思うのですが、教育におけるオムニチャンネル戦略のようなものというのは、どう思われていらっしゃいますか。

池谷 僕らが幼稚園向けを始めたのもまさにその理由で、教育というのはデジタルで完結するのは不可能です。不可能だと思います。

今のテクノロジーの問題かもしれませんが、上手く行った例はない。ですから、狭部として、ツールとしてICTを使って行くというのが正しい姿なのかと思っています。

ですから、僕らも今まですごく思いを込めて作った「To C」向けの商品というのは、やはりApp StoreとかGoogle Playでそのままお母さんにダウンロードさせて子供に使わせると継続率が低かったりするのです。

やはり使い方がわからないとか、すごく思いは籠っていてお絵かきのSNSのようなものがあるのですが、なかなかやはりポンと渡されてしまうと、使い方がわからないのでダメだと。

ただ、幼稚園、保育園では輝くのです。先生が使い方を伝えられるので。どうしてこれが面白いか伝えられる。この人の改善というのはすごく重要です。

よく、今から10年か20年たてば半分の職種が機械化されるというような話がありましたが、エデュケーションというのはそこに入っていない。

実際は人の解説の意味というのはすごくあるので、そこのコストで負担を減らすためにITというのはあるのかなと思っています。

しかし、起業した時はどちらかと言うと、ベネッセさんがやっていたようなことは全部デジタル化すれば良いのではないかというノリだったのですが、やればやるほど、やはり人というのはすごく重要で、そこを補完するものを作っていったほうが良いという話になる。

なので、実はウチの30%くらいは幼稚園向けの教材をいっぱい作っていて、アプリだけ見ると何のことやらという感じなのですが、ただ先生が子供にカメラを撮らせるのであれば撮りやすいであるとか、そういったモノを作ったりするので、やればやるほど人の価値というのは重要だということがわかります。

教育にとって人の影響というのは大きい。そこはなかなか機械では難しいのかなとは思っています。

佐々木 教育ということで、オイシックスは今、たまごクラブなどと組んでいますね。あれは何故なのですか。

高島 今日終わったらスマートエデュケーションさんにも一緒にやりませんかと誘おうと思っていたのです。まあ、お客さんがかぶるのです。

私たちのサービスの場合は、茄子を買ったり人参を買ったりはしていなくて、安全な食卓を買っているのです。幸せな食卓を買っている。

そして、幸せな食卓を買うキッカケというのは、ご出産とか、妊娠とか、ご結婚とか、あるいは引越しとか、そういうライフステージ上の変化が起きた時に、食卓というものへのアプローチを変えることが非常に多い。

ですから、ある日、「超茄子食べたい」となるお客さんなど全然いなくて、ライフステージを変えた場合に起こる。

ですから、たまごクラブさんなどはタイミングを抑えられているので組んでいます。あと他には幼稚園の入園ですとか、復職ですとか。復職をするとやはり食卓環境は変るので。

そういう時が、非常に私たちとしてはチャンスがあると思っています。

佐々木 仲さん。転職とか採用のところではどうですか。あくまでネットで繋げるところから面接とかいろいろなプロセスがあってリアルへ繋げていくわけですが、そこはどれくらい関与していらっしゃるとか、リアルのところでどういうふうに繋げているとか、何かありますか。

 ウォンテッドリーを最初に2012年くらいに始めた時には、もしかしたらすべてのいろいろな情報を、雰囲気とか、Macを使ってる人が多いとか、コーヒーを飲む人がこれくらいいるとか、Tシャツとジーパンの人がこれくらいとか、そういう雰囲気を上手く定量化できればオンライン上でマッチングは可能なのではないかという仮説を元にやったのですが、到底無理でした。

やはり人がその場へ行って、五感から得る情報量というのは、やはりなかなか定量化はできない。どうなのでしょう。ペッパー君みたいな、いろいろ温度とか空気とか匂いとかすべてデータで定量化してクラウドに送っているのでしょうけれど、ああいうのが出て来て雰囲気の定量化のようなものが進めばマッチング可能になるのかもしれないですけれど、現状まだ実際に人間の生身のセンサーというのはやはりすごいので、実際に行っていただいて、その場でオフィスの雰囲気とかを感じてもらったりとか、採用担当者の受け答えのニュアンスの微妙な差で感じ取ったりするものもあると思うので、リアルは現状介在せざるをえないとは思います。

ただ、ビックデータで雰囲気の情報がすごく定量化できるようになっていけば、10年後とかにはすべてオンラインで完結して、ぴったりな仕事が見つかるというものができるのかもしれないですね。

佐々木 むしろオンラインだけのほうがマッチングが成功するということもあり得るのですよね。

結局、面接だからこそ、口が上手い人をどうしても採ってしまうということがありますよね。そして、それで実際に仕事をしてみると違う場合もある。

高島 そういう人が多いのですか。

佐々木 いや、そういうわけではありません(笑)。例として、です。

 そうですね。ウォンテッドリーは実は、最終的な面接までは面倒を見ていなくて、遊びに行くところまでなのです。

ですから、面接プロセスに入るかどうかのデイト期間のようなものを提供しているのです。

ですから、面接となってくると確かにそういうことはあるでしょう。それは本当はリファレンスとかでしょうね。

過去に働いたことのあるデータが、どこへでも持ち運びできるポータブルになっていて、今いる会社での評価が全部持ち運べて標準化されたりしたら、もう面接とかはいらないですね。そう思います。

まあ、本人が嫌がるかもしれないですけれど。

高島 今年はバーチャルリアリティ元年と言われていますでしょう。そして、かなり現実に近いのが再現されていく中で、まずゲームなどが影響を受けていくと思うのですが、採用とかコマースとかというのは技術的には少し遅れてやってくると思うのです。

遅れてやってくるけれどいつか来るのではないかと思っていて、会社の雰囲気を再現できるとか、あるいは新しい家具で暮らす雰囲気を再現できるとか、そういう世界がやってくるとコマースやマッチングがすごく変るのではないでしょうか。

でも結構投資がすごくかかりそうだから、誰か先にやってくれないかなと思って待っています。

(続)

編集チーム:石川 翔太/小林 雅

続きはこちらをご覧ください:ファンづくりのための人材採用や育成はどのような考え方で行っているのか?

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