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ICC FUKUOKA 2022 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき見事優勝した、WELgee 渡部カンコロンゴ 清花さんのプレゼンテーション動画【「WELgee」は、未来を奪われ日本にたどり着いた難民の再出発を支援する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 ゴールド・スポンサーのSIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)にサポートいただきました。
▶【速報】未来を奪われた難民の、日本での活躍を支援する「WELgee」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト
– 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)
渡部カンコロンゴ 清花
NPO法人WELgee
代表理事
日本に来た難民の活躍機会を作り出すNPO法人WELgee 代表。
様々な背景を持つ子ども若者が出入りする実家で育つ。大学時代はバングラデシュの紛争地にてNGOの駐在員・国連開発計画(UNDP)インターンとして平和構築プロジェクトに参画。 2016年に日本に逃れてきた難民の仲間たちとWELgeeを設立。難民認定わずか数十人という日本だからこそ、人生の選択肢を増やす「JobCopass」にて経験・スキル・意欲を活かした伴走型の就労事業を展開。グローバル・コンソーシアムINCO主催『Woman Entrepreneur of the Year Award 2018』グランプリ。Forbes 30 under 30のJapan / Asia 選出。東京大学大学院 総合文化研究科・人間の安全保障プログラム 修士課程修了。Global Shapers Tokyo hub所属。トビタテ!留学JAPAN一期。
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渡部 カンコロンゴ 清花さん こんにちは、NPO法人WELgeeの渡部カンコロンゴ清花です。
「『難民』を超えて、社会のパイオニアに」、これが、私たちが取り組んでいることです。
ご自身の会社に、外国ルーツの社員や職員がいる方は手を挙げて頂けますか?
ちらほら、いらっしゃいますね。
では、難民の背景を持つ社員や職員がいるという方は、どうでしょう?
そうなんです、まだ、なかなかいないのです。
命がけで国境を越える難民たち
私は今日この場から、「難民人材活躍イノベーション」を50件、生み出したいと思っています。
今日知って頂きたいことは、3つです。
難民は日本にもやってきているということ、彼らの中には人生経験豊かなパイオニア人材がいるということ、そして彼らが皆さんのチームにジョインすることで、新しいイノベーションが生まれるかもしれないということです。
「難民がパイオニア?」 「そもそも難民が日本に来ているの?」と、皆さんの顔に色々な「?」が浮かんでいるので、私が出会った人たちのことをお話ししたいと思います。
鉱物紛争の地域で争いに巻き込まれたり、民主化を求める人が次々と逮捕されたり、民族対立によって村が焼き討ちにあったり、突然のクーデターで政権が消滅したり……。
「もうダメだ」と思った時に、彼らは生まれ育った故郷を出る決意をしたそうです。
命がけで、やっと国境を越えます。
日本を“選んで”来る難民はほとんどいない
ただ、なぜアジアの島国である日本へ?と、不思議に思いますよね。
実は、日本をめがけて来た人は、まずいません。
目の前に危険が迫った時、行き先を選んでいる余裕はないのです。
色々な国にビザを申請しても、すぐには下りません。
そんな中、母国を出るための「短期滞在ビザ」が最初に出たのが日本だった、という人たちが日本に来るのです。
とりあえず命をつないだものの、あるのは短期のビザのみです。行かなければいけないのは、どこでしょうか。
最初のステップは、入国管理局(出入国在留管理庁)での難民認定申請です。
写真に写っているのは、品川にある入管です。
命の危険から故郷を逃れても、その時点で「難民」になれるわけではないのです。
逃れた先の国で申請し、認定されて初めて、保護される立場になれるのです。
難民認定は申請数に対して0.3%
ただ、私は衝撃の事実を知りました。
2020年に政府によって難民認定されたのは47人でした、これが日本の現状です。
10,000件以上の結果中、認定はたったこれだけです。
▶令和元年における難民認定者数等について (出入国在留管理庁)
コロナ前は、日本への難民申請数も増加傾向にありましたが、残念ながら日本の認定率は0.3%で、先進諸国でぶっちぎりで最下位です。
▶日本の難民認定はなぜ少ないか?-制度面の課題から(難民支援協会)
とはいえ、ゴールはここしかなく、故郷には帰れないのです。
難民認定の結果まで平均4年4ヶ月
もう一つの衝撃の事実があります。
結果までに平均4年4ヶ月がかかっています。
ひたすら4年待った先の認定率0.3%というのは、途方もないゴールです。
ここにいらっしゃるイノベーターの皆さんだったら、ひたすら4年待ちますか?
本当に、0.3%を目指すしかないのだろうか?と思い始めるのではないでしょうか。
せっかく安全な土地に逃れてきたのだから、何かしたい、専門性を活かして働きたい、良いネットワーキングがしたい、起業したい、もっとスキルアップしたい、など、色々な思いがあふれると思います。
対話を繰り返す中で、難民の若者たちも、気が付き始めます。
自分よりずっと前に来た人が、申請結果を待ち続け、時には収容されながら、身も心もボロボロになっていく様子を見るわけです。
ユニークなタレント人材と日本社会をマッチング
実はここに、ユニークな人材の宝庫があるのです。
4ヶ国語話者、ジャーナリスト、プログラマー、教師、起業家、医師、弁護士、アスリート…
日本社会はこれまで、この可能性に気づかずにきました。
そこで、彼らの意欲や経験、個性に着目し、日本社会とのベストマッチを実現する「JobCopass(ジョブコーパス)」を作り出したのが、私たちNPO法人WELgeeです。
キャリアコーディネーターが、人生そのものを含めて、彼らに徹底的に伴走します。
企業側は、自社の成長や変革のブースターとなる人材を採用できます。
これまで、14のマッチングが生まれました。
大手バイクメーカーでは、現地の感覚を知るアフリカの元起業家を採用し、有望なアフリカ市場を一緒に開拓しています。
日本での人材獲得に限界を感じていたITベンチャーは、多様性をもたらす最初のきっかけとして、難民のプログラマーを採用しました。
日本人の同僚と一緒に祖国の医療に携わる団体を作った、元医師もいます。
「かわいそうな難民」ではなくて「切磋琢磨する同僚」になるので、だんだんと、社員さんの意識も変わってゆきます。
雇用することで、ビザスポンサーになれる
でも、難民認定申請をしている人は法的に日本で働けるの?という疑問が生まれると思います。
そう、そこがカギなのです。
難民申請中で在留資格が不安定だった人を、企業が雇用し、ビザスポンサーになることで、就労の在留資格に変更することができるのです。
だから、今こそビジネスセクターの出番です。
「宙ぶらりんだった難民申請者」は、「意欲あふれる外国人社員」になって活躍し始めます。
もはや難民ではなくなるという、新しいパラダイムシフトです。
▶︎難民と企業が共に築き上げる社会 NPO法人WELgee就労伴走事業部インタビュー(GLOBAL HR MAGAZINE)
まずは1人の人生を変えることから
日本に生まれることを、私たちは選んだでしょうか?
難民問題の構造を生み出している原因は、植民地支配の歴史、資本主義のしわ寄せ、政治的駆け引き、または今、手の中にあるスマートフォンの原料などです。
「助けてください、保護してください」ではなくて、私たちには決してない経験がある、逆境を乗り越えてきた胆力がある。そんな人たちが今たまたま居られない国から日本に渡って来ている。彼らに私たちはどんなことができるでしょうか?
「生きていて良かった」、「あの時日本に来て良かった」、「人生を諦めなくて良かった」、「あの社長に出会ったから自分の人生が変わった」、そう言える人たちを、一人でも多く一緒に作っていきませんか?
『愛の反対は、憎しみではなくて無関心だ』と、マザー・テレサは言いました。
全員じゃなくてもいいのです、まずは1人の人生を一緒に変えていきませんか。
出典:フューチャーランナーズ 17の未来(フジテレビ) – 活動の映像あり
境遇に関わらず、共に未来を築ける社会を目指して
「自らの境遇にかかわらず、共に未来を築ける社会」を作るために皆さんにお願いです。
まず難民人材の雇用、これはインターンからでも始められます。
もちろん、WELgeeも徹底的に伴走します。
企業同士の事業連携ではなく、実は、NPOとのCo-Creationもできるのです。
2つ目は、就労前の長い育成期間を支えるための寄付、これはすごく嬉しいです。
最後に3つ目は、何かを一緒にやってみたいです。
どんなアイデアでも、是非、この後声をかけてください。
「難民問題」という、皆さんがすごく遠く感じていたであろう課題が今日、1cmでも近くに感じるようになっていたら嬉しいです。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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