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ICC男鹿コネクテッドのパネルディスカッション「魅力あふれる地域を創るには」、全4回の②は、稲とアガベ 岡住 修兵さんが考える「運の捕まえ方」からスタート。五島列島なかむらただし社 中村 直史さんが目指しているのは、地域外から来たリーダーを、地域の人が受け入れるオープンな文化作りです。CHEERS白井 智子さんは、“保険のおばちゃん”と地域で愛されている飲食店の重要な役割を語ります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】司法で社会の不合理を変える!“公共訴訟”に取り組む専門家集団「LEDGE」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)
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【登壇者情報】
2025年7月3〜4日開催
男鹿コネクテッド 特別セッション
魅力あふれる地域を創るには
Produced by ICCパートナーズ
(スピーカー)
岡住 修兵
稲とアガベ
代表取締役
石田 遼
NEWLOCAL
代表取締役
白井 智子
CHEERS
代表取締役
中村 直史
株式会社五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ
代表
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▶「ICC男鹿コネクテッドツアー「魅力あふれる地域を創るには」」の配信済み記事一覧
たまたまにしては出来過ぎているぞ、をいかに積み上げるか
ICC小林 岡住さん、希望と言われましたが、3人の話を聞いて感想はいかがですか?
岡住 修兵さん(以下、岡住) そうですね…、何か自然に必然めいたものを常に感じながら、たまたまにしては出来過ぎているぞみたいなものをいかに積み上げていけるかが、僕が多少やれていることなのかなと思っています。

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岡住 修兵
稲とアガベ
代表取締役社長
1988年、福岡県北九州市出身。神戸大学経営学部を卒業後、秋田県・新政酒造で酒造りを学ぶ。2021年に秋田県男鹿市に「稲とアガベ醸造所」をオープン。新ジャンルのお酒「クラフトサケ」造りを行うとともに、レストラン「土と風」を立ち上げ。2023年春、食品加工所「SANABURI FACTORY」を立ち上げ、廃棄リスクのある酒粕をマヨネーズにする加工生産をスタート。また同年8月一風堂監修レシピのラーメン店「おがや」を立ち上げる。2024年には宿「ひるね」を開業。今後はホテルや蒸留所の建設を予定しており、多くの優良な雇用を創出することを目指す。クラフトサケブリュワリー協会初代会長。
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そこには何か、もしかしたら方法論があるような気もしていて、 例えば、夢を語るとか、言葉にすること、それらはすごく重要で、何かやりたいと思ったことはすぐに言って、ある程度プランニングまでしてしまうことを意識しています。
お金や仲間が集まってくるかどうかなど不確定要素はあるけど、その夢の骨格がしっかりしていればしっかりしているほど、それが具現化するのだなと。やればやるほどそれが真理だなというふうに思っています。
最近特に僕たち経営者はどう「運」を捕まえていけばいいのかを考えています。
どこまでいっても付き纏うのは運という要素だと思っていて、運は確率ではあるけど一方である程度コントロールできるなと漠然と思っていたし、やればやるほど今まさにそう思っているのですよね。
これはなんとなく、来年、再来年、もっともっとやればやるほど運という要素を捕まえられるのではないかと思っています。
正直いうと最初から、このまちを未来に残すなんて、ほぼほぼ不可能なミッションだと思っています。
これだけやってきましたがいまだに、このまちが未来に残るなんて、少しも思えていないぐらいです。
その不可能なミッションを実現するためには、僕個人がいかに運という要素を確度高く捕まえることができるのか、運の捕まえ方みたいな、それは今特にすごく考えていることですね。
運を引き寄せる努力が今につながっている
ICC小林 岡住さんがすごいなと思ったのは、ICCでの素晴らしいプレゼンテーションで、SAKE AWARDもそうですが、あれから結構変わりましたよね。
初めてのプレゼンテーションは、いけてなくてやばかったんですけど、伝説のプレゼンテーションでしたね。
▶“田んぼを磨く”クラフトサケ造りから、秋田・男鹿を未来につなげる「稲とアガベ」(ICC KYOTO 2022)
(一同笑)
その翌年、SAKE AWARDで、造っているもので勝負して優勝できるのはすごいなと思いますし、そこからクラフテッド・カタパルト優勝、さらには齋藤 翔太さんとフード & ドリンクアワードに出て、齋藤さんはCFOで実はプロダクトを説明したことがなかったのに、準グランプリになりました。
入賞すると審査員として参加できるようになるので2人参加し、さらには一緒にやっている石田さんまで引っ張りこんできました。
石田さんは初めの練習会(カタパルト必勝ワークショップ&公開リハーサル)では散々な結果でしたが、必死に練習して2位になって、ここにいるみたいなことになっています。
(一同笑)
多分この場に多くの経営者が参加しているのは、男鹿が好きというよりも、男鹿の取り組みが面白いから来ているのだと思いますが、皆さんの努力の結果が、そういったところにつながっているのではないかということで、運を引き寄せる努力というか、実力というのはあるのではないかと思いました。
岡住 雅さんに褒められると、本当に嬉しいですよね。

ICC小林 そうですか? 褒めますよ。
だって、褒めるだけで地域が変わるのだったら、僕は褒めますよ。
(一同笑)
褒めるというのは、大切ですね。
岡住 雅さんに褒められると、本当にみんな嬉しいと思います。
ICC小林 そうですか?
岡住 一番嬉しいです。誰に褒められたいかって、僕は雅さんに褒められたい。
(一同笑)
ICC小林 僕はシビアに言うことが多いですが、ありがとうございます。
議論中に、どんどんカットインしていただいて大丈夫です。
親切でオープンな人がいることが地域の土台となる

中村 今ずっと議論を聞きながら、僕が思ったことは、岡住さんや地域のリーダーが生まれてくるというのは、稀有なことだということです。
それは、すごく素晴らしい。
けれど、その地域にとってそういう人が生み出されるということは、なかなかコントロールできないし、ギフトみたいなことだと思うのですよ。
だけど、僕はさっき話に出た男鹿の”スーパー公務員”池田さん(岡住さんが男鹿に初めて来た際に、醸造所を開くにあたりキーパーソンや必要な情報を集めて案内した)みたいな人が希望だなと思っていて、そういう人が地域にどれだけいるか。
ごめんなさい、池田さんのことを知らないまま言うのですが、、池田さんにはなれるかもしれないと思うのです。
親切でいる、オープンでいる。
そこがやっぱり僕は希望である気がしていて、そういう人が何人そこにいてくれるかが勝負かなという気がすごくします。
僕は今、五島で、GOTOGIN(五島つばき蒸溜所)の人たちと一緒に、五島よかよか未来塾というものを始めています。
GOTOGINのメンバーは、もともとキリンで商品開発をやっていたので商品開発のノウハウを、僕はずっとやってきた広報や伝えるということを、地元の人たちに分かりやすく伝えています。
参加費は100円で、月1から、2カ月に1回ずっとやり続けています。
ICC小林 100円ってすごいですね。
中村 100円というのは結構ポイントだなと思っていて、講義みたいなことをやりつつ、集まってきた人の中で、実際に自分が商売をやっていて商品開発したいという人がいたら、個別コースがあって個別でずっと付き添い続けます。
商品開発、コンセプト作り、ターゲティングなど、それもお金を取らずにずっと寄り添い続けるのですけれど。
白井 そっちのほうが安いですよね? 100円より。
中村 あっ、そうですね。そっちは無料です。
(一同笑)
というのを、やっています。
その人たちが実際にいい商品にたどり着くこともありますが、主目的は別にあって、よかよか塾をやる時に、必ず最初によかよか塾のルールを出しています。
それは「人の話を聞くこと」「意地悪をしないこと」もうひとつはキリンの商品開発の思想で、「にぎやかな森をつくる」ことです。
にぎやかな森というのは、鳥たちが素敵な声でさえずり合うように、色々な人たちが語り合って、それを聞き合って、そんな中からいいアイデアが生まれてくるというものです。
それを島でできないかなと思ってやっているのですが、僕としては一つひとつの商品開発で、いいものができてくるという結果も大事だけれど、いったんみんなが意地悪をせず、人の話を聞いて、みんなで親切な形で向き合って助け合うという文化さえできてしまえばいいのではないかと思っています。
それこそ池田さんみたいな人たちがその中に出てくれば、いつか岡住さんのように導かれた人が来た時に、土台を作れます。
それがどういうアウトプットになっていくかはよく分からないですが、思いもよらなかったいいことが、ちょっとずつそういうところから出てくるのかなと、最近はそういうことを気にしています。
リーダーを召喚する地元キャラクター

石田 今、池田さんの話を聞いて思い出したことがありました。
香川県の三豊という場所がまちづくりの聖地といわれていて、うちの株主でもある、古田 秘馬さんが関わっています。
古田さんが三豊に関わることになった経緯ですが、熱心な公務員の方が、頑張って予算を取って、秘馬さんを講演に呼んだそうです。
▶「身の丈資本主義」から、これからの地域活性化を考える|古田秘馬(遅いインターネット)
その時、秘馬さんは、「助けてください」と非常に熱心に口説かれたのですが、忙しすぎて、その日講演を終えるとそのまま帰らなければならなかったのですが、「もう1回来てください」みたいに言われて、最終的に移住して、今まちづくり三豊はまちづくりのメッカみたいになっています。
確かにあまり注目したことがなかったですけれど、リーダーと地元から来る人とは別ですね。
岡住 そうですね。
石田 Iターン型リーダーを召喚するキャラクターがいるのかもという可能性が生まれました。
岡住 僕は池田さんを増やす活動を意図的にしていて、取材を受けた際は必ず無理矢理にでも池田さんの名前を出しています。
池田さんには、男鹿や秋田の特集でテレビや新聞の取材が入るし、僕たちの取材の派生もあって、年に5〜6回、池田さんの記事が上がります。
それを見ている人がうらやましい、もしかしたらやっかみもあるかもしれないけれど、自分も池田さんみたいになろうというような人たちが増えていくのではないかという想いで紹介しています。
公務員と並んで大事なのは銀行員
齋藤 翔太さん(以下、翔太) さっきの土台的な話に関して、僕が最近色々な場所で言っていることがあって、今の話は公務員でしたが、もう一つ大事なのは銀行員だと思います。

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齋藤 翔太
稲とアガベ
取締役CFO
1987年、神奈川県川崎市出身。学生時代10年間を東京都国立市で過ごし、一橋大学を卒業後、日本政策金融公庫(農林水産事業)に入社。宮崎支店、秋田支店、和歌山支店、帯広支店と全国転勤し、一次産業への事業融資に専門的に10年間携わる。秋田支店時代の縁をきっかけに、2022年4月にクラフトサケ醸造を起点にまちづくり事業も行う稲とアガベ株式会社にジョインし、秋田県男鹿市に移住。取締役CFOとして経理・財務を中心にバックオフィス全般を取り仕切る他、営業やイベントのディレクション等マルチに活動。並行して、関連会社として設立した株式会社SANABURIでは代表取締役に就任し、2025年1月より稼働したスピリッツ蒸留所の経営にも取り組んでいる。
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最初の資金調達は、岡住一人でやっていますが、当然しっかり準備はしていたのですがおそらくそれだけではこんなにすんなり事は進んでいなくて、すごく前向きに支援してくれた大沢 直樹という銀行員の存在も非常に大きなファクターだったと思います。。
その当時…
一同 半沢 直樹(笑)。
岡住 僕は半沢より大沢派って
(一同笑)
翔太 銀行員はそういう夢のある事業を見出して、前向きに融資をしていくことはできるし、地域において地銀が一番やるべきことだと思っています。
一方で昨今、銀行が就職先として人気がなくなっていることは、私たち地方経営者にとっては危機的なことだと思っています。
僕もたまに講演をしますが、その時に必ず言っているのは、担当についた銀行の人、特に若い人で、多少荒削りでも、見込みがあると思ったら一緒に楽しく仕事をして、成長する楽しさを教えてあげてくださいということです。
このあたりも、地域で準備できる土台として大事だと思いますね。
ICC小林 いい話ですね。白井さんもイベントをやる時に、地元の支援者を見つけるみたいなことは?
良いおせっかいをしてくれる“保険のおばちゃん”
白井 今おっしゃっていたのはまさにで、私たちは小さな会社でもあるので、いかに全国展開をするかを仕組み化させることと、でも仕組み化させ過ぎないというバランスを見ながらやっています。
この時に外せないポイントが、地域で愛されている飲食店の方というのが一つと、あとはおっしゃる通り、地銀の担当者さんをつけてもらうことです。
私たちは東京が拠点ですし、20拠点を同時に回していたりするので、現地に何度も行けないのですよね。
なので、この人が地域で中心となって動いてくれるというところをポイントとして押さえていく必要があります。
CHEERSとしてのビジネスモデルのポイントとしてお話をすると、さっきお話ししたこどもシゴト博というモデルは、明治安田さんがスポンサーです。
はじめから意識して、保険会社さんとこの事業を進めたいと思って取り組みました。
なぜかというと、明治安田さんは全国に約38,000人の地元の方を雇用しているのです。
保険のセールスというと、行政や学校の先生も踏み込んでいけないような、収入や家族の病気、ライフプランみたいなところまで、「最近、元気?どう?」みたいに、ある種お節介をしてくれる存在です。
私が代表としてどんなに頑張っても、3万人の社員を抱えて全国拠点を作れるかというと難しいので、そういう方たちと手を組むことで、地域のスーパーで会った時にも、「元気?」と言えるような、おせっかいな動きをしてくれる地域の方に必ず入ってほしいという思いがあってどうしても一緒に進めたかった。
地域で愛される人気飲食店はハブとなる
ICC小林 先ほど人気の飲食店と言っていましたが、面白いなと思います。
具体的にどういう飲食店なのか、この地域ではこういう店というように、イメージが湧くように教えてほしいです。
白井 例えば、五島の鉄平のように、地域の色々な職業の方たちが集まり、お酒を飲んだ状態で友達になれる空間があるお店というところがポイントだと思います。
ハブになっているのは、人気の飲食店ですよね。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成


