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インフラ老朽化、技術継承の課題をテクノロジーで解決へ導く技術者集団「Malme」(ICC FUKUOKA 2026)

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ICC FUKUOKA 2026 カタパルト・グランプリに登壇した、Malme(マルメ) 高取 佑さんのプレゼンテーション動画【インフラ老朽化、技術継承の課題をテクノロジーで解決へ導く技術者集団「Malme」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!


ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。

▶【速報】ネクストステージ突破から下剋上! 落とし物DX「find」がカタパルト・グランプリ優勝(ICC FUKUOKA 2026)


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

高取 佑
Malme
代表取締役
公式HP | 公式X

1986年生まれ。佐賀県の島に生まれ、自然豊かな環境で育つ。九州大学大学院修了。大学では土木工学を専攻。2011年、パシフィックコンサルタンツ株式会社に新卒入社し、ODA(政府開発援助)分野のコンサルタントとして、東南アジアおよび中央アジアを中心に、現地政府の政策立案支援や日系中小企業の海外展開支援に従事。2018年にはドローンベンチャーであるテラドローン株式会社に入社し、基幹事業の統括責任者として事業運営、利益管理、組織マネジメントを担当。建設・技術領域における国内外での実務経験を通じ、土木業界が抱える構造的課題を強く認識し、2021年2月にMalmeを設立、代表取締役に就任。

技術者たちの知見が命と暮らしを守っている

高取 佑さん 公共インフラの話をします。

黒部ダムの総工費は、513億円。

関わった技術者は、1,000万人。

亡くなった方は、171名。

当時できた水力発電ダムは、電力逼迫だった関西の経済圏を救いました。

東日本大震災の際、幹線道路である東北自動車道は、被災からわずか約6日で復旧しています。

▶︎東日本大震災による交通関係の復旧状況の推移(国土交通省)

これを実現したのは、現地の名もなき土木技術者たちです。

この人たちの知見がなければ、現地に物資が届かず、人が亡くなっていたかもしれません。

技術者の尊い技と魂が失われようとしている

私は新卒で入社した会社で、途上国支援をしていました。

日本の土木技術力は、海外でも発揮されています。

島国のモルディブは、毎年高潮に悩まされています。

日本が建てた防波堤が、今、彼らの命を守っています。

首都を津波から守った環境配慮型の護岸【モルディブ】(JICA)

バングラデシュに建てられた学校では、ある年、ハリケーンの被害に遭った時に、沿岸部の人々の命を守りました。

第五次多目的サイクロンシェルター建設計画(JICA)

そして戦争復興、戦後の復旧活動も、我々土木技術者の役割です。

現地の方から言われるのです。

「日本の支援があって良かった。本当にありがとう。日本人が大好きだ」と。

こんなに誇らしいことはない、日本人に生まれて本当に良かったと思いました。

ただ、その日本の技術力と魂が、今少しずつ失われようとしています。

八潮の件は、記憶にまだ新しいと思います。

八潮陥没1年、「あの日から全てが変わった」…今も下水からの悪臭・騒音に苦しむ周辺住民(読売新聞)

ただ、それだけではありません。

今、日本全国さまざまなインフラが、ボロボロの状況です。

僕らは実は、いつ壊れてもおかしくないような道の上を安心しきって歩いている状況なのです。

「じゃあ直さなきゃ」

それとも、「造り替えようか?」

それができるような技術者は、もう日本にはいません。

人手不足は深刻で、ベテランの引退が続いています。

先ほど、知見がないと人が死ぬと言いました。

そして今、その知見が圧倒的なスピードでなくなっていっているのです。

Malmeは土木とITの知識を兼ね備えた技術者集団

私たちの紹介をします。

技術者集団Malmeと申します。

建設領域で、DXコンサルティングとプロダクト開発の2軸で戦っています。

1年半前、ICCサミット KYOTO 2024 Digital Transformation(DX) CATAPULTで優勝し、大きく成長を遂げることができました。

数千枚の設計図を3Dデータ化、土木業界DXで技術継承と効率化に挑む「Malme(マルメ)」(ICC KYOTO 2024)

私たちの強みは、土木とITの知識を兼ね備えた技術者集団であることです。

売上は順調に成長し、お付き合いいただけるお客様も増えました。

大手企業との提携も増えて、経営基盤が盤石になってきています。

業界の衰退をとめる切り札は「AI」

ただ、私たちが成長しても、業界の衰退がとまらないのです。

こんなに悔しいことはない。

真剣に考えました。今、何をやるべきか。

その中で1つの答えが出てきました。

AIです。

正直、人にとって味方か敵かまだわかりません。

けれども、これをうまく使えば、インフラの老朽化、あるいは技術継承において、まだ時間は巻き戻せるかもしれない、そう考えました。

土木業界向け図面管理SaaSを提供

私たちの事業のご紹介をします。

新規事業で、土木業界に向けて図面管理SaaSを提供しています。

CiviLink」(シビリンク)と名付けています。

注目したのは、設計というプロセスです。

工事現場を安心安全に回すために土木図面を作りますが、設計というのは、膨大な図面の修正作業との戦いです。

例えば見ていただきたいのは、1つの橋を造る時に作らなければいけない図面の数です。

これは、100枚、200枚ではないのです。

2,000枚、3,000枚、多い時はそれ以上の紙を、技術者が匠の技と想いを込めて作っていきます。

私たちは、これをデータプラットフォーム化することにしました。

そしてAIを使って、さまざまなアウトプットをこれから提供していきます。

例えば、今見ていただいているのは、これまで技術者泣かせだった図面1枚1枚のチェック、レビュー、修正作業をAIが代行してくれている様子です。

かかる時間を60%削減できることが実証されています。

AIがベテランの知恵を抽出、時空を超えた技術継承が可能に

そして、技術継承です。

昔のプロジェクトで当時のベテランが発揮した知恵をAIが抽出し、今この瞬間、机の前に座っている若手技術者に、その知恵を授けます。

お客様は50社、800ユーザーいらっしゃいます。

図面管理のSaaSの上に、僕らのドメインエキスパートによるAI伴走支援を載せて、ビジネスモデルとして提供しています。

2030年のARR80億円達成が射程圏内に

ポテンシャルは大きいです。

インフラメンテナンスにAIをMれば、1.4兆円は優に見込めます。

そして、これからこの市場はどんどん成長していきます。

お客様の従来の業務ワークフローに、AIをしっかり正しく、賢く実装することができれば、2030年に堅くARR 80億円は達成できると考えています。

同様のサービスがこれまで存在しなかった理由

ありきたりなサービスだと思われたかもしれません。

ただ、土木業界には、今までこのようなプロダクトはなかったのです。

理由は2つあります。

1つは、求められるドメイン知識がかなり難しいということです。

土木図面は、本当に複雑です。

僕らでもたまに厳しいと思うことがあるくらい、解読が難しいデータが揃っています。

それをデータプラットフォーム化することは、そもそも難しい作業です。

そして、もう1つの理由は、ステークホルダーが多いことです。

インフラ事業というのは、地元の自治体から住民、あるいは民間企業まで、様々なステークホルダーが協議し合意し、1つのインフラを造っていきます。

その中でプラットフォームを1個導入することは、相当ハードルが高い作業なのです。

土木の未来は明るくなってきた

ただ、僕らだからこそできると思っています。

土木とITの技術を兼ね備えた技術者集団がうちの会社にはいます。

土木の現場が本当に好きで、泥臭いこともしますし、家やオフィスに帰ったら、IT、AIに触れてプロダクトを作る、そういったことをアジャイルにできる集団がいるのです。

そして、強力な業界パートナーがいます。

技術、開発、あるいは営業の場面で、さまざまな業界を代表する日本の企業と連携して、パブリックセクターへも入り込み、浸透し始めています。

今、目に見える形でこの事業が成功できれば、インフラ老朽化あるいは技術継承の問題が、時間を巻き戻すことで解決に導けると確信しています。

皆様に対して、土木の未来が明るくなってきたと、僕はここで宣言させていただきたいと思います。

インフラ事業に新たな常識を

最後になります。

インフラの老朽化、技術継承、これらの課題を解決するためのテクノロジーは、今すでに手元に揃っていると思っています。

私たちが次に取り組むべきことは、「価値観のDX」です。

インフラ事業というのは、様々なステークホルダーが想いを持って1つのインフラを造っていきます。

その想い、既存の価値観、常識に、新たな常識を埋め込む必要があります。

これを、僕らMalmeがやります。

ただ、まだ力が足りません。

時間が残されていません。

今、走り出せば、なんとか間に合うかもしれない。

ここの後押しを、会場の皆様からいただきたいのです。

私たちから動き出します。

日本の土木をもう一度世界に誇れる産業にして、海外の方々に届けられるようなところまで昇華させていきます。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美

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