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ICC FUKUOKA 2026 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、エシカル・スピリッツ 山口 歩夢さんのプレゼンテーション動画【“もったいない”素材の魅力を引き出し、最高の一杯を造るジン蒸留所「エシカル・スピリッツ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。
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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング
山口 歩夢
エシカル・スピリッツ
取締役(CTO)
公式HP | 公式X
エシカル・スピリッツ株式会社、およびWhiskey&Co.株式会社 取締役。東京農業大学大学院農学研究科醸造学専攻博士前期課程卒。醸造学修士。エシカル・スピリッツは2020年、学生時代に起業し、蒸留責任者を務める。廃棄されてしまう食物や、未活用な素材を使用してジンを製造し、「サスティナブルかつ美味しいお酒作り」を行っている。また、Whiskey&Co.は2021年に代表取締役である大森とともに起業。日本では珍しい「バーボンスタイルウイスキー」の製造と、「トークン」を活用した事業展開を行っている。2021年、Forbes JAPANが選ぶ「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 に選出。 2022年には Forbes 30 UNDER 30 Asiaにも選出される。
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山口 歩夢さん 社会課題を醸す新しい酒造りのスタンダードを目指して――エシカル・スピリッツです。


私たちは、東京蔵前にて工場を構え、世界中で愛されている蒸留酒のひとつである、ジンを製造しています。
僕は、蒸留責任者の山口 歩夢です。

よろしくお願いいたします。
獺祭の姿勢に感動し、醸造の道へ
まずは、僕が今に至るまでのストーリーを、ご紹介いたします。

大学受験直前にテレビで見た、世界に向けて日本のお酒を発信する、獺祭 桜井博志さん(現・会長)の姿に感動し、東京農業大学に進学、それが僕の人生を変えるきっかけとなりました。

入学した東京農業大学の理念は、徹底した「実学主義」です。


大学で、お金について学びつつ、ジンやブランデー、日本酒、ビールなど、お酒というお酒ほぼすべて、造りに携わりました。

蒸留酒の収集を始め、学生にもかかわらず、自宅にあるお酒は約400本を突破、現在では、1,300本のお酒があります。

大学院にも進学して、人類の味覚・嗅覚の研究において、醸造学修士号を取得し、香りと味の専門家でもあります。

「クラフトサケ」を在学中から造る
僕は、在学中に、1つの「発明」をしました。

それが、「ボタニカルサケ」というジャンルです。

▶︎国産のボタニカル素材がもたらす、新感覚のSAKE。(WAKAZE)
日本酒の発酵中に、ハーブなどの副原料を加え、新たな味わいを実現したお酒です。

こちらのジャンルは、岡住 修兵さん(稲とアガベ)によって、のちに「クラフトサケ」として体系化されました。
実際の商品開発にも従事しながら、これまで存在しなかったお酒が、法的にどうやったら造れるのかを、「発見」しました。
▶︎3酒税法における酒類の分類及び定義(国税庁)

僕は現在、世界に急速に広がる「クラフトサケ」の生みの親の一人なのです。
エシカル・スピリッツを共同創業、業界最年少の蒸留責任者に
様々なお酒の道を極めようとしていた時期に、ご縁があり、ジンの蒸留家としてスカウトされ、エシカル・スピリッツを共同創業。当時24歳で、業界最年少の蒸留責任者となりました。
生粋の酒オタクが、研究や商品開発で得た知識を最高に活かして、最高の一杯を造り続けています。

ジンとは、ジュニパーベリーという木の実で香りづけをした、蒸留酒です。

原酒とジュニパーベリー、ボタニカルを蒸留器に入れて蒸留し、香りと成分を、アルコールと抽出して造ります。

ジュニパーベリーは必須ですが、それ以外に、香りづけに使う素材は自由で、使用するお酒の種類も自由です。
これらの掛け算で、香りを作り出します。

無限の香りと無限のお酒の組み合わせで生まれるジンは、無限の可能性を秘めたお酒なのです。

ジンほどの懐の深さであれば、世界中の未活用素材を使った、持続的、かつ、美味しい酒造りができるのではないだろうか――そのような考えによって、エシカル・スピリッツは生まれました。

年間3,500トンが廃棄される酒粕に着目
我々のジンの製法を、説明させてください。
我々が最初に着目したのは、日本酒の蔵で出る酒粕です。

酒粕は、香りや味わいのよさにより、漬物や甘酒などに活用されていますが、使用量は年々減少しており、年間3,500トンが産業廃棄物として捨てられています。


我々は、酒粕から取り出したアルコールを使用して、酒粕由来の香り豊かな原酒をジンに使用することで、酒粕の再価値化を行なっています。

このようにして作られたアルコールは、香り高く、美味しいだけではありません。

従来のアルコール製造に比べて、CO2の排出量が60%も少ないことが明らかとなっています。
フードロスが140種類のジンに生まれ変わる
さらに、我々は、もったいない素材の活用を通じて、フードロスを価値に変えます。

フードロスは、世界中の共通課題です。

日本国内でも、5割以上の食材が、事業活動に伴うフードロスによって失われています。

我々は、これまでに、70社を超える企業の“もったいない”を、ジンに活用させてもらいました。

創業から6年で使用した、もったいない素材は153種類、リリースしたジンの種類は140種類です。


こちらの数字は現在、日本のジン業界で最多の商品開発数です(2026年3月当時)。

コロナ禍や規格外品を逆手に活用
製品の一例を、ご紹介いたします。
コロナ禍で流通が止まってしまい、賞味期限切れを待つことしかできなくなったビールを、すべて買い取って蒸留し、原酒として使ったジン。
行き場をなくした累計8.1万リットルのビールをアップサイクルしました。

ビールを原酒とすることにより、一般的なアルコールを使った際には得られない、豊かな香りが得られ、華やかで美味しいジンを造ることができます。

チョコレート作りに使われない、カカオハスク(カカオの皮)と、規格外となってしまったバナナ、酒粕焼酎を使ったジン、「CACAO BANANA ÉTHIQUE」。

カカオハスクは、チョコレート製造に使われるカカオニブに負けない香りを持ち、表面積も大きいため、効率よく香りを抽出できます。

ロス食材で造ったジンが世界で認められる
「ロス食材で造ったジンは本当に美味しいの?」と、よく聞か(尋ねら)れますが、

時として、ロス食材のほうが、ジン造りには向いているのです。

世界は、価値に変えられる“もったいない”で溢れています。

我々は、圧倒的なレシピ開発数と、圧倒的な素材流通網で、世界へと勝負しています。
実績として、創業からわずか1年で、世界最大の蒸留酒コンペ「IWSC2021(International Wine & Spirit Competition)」にて、弊社のジンが最高金賞、世界最高得点を記録しました。

2024年には、アジア最大の種類コンペ「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(
TWSC) 2024」において、その年に最も活躍した新蒸留所に選出されました。

また、『Forbes JAPAN』2021年の特集「30 UNDER 30 JAPAN」において、お酒業界で史上初の選出、大谷 翔平さんや松山 英樹さんと並び表彰され、2022年の「Forbes 30 UNDER 30 Asia」にも選出していただきました。

日本および(国内のみならず)世界のトップバーにおいても、採用が続々と決まっています。

素材の半数がICCの縁から生まれたジンで乾杯!
このような我々の、6年間の集大成とも言える商品を、2026年春にリリースいたします。

その名も、『LAST EN -縁-』(ラストエン)です。

17種類の素材を使用したジンで、そのほとんどの素材が“もったいない素材”にて構成されています。

本日、先行で、特別にお持ちいたしました。
獺祭さんの規格外の日本酒から造られるスピリッツ。

様々な企業で発生した、素晴らしい香りを持つ素材を組み合わせて、“もったいない”を軸とした、真の日本のジンを造りました。
本日は、ジントニックにて、ご提供しています。
▶︎編集注:審査員席にはジントニックが配布されました。
素材提供企業のうち、約半数は、ICCで出会ったご「縁」です。

提供くださっている皆様からも、うれしいお声を頂いております。
僕がこの道に進むきっかけとなった獺祭も、ICCサミット FUKUOKA 2024で訪問見学させてもらったことによるご縁で、スピリッツを提供してくださることになりました。

そして、本日、僕がこの場に立ち、皆様とお会いできたのも、何かの「縁」!
そんななご「縁」に感謝したいので、皆さん、乾杯しましょう!

グラスを、手に持っていただけましたでしょうか?
せーの! 乾杯!

ジンの豊かな香りを、お楽しみください。
ともに産業をつくる仲間たちの“もったいない”を“美味しい”に変える――このお酒で、世界に勝負したいと思います。

日本の森林を保全する、木のジン
そして、現在、私たちは、新たな「発明」を行なおうとしています。

木を原料とする、世界でも類を見ない、蒸留酒製造です。

その名も、『WoodSpirits』(ウッドスピリッツ)です。

木そのものを発酵・蒸留することによって、お酒を生み出す、国立の研究機関(森林総合研究所)とトップバーテンダー(Bar BenFiddichオーナーの鹿山 博康さん)と共同で立ち上げたプロジェクトです。

特殊なミキサーで木材を粉砕する特許製法によって、間伐材や林置未利用材、つまり木の“もったいない”を、お酒にすることで、森を保全し、林業従事者への新たな利益をもたらしながら、香り豊かなお酒を生み出すことができます。

木の種類によって、まったく香りが違うお酒体験。

ミズナラの木のウッドスピリッツは、できたてにもかかわらず、長期熟成のウイスキーのような味わいです。
クロモジのウッドスピリッツは、まるで爽やかな香りの洪水です。
国土の約7割が森林である日本が誇る技術で、世界に、新しいお酒が生まれようとしています。
すべての“もったいない”を、お酒に変える
最後に、僕の思いを聞いてください。
僕のお爺ちゃんは、お酒が大好きで、どのような時も、片手にカップ酒を持っていました。

僕が生まれた頃に、爺ちゃんは重い心臓の病で、余命2年、お酒は飲んではいけないとの診断を受けました。
しかし、お爺ちゃんは、お酒を飲むことをやめませんでした。
けっして、褒められた行動ではありません。
しかし、受けた余命宣告を跳ね返し、僕が中学生になるまで、お爺ちゃんは生き続けました。
きっと、お酒を無理に断っていたら、それほど長生きしなかったと思います。
お酒には、人の心を元気にする力があるのです。

僕は、そう信じて、お酒造りをしています。
この世界の資源は限られている。

だからこそ、僕はすべての“もったいない”を、お酒に変えます。それが、僕の夢です。

“もったいない”素材の魅力を、最高のレベルに引き出し、持続可能、かつ、おいしさも兼ね備えた、最高の一杯を造り続けます。
名前(「歩夢」)のとおり、これからも、夢に向かって歩き続けます。
応援よろしくお願いいたします。ご清聴、ありがとうございました。

(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子


