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ジンズ井上一鷹さんのプレゼンテーションを3回シリーズでお届けします。(その3)では、眼の動きを可視化するメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」を活用した、様々な企業との協業についてお話し頂きました。
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017「カタパルト・グランプリ」プレゼンテーションの書き起こし記事です。ぜひ御覧ください。
スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「カタパルト(CATAPULT)」のオフィシャル・サポーターです。
本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」「カタパルト・グランプリ」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンスFUKUOKA 2017
カタパルト・グランプリ
Supported by IBM BlueHub
(プレゼンター)
井上 一鷹
株式会社ジンズ
JINS MEME Gr 事業開発担当
1983年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、戦略コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルに入社し、大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。2012年にジェイアイエヌに入社(現在の社名はジンズ)。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て、現在はJINS MEME Gr事業開発担当。
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▶目の動きを可視化するメガネ型デバイス「JINS MEME」の配信済み記事一覧
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【本編】
▼Part1,2のハイライト▼
井上一鷹氏(以下、井上) 私が今かけているのはJINS MEMEという物です。普通のメガネにしか見えない形状だと思います。
このJINS MEMEを朝起きたときにスマートフォンとブルートゥースに1回つなぐと、まばたきと視線移動、姿勢のデータをずっととっています。
JINS MEMEは働き方改革を支えます。日本では労働人口の減少と残業時間の削減がこれから起こります。2030年まで現在のGDPをただ守るだけでも1.5倍の生産性を作らなければいけません。
JINS MEMEはまばたき等を計測することで「集中」を測ることができます。
社員の集中を測って実際に、集中というラベルが付いたビッグデータを、おそらく世界で初、当社で集めています。
各人のデータを見ることで、画一的な人事施策ではなく一人ひとりに合わせた働き方を提案することができます。
▲Part1,2のハイライト終わり▲
ビズリーチ社で効果を実証
井上 実証した物をお見せします。ビズリーチでエンジニア26人にやって頂いて、1週間目は普通に働いてどの時間帯が集中できるかを特定して、その時間帯にタイムシフトしてもらいました。
たったそれだけで、1日15分、26人の平均で集中が上がります。それを1年間になおすと、61時間分の集中出来ている時間が増えています。
61時間の作業ではなく集中が上がっているので、それを簡単に言うと50万ぐらいの効果はあるのではと思います。メガネがいくらかというと3万9,000円です。
それで絶対やるべきだというのがボクらの主張です。
テレワークで集中力が30%向上
もう1つやったのは場所の話です。
テレワークとは基本的に育児とか介護をするという守りの話が多いのですが、テレワークの方がむしろ集中が上がる、生産性が上がるという業務は間違いなくあり、そちらにシフトすると30%集中が上がりました。
いつやるか、どこでやるか、もしくは生産性を上げるための検証をしてみたときに、ビフォーアフターでどれぐらい集中や生産性が上がったかというのをまず、集中という1つの切り口で見るだけでも大切です。
1個の会社で57%上がるということはまだできていないですが、例えば下のスライドで紹介している3つの事象が1個の会社だとすれば57%集中が上がっていることになります。
それは先ほど申し上げたように、50%明らかに生産性を上げないとGDPが守れないので、それならばこういうKPIをきちんとつけて生産性を上げていきましょうというようなことをさせていただいています。
いろいろとソリューションを提供しているのですが、この辺はウェブページをご覧ください。
ここまでお話をしてきましたが、弊社ジンズは、眼鏡屋であり、集中力などの生理データを計測するところまでは事業として確立してきました。
他者との協業でソリューションを開発
しかし、その計測によって見える化された課題に対応するソリューションまで、自社だけで用意することは現実的ではないので、多くの協業先とサービス開発をご一緒しています。
まずは、携帯電話・スマホの法人向け導入のラストワンマイルを事業としているコネクシオさんとの協業により、先ほどお話したような生産性の見える化をレポーティングするサービスを展開しています。
20本以上のJINS MEMEとレポートを元に、この時点では、100万円からのサービスを展開しています。
さらに、仕事中のプレゼンス管理に関するツールや連絡帳ツールを展開するPhone Appliさんとの協業も行っています。
テレワークを進めるうえで、問題視されているのが、チーム内の連帯感の欠如や労務管理が出来ないこと、そして、テレワーク中にせっかく集中しやすい環境でも、邪魔をするのは、同僚からの電話などの連絡であること、などがお話の中であがります。
これらに対して、JINS MEMEで計測した集中をリアルタイムで可視化することで、それらの問題を全て解決するシステムを組み展開しています。
また、エンジャパンの子会社で、マインドフルネスの研修プログラムを展開するCOCOKURIというサービスに、JINS MEMEをインクルードして、展開してもらっています。
マインドフルネスという、効果が不明確で、見方によっては宗教的に見えてしまうものに対して、研修を実施している際の、瞑想のトレーニング状態の見える化や、その後の仕事の中での集中力向上の効果見える化、研修で学んだことの継続性を向上させる効果を見込んで、JINS MEMEを活用してもらっています。
日本人に「攻めの休み」をとってもらいたい
さらに、Apple Watch対応アプリを用意し、展開しています。
人は、1日あたり4時間しか集中できない、という学説があります。この話を聞いた際に、日本の人事の方や働き方改革の担当者の反応で良く聞くのが、「最近よく聞くマインドフルネスとかやると、5時間になるの?」という言葉です。
これが良くないのだと考えています。ドイツ人は、1年に1か月くらい休むし、イギリス人は、17時には帰宅してしまいます。
これは、彼らからしたら「アクティブレスト」をしている、という言葉になります。
何を言っているか、と言うと、攻めの休みを作って、次の生産的な時間に備えている、ということです。
これが日本人はヘタみたいです。スポ根マンガとかで育っちゃっていて、根性論が強すぎるのかもしれません。
なので、JINS MEMEが根性論で仕事している、つまり「ムリな状態でも、ムダに頑張っていた」ら・・
アラートして、強制的に休む時間を作ってもらう仕掛けをしています。
寝たきりや認知症の予防に活用できる可能性
せっかくなので最後に社会問題の話をします。
スマホだけで活動量を測って、何歩歩いたらメタボにならないとやっていますよね。でもそのような体の量的なものだけではなく、質的なものである姿勢を測ってロコモ(※)の対策をしたり、頭の活動量を測って認知症になる対策を打てたりすると思います。
▶編集注:ロコモとは、筋肉・骨・関節・軟骨・椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態のこと。
やはり寝たきりと認知症が国を滅ぼすのは明らかなので、このようなデバイスでそのような予防医療的なことをできたらいいと思っています。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
JINS MEMEが様々な会社と協業して社会問題を解決している未来を想像させてくれるプレゼンテーションでした。(横井)
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