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3. 「稲とアガベ」岡住修兵が語る覚悟の決め方

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ICC男鹿コネクテッドのパネルディスカッション「魅力あふれる地域を創るには」、全4回の③は、「地域の魅力作りの再現性」について。再現性を高めるために、ありとあらゆる知恵を出し合います。男鹿のなまはげが秋田のなまはげとして世界的にメジャーになった経緯や、スポットライトを浴びることなく信念を貫く人の存在から、最澄の教えである「一隅を照らす」という言葉が紹介されます。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】司法で社会の不合理を変える!“公共訴訟”に取り組む専門家集団「LEDGE」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)


【登壇者情報】
2025年7月3〜4日開催
男鹿コネクテッド 特別セッション
魅力あふれる地域を創るには
Produced by ICCパートナーズ

(スピーカー)

岡住 修兵    
稲とアガベ
代表取締役

石田 遼
NEWLOCAL
代表取締役

白井 智子
CHEERS
代表取締役

中村 直史
株式会社五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター

(モデレーター)

小林 雅
ICCパートナーズ
代表

「ICC男鹿コネクテッドツアー「魅力あふれる地域を創るには」」の配信済み記事一覧


ICC小林 話を聞けば聞くほど、地域の魅力を作るということには再現性があると思います。

一同 そうですよ。

ICC小林 意外にやれることがいっぱいあるのにやっていない地域があって、ということですよね。

遼さんからは?

地域リーダー輩出の確率を高める方法はある

石田 今日はとても勉強になっています。

僕は地域リーダーだけを探しているのですが、なぜその人が生まれるのかというエコシステムみたいなものにまで思いを馳せたことがありませんでした。

そういう人が根付きやすい、あるいは育ちやすい土壌のようなものはあるのかなという感じがしました。さっきのサポーティングシステムとか。

要は起業家と話がすごく近いと思っていて、私たちの動き方は起業家を探すVCとすごく近いですと言っています。

よく再現性の話をされた時に、「地域ごとに上手くいき方って違いますよね」「その再現性をどう担保するんですか?」と聞かれます。

違うけれども、スタートアップの成功しやすい起業家の型みたいなものがありますよね、VCはそれを探すし、それを高めようとします、というような説明をしています。

それが生まれやすい有様でもあるように思って、この話は縁に導かれる、あとは運がいいみたいな話も近くて、結局どこまでいっても常に確率論ですけれど、それを高めるやり方や仕組みのようなものは確実にあるなという感じはしますね。

ICC小林 ありがとうございます。岡住さんは、いかがですか?

覚悟を持つためのヒントを伝えていきたい

岡住 そこに、覚悟がある人がどう生まれるかみたいなところですよね。

僕は常に自分の覚悟の持ち方みたいなところは言語化していて、講演のたびに伝えるようにしています。

僕はかなり人生をシンプルに捉えているのですよね。

よく言われるのです、「生まれ故郷でもないまちで、なんでそんな頑張れるのか?」みたいに。

人間って、基本的に本質的には弱いと思っているのですよ。

頑張ろうと思っても頑張れないというところに、人間の本質があると思っているので。

でも、死ぬという確実な事象に対して、どう生きるかが問われているのが人間の人生ですよね。

絶対に死ぬという事象に対して、適当に生きるのも選択ですが、ここにいる人たちはどちらかというと、命を燃やしていきたいと思っている人たちの集まりだと思うのです。

基本的には多分、僕はどうせ死ぬという事象に対して命を燃やしたい。

だけど、人間は本質的に弱いから、命を燃やすのって結構難しい。

では、どうすれば命を燃やせるか考えたときに、僕は自分が頑張れた瞬間を振り返ったら、人と何かやっている時のほうが、自分が自分のために頑張るより頑張れたなという経験があった。

偉い経営者が「利他」と言っているけれど、「利他」という言葉はそういうことなんだなと思ったのです。

僕の座右の銘は、「どうせ死ぬから利他であれ」というもので、自分のため以上に、人とやることによって力が発揮できます。

僕は死ぬその瞬間まで、できれば命を燃やしていきたいというところに対して、僕が持てるスタンスが利他という、そんな考え方、活動なのですね。

それを色々な場で伝えると、全員には響かないですが、1割ぐらいの人には響いてくれます。

結構みんな悩みながら生きているのです。

でも、悩みがあると、やっぱり覚悟を持って進めないのですよね。

悩まない人生であるにはどうしたらいいかみたいなところの本質を、僕は結構若いうちにある程度捕まえたので、今覚悟を持って進めています。

これを僕は色々な人たちに伝えていって、覚悟というものを捕まえられるヒントを与えていきたいなと思っています。

ICC小林 ありがとうございます。

なまはげに言ってもらいたい言葉

中村 覚悟の話になると、かっこいいなと思うのです。

なまはげは年末に、各家に行くのですよね?

「重要無形民俗文化財」男鹿のナマハゲ(男鹿のナマハゲ)

何歳ぐらいの子どもたちの家を回るのですか?

岡住 基本的には、全家々を回ります。

子どもの年齢は関係ないし、おじいちゃん、おばあちゃんの単身の家も回って、健康管理みたいなこともひとつ機能としてあります。

小学生未満ぐらいだと、なまはげが張り切って、かなり脅しにかかって、うちの息子なんて毎回泣かさレてたのですが、うちの息子は結構小賢しいので、なまはげを常に無視し続ければひるんでいくということを発見したんです。

(一同笑)

前回は全部ノーリアクションで通したら、なまはげがフッと鼻で笑って、その瞬間にうちの息子が勝ち誇った顔をしました。

(一同笑)

そんな感じで基本的にはみんなの家を回ります。

中村 なぜこれを聞いたかというと、ああいう文化は時代背景とともにあるのだろうなと思って、「泣く子はいねぇが」は、多分強い子を育てなければいけないという時代背景があったと思うのです。

でも、今の時代背景を考えると、「泣く子はいねぇが」は残していっていいと思いますが、なまはげたちが「泣く子はいねぇが」と言った後に、この2人のなまはげ(※岡住さんと石田さん)が入っていって、「そして、未来を背負う覚悟のある子はいねぇが」と、一軒一軒ずーっと言い続けたらいいと思うのですよ。

(一同笑)

子どもの時からずっと、「一緒に、ともに未来を創る子はいねぇが」と。

ICC小林 行政の人に、なまはげトレーニングをしたらいいんじゃないですか? 

中村 そうですね。いいですよね。

さっきの命を燃やすというのもいいなと思って、「魂燃やす子いねぇが」って言っていたら、いい子に育つんじゃないか。

岡住 なまはげに喝を入れてもらうリトリートツアーみたいなものをZ世代向けに企画できないか。

(一同笑)

ICC小林 「僕は嫌だ」と言ったら?

(一同笑)

岡住 都会で病んでしまう若い子たちに来てもらって、自然で癒されて、お酒を飲んでほぐれたところで、なまはげに、お前人生頑張れよと激励してもらって帰る、それで覚悟を持ってもらうみたいな。

中村 いいですね。

岡住 そういうことをちょっと妄想しています。

ICC小林 ありがとうございます。議論も盛り上がってきましたが、残り15分くらいになりました。

なまはげがメジャーになるまで

石田 ちょっと違う要素で歴史の話をしたいと思います。

なまはげがこれだけメジャーになったのは岡本太郎の力が大きくて、いくつかの経緯がありますが、もともと男鹿の非常にローカルなものを、岡本太郎が全国行脚して写真集を出した時に、なまはげをピックアップして全国区になりました。

それによって有名になったら、秋田県が、「秋田のなまはげ」と言い出したのですが、もとは男鹿のものなのです。

それでユネスコ無形文化遺産に登録されて、一気にメジャーになった歴史があります。

ユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」について(男鹿市)

これはタイミング、タイミングで、フックアップしている岡本 太郎さんがいて、その後も、ユネスコに登録する時に、無形なので相当頑張っています。

それを多分頑張ったスーパー公務員、タイミング、タイミングでのツキもあるのですね。

その積み重ねが、その後、数十年あるいは100年以上単位の、その地域の価値みたいになって、僕らが今それを、なんならマネタイズするものとして使っています。

文化資産や地域性みたいなものは、元をたどると、一人の人物から生まれているなという感じがしています。

たまにすごく引いた目で見ると、100年後とかに、あのタイミングで岡住君が頑張って法改正をしたからねとか、このホテルができたからねみたいな、この変局点をどう作るかみたいなことに取り組んでいるし、割とそうやってきて、今もあると僕は思っています。

ICC小林 ありがとうございます。では、参加者の方で、質問を聞きたいということはありますか? では、千結さん。

Q 人から褒められなくても信念を貫ける人になるには?

中村 千結さん(以下、千結) 私は今日、五島列島から来ていますが、五島列島にもスーパー公務員みたいなサニーという人がいます。

私は本当に、今この男鹿の地から五島に向かって、サニーに愛を伝えたいぐらいで、本当にすごい人で、公務員ではなくてアルバイトです。

池田さん(Part.2参照)みたいに岡住さんが気づいてくれて褒めてくれる環境が全然なくて、誰もすごいと気づいていなくて、それでもずっと頑張っているし、もう50歳近くになって、それでもずっとアルバイトでやっています。

そういう人に私はなりたいなと思いますが、私はどうしてもチヤホヤされたいし目立ちたいし、そういう人にどうやったらなれるでしょうか?

別にサニーは褒められたいわけではなくて、私が今ここで愛を伝えたとしても、「ああ、ありがとう」ぐらいに終わると思うのですが、そういう人が一番かっこいいなと思います。

チヤホヤされなくても、自分の信念を貫くみたいなことが、どうやったらできるのかなと思います。

(中村さんから、マイクに手を伸ばす)

A1 名もなきヒーローがどれだけいるかが大事

中村 すみません、親子の会話に付き合わせて。どうしても僕が答えたくて。

(一同笑)

僕は年を取ってしまったからかもしれないですが、僕は名もなき人がそうあるということが一番大事だと思っています。

僕は先ほどの池田さんが、正直名前が売れていないほうがむしろ動きやすいと思っていて、もしかしたらサニーもそれがある程度分かっているのではないかと思うのです。

名前が売れないほうが動きやすいということは、田舎においてはめちゃくちゃあるなと思っていて、だから名もなきヒーローたちがどれだけいるかということが、結構勝負かなと思います。

あとは、その人の気質もあるので、チヤホヤされたかったらそこを目指せばいいと思うし、そこを無理してそういう人にならなくても別にいいと思うし、ということですかね、はい。

石田 中村さん、僕に向かって言わないでください(笑)。

A2 「一隅を照らす」という言葉を知ってほしい

ICC小林 あと僕がよくICCのメンバーに伝えるのは、「一隅を照らす」という言葉を知っていますか?ということです。

「一隅を照らす」は天台宗、最澄の教えで、今も一隅を照らす活動(一隅を照らす運動)は続いています。

どういうことかというと、例えば、トイレを掃除してピカピカにすることは誰も見ていないかもしれないですが、それをやることによって輝く、それを見る人が光り輝いていく、だからそういった姿を見て、一生懸命自分の内まで光り輝くことが、周りを照らすことになるということです。

「一隅を照らす」のルーツは、『史記』という中国の古い歴史書にあります。

王様同士で、国の宝とはなんぞやという会話になった時に、うちには財宝がいっぱいある、あなたの国の財宝は何か?と尋ねたら、辺境にいてずっと守り続けている兵士たちが宝だ、私たちはそういった人たちに恵まれているという話をしたそうです。

それが「一隅を照らす」ではないけれど、そういった人たちが国の宝であると聞いて、財宝を自慢していた国の王様はすごく反省して帰っていったという話があって、それが実にいい話なのです。

一隅を照らす、実は照らされているようで照らされていない人が、なんて言うのですかね、目立ってはいけないというか、なんとなく周囲の人が、千結さんもそうだけれど、それを見ていいなと思っていることそのものが、いいことなのですよ。

そういうふうになりたいと言っただけでも、その人の価値があって、その人は全然目立っていないかもしれないけれど、多分そう思っている人は何人かいて。

中村 いるのですよ、そうなのですよ。

ICC小林 そう思っている人がいて、それが結果としては社会を照らすものになっていくので、「一隅を照らす」という言葉は、特に組織の長である人は覚えておいたほうがいいかなと思います。

どうしてもスポットライトが当たる人がいて、目立っていない人もいるけれど、その人には実はこういった良さがあって、それを知ることはすごくいいことだよ、これは一隅を照らすという言葉なんだよということを覚えておいて、人に教えてあげると、いいと思います。

大丈夫ですか?

千結 はい、ありがとうございます。

(続)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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