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ICC KYOTO 2023 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、飯尾醸造飯尾 彰浩さんのプレゼンテーション動画【商品×体験×ビジョンでお酢と地域の未来をつくる「飯尾醸造」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。
▶【速報】商品×体験×ビジョンでお酢と地域の未来をつくる「飯尾醸造」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング
飯尾 彰浩
飯尾醸造 五代目当主
江戸前シャリ研究所 所長
HP
1975年京都府宮津市生まれ。 2000年、大学院にて醸造学を修めたのち、大手飲料メーカーにて営業教育、マーケティングに従事。 2004年より飯尾醸造に入社後は伝統的な酢造りを学びつつ、R&D、ブランド戦略、マーケティングなど経営全般を担う。 2013年に五代目就任後、経営理念を「モテるお酢屋。」と定める 2017年、街の活性化を目的に、築120年の町家を取得・改修して直営イタリアンレストランacetoを開業。同時に離れの蔵をカウンター6席の鮨店へ。現在は、鮨割烹「西入る」として営業中。 2018年より江戸前シャリ研究所所長として、世界シャリサミットを主催している。全国各地はもちろん、世界中の江戸前鮨職人にとって技術共有と交流の場をつくっている。 2021年より、海の京都DMO「食の総合プロデューサー」として、地元の食品事業者のサポートも行っている。
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飯尾 彰浩さん 皆さん、こんにちは。飯尾醸造の飯尾と申します。
今日は小さなお酢屋が考えるものづくりのその先について聴いてください。
「海の京都」ともいわれる丹後地方にあるお酢屋
飯尾醸造は、「海の京都」ともいわれる丹後地方にあります。
私たちの看板商品は、「富士酢」。
初代が、日本で一番のお酢をつくりたいと命名しました。
現在は様々なジャンルのトップレストランでご愛顧いただいております。
東京や全国、そして海外と。
お酢づくりの3ステップを自前で行う類まれなお酢屋
では、富士酢はどんなふうにつくるのか。
まず原料は、地元の無農薬のお米です。
契約農家だけでなく、自分たちでも手作業でお米をつくっています。
このお米を酒蔵に運びまして、冬の間に清酒をつくります。
ここでつくった清酒は一切販売せず、全てお酢の原料となります。
このように3つのステップを自前で行う、おそらく世界で唯一のお酢屋です。
下請け体質から脱却
とはいえ、20年ほど前までは下請け体質でした。
私自身は醸造学を修めた後、コカ・コーラでマーケティングなどに従事して、飯尾醸造に入社しました。
商品開発、ブランディングなど、現在は経営全般を担っています。
おかげさまで営業マンゼロ、有料広告もゼロで成長できるしくみができてきました。
「モテるお酢屋」が経営理念
その理由の一つに、経営理念を「モテるお酢屋」に定めたことがあります。
関係する6者からモテるために、私たちは努力をします。
そのために、例えば契約農家から農協の3倍の価格でお米を買い取ったり、地元からモテるために町の活性化につながるようなレストランをつくっています。
間違いなくモテる3つの要素とは
では、「どうやったらモテるんや?」と言うと、その要素は3つあることに気づきました。
どうでしょう? めっちゃモテてませんか?
「イケメン」が「腕まくら」をしながら「夢を語った」ら、間違いなくモテるということに気づきました。
(会場笑)
つまり、商品だけでは弱いのです。
体験とビジョンが重なることで、深く、そして長く愛していただけるのではないでしょうか。
フードロス対策から生まれたピクルス専用酢市場
1つずつ見ていきます。
まずは「商品」です。
10年前にピクルス専用のお酢(「富士ピクル酢」)を開発しました。
その背景には、この国が抱えるフードロスの問題がありました。
この社会性が功を奏してか、様々なメディアで取り上げていただいて。全国でピクルスをつくるブームが起きたのです。
▶エコな調理酢“ピクル酢”で残り野菜を有効活用!2010年4月28日(ウォーカープラス)
その1年後、他社が類似品を相次いで販売したため、ピクルス専用酢のマーケットが生まれました。
自分の力が弱くても、力の強い相手を利用することによって、社会は少しずつ変えられるのではないかということに気づきました。
ユーザーが「米づくり体験」に全国から参加
続いて「体験」です。
50年前から農薬を使わないお米を使ってきましたが、農家の高齢化や後継者不足という問題が出てきました。
そこで、私たちも20年前からお米づくりを始めています。
ただ、ズブの素人の蔵人たちの米づくりは、むちゃくちゃ大変な作業なのです。
これを楽しくしたのが、お客さんに手伝っていただく体験会です。
その結果、毎年200人の方が手伝いに全国から来てくださり、これがきっかけで結婚したカップルも3組あります。
▶今年もお手伝いいただけますでしょうか『2023田植え体験会』のご案内(飯尾醸造)(※2023田植え体験会は終了)
鮨職人のための「世界シャリサミット」を開催
続いてもう一つの「体験」です。
私自身はお酢屋の他に江戸前シャリ研究所の所長をしています。
2年に1回、「世界シャリサミット」を開催しています。
ここに参加される方は、すでに数カ月先まで予約が埋まっているようなお鮨屋さん、それからミシュランで星を獲得しているようなお鮨屋さんです。
鮨職人の技術に科学を掛け合わせることによって、いわば鮨業界のオープンイノベーションが生まれています。
その結果、たった1日でお鮨屋さんの技術、腕が上がり、それによって、世界シャリサミットに参加された職人さんは、すでに10人以上がミシュランで星を獲得しています。
そして私の地元丹後は、世界で唯一のシャリの町に。
飯尾醸造も世界の高級鮨店のプラットフォームになることができ、ここ数年でお鮨屋さん向けの売上も6倍まで拡大しています。
丹後の町に宿泊客を増やす取り組み
最後に「ビジョン」です。
8年前に、このビジョンを掲げました。
「2025年に丹後を美食のまちに」
その背景には、丹後は観光客が多いのに、町がどうも活気がないという課題があります。
それは客単価が低いこと、そしてその背景には宿泊者の割合が少ないことがわかってきました。
であるなら、旅の目的になるレストランがあれば、町は少しずつ元気になるんじゃないかと、古民家を買い取り、レストラン(「aceto」)をオープンしました。
東京からシェフを招聘し、ここでしか食べられないイタリアン、その隣にはカウンター6席の鮨割烹(「西入る」)。
この2店舗で、年間1,000泊が生まれています。
そして再来年(2025年)には、南フランスからフランス人のシェフが移住して、6月16日にお店がプレオープンすることが決まりました。
日本を良くするきっかけをつくっていきたい
飯尾醸造は小さなお酢屋です。
1社だけでは何もできません。
でも、きっかけをつくることは得意です。
ぜひここにいらっしゃる皆様と、地元だけではなく、この日本を良くするきっかけをつくっていきたいと思います。
まずは丹後にお運びください。
飯尾醸造だけではないのです。
世界一のネクタイメーカーkuska fabricさんもあります。
天橋立、伊根の舟屋、たくさんの所にお連れしたいと思っています。
ぜひ丹後にお運びください。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成