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競合との差はオペレーションに宿る! ICC KYOTO 2021プレイベント「模倣困難性の源泉となるオペレーショナル・エクセレンスをいかに構築するか」を開催しました

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2021年8月17日、ICCパートナーズオフィスにて、プレイベント「模倣困難性の源泉となるオペレーショナル・エクセレンスをいかに構築するか」を開催しました。エアークローゼット天沼 聰さん、ホワイトプラス井下 孝之さんをスピーカーに迎え、ICCサミットさながらの”完全オフレコ”な内容まで共有いただき、で議論する貴重な内容となりました。ICCサミットではどのようなレベルまでディスカッションされているか、その深さだけでもお伝えしたいと思います。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


ICC KYOTO 2021直前のイベント

専門的な質問が飛び交い熱気ムンムン

ワクチン接種を終えた方々のみ参加となった、今回のICC KYOTO 2021プレイベント。カタパルト登壇者や登壇者の方々が数多く集まり、ICCサミットと同じような雰囲気のなか、ディスカッションが始まりました。

スタートアップはオンライン中心にサービスを始めてリアルへ移行していくことが多く、そこではオンラインと同様の体験・オペレーションが求められますが、難航することも多いのだそうです。オペレーションは、自社サービスに特化したものもあれば、オペレーション自体を進化させて、競合と差をつけるものもあります。

近年MVO(Minimum Viable Operation 最小単位のオペレーション)のブラッシュアップのサポートに入る場面が増えているという、リブ・コンサルティングの権田 和士さんと下田 俊樹さんがこの日のモデレーター。お迎えしたのはオペレーショナル・エクセレンスを磨きに磨いているお二方です。

複雑極まるファッションレンタルのオペレーションをいかに構築するか?

まずは、月額制女性向けファッションレンタルサービスを運営するエアークローゼット天沼 聰さん。エアークローゼットは、ゼロから築き上げたオリジナルのオペレーションが多いそうです。その一部をご紹介しますと…

「感動体験を作ることがミッション」と語る天沼さん

・ファッションアイテムを収納する倉庫は通常売れたものを発送する場だが、レンタルのため戻ってくる。1度に3〜5アイテムを貸し出し、返却時期はアイテムにより異なる
・返却されたら、クリーニングもある。その内容もすべてデータとして残している。
・個人に合わせたスタイリングをするため、アイテムの固定の組み合わせパターンがない

物流・クリーニング・スタイリストの3つの側面で、かなりのオペレーションが発生することが想像できます。そのため最初のころは、ホワイトボードに業務フローを延々書き出して考え、現在はAIも入れながらひたすらPDCAを回しているのだそうです。

現在300人強を数えるスタイリストが価値を生み出す源泉になっており、そこがボトルネックにもなり得るため、そのオペレーションと質をいかに上げるかという話も非常に興味深いものでした。

天沼さんがお話をしているうちから、参加者の皆さんやモデレーターの2人から次々と質問が出て「赤裸々な質問ばかりでドキドキします(笑)」とタジタジとなりながらも、質問に率直に答えていく天沼さん。隣に座るホワイトプラスの井下さんも「クリーニング」と聞くと、質問せずにはいられないようです。

「サステナビリティが問われる業界で、輸送費をどう考える?」と三星の岩田さん

「オペレーションを磨く上で一番コスト削減に効いたのは?」ヤマシタの山下さん

実店舗のない宅配クリーニングのオペレーション

天沼さんの「ターゲットを変えましょうよ!(笑)」という悲鳴で、次はオンラインで発注できるクリーニング、リネットを運営する井下さんの出番です。最高のUXを作るために、ホワイトプラスもエアークローゼットも、外部と効率的なオペレーションを築くための物流戦略チームを有しているそうです。

実店舗のない宅配クリーニングで「新しい日常をつくる」がビジョンのホワイトプラス井下さん

「うちは生産開発部という名前ですが、まったく同じような動き方をするチームがいます。そこの体験をやりきるのが、お客様から見たときの体験につながると考えているからです」

という井下さんも、今では競合も増えたオンライン・クリーニング業のオペレーションをゼロから築き上げた第一人者です。店舗で現物の状態を確認してもらうまで料金がわからず、持ち込み・引き取りの手間がかかるという課題をITと品質管理で解決するための手法を以下のように作り上げました。

・従来の店頭で料金が決まる形式を、オンラインで可視化
・定性的でアイテムごとに異なるため難しかったお客様からの品質評価をスコア化
・お客様に高い品質・感動を届ける「感動品質プロジェクト」を立ち上げてオペレーションを磨く

ここで印象的だったのは、いくら業務を標準化して効率化を図っても、最後に違いを作るのは人の部分だということ。井下さんたちはクリーニングを請け負う工場に赴き「お客様のために汚れを見つけよう、こういうことを考え、実現したいと思っている」と熱く伝えているそうです。

おふたりが盛り上がっていたクリーニング、シミ抜きの話はかなりディープでしたが、どういった指標でデータをどれだけとるかや、いまだ全品チェックから抜けられない話、担当者による作業品質の違いなど、共感する方も多かったのではないでしょうか。

「カスタマーサポートとの連携や模倣困難性はどんなところにあるか?」ジグザグの仲里さん

「今の時代でも、質を上げるのは現場リーダーの頑張りだったりする」「人の品質も、オペレーションには大きく影響する」と同意するふたり

「あのアイテムも一緒にクリーニングに出したかも」という、お客様のあいまいな記憶を防ぐためにカメラを導入しているという井下さん、「私物がポケットに入ったまま返却されることも」と言う天沼さん。イレギュラーをどうさばくかもオペレーション改善のコツだそうです。

今回集まった参加者たちは、おふたりが携わる業界以外の方が多かったにも関わらず、具体的な話に踏み込んでお話しいただけたことによって学びが深まり、むしろ客観的な視点で、オペレーションをいかに独自のものにしていくかを考えられたのではないかと思います。

オペレーションに勝る企業ビジョン

「お客様が増えてオペレーションがパンクしそうなとき、どういう経営判断をするか?」トラーナ志田さん

最後まで質問が続き、天沼さんと井下さんも真剣に回答する2時間となりました。とくにトラーナの志田さんの質問に対しては、2つの企業のビジョンが如実に現れたものとなりました。

天沼さん「世界一番のUX企業になろうというのが私たちの目標なので、お恥ずかしい話ですが最初のころのオペレーションのキャパシティがないうちは、新規会員として入会いただくのを最大1年半お待たせしたときもありました」

井下さん「自分たちにとって最も大事なのは納期です。お客様が着たいときにその服が着られないというのは、体験価値を著しく損なうこと。そうならないために、各拠点ごとにキャパシティを設定しています」

伸び盛りのスタートアップは、事業・顧客・オペレーションが、いずれも同じスピードで成長するわけではありません。そんなときに最優先するべきことは何かというのを、先駆者であるお二人は語ってくださいました。

オペレーションのリソースが足りないときや、難易度が高いときは、リブ・コンサルティングのような外部からのサポートを得て、成長を支えることも可能です。ICCサミット KYOTO 2021の会場ではブースもありますので、相談事などあればぜひお立ち寄りください。

8月4日の「人材の登用・抜擢・降格などのタレントマネジメントについて語り尽くす」と、今回のイベントで、ICC KYOTO 2021前のプレイベントは終了しました。続きの議論は、9月6日より開催するICC KYOTO 2021の会場で、ぜひお楽しみください。京都にて、ICC運営スタッフ一同お待ちしております!

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/上原 龍太郎/戸田 秀成

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