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ICCサミット×グロービス・キャピタル・パートナーズでスタートアップを支援「カタパルト・ファンド」始動!【ICCアカデミーレポート】

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資金調達やベンチャーキャピタルの経営支援について、スタートアップが知るべきこととは何か? ICCサミットに登壇する将来有望な企業に、グロービス・キャピタル・パートナーズとともに投資による支援を行う「カタパルト・ファンド」の始動に伴い、 27社がICCアカデミーの勉強会に出席しました。その模様をぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【開催情報】
2019年7月16日(火)
ICCアカデミー「スタートアップの資金調達 とVCの経営支援の実際」by グロービス・キャピタル・パートナーズ
@ICCパートナーズ オフィス

【スピーカー】
今野 穣 グロービスキャピタルパートナーズ
福島 智史 グロービスキャピタルパートナーズ
渡邉 佑規 グロービスキャピタルパートナーズ

【ご参加いただいた方々】
五十嵐 駿太 With The World
石川 勇介 ファミワン
氏家 光謙 エナジード
碓氷 早矢手 講談社
榎本 純 オリジナルライフ
大薮 雅徳 Elaly
小川晋平 AMI
小田 志門 カラクリ
小原 一樹 シルタス
久保 直嗣 AC Biode
栗田 紘 seak
齊藤 旬平 AMI
志水 雄一郎 フォースタートアップ
鈴木 咲紀子 カラクリ
高森 厚太郎 ダブルフロンティア
内藤 祥平 日本農業
中平 健太 ガラパゴス
原島 陽一 xenodata lab.
三浦 玲奈  エナジード
森 隆晃 Tsunagu.AI
八木橋 裕 ダブルフロンティア
山本 英人 Mellow
山本 陽介  ベースフード
濵田安之 農業情報設計社
佐藤健太郎 農業情報設計社
山内 宏隆 HAiK
深山 陽介 Sparty

(すべて敬称略)


7月16日に開催されたICCアカデミーは、グロービス・キャピタル・パートナーズによるスタートアップの資金調達 とVCの経営支援についての勉強会です。事業を形にして磨くには資金が不可欠で、お金に関する話は苦手という経営者でも、避けては通れないものです。

また、最初にどのVCの門を叩いていいかわからない、どのような知識がどのくらい必要なのか見当もつかない…というスタートアップも多いのではないでしょうか。そのための学ぶ機会として、この勉強会を企画しました。またもう1点、新たなトライアルを発表したいという場でもありました。

年に2回のICCサミットでは、有望なスタートアップを世の中に送り出すべく「スタートアップ・カタパルト」ほか、さまざまなカタパルトを開催しています。

優勝というステータス、メディアへの露出機会以外に、なにかICCにできることはないか?ということで生まれた企画がグロービス・キャピタル・パートナーズとのタッグ。「カタパルト・ファンド」を作ってICCサミットに登壇するこれぞという企業に一緒に投資して、支援しようということになりました。ICC小林 雅にとってグロービスは古巣でもあります。

集まったのは、カタパルト経験者や、次回京都でカタパルトに登壇する27社の方々。今回の勉強会のタイトルに「VCの経営支援の実際」とあるため、リアリティある話が聞けるのではないかと期待が高まっているようです。

「僕らは本気でユニコーンを作りたいと思っている」

定時になり、スタートアップ・カタパルトの審査員でもおなじみの今野 穣さんが登場しました。第一部は今野さんからベンチャー投資、資金調達とは何ぞやというレクチャーですが、その前にファンド設立の理由や、この勉強会で期待していることを語りました。

グロービスキャピタルパートナーズ今野 穣さん

今野さん「今日の僕の目的は『対話をしたい』です。6月末に400億円のファンドを覚悟をもって作りました。僕らは本気でユニコーンを作りたいと思っています。前回のファンドは160億円でしたが、今回は2倍強です。

その理由は、(時価総額1000億円以上の)ユニコーンの累計資金調達金額は100億円ぐらいといわれており、リードインベスターとして積極的に支援すると言うからには、その半分ぐらいは出せるファンドになっていないと、口だけでユニコーンファンドと言っているようなものだからです。

もう一つの理由は、投資のメイン領域がテック寄りになっているので、まとまったお金が必要です。そこをきっちり支援するという姿勢を見せたいのです。

ベンチャーへの投資はみなさんもご存知のように加熱しています。業界に入って14年目になりますが、現在が最もバリュエーションが高いタイミングです。これは短期的にはいいかもしれないけれど、中長期的に見ると、ブーメランのように返ってくる可能性もあります。

そういうことを踏まえて、ポジショントークではなくみなさんと目線を合わせて、話をしたいです。現場でバリバリやっている同僚も連れてきたので、綺麗事でない話をしたいです」

その後、今野さんがVCとして企業と会うときに、どんなところを見ているのか、その見ているポイントや、事業の業種業態で必要なファイナンスが異なること、VCと向き合うときに起業家に求めたいことなどを率直に説明していきました。

ICCと「カタパルト・ファンド」で組む理由

今野さん「なぜICCと組むかというと、正直僕らの人数では追いきれないほど、起業家のお考えになるビジネスプランが広範・多岐に渡り、エコシステムの様々な方々とアライアンスを組むことが重要な要素であると認識しているからです。

加えて、小林さんによる登壇企業の選定から当日の登壇までのスパルタ特訓にも付加価値があります。

登壇したから必ず投資できるわけではありません。投資を必ず受けなければいけないわけでもありません。早いタイミングからお会いできるのが、すごく大事だと思っています。

なぜなら、シード期に検証しようとしているPMF(※)は、その検証の仕方によってその後の拡張性も異なり、時としてアーリーステージ以降の成長ストーリーから逆算した場合とそうでない場合で大きな差が出てしまい、後者の場合は断絶が大きくて、非常にもったいないと思うことがあります。

▶編集注:プロダクト・マーケット・フィット。スタートアップ企業が成功するには不可欠な条件とする顧客を満足させるプロダクトを提供し、それが適切なマーケットに受け入れられている状態のこと。Netscapeの創始者マーク・アンドリーセン氏が提唱する概念。

シードは投資家もそうですが、アイデアをひたすら試して、どれが当たるか探す作業です。他方、アーリーステージ以降はその中でも脈のある筋に突っ込んで、一点突破のグロースを決める作業です。

したがって、そのステージを跨いで継続性を担保するためには、『シリーズAに行くためには、こういうことができていれば、(ユニコーン予備軍として)僕らは検討できる』というのを、僕らは早く言いたい。だからシードのタイミングから会いたいのです。

シリーズAのときにだけに相談を受ける際に、『違うところを検証されていたら、いけたかもしれないのに』と残念に思うことがあります。それが、ICCと一緒にカタパルト・ファンドでやる理由です。シードの段階、もしくはそれ以前の立ち上げのタイミングからでも会うのでも、話を聞くだけでもいい。

ぜひこの機会を生かしてほしいです。いかに目線を上げて、ユニコーンになるまでの適切なパートナーVCを選ぶか。バリュエーションだけでVCを判断するのはよくありません。

僕らはテック系の投資が弱いので、やりたくてたまらないのです。専門性の高い分野のどういうところを見ればいいのか、みなさんともいろいろお話をして、教えていただきたいです」

VCにズバッと聞きたい!質疑応答タイム

今野さんの熱いメッセージが終わると、早速質疑応答となりました。最初は恐る恐るという感じでしたが、あっという間に真剣なQ&Aになり、具体的な自分の事業と市場への向かい方についての質問が殺到しました。その一部をご紹介しましょう。

カラクリ小田さん「サービスの熱狂的な最初のファン、初期ユーザーの熱狂はどう計測すればいいでしょうか?」

HAiK山内さん「”自分だけが知っている勝ち筋が大事”といいますが、その勝ち筋にどれだけの解像度を求めますか?」

AC Biode久保さん「専門メーカーでさえ分かりにくいビジネスを、VCはどう判断してバリュエーションしているのですか?」

Sparty深山さん「D2Cはユニコーンを目指す必要があるのでしょうか? 先に上場したほうがよくないですか?」

その他「需要が顕在化していないサービス、需要を作りながらサービスを作る企業をどうバリュエーションするのか」「海外からオファーがあるが、国内とバリュエーションが違う」「シード資金が足りなくなってきたが、トラクションはできている。エクステンションラウンドをやるべきか?」など、参加者が直面している質問に、グロービスのみなさんが回答していきました。

VCは経営支援として何を行っているのか

続いての第二部は、グロービスの福島 智史さん、渡邉 佑規さんを中心に「VCの経営支援の実際」の議論となりました。ICC小林の質問を軸に、会場からの質疑応答も加える形で進行していきました。

写真左から、渡邉さん、福島さん、今野さん

ICC小林からは、企業側を代弁するような質問が投げかけられました。

  • 「VCからは実際どんな経営支援を受けられるのか?」
  • 「投資を受けたら、VCは最初に何をしてくれるのか?」
  • 「企業が目標を達成できないなどといった逆境に、VCはどう対応するのか?」
  • 「VCが投資先のベンチャー企業を見切るタイミングとは?」
  • 「投資を決めたのに、突然サービスをピボットする人にはどう対応するのか?」
  • 「信頼される起業家、経営者とはどんな人か?」

「VCは企業を値踏みして、業績が上がるように無理をさせ、事業が思わしくないと去る」というイメージを個人的に抱いていましたが、3人が上記の質問に答えるうちに見えてきたのは、社内では言えない悩みを相談でき、客観的な意見もくれる信頼できるアドバイザーといった姿でした。

「事業をみるのはもちろんですが、その人(経営者)に投資しています。自分を取り繕わず、本人がファイティングポーズである限り、事業が思わしくなくてもお金のあるうちに、見直しのディスカッションをします」という今野さんの言葉に、心強く思った方も多かったのではないでしょうか。

なお、渡邉さんの体験として、取締役本人含め、企業は取締役の役割や義務責任を把握していないことが多いとのこと。投資先の企業にぜひ読むようにとすすめている図書と紹介した本はこちらです。


『取締役の法律知識』(第3版)中島 茂
https://www.amazon.co.jp/dp/4532113318

時間いっぱいの質疑応答で、予定時間は終了。記念撮影が終わると、第2部の懇親会では、グロービスの方々を囲んで、個々のビジネスについての相談会が始まりました。

これだけ真剣かつ、実務レベルの真剣相談会が繰り広げられるのは壮観でした。日々、企業と一心同体となって、悩みを聞いて一緒に解決法を探っているというVCの方々の業務や役割も、参加いただいた企業の方々に伝わったのではないでしょうか。

ICCサミットでの数々のカタパルトに加えて、「カタパルト・ファンド」からも、未来の産業を作る企業が大きく羽ばたいていくことを、心から願いたいと思います。以上、現場から浅郷がお送りしました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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