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ICC KYOTO 2025のセッション「ウェルビーイング経営を語り尽くす」、全7回の⑥は、石川 善樹さんが、「居場所」と「舞台」という言葉を使うと、「ウェルビーイング」の理解が進みやすいと紹介。hacomono蓮田 健一さんは、経営の傾いた父の会社を2代目として引き継いだ際のエピソードを明かします。先輩経営者に何のために経営をしているのか問われ、悩みながら蓮田さんが得た境地とは?ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは住友生命保険です。
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【登壇者情報】
ICC KYOTO 2026
Session 8B ウェルビーイング経営を語り尽くす
Sponsored by 住友生命保険
(スピーカー)
石川 善樹
公益財団法人ウェルビーイング for Planet Earth
代表理事
小島 玲子
丸井グループ
取締役上席執行役員CWO
中川 淳
PARADE
代表取締役社長
蓮田 健一
hacomono
代表取締役CEO
(モデレーター)
藤本 宏樹
住友生命保険相互会社
常務執行役員
▲
ウェルビーイングな人生に存在するもの
藤本 どうぞ、(石川)善樹さん。
石川 色々な業界があって、大企業から中小、零細まで色々な会社がありますが、一般社員向けにウェルビーイングを説明する時に、分かりやすい言い方が1つあります。
それは、「ウェルビーイングな人生には居場所と舞台がある」です。

藤本 「居場所」と「舞台」ですか?
石川 居心地が良くてホッとできる、安心できる、何者でなくてもいい「居場所」、一方で何者かになる「舞台」ですよね。
藤本 ほう。
石川 舞台に立つまでには色々な苦労や挑戦、学びがあって、舞台に立つ直前はものすごく緊張するし、できれば立ちたくない。
けれども、舞台に立ったことで得られる大きな自信や達成感があって、ある意味舞台に立ったからその場が居場所になることもあるし、居場所があるから舞台に立てるという、相互作用するものですよね。
会社が皆さんにとっての居場所と舞台になればいいし、もちろん会社の外でも居場所と舞台があるといいですよね。
「ウェルビーイングな人生には居場所と舞台がある」は、僕がはたから見ていて、色々なところで響きやすい言い方だなと思います。
藤本 なるほど。
小島 そうですね。
先ほどさらっと出しましたが、「尊重」と「挑戦」を、その意味で数値化しています。

藤本 ぬるく居心地が良い職場は、ウェルビーイングな場ではない、と。
小島 丸井グループでの考え方、目指しているビジョンに向けて、こういう文化を目指したいですねと言っているのは、「尊重」と「挑戦」の両方があるということです。
石川 何もインプットせずに、「皆さん、ウェルビーイングについて語ってください」と言うと、居場所のほうしか話が出てきません。
「もっとコミュニケーションがしやすい環境」とか「休みが取りやすい環境」とか。
だから、予め「居場所と舞台の両方ですよ」と言っておかないといけません。
小島 そうなのです。
ウェルビーイングと言うとぬるくなるから、最近、丸井グループではウェルビーイングとあまり言っていません。
藤本 なんと。
小島 フロー、フローとずっと言っています。
「フロー比率」とか「好き」とか。
蓮田 いや、分かります。
ぬるくなるというか、よくブラック企業かホワイト企業かみたいな、それこそ二項対立だと思いますが、どんどんホワイトに寄っています。
最近そこを両立できるプラチナ企業という新しい言葉があるらしいですが、みんな仲良くしようよとか、そういう施策ばかり増えています。
▶プラチナ企業の定義や特徴とは?ホワイト企業やモーレツ企業との違いも一覧で解説 (エンワールド・ジャパン)
企業のミッションはそれで達成できるのか、強い組織になれるのかみたいなところが二項対立になりがちですが、そこを乗り越えるのは、「or」ではなくて「and」なんだよというのは、すごくメイクセンスだなと思いました。
丸井グループでは「前向きな失敗」を奨励
藤本 挑戦する舞台を用意すると、失敗もありますよね。
「こんなチャレンジをして、失敗したら損だから」と思う人が多くなりがちな会社は多いのではないかと思いますが、そういう場合はどうしたらいいですか?
小島 今日は時間の都合上省いていますが、「打席数5,000回以上」をプロセスKPIにしています。
ヒットやホームランでなくていいから、とにかく打席に立とうと言っています。
何を打席にカウントするかと言うと、「好き」を応援するコンクールへの出場も打席ですし、何を打席にするか定義した上で、打席数5,000回以上というプロセスKPIを立てています。
▶企業文化|私たちのめざす姿(丸井グループ)

藤本 面白いですね。
小島 あとは「Fail Forward(フェイルフォワード)賞」という表彰があります。
藤本 何ですか、それは?
小島 前向きに失敗した人たちを称えるものです。
▶「失敗を許容し挑戦を奨励する文化」の醸成に向けて、企業価値向上に貢献したチームを表彰 (PR TIMES)
失敗には種類があって、単なるケアレスミスではなく、新しいことにチャレンジしての失敗があります。
失敗のないチャレンジなんてないと思いますので、それをどんどん奨励することをセットにしています。
藤本 具体的に表彰するのですか?
小島 しますね。例えば、パン事業部やビーガン事業部は、新規事業コンクールに社員が手挙げで応募したのですが、その後、事業化できませんでした。
そこから得られた学びをきちんと共有することをセットにすれば、次回その学びを活かせるので、構造を組み合わせて、良い失敗はどんどんしようよということです。
石川 失敗やチャレンジは、大小あると思います。
例えば、新入社員からすると、朝元気に挨拶することも、十分舞台に立つ行為なのです。
こちら側からすると、「普通じゃない?」と思うようなことも、本人からすると大きな舞台です。
そういう意味で、自分にとっての舞台は、日々の職場では何なのか考えてもらうと、結構面白い視点がたくさん出てきて、挨拶もそうなんだと分かります(笑)。
「好き」から入るとチャレンジしやすい

藤本 ちなみに「好き」を指標にというお話でしたが、僕は「仕事を楽しく」ですね。
論語にありますよね、「之を好む者は之を楽しむ者に如(し)かず」(※)。
▶編集注:「好きなことをすることが上達の鍵」という孔子の言葉。
小島 そうですね。
藤本 「好き」は大事だけれど、それを楽しんでやる人にはかなわない。
仕事を楽しくするのがモットーですが、その手前の「好き」ぐらいのほうが、実はチャレンジしやすいのかもしれませんね。
小島 そうですね。
為末 大さんの座右の銘は「努力は夢中に勝てない」だそうですが、私たちはこの言葉を社内でもよく言っています。
▶努力は夢中に勝てないのはなぜか (Dai Tamesue(為末大)note)
フローについては、もう少し前から言っていました。
丸井グループは創業95年の会社で、15年くらい前までは昭和の上意下達の組織だったので、フローが目標ですと言うと、フローのために頑張らなきゃという感じになる傾向もありました。
藤本 ああ。
小島 どうもそれは違うなということで。
藤本 なるほど。
小島 フローは結果である、と、「好き」から入ろうよと言っています。
藤本 蓮田さんが、スポーツクラブに通う人の動機として、義務感や健康のためではなくカッコいいからという動機があると紹介されたじゃないですか(Part.1参照)。
それと共通するのかもしれないですよね。
蓮田 そうですね。
石川 国家経営を考えた時に、日本のビジョンが何かというと、歴史的に「和」なのです。
藤本 「和」。
石川 十七条憲法以来、もうとにかく「和」なんだと。
それを126代、2600年にわたって体現しているのが、天皇家ということなのだと思うのですよね。
会社で言うと、定款の第一条に何を書いているのかが、その会社の根本的なことと言うか。
でも、定款の第一条に何を書いているのか、意外と社員も知らなかったりしますよね(笑)。
小島 定款に、6つのステークホルダーと「しあわせ」を共に創るということを、そうなっていなかったので、2年前に入れました(笑)。
藤本 株主総会で諮(はか)ったのですね、すごい。
小島 そうですね。
蓮田 そういうコアの考え方があると、ここができていないんじゃないかみたいに見直しが進んでいくので、コアが1つ決まってくると、すごくいいですよね。
父の会社では社訓が浸透していた

蓮田 (石川)善樹さんに挨拶のような分かりやすい例を出していただきましたが、自分の体験を話すと、私はもともとIT企業で10年くらい働いていましたが、震災で父の会社が潰れそうになって、中小企業の経営を継ぎました。
父の会社は20〜30人の小さい会社でしたが、私が働いていた会社はグループで500人ぐらいの会社でした。
エンジニアとして働いていましたが、職場で挨拶がないのが普通で、会社にビジョンはなく、あるのは売上目標でしたが、当時はそれが普通だと思っていました。
父の会社に行ってまずびっくりしたのは、挨拶が徹底されていたことです。
私は2代目なので、社員は私より年上の先輩社員ばかりでしたが、みんなが始業時間より早く来るし、挨拶も気持ち良くて、いわゆるミッション、ビジョン、バリューと同じような社訓がありました。
「はい、いいえ、素直。たとえ利益を失おうとも信用を失うなかれ」という言葉が、バーンと書いてあり、全ての従業員がそれを実践していることが徐々に私にも分かってきました。
中小企業で、地域に支えられる工事の会社でしたが、社員の方が地元のスーパーに車で行った時に、スーパーの入り口近くには車を絶対に置かないのです。
最初はその理由を知らなくて、何でだろうと思って社員に聞いたら、スーパーの入り口の近くは身体が不自由方やお年寄りが使ったほうがよいから、うちの会社の社員は親父さんの教えで、できるだけ遠くに置くんだよ、なぜならうちの会社は地域に支えられているから、ということでした。
話を聞いていてすごく繋がってきましたが、「共通善」と「個別善」が、社員に非常に浸透していました。
潰れそうになっていた父の会社は、資金もなく銀行に借入金も返せない状態で、僕は経営なんてやったこともなかったし、父にどうしたら経営ができるか聞いたら、父も全然分かっていなくて、言語化もできていませんでした。
そんな時にある経営塾に入りました。
先輩の経営者から、「蓮田さんは何のために経営をやっているんだ?」という問いを向けられました。
でも、そんなことは考えたことがなかったので、「親父の会社が潰れそうになっているから」「銀行にお金を返すため」と答えていましたが、ひたすら問われて、経営理念は大事なんだなとか、人がチームで働くことの意味に気づいて、徐々に取り組み始めました。
事業が上手くいっている時には、こういうことの必要性は分からずに、苦しい時に初めて分かったりするのかもしれません。
苦しいと社員も離れていったりすると思うので、そういう時こそ、こういうことの強さが会社の違いとなって出るのかなと思ったりします。
藤本 なるほど。
中川さん、お父様は、ビジョンで飯が食えるかとか、ビジョンを作るなというお考えではなかったですか?
中川 中川政七商店は歴史のある会社なので、父にそういうものはないのか聞いたら、「そんなものを作っても、売上は上がらんぞ」と一蹴されました。
当時はこんなにビジョンが駆動するとは思っていなかったけれども、それがないと個人としても頑張って働けないなと思ったので作りましたね。
藤本 ちなみに丸井グループは本当にすごいなと思うのですが、どこから手を付けたらいいですか?
この域に行くのは、どこの会社も大変だなと思います。
石川 本をを読むといいですよ。
藤本 (笑)
石川 まずは本を読むところから始める(笑)。
書ききれないこともたくさんあったと思いますが、本当に事細かにプロセスが書いてあるので、こうやってやるのだと、すごくよく分かると思います。
中川 どの本をまず読めばいいですか?
藤本 最新刊ですよね?
石川 最新刊ですね。
小島 ありがとうございます(笑)。
『夢中になれる組織の科学 働きがいのメカニズムを解き明かす』は、出版社の日経BPから、『ウェルビーイングの本質』というタイトルを提案されていたのですが、「ウェルビーイングと言いたくない」と言いました。

私は心療内科医ですし、産業医がウェルビーイングと言ったら、メンタル不調の話をするはずですが、この本には出てこないのです。
夢中になれる組織の作り方の話をしています。
藤本 そろそろ、会場の皆さんの質問をお聞きしたいなと思います。
(続)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美


